PS4『イースIX -Monstrum NOX-』の感想です。

ゲーム内容


監獄都市バルドゥークを舞台に、怪人となって「異能(ギフト)」と呼ばれる力を手に入れたアドルと仲間たちが、この都市にかけられた呪いを調べるために戦うアクションRPG。

日本ファルコムの人気ARPGシリーズ最新作です。
「異能」以外で前作から大きく変化または追加された要素はなく、グリムワルドの夜と呼ばれる前作で言うところの防衛戦みたいな要素や、素材を集めての装備やアイテム作成、キャラにプレゼントアイテムを渡しての親密度アップなど、名称こそ違えどほぼ前作の要素を引き継いだ内容となっています。
そういう意味で新鮮さっていうのはあまりないかも。

異能(ギフト)
怪人個々が持つ能力で、具体的に書くと、
・一定距離内にある特定の場所へ瞬時に移動(敵にも有効)
・壁を駆け上がる
・一定時間空中を滑空する
・通常では見えない物が見える
・壊れかけた壁を破壊できる
・影となって地面に潜り込める
といった、普通の人間では不可能な能力。

これらはストーリーが進む中で、それぞれの能力を持つ怪人が仲間になると共有できるようになります。
どのキャラを操作していても仲間全員の異能を使う事が可能。
このあたりは快適さを重視した作りでありがたい。

今作の目玉要素と言えるこの異能。
おかげで広大なバルドゥークでの移動が快適かつ爽快ではあるものの、次回作以降この快適さに慣れちゃったユーザー相手にどうするんだろうなといらぬ心配もしてしまいました。

バトル
バトルも前作とほぼ同じく、敵の弱点となる属性を突いての通常攻撃やスキル攻撃で進めていきます。
ゲージが貯まってからのEXETRAスキル発動なんかもそのまま。
今作ではそこにアドルの異能を使って、一気に敵との距離を縮めるという要素も増えました。
おかげで前作以上にスピーディーなバトルになった気がしますが、私はバトル中にそこまで操作する余裕なかったですw
まぁ無理にバトルで異能を使わなくてもクリアは可能ってことです。

広大な監獄都市を怪人となって駆け巡る


バルドゥーク
アドルは怪人達の情報収集の場となる酒場ダンデリオンを拠点に、広大な監獄都市バルドゥークを調査することになります。
最初は呪いによって行動範囲が制限されていますが、ゲームを進めて行く中で行動範囲が拡大。
街自体はオープンフィールドとなっているので建物の出入り以外で画面切り替えはなく快適に移動でき、また宝箱や落書き、花びらの発見といった探索要素もちりばめられています。
これら探索要素については今回は異能が便利すぎてコンプリートは簡単かも。

ただ、その影響か各場所への移動や建物へ出入りする際の読み込み時間は若干かかります。
前作のPS4版がローディングに関してはほぼ一瞬だったので残念。

ダンデリオン
上で紹介した今作での活動拠点となる酒場。
前作で言うところの漂流村みたいな感じですかね。
仲間を集めることで施設(ショップや装備強化など)が増えていき、このダンデリオン内でほとんどの買い物は済ませられるようになります。
まさに拠点。

日常ではここの地下に怪人メンバーが集まって情報収集や計画の相談をするという、昔見た記憶にある戦隊モノの拠点を思わせる個人的には大好きな設定の場所です。

バルドゥーク周辺のフィールド
元々『イース』シリーズは1作で世界中を巡る物語ではなく、限られた地域で遭遇した問題を解決していくのが主体のゲーム。
今回は監獄都市バルドゥークと周辺フィールドが冒険の舞台となるわけで、そういう意味では今作も過去シリーズ同様の流れではあるのですが、前作が無人島を舞台としていただけに
「未知なる土地の冒険
という雰囲気は今作ではあまり味わえませんでした。
フィールドの特徴も薄かったように感じます。

