
第123話「上流階級のけだるさの巻」の感想です。
ネタバレ含むのでご注意!
御法島高校戦。
1回表は先発近藤が1番田嶋にヒットを打たれはしたものの0点に抑える。
(いや~1番にヒットを打たれてどうなるかと思ったけど、そのあとすごく落ちついていた)
と、ひと安心の井口。
御法島の藤尾監督も
「オウ1年坊! 落ちついとるのー!」
と言い、谷口も、
「意外と落ち着いている。いやかなりだ」
と、近藤の立ち上がりを評価。
解説席でも解説者が
「おとといから急に騒がれて……。この初回はどういう心境なのか? と心配してましたが杞憂でした」
と話すも、
「しかしなんと言っても1年生」
「この準々決勝の先発は普通の精神状態ではないと思うんです」
「いつかは浮き足立つ。そこをどうしのぐかでしょう」
と、この先どうなるかわからないと分析。
それをラジオで聴いていた近藤父と市川記者。
市川記者は
「う~ん。1年生が浮き足立つとしたら、それは”初回”じゃないのかな~~? 茂一クンはそこをうまく切り抜けた」
と言うが近藤父は、
「確かに…。初回は意外と落ちついていた」
「だが茂一のお調子者っぷりは親でなけりゃわからない。まだまだですよ」
と、近藤の性格をよくわかっているだけにまだ安心はできない様子。
スタンドからは近藤コールが巻き起こる。
すると近藤はベンチから出て、
「みんなありがとー!」
「イエ~~~イ!」
と、その声援に両手を振って応える。
「おおーっと! 近藤クンがアルプススタンドに向かって手を振っています!」
「これはスタンドも大喜び。沸いております」
その実況を聴いた近藤父が、
「ほらね。光景が目に浮かぶ」
と市川記者に話す。
そのスタンドにはプロのスカウト陣も来ていた。
「近藤いいねいいね~」
「南海さん。狙ってんじゃないの~」
と、阪急のスカウトが話を振るが南海のスカウトは、
「まだ1年じゃなんとも言えんわ。阪急さんこそ目をつけとるんやないの?」
と、逆に話を振り返す。
「ホンマに目をつけとるのは近鉄さんや。な!」
と、阪急スカウトが今度は近鉄のスカウトに話しかけるも、
「近藤か~~。まだまだなんとも言えんわ~~。それよりや…」
「さすがにこの試合は一色や…」
と、近鉄スカウトはマウンドに上がった御法島のエース一色に注目する。
「ウチは浪国の縞馬よりもコッチの方が評価が高い」
という近鉄スカウト評。
「いやプロ向きなのは縞馬やろ~~」
という阪急スカウト評。
そして、
「いやいや一色の方が向いとるで~~」
との南海スカウト評。
実況者と解説者が一色の紹介を始める。
「春のセンバツ優勝投手大エース一色クン! 今大会もひとりで投げ抜いています!」
「とにかくタフ! 春も全試合をひとりで投げ抜きましたからね~」
「バッテリーを組む田嶋クンと同じく4回めの甲子園!」
「まるで精密機器のようなコントロールと変化球!」
「そして冷静沈着で堂々としたマウンドさばき!」
「なんと甲子園通算11勝もしています!」
1回裏。
1番丸井が打席へと入る。
(TVで何度も見た……おなじみのフォーム…)
(何もかもが違う…。雲の上の人生…。上流階級だ…)
(しかしその上流階級ってのはどこかけだるそう)
第1球。
(縞馬と同じで全部ひとりで投げ抜いてるわけだからな)
(疲れているのか…?)
(迫力のないフォーム)
(だがボールは意外と速くてググッと浮き上がってくる…)
(これは高い。外れてる)
そう判断した丸井だがボールが変化。
(お! ここから曲がる!)
(ギリギリを狙ってる)
曲がってきたボールを見送る。
(どうだ?)
判定はストライク。
(このコントロール)
(パッと見ると…大投手のオーラを感じさせない)
2球目。
(嫌々投げてるようにも見える)
(縞馬とは全く違う)
(とにかく打てそうなカンジはする!)
