第111話「小さな目標の巻」の感想です。
ネタバレ含むのでご注意!


浪国戦。
3点リードされての1回裏墨谷の攻撃。
浪国の先発縞馬の球に対応できず2アウトとなり、打席には3番井口。
『魔術』
だという縞馬の変化球になんとかバットを当てるが、ボテボテのピッチャーゴロとなり3アウトチェンジ。
しかし、
(絶対バットになんか当たらないと思ったが…当たった)
と、当たった事自体に驚きを隠せない井口。
いいように縞馬に翻弄された墨谷打線1回の攻撃。
解説席でも
「ややレベルの違いを見せつけた」
「墨谷は明らかに今まで見たことがないという顔をしていた」
と解説し、縞馬の技術が高校生離れしていると話す。
しかし、当の縞馬は
(初見で……おれのフォークに当てた)
と、何やら思うところがある様子。

2回表のマウンドにイガラシがあがる。
打席には7番戸井。
(地獄へ突き落された初回…)
(怖い)

そんなイガラシに井口は
(イガラシ。もう開き直って行くしかないんだ! ストレート来い)
と、内角へのストレートを要求。
初球は戸井が見送ってストライク。
「お。速ッ」
戸井が口にする。
「うん。これこれ。いいボールなんだから」
と、返す井口。
だが、
(7番も恐ろしい打者に違いはないんだ)
と、イガラシの緊張は解けない。
2球目。
「打てる!」
はじき返された打球は1塁線ギリギリ切れる強烈なファール。
(やはりこのバッターも強い)
(何を投げたらいいんだ?)
(変化球の方がいい)

3球目はカーブ。
(振ってくる! だがこれは空振りだ!)
そう思った井口だが、戸井はバットに当ててバックネットへのファールとなる。
「お。いいカーブだねぇ」
そう話す戸井。
イガラシがいいピッチャーである事は認めるが点は取れると感じる。
一方の墨谷バッテリーは、ここまで打たれたのは全てストレートだとし4球目はシュートを投げる。
戸井が打ちに出る。
(あ! ヤバイ打たれる!)
慌てるイガラシ。
戸井の打球は再び1塁線方向への強烈なライナーとなるが、ファースト加藤が飛びついて捕球し1アウトとなった。
「ナイスキャッチ加藤さん!」
ファインプレーにイガラシが叫ぶ。
「そうだイガラシ! バックを信じて打たせて行こう!」
そんなイガラシに井口が声をかける。

打席には8番見石。
バックを信じて変化球でかわす。
下位打線なら通用するかもと手応えを感じたイガラシ。
初球変化球で入り、これを見石が打ち返す。
ライトへの大きな当たりだがライト久保が足が止まる。
が、思ったよりも打球が伸び、少し危なげな態勢で捕球し2アウト。
初回振り回して空振りしていた浪国打線の振りがシェアになってきたと感じるイガラシ。

打席には9番山片。
(この回は3人で終わりにする)
そう思いながらの初球。
ここも変化球で入るが山片が打ち返し、打球はセンターへの大きな当たり。
「ヤバイ! 今度こそオーバーだ!」
イガラシが叫ぶ。
が、センター島田が懸命に追いかけて、これをジャンピングキャッチし3アウトチェンジとなった。
1回表に縞馬のホームランをアシストした形になった島田の挽回たるファインプレーに解説者も
「彼もやはりうまい子なんです」
と評価。

「よしイガラシ。それでいいんだ! バックを信頼して打たせて行けばなんとかなる!」
ベンチに戻ったイガラシに谷口が声をかける。
そして2回裏の攻撃を前に円陣を組むと谷口は、
「ここまでやって浪国の生の姿を実感できたと思う」
「確かに天と地の実力差かもしれない」
「だがその中でもひとつ目標を持ってやってみないか?」

と提案。
それは
「打席に立ったら最低5球は縞馬に投げさせてみる!」
というものだった。
三振してもいいがその場合でも2球はファールを打つ。
簡単に初球を打って前に飛ばさない。
とにかく2ストライクまでは何もしない。
1人5球なげさせれば1イニング15球。
それがあと8イニングスなら15×8で120球。
縞馬は初回10球投げているから合計で130球に達する。
「そのタマ数になったら9回あたりに何かは起こせるかもしれない。そう思わんか?」
というのが谷口の考えらしい。
さらに半田も、縞馬が1回戦も2回戦も全イニングス1人で投げ抜いており、しかも1回戦は延長11回。
そして今日の試合も1人で最後まで投げるだろうと予想。
「おれ達はたしかに勝つことは難しい。でも自分自身に小さな目標を持って一矢報いてみようじゃないか」
谷口の号令に返事する墨谷ナイン。

