Nintendo Switch版「イースVIII -Lacrimosa of DANA-」の感想です。
1987年に日本ファルコムからPC向けに第一作目が発売されたアクションRPGシリーズ。
シリーズ通して主人公は赤毛の冒険家アドル・クリスティンで、1作目と2作目を除いては基本的に1作完結型ストーリーとなっている。
そのため何作目からプレイしても問題はないが、シリーズを知っていれば思わぬキャラとの再会などを楽しめたりといった要素はある。
7作目以降はPSPやPSVITAでシリーズ展開してきたものの、それまでのシリーズ作はPCをメインに、ファミコンやPCエンジン、メガドライブなど数多くのハードに移植されてきたので知っている人も多いのではないだろうか。
今回Switch向けに発売されたのはシリーズ最新作となる8作目。
2016年にPSVITA向けに発売され、2017年には新要素やキャラを追加したPS4版が発売。
Switch版はそのPS4版にDLCを収録した内容となっている。
ただし、Switch版独自の追加要素はナシ。
主人公アドルとその仲間を操作してゲームを進めて行くアクションRPG。
呪われた島といわれるセイレン島へと漂流したアドルとロンバルディア号の乗船客たち。
アドルは島内に散らばった他の乗客たちを見つけ協力し、この島からの脱出を目指すことになる。
セーブは一部を除いていつでも可能。
また、マップから一度訪れた理晶石へのワープも可能なので探索は非常にしやすい。
細かい遊びやすさへの配慮が行き届いているのも今作の特徴。
前半はセイレン島に漂流したアドルが同じく漂流したロンバルディア号の乗船客を救出したり島の探索メインの冒険となる。
そのため主軸となるストーリーに大きな展開はなく、淡々と探索が続いていく内容となっている。
まずはセイレン島で行動可能な範囲とそのマップを把握していこう。
そんな中で船長バルバロスとでかいピッカード残り約1名が何者かに襲われる事件が発生。
ロムン帝国を騒がせている『NEMO』(ニーモ)という殺人鬼が乗船客の中にいたらしく、その殺人鬼の謎を追うことになる。
中盤以降。
それまでも何度もアドルの夢の中に出てきた少女ダーナを操作可能となり、アドルとダーナが意識を共有する事で互いの視点から物語を進めていく事に。
『イースVIII』はここからが本番と言っても過言ではなく、
・アドルとダーナがなぜ意識を共有できるのか
・セイレン島とそこに生息する絶滅したはずの古代種の謎
・探索エリアの拡大
・漂流者たちとの交流
など、ストーリー的にもゲーム的にもここから拡がりを見せ始める。
もし、前半の淡々とした探索がつまらないと感じた人は、せめて中盤第三部あたりまではプレイしてもらいたい。
セイレン島に散らばった漂流者を見つけるごとに発展していく漂流村。
今作におけるメイン要素の1つで、施設関係の充実やイベント発生など重要な要素が多い。
アドルと同じロンバルディア号の乗組員や乗客は、このセイレン島と色んな場所に漂流している。
彼らを見つけ出すことで、大岩や大木で通れない場所も力を合わせて通れるようになる。
そのためゲームを進める上で漂流者の捜索は非常に重要な役目となっている。
また、漂流者の面々にプレゼントを渡すことで好感度が上がり、PT参加キャラだと能力がアップしたり、不参加キャラだとイベントが発生したりもする。
●迎撃戦
漂流村を襲いに来るモンスターたちを倒す迎撃戦。
冒険中に知らせが入った場合、漂流村へ戻ってドギに話しかける事でバトル開始となる。
もっともこの迎撃戦は無視してしまってもいいようだが、成功させれば貴重なアイテムなども手に入るのでできるだけ参戦した方がいいみたい。なお、迎撃戦が発生していない状況でドギに話しかけると、手持ちの素材から迎撃戦用の柵や罠を作成して設置するといった要素もある。
好きな人は完璧な防衛システムを目指してみるのも面白いかも?