丸井のバットが打ち返す。
打球は平凡なサードフライとなり1アウト。
だが、打席に向かう2番片瀬に丸井は、
「片瀬。このピッチャー打てるぞ」
「多分連投で疲れてる」
「迫力がねぇんだ」
と伝え、片瀬もまたそれを感じ取っていた。
片瀬が打席に入る。
(この顔……。ポーカーフェイス)
第1球。
ストライクゾーンをかすめる変化球でストライク。
(一流の投手ほどポーカーフェイスになっていくというが…)
2球目は見逃して2ストライク。
3球目。
(これが……)
(準々決勝に先発してくる投手の顔か?)
(どんどん……)
(やる気がなくなっていくように見える)
なんと片瀬、一色の表情ばかり見ているうちにストライクを見逃して三振。
(あ! イケネ! 顔に見とれてたら…!)
「くさいとこばっかつくね~」
戻る途中次打者井口が声をかける。
「え、あ、まあ……」
そう返す片瀬。
(迫力がないからフワッとしてるうちに終わっちゃった)
打席には3番井口。
(縞馬さんは表情豊かだった…)
初球は変化球を見送ってボール。
(縞馬さんからは闘志が伝わってきた)
(一色投手はそれらが全くない!)
(だがそれが超一流投手の証とも言える)
2球目。
(ボールは確かに速い。―だが……)
(縞馬さんのような気迫はないんだ!)
打ちにいった井口の打球はショートの頭を越えて左中間へのツーベースヒットとなり、2アウト2塁となった。
それでも一色は表情を変えない。
打席に4番イガラシが入る。
(皆…ここまでのカンジ…縞馬さんに対したのとは違う)
(臆してないんだ)
初球。
(あ! 打てそ!)
初球から打ちにいったがファール。
(打ち損じ。思ったより浮き上がってくるな)
2球目。
(これも!)
(打てそ!)
だがこれもファールとなり2ストライク。
(どんどん打てそうなとこに投げ込んでくる。しかし結果――2球で追い込まれた)
(次は1球外してくる?)
そう考えるイガラシ。
3球目。
(ん)
(外してこない! 3球勝負!)
(だったら打つ!)
これを打ちにいくもサード正面のゴロとなって3アウトチェンジ。
一色のピッチングに谷口は、
「う~ん。こりゃ一色投手はやはり一流なんだ。ヒットを打たれようが顔色変えず淡々と追い込んで次打者を打ち取る」
「ポーカーフェイスの人は一見やる気がないように見えるがだまされちゃいけない。頭の中はコンピューターがフルで回転している」
と分析。
だが、スタンドのスカウト陣は、
「なんや一色ふざけとるーー! 今日はやる気ないやんけ!」
「確かに! 手を抜いとる!」
「長年コイツを見てきとるからわかる! 明らかに疲れとる!」
「今日は体力を温存する日や! つまらんのー!」
「やる気がないように見えるのは本当にやる気がないんや!」
と、各々が口にする。
ベンチへ戻ったその一色。
(このチームが…浪国に勝てたのはフロックや)
(何十試合甲子園で闘ってきたと思っとるんや…)
(ウチがこのチームに負けることはあらへん)
(こんな事言っちゃアカンがちょっとめんどくせーな)
(明日の準決勝。あさっての決勝。合わせて18イニングス……。今日は省エネ投法で9回を投げ抜く!)
そう考える一色。
ここで第123話が終わります。
スタンドに向かって声援に応える近藤に墨二時代の不安を思い出しちゃいました。
今回は丸井に怒られなかったのかな?
思ったよりも落ち着いていると思ったけど、思ったより調子乗り始めた雰囲気なので少し心配になってきます。
そして御法島エースの一色。
コメントでもおっしゃってる方いらっしゃったように、やはりモデルと同じアンダースローでしたね~。
最後の台詞は舐めているというよりも、甲子園実績の差から来る余裕を感じさせられました。
次回は、
名将、藤尾監督が指示を出した!
『イヤホン』の巻
一色のポーカーフェイスが崩れるとこを見てみたいです。
・第119話「今度こその集大成!の巻」
・第120話「日本中の…の巻」
・第121話「先発させるか? させないか?の巻」
・第122話「球歴が部長クラスの巻」
・第123話「上流階級のけだるさの巻」
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