2回裏は4番イガラシからの攻撃。
(お。小さな4番が出てきたで…)
(まあチームで誰よりもセンスがええんやろ。そんな顔をしとる)

そんなイガラシを見つめる縞馬。
(早打ちはしない。ツーストライクまでは見ていく)
初球。
カーブを見送りストライク。
(たしかに見たことないカーブだ)
驚くイガラシ。
2球目はストレートであっさり2ストライクに追い込まれる。
(2球で追い込まれた)
(5球は投げさせなくちゃならないのに…)

動揺するイガラシ。
キャッチャーカドバンはフォークを要求。
3球目。
目の前でストッと落ちるフォークに
(わあー!)
と、心の中で叫ぶイガラシ。
それでも
(三振する! カットしなくちゃ…!)
と、なんとかバットに当ててファールにする。
(当たった!)
当たった事に驚くイガラシ。
(ん! コイツも初見でおれのフォークに当てた!?)
そしてこちらも動揺した様子の縞馬。

ここで第111話が終了となります。

感想

1回はストレートでグングン押していった墨谷バッテリーでしたが、2回は変化球で打って取る攻め方に変更。
守備陣のファインプレーもあってこの回は3人で終了し、イガラシも少しは落ち着いた感じでしょうか。

攻撃では今のまま縞馬の球を打てと言っても途方もなさそうなので、まずは球数を投げさせるという目標を立てる。
この作戦が後々どう影響するでしょうか。

次回、
カドバンに対するイガラシに出したサインとは?
『ノルマ』の巻

このまま試合は膠着するか。
それとも協力な浪国打線に追加点を許してしまうか。

関連リンク

・第107話「今日で最後の巻」
・第108話「ツッパリがやってきたの巻」
・第109話「見たことのないボールの巻」
・第110話「魔法の国の世界の巻」
・第111話「小さな目標の巻」
・「キャプテン2/プレイボール2」感想ページ
・「キャプテン」連載開始50周年記念特集ページ

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18 Thoughts on “「キャプテン2」第111話感想

  1. 相手ピッチャーのシマウマは一回戦 2回戦で確か失点してるはずなんで、何かしら攻略法を谷口監督は見つけるかなと期待してます

    なんとか勝ってほしいです
    谷口監督には

    • 試合始まったばかりで今はあの変化球に圧倒されているけど、今回の立てた作戦をそれぞれが実践する中で対策が見えて来るのかなぁと思います。
      久しぶりに墨谷が圧されての試合なので勝ってほしいですね~!

  2. 匿名 on 2025年6月7日 at 10:11 PM said:

    谷口監督のノルマ5球は面白い作戦ですねぇ
    いきなり縞馬投手を攻略するのは至難の技ですが疲労蓄積もそうですが少しずつ球に慣れていけば中盤辺りで捕まえる可能性もあるかも

    コージィ先生の過去作だとこういう圧倒的な実力の投手との試合だと守備の穴をひたすら狙い続けたり投手のメンタルを破壊するようなえげつない作戦を取る人が居ましたが…谷口くんは絶対にやらないだろうな笑

    • いきなり打ちたいと考えて対応できるボールではなさそうだし、まずは当てて球数投げさせるっていうのは選手にとってもわかりやすい作戦ですね~。
      コージィ先生の過去作だとそういう攻略法だったんですかw
      ある意味正攻法ではあるけど……。

  3. 清貧一郎 on 2025年6月5日 at 3:54 PM said:

    こんにちは
    プレーボールで谷口がキャプテンになったばかりのころの、川北高校との練習試合のこと思い出しました
    最初は小野田投手の球にかすりもしない状態でしたが、くらいついてだんだん打てるようになってきました
    縞馬投手の魔球にもしっかりくらいついてますね
    今後の話の展開が楽しみです
    ところで縞馬投手はこのときの小野田投手と同じようにかっかしやすい性格のようですね。キャッチャーのカドバンがうまくフォローしていくのでしょうか

    • 清貧一郎さん、こんにちは!
      そういえば小野田の球見て、練習試合始める前から完全に圧されていましたね~。
      試合開始後も最初はムードが悪かったけど、結局精神的に小野田を追いつめたし、今回もそういう粘り強い展開見せてくれるといいなぁ。

      縞馬はかなりの自信家に見えるし性格もああいう感じなので、これまでのカドバンがうまくコントロールしてきたのかなって感じはします。
      でもそうなるとやっぱり手強いって事でしょうか……。

