
第124話「イヤホンの巻」の感想です。
ネタバレ含むのでご注意!
御法島高校戦。
ラジオで試合の様子を聴く近藤父と記者の市川。
「御法島の一色クンという投手ね…」
「浪国の縞馬クンとどっちが上だと思いますか?」
近藤父が市川に尋ねる。
その質問に市川は、
「縞馬クンはなんとなくですが…このままプロに行っても通用するカンジがするんです。一色クンにはそこまでの凄みはない」
「ですがアマチュアで勝てるタイプ。「トーナメントで負けない方法」を知っている…とでも言うか」
と答える。
続けて近藤父が、
「負けなければいつかは勝てる! トーナメントは延長戦も長いしね」
と話すと市川は、
「一色クンと戦う相手はいつの間にか負けている」
と言う。
「凄みはなくても真に恐ろしいのは一色クンの方か…?」
2回表。
近藤がマウンドへと上がる。
打席には5番野上。
初球は見送ってストライク。
(うん。確かに伸びてくるボールだ。そしてこのピッチャーストライクも入る…)
そう考える野上は2球目をヒッティング。
ライトフライとなり1アウト。
打席には6番川森。
初球を打つがセカンド丸井の守備範囲。
ファーストへと送球し2アウト。
「なんかこの回も良くないですか?」
ラジオでその様子を聴く市川が言うが近藤父は、
「まだまだですよ」
と、まだ安心できない様子。
打席に7番久宝が入る。
初球。
(際どい――が外れてる)
と、高めのストレートを見送る久宝だが判定はストライク。
(お、取った)
意外そうに振り返る久宝。
そして、
(今日は……コントロールもいいように思えるが…)
受ける井口が思う。
2球目。
これまた際どいコースながらもストライク。
(また……)
その判定に久宝が若干戸惑った様子を見せる。
「お~。ギリギリ臭いとこ投げれるのねぇ~」
御法島ベンチから藤尾監督の声が飛ぶ。
その後2ストライク2ボールとなってからの投球。
(これは内角の際どいタマ!)
(外れてる!)
久宝が見送る。
「む」
藤尾監督の声。
(迷ってる……?)
球審のコールを待つ久宝。
しかし判定はストライクとなり3アウトチェンジ。
「ううッ!」
思わず呻く久宝。
(ひぇ~~~取ってくれた!)
安堵の表情を浮かべる近藤。
(ストライクの3球――全部見逃し! 全部際どいとこだった!)
今日の近藤のコントロールの良さを再確認した井口。
「おおー! この回は三者凡退!」
「やりますね~近藤クン! 今のなんか全部ギリギリですよ」
実況席も近藤のピッチングを称える。
「ひぇ~近藤いいじゃねーかー」
ベンチに戻りながら近藤に声をかける丸井。
そしてベンチの谷口も
「近藤いいぞ! 特にコントロールが…!」
と、コントロールの良さを評価。
「でへへ。たまたまそこに行っただけです」
と、答える近藤。
スタンドからは近藤コールが巻き起こる。
「イェーイ。ありがと~~! もっと応援して下さ~い」
その声に応える近藤。
その様子をラジオの実況で聞いた市川が、
「盛り上がってますね~甲子園」
と、近藤父に話すが、
「穴があったら入りたい」
と、近藤父は恐縮した様子。
「この2イニングスだけ聴いていると、今日の茂一クンは球威もありコントロールも良さそうだ」
「そして事実、心配していた立ち上がりは無難に終えた。谷口監督の選択はここまでは間違っていない」
そう続ける市川だが近藤父は、
「まだたったの2回ですよ。何を判断しろと…」
と話す。
2回裏。
「それにしても佳境甲子園! 準々決勝! この盛り上がり! すごいすごいすごい! プロ野球……それも日本シリーズでもこの雰囲気にはなりません!」
「これは甲子園大会独特のものです! そして御法島・一色クンはこれを何度も体験してきているわけです!」
実況がその盛り上がりを伝える。
打席には松川。
相変わらず表情変えない一色の初球。
空振りして1ストライク。
「一色クンはベテランの風格!」
実況が言うと、
「だからこそ近藤クンの凄さが際立つ! こんな場面生まれて初めてなわけですからね~」
解説者も続けて話す。
だがスタンドから見ているプロのスカウト陣からは、
「一色は今日は明らかに手を抜いている!」
「他の奴らの目は誤魔化せてもプロのスカウトは誤魔化されん!」
