第115話「ズドーンの巻」の感想です。
ネタバレ含むのでご注意!
浪国戦。
4対0と浪国に4点リードされての6回途中から、墨谷はイガラシに代わって近藤が登板。
7回表の先頭打者縞馬も打ち取って1アウト。
これで浪国の4番と5番を内野フライに打ち取った事にボールが走ってると話す半田と、
「近藤には気負いがない…」
と話す谷口。
打席には6番端川。
(6番は左ね……)
(――ま、右も左も関係ないけど)
近藤の初球ストレート。
(打てる!)
そう思った端川のバットが空を切る。
(……)
(イガラシとは明らかに球質が違う)
2球目。
今度はバットには当てるもののバックネットへのファール。
(し、しびれた)
3球目。
端川の打球はこれも高々と上がるフライとなると、ファースト加藤が捕球して2アウト。
「近藤クン、代わって3人に対して3内野フライ」
「それもみっつともものすごく上がった…」
解説席の会話。
(な、なんだ? この手応え…)
打った端川は両手を見ながら不思議そうにベンチへと戻って行く。
打席には7番戸井。
「バッチ上げるなよ! 叩きつけろ!」
浪国ベンチから声が飛ぶ。
「なんかみんな上げちゃうな~~~~。なんでやろ?」
谷口の言う通り、近藤に気負った様子はない。
1球目。
(上から叩きつける!)
そう意識する戸井が打つも、これまた高々と上がった打球はファールとなる。
(みんなボールの上を叩けないんだ)
(それだけいい伸びをしてきてる)
(いやイガラシだってすごいホップしてきてた)
戸井の印象はイガラシのボールがクンとホップしてくるイメージに対して近藤のボールは、
(「ズドーン!」ってカンジだ…)
という。
(よぅし次はちょっと観察してみるか)
2球目。
戸井の印象通り、ズドーン! というストレートが投じられるが見送ってボール。
(うむむ。この「ズドン」はすごいぞ)
(これはよっぽど上から出してよっぽど叩きつけないと…負けてしまう)
3球目。
(上から上から)
(バットをかぶせるように……!)
相当上から叩きつける事を意識した戸井のバットだったが、これも打球が高く上がりセカンドフライとなり3アウトチェンジ。
これで近藤は6回途中から登板し、4人連続内野フライに打ち取った。
ベンチへ戻って来る選手たちを見ながら谷口は、こんな光景を何度も見た気がすると思う。
(上級生はなまじっか経験がある分神経質になりがちだが、そのあとで出て行く近藤はそれが無いから、おおらかな表情をしておおらかなボールを投げる。それが対照的で功を奏する)
(我がチームの甲子園オープニングピッチャーを任せた時も緊張感がなくおおらかだった。そして2度めはますます慣れたカンジ…。近藤ってひょっとしたら甲子園に向いているんじゃないのか?)
と。
対する浪国監督もまた、
「近藤投手……1年か…。直に見てみるといい体もしてるし迫力もある。こりゃ来年あたり出てきた時は化けてるんじゃないのか?」
と感じていたが、8回も近藤に打者3人ともキャッチャーフライに打ち取られ、
「ま、まさか…「甲子園にニュースター誕生」じゃないよね…?」
と、若干動揺の色を見せる。
周囲が色々思う中で、
(ワ、ワイ…なんかわかる……)
と、近藤本人は何かを感じていた。
(高さがええのか、角度がええのか、土質がええのかわからんけど…)
(あのマウンドが合うんや!)
(甲子園で投げるんはごっつ気持ちええ)
(2回めだから慣れたのもあるのかな?)
(そして1球ごとの大歓声。あれは神宮にはない…)
(ワイ、甲子園のことむっちゃ好きや!)
そして9回表のマウンドに上がる近藤。
「心なしかスタンドが様相を変えてきました」
「こりゃ何かを期待してますよ……」
と、解説席もその異様な雰囲気を感じている。
この回先頭打者の2番村本に浪国監督は、
「ここでは一旦恥とか外聞とか忘れよう」
「セーフティバントやってみろ」
と、焦りの様子を見せる。
初球。
バントの構えをする村本。
(何! セーフティ!)
焦る井口。
(すごい迫力! できるか!?)
こちらも緊張した様子の村本。
バットに当たった打球は高く上がりキャッチャーフライとなった。
悔しそうにヘルメットを叩きつける村本。
これには浪国監督もベンチへ腰を下ろすと、
「都立高校すごい! いい選手集めてるよ」
「いや、この近藤だけ飛び抜けてねぇか? 来年を待つまでもなく……」
と、感心したように呟いた。
「代わってから8連続内野フライの近藤クン。その内よっつはキャッチャーフライ」
「一般的にスピンのかかったボールはフライになり易いとは言われますが、これは相当かかっているのか?」
「1回戦の時もそれなりに良かったが……今日は数段凄さを増しています!」
と、解説席も近藤の投球に驚きを隠さない。
1アウトとなって打席には3番カドバン。
谷口からの勝負のサインに、
(カドバンと勝負! 前打席でホームラン打っているのに!)
(イガラシに対する指示とは正反対! そこまで近藤を信用しているとは!)
と、井口が驚く。
近藤も縞馬に続いてカドバンとも勝負できる事に緊張と喜びを感じている様子だが、ここまでどんなに内野フライが続いているとは言ってモプロみたいなカドバンは違うと考える井口は、
(9回4点差……。さすがに谷口監督もあきらめている。もうこの勝負だけを楽しもうとしているんだ!)