もう1人のアドルを操作?
詳細はネタバレ含むので省きますが、ストーリー進行の中で監獄内のアドルを操作するパートが随所に挟まれます。
このパートでのアドルには成長要素がなく、アクションと謎解き主体へと変化。
ここでのアドルの行動が本編にも繋がるというストーリー演出的な意味合いが強いパートなのですが、個人的には面倒に感じた部分でもありました。

上でも書いたけど異能に慣れすぎちゃってて、このパートでのアドルの操作はすごく不便に感じるんですよねぇ。
設定上それはどうしようもないんですけど……。
だからこそ異能が使えない移動のだるさに
「次回作ではまたこの不便な移動に戻るのか」
なんて心配になったんですw

怪人という設定
個人的に
「2つの姿で正体を隠して戦う」
という設定は大好きでして、今作のアドルと仲間たちも怪人として、一般人相手にはもちろん序盤は仲間同士でも正体を隠しながら戦います。
でも、そのあたりの設定がかなりユルユルなんですわ。
というのも、それぞれに関わる人達にはバレバレなんですね。
ここはもうちょっと上手く隠して欲しかったなと思います。

また、アドルが怪人時の呼び名は《赤の王》ですが、何も知らない相手の前でそんな《赤の王》に対して普通に
「アドルさん」
と名前呼んじゃってたりします。
もはや隠す気ないように感じました。

気になった点

ボイスシーンが少ない
フルボイスじゃないのはいいんだけど全体的にボイスシーン少なく感じます。
最初からボイスがなければ気にならないんですが、途中までボイスで喋っといて別キャラの台詞になるとボイスなくなったりするので中途半端で気になります。
やはり目を閉じたまま喋るシーンが多い
まばたきした瞬間にキャラが喋り始めると目を閉じたまま喋り続けるという、前作にもあった気になる部分。
今作では改善すると期待していたのですがそのままでした。
怪人設定のゆるさ
上でも紹介しましたが、怪人という設定のゆるさはどうにも気になりました。
読み込み時間
現在はパッチ (v1.04) でかなり改善されたようですが、それまではエリア移動に10秒前後のロード時間が発生していました。
前作PS4版がほぼ読み込み一瞬だっただけに余計に残念でした。
前作が異常と言えば異常だったのかもしれませんが。

感想

アクションRPGとしてもスピード感や爽快感はしっかりしており、また仲間も個性的な面子が揃っているのでシリーズ初心者も経験者も楽しめるかと思います。
特にシリーズファンならラストでちょっと嬉しい演出もありますしね。

一方で遊びという部分で前作とかぶっている部分が多く新鮮味には欠ける点や、気になる点で挙げた部分以外でも人によっては気になるかもなぁという粗さも前作と比べたら目立ったかな。

さて、最後にシリーズファンとしての感想を。
『イース』の醍醐味の1つって最後にアドル(&ドギ)がみんなに惜しまれつつもその土地をあとにする、どこか寂しい気分と次の冒険への期待を持たされるエンディングだと思うんですね。
今作もプレイ開始した頃は
「前作と比べるとキャラ弱いかなぁ」
「セイレン島の方が楽しかったなぁ」

なんてあれこれ考えましたが、エンディングで旅立つ時はやっぱり寂しい気分にさせられるし、また後のシリーズで彼らと再会したいって思える。
これは長年続いて来たシリーズ、そしてアドル・クリスティンという冒険家が主人公だからこそ味わえる感覚だと思います。

1ファンとしてこれからもさらに続いて欲しいシリーズの1つです。

関連リンク

・「イースIX -Monstrum NOX-」
・「イースVIII -Lacrimosa of DANA-」(VITA版)レビュー
・「イースVIII -Lacrimosa of DANA-」(PS4版)レビュー
・「イースVIII -Lacrimosa of DANA-」(Switch)レビュー
・「イースⅠ・Ⅱ」レビュー
・「イース」(PC88)レビュー
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