との声が飛ぶ。
「それより近藤の方が見どころがあると言うものよ!」
「いやいやそれでも一色の方が数段上ではあるが――」
そう話す南海スカウトと近鉄スカウト。
2球目。
松川が打ち返すがショート正面のライナーとなって1アウト。
「ほらね。手を抜いて投げてもなぜか抜けて行かない」
と話す近鉄スカウト。
打席には加藤。
(申しわけないが……今日のテーマは…)
(いかに体力を温存して投げるか)
あくまで省エネ投法を考える一色。
初球。
加藤が打ち返すもセカンドゴロとなり2アウト。
(それでもウチが墨谷に負けることは100%ない)
絶対的自信の一色。
続く打者久保はセンターフライとなって3アウトチェンジ。
そんな一色のピッチングにスカウト陣は彼の凄さを口にする。
「手を抜きながら……何気な~く……淡々と投げていくだけで……」
「相手のアウトも淡々と積み上がる」
「なんちゅうピッチャーや」
「一色の本当の凄さは初めて対戦したチームじゃよくわからんだろう」
ベンチの前で円陣を組む御法島。
「近藤は1年ながらストレートは一級品や。ちょっとこれは捨てろ」
「バットを振るのはカーブや」
という藤尾監督の指示が出る。
3回表。
打席には8番榎木。
初球。
ストレートを見送って1ストライク。
2球目。
カーブを打ち返してショートフライとなり1アウト。
続く9番一色もカーブを狙うが、2球ファールして最後は空振りの三振となり2アウト。
打順戻って1番田嶋もカーブを打ってセカンドゴロとなり3アウト。
三者凡退に抑えた近藤に実況者は、
「いやぁ近藤クン安定してますねぇ」
と話すが、
「う~ん。近藤クンはいいですが……この回はちょっと変化があったかも」
「御法島の打者…」
「変化球に積極的に手を出してましたねぇ~~~」
という解説をラジオで聞いた近藤父は、
「む」
と、思わず声をあげた。
「天下の藤尾監督が我息子なんぞ相手に御指示を出してくれたか?」
と口にする。
すると突然立ち上がってラジオの切ってしまい、
「さ~てと野球はここまで。仕事に戻りますわ」
と、車の整備を再開する近藤父。
「あ……いいんですか?」
驚いた市川が尋ねるが近藤父は
「ええ」
とだけ返す。
「あの……私はイヤホンで聞いてていいですか?」
と聞く市川に、
「どーぞどーぞ」
と返す近藤父。
そうしてイヤホンで試合の様子を聴き始める市川。
「3回の裏。墨谷「0」」
「4回の表。御法島の攻撃に入ります」
試合の様子を淡々と伝える市川だが、近藤父の変化に気付く。
(藤尾監督が何か指示を出したと察知したら急に様子が変わった)
(今までどこか他人事の物腰だったが……)
(や、やはり……父親の姿だ……!)
(息子の事が心配で心配で仕方ないんだ!)
と。
じっと静かに試合の様子を聴く市川と、黙々と仕事をする近藤父。
やがてイヤホンから漏れる歓声で気付いたのか、
「御法島が点を取ったようですね」
と、近藤父が口にする。
「え…ええ。1点……」
市川が答えると近藤父の目には涙。
「やはり藤尾監督だ…」
気まずくなったのか市川が、
「あの…私…そろそろ帰りますね」
と言って立ち上がるが、
「いや! そこにおって下さい」
と近藤父が止める。
ここで第124話が終わります。
順調に2回も抑えた近藤でしたが声援に応える姿やベンチでの様子から、さらに調子乗ってしまってるのかなと思っていたけどついに先制点取られたようです。
一方の一色は相変わらずポーカーフェイスで淡々と打たせて取るピッチングに余裕感じさせます。
不気味です。
次回は、
仕事は5時で終わりや。
『準々決勝の合理的試合展開』の巻
失点の経緯など次回わかると思いますが、これによって近藤に変化が見られるのかどうか。
墨谷打線が一色をどう崩していくのか。
色々気になります。
・第120話「日本中の…の巻」
・第121話「先発させるか? させないか?の巻」
・第122話「球歴が部長クラスの巻」
・第123話「上流階級のけだるさの巻」
・第124話「イヤホンの巻」
・「キャプテン2/プレイボール2」感想ページ
・「キャプテン」連載開始50周年記念特集ページ
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