と、感じていた。
初球。
唸るような近藤のストレート。
「うおお!」
そして実際に唸り声を上げながらバットを振るカドバン。
キンという打球音。
ここで第115話が終了となります。
浪国監督に認めさせるほど圧巻のピッチングを見せる近藤。
前回から続けて少しずつ浪国監督の表情から余裕が消えていく様子はなかなか爽快でした。
でも、井口の言うように谷口は試合を諦めたのではなく、今の近藤ならカドバンにも通用すると確信している感じですね。
そもそも谷口は最後まで試合諦める人ではないですし。
そんな今の近藤でも
(もしかしたら打たれるのでは……)
と思わされる迫力がカドバンにはありますが、この勝負どうなりますか。
次回は、
イガラシが意地の送球!
『センバツで帰ってこい!』の巻
う~ん……。
9回裏墨谷の反撃に期待したいです。
・第111話「小さな目標の巻」
・第112話「ノルマの巻」
・第113話「前のめりになる!の巻」
・第114話「甲子園は終わったの巻」
・第115話「ズドーンの巻」
・「キャプテン2/プレイボール2」感想ページ
・「キャプテン」連載開始50周年記念特集ページ
・キャプテン2(15)
・キャプテン(1)
・プレイボール2(1)
・プレイボール(1)
初めて投稿します。少し遅いですが、誰も指摘しないようなので、あえて。
浪国の6回が1番から始まることはあり得ないかと。
2回、味方の好守に助けられたおかげとはいえ、7,8,9番を3人で抑えました。よって3回は1番から。
だとすると、6回が1番から始まるには、3,4,5回の3イニングを9人または18人で終えることが必要。
前者の場合、もし3回、1,2番を抑えたのなら、2死無走者でカドバン。この場合は6回の話と矛盾する。どちらか、あるいは両者の出塁を許したなら、カドバン敬遠で一死走者二人か無死満塁で4番本山。この回を3人で終えるためには本山の打席中に全ての走者が次々と走塁死(盗塁死または牽制死)する必要があるが、そんなことはまずありえないし、だとするとサラッと流すような展開ではないでしょう。
そうなると後者(3イニングを18人)で終えたことになる。打順の巡りだけ考えれば、全イニング二死満塁まで追い込まれながら、かろうじてを抑えたことにすれば可能だが、それもあり得ない。なぜなら、この場合は、4回二死満塁で迎えるのは3番カドバンになってしまいますので。。。
川端は右打者、左は井戸さん、コメントありがとうございます!
なるほど。
なんとなしに読んでいましたが、コメントで書いていただいた説明確認すると確かにおかしいですね……。
「キン」はいい当たりの音ですよね。
次回のイガラシが意地の送球!
センバツで帰ってこいの意味がよく分かりませんが、どうなるのかなぁ?
1人最低5球を投げさせる成果がまだ出てないので、このまま終わらないと思いますが。
この状況で妙に落ち着いて見えるカドバンと、あの最後の打球音でどうしても悪い結果考えてしまうんですよねぇ。
あの次回予告も不気味ですし。
おっしゃるようにまだ縞馬対策の成果が描かれていないし、9回裏に何かしら起こるのだと信じてはいるのですが……。
ガドバンがショートゴロでイガラシがファインプレーでアウト、9回裏追い上げるが一歩届かず、でセンバツに向けてイガラシ新キャプテンでみたいな流れですかね・・
カドバンの打球をイガラシがファインプレーすれば、その裏の墨谷の攻撃にも勢いつきそうですね~!
縞馬相手に4点差はあまりに大きいけど、どうにか浪国バッテリー焦らせるほどに追いつめて欲しいなぁ。
お疲れ様ですm(_ _)m
本当に近藤は、ただひたすらワクワクさせてくれますね!
イガラシの球と近藤の球、ほんの少しのホップ度合いの差なのかもしれませんが、そのほんのちょっとがヒットと内野フライの差なんですかね、球の重さや背の高さなどもありますが。
とにかく谷口も僕も、最後の最後まで墨谷の勝利を諦めません、次回「波国センバツで、帰ってこい」を楽しみにしますo(^o^)o
まもるさん、こちらこそありがとうございます!
あの浪国監督を感服させるほどの快投は見ていて痛快でしたね~。
ここまでイガラシを相手にしてきた浪国打線があれだけ翻弄されるという事は、思った以上にその差が大きいんでしょうねぇ……。
9回裏なんとか墨谷には食らいついて縞馬にも一泡吹かせて欲しいところです!
いつも楽しみにしています。
4点差ですね。きびしいように思います。
次号が、「選抜で帰ってこい!」ですよね。浪国の監督が言ってるんでしょうか?。いやなひびきです。
墨谷、ここまでか。
浪国の投手に1打者あたり5球以上投げさせた効果は9回に多少は出るかもしれませんが、4点まで届くかどうか。
もう負けてもいいので、浪国を嫌がらせるような展開を見たいです。
中ラマさん、こちらこそいつもありがとうございます!
次号予告のその台詞見ると墨谷側の台詞とは思えないし、やっぱり嫌な予感させられますよねぇ……。
今回は近藤の凄さが描かれていて墨谷側の攻撃がなかったので、ここまでの縞馬の様子も気になります。
なんとか粘って欲しいものです。