  4. しん on 2025年6月5日 at 12:20 PM said:

    こんにちは。いつもホントありがとうございます。
    縞馬攻略回を追うごとに慣れて来そうで期待が持てますね。作中円陣を組んだ時半田が縞馬はこれまで全イニング投げ1回戦は延長11回!
    自分はその試合がめちゃめちゃ気になりますね〜!w
    何球くらい投げたのかまた試合そのものは投手戦だったのかまさかの打ち合いでの延長戦だったのか。。そのあたり谷口や半田の言及がなかったのでわからないですが、縞馬はもちろん浪国が1回戦2回戦をどんな戦い方だったのかは攻略のヒントになりそうですが。

    • しんさん、こちらこそありがとうございます!
      まずは目の前のやれる事からやっていこうという谷口の作戦はいい感じですよね~。
      前回読んだ限りだとどうやって相手するのかって雰囲気でしたし……。

      確かに縞馬はじめ浪国の1回戦や2回戦の内容は気になります。
      このあたりの細かいデータもすでに半田の手元にはあるのかな?

  5. 匿名 on 2025年6月5日 at 4:44 AM said:

    粘って粘って、あの縞馬のイライラしやすい性格を上手く利用する事で、突破口が見出せるかもしれません。
    守備でも加藤、久保、島田と、墨二組のファインプレーも見られたのは嬉しいし、特に島田は一回表の、結果的に縞馬のホームランをアシスト?する形になってしまったので、その汚名返上?といったところでしょうか。

    そういえば、物語の設定は昭和54年。
    巨人軍は第一次長嶋政権の頃ですね。
    ミスターが居たからこそ、日本の野球が、ここまでメジャーな存在になれたと言っても過言ではありません。
    本当にありがとうございました。
    ご冥福をお祈り致します。

    • 縞馬がかなりの自信家っぽいし、案外精神面で揺さぶると自滅してくれる可能性ありますかね~。
      手強い投手相手に作戦を立てて、強打相手にファインプレーで追加点を凌ぐ。
      今回はどこか懐かしさ感じる展開でした!

      私は長嶋さんの第二次監督時代からしか知らないのですが、父親が大の長嶋ファンだったので、よく一緒に野球中継観てました。
      一度だけオープン戦で近くの球場来た時に実物の長嶋さん見ましたが、本当に登場するだけで大騒ぎだったのをよく覚えてます。
      それだけに誰しもいつかは来ることだとはわかってはいたけど……って気持ちです。
      ご冥福をお祈りします。

  6. けん on 2025年6月4日 at 8:23 PM said:

    この回の守り、久保、加藤、島田と3人とも墨谷ニ中出身なのが嬉しい^_^
    小さなことからコツコツと。谷口らしいですね。これまでもそれで結果を出してきたから得意な粘りでこの試合もいけそう。

    • そういえば見事に墨二メンバーばかりですね!
      魔術というくらい縞馬のボールに気圧されていたし、ここで目の前の出来る事からやろうって作戦はいいですよね~。
      久しぶりにしつこく食らいつく墨谷が見られるかな?

  7. にしなさとる on 2025年6月4日 at 7:34 PM said:

    縞馬の弱点として考えられるのは,これまで格上の相手どころか,手ごわい相手とすら戦ったことがほとんど無いことでしょうか。
    逆境に立たされると,意外にもろいかもしれない。

    • なるほど!
      だから井口やイガラシにバットに当てられた事に驚きを隠せなかったのでしょうか。
      それなら一気に崩せるチャンスあるかなぁ。

  8. 匿名 on 2025年6月4日 at 6:41 PM said:

    こんにちは♪
    久しぶりのたかです!
    この試合原点の強豪に挑む墨谷谷口!
    今後の展開もワクワクですね。

    • タカさん、すごくお久しぶりです!

      久しぶりに実力差が明確な強豪校との対戦。
      墨谷打線が縞馬をどう攻略していくのか。
      イガラシはこのあとどこまで浪国打線をおさえられるか。

      次回以降も気になりますね~。

  9. おでん on 2025年6月4日 at 10:06 AM said:

    思い返せば、今年の墨谷は同格~格下相手の試合が多くて、
    格上相手にできる事を一つずつ増やそうとする、谷口時代の墨谷のような展開は久しいですね。
    ここは上級生達の奮起に期待したい……!

    • 今年は墨谷の強さが目立つ試合を多く見てきた印象強いので、浪国戦は圧倒的格上感が久しぶりに強いですね~。
      打つ方でも守る方でもどのようにあの個性溢れる面々を攻略していくのか気になります!

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