私はどちらかと言えばこういう要素は「面倒」だと感じるタイプなのだが気にはなってしまうので、発生すると無視していいとはわかりつつも舌打ちしながら参戦してた。
●ロケーションポイント
目立つポイントや絶景ポイントはロケーションポイントとして登録され、ゲーム終盤になるとこれらの場所に瞬間移動できるようになる。
ストーリーを進めて行くと自然と見つかるポイントもあれば、エリアを隅々まで回ってみないと見つからないような場所まで様々。
●フィッシング
ポイントを選んで釣り針を投げ入れ、あとはタイミングに合わせて指示された方向キーとボタンを連打。
釣りとしては非常にシンプルかつ簡単に魚を釣る事ができるが、ポイントによっては魔物が釣れてしまう事もありバトルが発生することも。
今作においてアドルと並ぶもう1人の主人公と言っていい少女ダーナ。
アドルは夢の中でこのダーナの視点でエタニア王国という見知らぬ場所を探索。
やがてダーナの方もアドルの視点でセイレン島を認識し、2人の意識が共有される。
ダーナの戦闘スタイルが3つに増加。
・VITA版と同じ通常時の『イクルシアン』
・パワータイプの『グラティカ』
・スピードタイプの『ルミナス』
それぞれに特徴があり、またモンスターによって有利不利もあるので、状況によってチェンジさせながら進めて行く。
エタニア編ストーリーを進めると行けるようになるダンジョン『地下聖堂』。
上で紹介したダーナのスタイルチェンジを駆使しないと進めない造りとなっており、階層ごとにボスも出現。
先へ進むにはエタニア編でクエストをクリアしてダーナの徳を積まないといけない。
バトルの基本操作は
・通常攻撃
・スキル攻撃
・ジャンプジャンプ
の3つ。
相性があるので、Yボタンで操作キャラを入れ替えながら進めるとテンポよく戦う事が可能。
また、敵の攻撃をタイミング良く防御または回避した際に発生する
・フラッシュガード
・フラッシュムーブ
は、敵の動きがスローになり、こちらの手数が増えて圧倒的有利となる。
特にボス戦では積極的に狙っていく事が勝利のカギ。
久しぶりのプレイのせいか序盤はなかなかタイミングが取れずにミスばかりしていたが、ゲームを続けていく中で自然とこなせるようになっていた。
このあたりは初めて『イース8』をプレイしたVITA版を思い出しました。
スキルを使うことで貯まるEXTRAゲージが満タンになると使用できるキャラクター固有のEXTRAスキル。
特にボス戦においては大きな効果を発揮。
雑魚に囲まれた際にもどんどん使った方が効率はいいのだが、貧乏性な私はそういうところで渋る癖がある。
●ボス戦
ストーリーの節目に登場するボスはみんな個性的だが、行動パターンさえ見切れば案外あっさり勝てたりもする(難易度ノーマルでの話)。
効率良く倒そうとするなら、やはりフラッシュガードやフラッシュムーブをいかに成功させるかが重要になってくるが、今作には多くのHP回復アイテムが存在するので、レベル差や回復アイテムがぶ飲みによるゴリ押しでもなんとかなる。
●特殊バトル
襲ってくる魔物から漂流村を守る迎撃戦(写真)。
こちらから赴いて魔物たちを退治する制圧戦。
クエスト発生で夜間にそれぞれのエリアへと赴く夜間探索など、通常バトル以外にも様々なバトルがあるのも今作の特徴。
迎撃戦自体は柵を破壊して村へ侵入しようとする獣たちを倒すバトルだが、その侵入を防ぐために柵の強化やデコイの増備など、普段から漂流村の強化が可能となっている。
ストーリー後半になると強制的に参加しないとダメな場面もあるので、迎撃戦に向けた漂流村の強化は常に行っておいた方がいい。
迎撃戦の発生は探索途中でもリトル・パロが知らせに来るが、ここで迎撃戦に参加するかどうかはプレイヤーの自由。
見事に迎撃成功すれば希少素材なんかも手に入るので、よっぽど先を急ぐのでなければ参加した方がお得。
Switch版はPS4版の移植なので、VITA版には登場しなかったエタニア編の新キャラ・イオ(写真キャラ)や追加エピソードなど収録されている。
また、移植元であるPS4版がほぼ読み込み時間のない超快適プレイを実現していたが、このSwitch版もその点はほぼ実現。
今回の移植で一番不安だった点なのでこれは素直に嬉しかった。
ただし、PS4版が60fpsだったのに対してSwitch版は30fpsなので、動きの滑らかさではPS4版に劣る。
また、Switch版には他機種版のDLCも最初から収録。
こういうちょっとしたオマケが嬉しかったりする。
・一部で見られるカクつき
一部イベントシーンやマップで処理落ちが発生。
イベントシーンについては直接ゲーム性に影響する事はないが印象として気になった。
・HD振動未対応
せっかく釣りというHD振動を活かせそうなコンテンツがあるのに未対応なのはちょっとがっかり。
PSVITA版、PS4版とプレイして今回のSwitch版で3度目のクリアとなりました。
今までよりも釣りや景色を楽しみつつ、じっくりプレイした事もあってクリア時間は40時間オーバー。
アクションRPGのボリュームとしてはかなりのものじゃないかな。
簡単操作とわかりやすいシステム、PS4版ほどではないが読み込み関連も速いのでストレスなく楽しめるのは大きい。
シリーズ8作目という事で今作から遊ぶには
「ストーリーがわからないのでは?」
と心配する人もいそうだが、『イース』シリーズは基本的に1作ごとに完結しているシリーズなのでそのあたりは安心していいかと。
でも、やっぱり今からでも過去作DL専売でもいいので出して欲しいとは思います。
他機種版をプレイした人にとっては
「30fpsで動作するPS4版」
なので、Switchで今作初プレイという人やPSVITA版から乗り換えという人はいいが、PS4版経験者があらためて購入する必要性は感じられない。
持ち運びもできた方がいいって人ならアリかな。
最後発でこの価格ならSwitch版独自の追加要素も欲しかったところ。
ストーリーはこれ以上追加されても蛇足になりそうだが、HD振動対応だけでもかなり印象変わったと思うんだけどなぁ。
・「イースIX -Monstrum NOX-」
・「イースVIII -Lacrimosa of DANA-」(VITA版)レビュー
・「イースVIII -Lacrimosa of DANA-」(PS4版)レビュー
・「イースVIII -Lacrimosa of DANA-」(Switch)レビュー
・「イースⅠ・Ⅱ」レビュー
・「イース」(PC88)レビュー
・ゲーム感想ページ