第107話「今日で最後の巻」の感想です。
ネタバレ含むのでご注意!
※感想の最後修正しました


浪国戦一回表。
墨谷の先発はイガラシ。
浪国の1番椎木への初球は空振りをとってストライク。
(始まった! いよいよ始まった!)
試合の始まりに気合いが入るイガラシ。

浪国の先発メンバーは
1番セカンド椎木
2番センター村本
3番キャッチャー角
4番ショート本山
5番ピッチャー縞馬
6番ファースト端川
7番ライト戸井
8番レフト見石
9番サード山片

初球ストライクを取ったものの、イガラシの中にはまだ信州学園戦での記憶が鮮明に残っている。
(甲子園は怖いとこだ)
(あの……ヒットが止まらなくなっちまうカンジ)
(今もここから逃げ出したい衝動に駆られる)
(でもおれは男なんだ)

そんなイガラシをベンチから見つめる浪国監督。
(イガラシ投手…。去年の練習試合ではウチに対して2イニングスだけ投げてる)
(甲子園では信州学園戦でメッタ打ちに会ったが…)
(今日はこの前みたいなことはないぞ――! ――と言わんばかりに出てきた。この子はなんやかんやと言いながら気が強い…)

そのイガラシ。
(目の前に”勝負”がある以上……!)
(おれはにげられるわけない!)
2球目。
(すごい!)
(いいタマ!)

ストレートを椎木が打ちに出るがボールはバットの上をかすめてまたも空振り。
(速い!)
圧倒される椎木と
(ナ、ナイスボール!)
受ける井口。
(勝負)
(勝負)
(勝負)

イガラシが自分に言い聞かせるかのように投じた3球目。
(おいおい! 本当に速え!)
球の勢いに圧される椎木は打ちに出るがこれもバットに当たらず三球三振。
「それも3球とも打ちに行って空振り!」
「いや~イガラシくんのボール走ってますよ」

解説席のアナウンサーと解説者も、イガラシの調子の良さを伝える。

「前情報とはちょっと違うな。異常な速さだぞ」
椎木から報告を受けた2番村本が打席に入る。
(確かに”ネクスト”から見ていてもものすごい速さだった)
(こりゃバットの始動を早くせんと…)

ストレートの速さを警戒する村本に対し、
(1番には直球のみだったが、2番に対しては変化球で行く!)
と、初球シュートを投げる墨谷バッテリー。
(ん! ストレートじゃない! シュートだ!)
裏をかかれた村本は空振り。
(ストレートかと思ったが…すごい曲がった)
2球目。
村本の体付近から外へ大きく曲がるカーブで空振りをとって2ストライク。
(シュートもカーブも……すげぇ)
(信州学園にメッタ打ちされた感じが全くない)

スイングしたままの態勢でただただ驚く村本。
ネクストバッターズサークルでは角が静かにその様子を見つめている。
3球目。
右か左かそれともまっすぐか。
迷う村本だが、
(とにかく早く始動しないと対応でけへん)
と、打ちに出る。
(いや、ストレートやーーッ)
これもバットに触れることすらできず、1番椎木に続いて2番村本も三球三振にとった。
イガラシの圧巻のピッチングに解説席の二人やスタンドの応援団も思わず言葉を失う。

「ストレートだけやない。変化球もすごいで」
村本からの報告に角は、
「村本…「今日で最後」という気持ちでやったか?」
と、問いかける。
「イガラシ投手の調子は最高潮と見た。これは打ちあぐむで…」
「浪国高校最大のピンチや」

そしていよいよ角が打席へと立つ。
1番と2番は大したことなかったと感じるイガラシだが、
(いよいよだ! 夢にまで見た対戦!)
カドバンへの大歓声の中、対峙するイガラシ。
そして
(おれの高校での打席は……あと何打席かや…)
(だから死ぬ気で打つ!)

こちらも気合い十分の角。
投げるイガラシも受ける井口も今日のボールは信州学園戦よりも良いと感じている。
イガラシに至っては人生最高というほどのボールの走りを感じていた。
(カドバンはデータでは初球は振ってこない。ホームランバッターの余裕だ)
(甘いボールでカウントを取りに行っても大丈夫だ!)

そう考えるイガラシに、
「気をつけろイガラシ! 不用意にカウントを取りに行くとやられるぞ!」
と、ベンチの谷口から声が飛ぶ。
初球。
(ストライクのコースだ!)
(まずはボールの軌道上でバットを振ってみる!)

データに反して打ちに来た角にイガラシと井口が驚く。
が、バットは空を切ってストライク。
(ボールがバットの上に逃げて行った)
(バットに当たらなかった…)
角とイガラシそれぞれが思う。
7球連続空振りに沸くスタンド。
「おいおいおい…」
さすがの浪国監督も言葉を失う。
(わかった…次は振らんわ)
(不名誉な記録作るわけにはいかんからな)

警戒心を強める角への2球目。
(はいはい。振りまへんで)
と、見送る気満々の角だったが、
(ん。ドまん中やぞ)
(そしてコレ…! さっきのボールより威力がない……!)
(やっぱやめや! これは見逃すわけにはいかん!)

と、角がバットを出すが、そこでボールが内側へ軌道を変える。
(え? シュート!)
驚く角のバットはこれまた空を切り、ついに8球連続空振り。

(カ、カドバンも当たらない。イガラシすごすぎるよ)
受ける井口も圧巻のピッチング。
(練習でポンポン入れても…本番では違う! そういうことだ!)
あらためて角攻略に自信をつけるイガラシ。
スタンドからはニュースター誕生か? なんて声も漏れ始める。
解説席ではここまで1球も遊び球を投げていないイガラシに、そろそろ遊び球を挟むのではないかと予想するが、
「イ、イガラシは…! 遊んで来んぞ! わかっとるなカド!」
と、浪国監督が角に叫ぶ。
(こりゃやっぱり高校最後の試合なんや)
角もそれを理解しているらしく覚悟を決める。
キャッチャー井口はここで抜いたら角は100%泳いで凡打にできると考えるが、今のイガラシにそんなサインは出せないと思いサインを出す。
イガラシが投球モーションに入る。
(おれ達に黒星を付けるのはイガラシ?)
そう思いながらボールを待つ角。
3球目。
(悔いの残らないスイングをする!)
そう決めた角。
シュートと見た角はストライクコースに来ているこのボールを打ちに出る。
が、
(曲がらない! ストレートや! やられた! 空振る!)
それでも食らいついてバットに当てると、打球はセカンド後方へのフライとなる。
セカンド丸井が懸命に追うも、打球はグラブをかすめて落ちるポテンヒットとなった。
しかし、
(か…完全に負けや!)
(ライト前だが…おれはカドバンに勝った!)
角とイガラシ、それぞれの勝敗は違っていた。

ここで第107話が終了となります。

感想

最初から最後までイガラシ劇場といった感じの回でした。
カドバンにもプレッシャー与えるほどの投球は圧巻です。
でも同時にこれだけの人気と実績持ちながら、まるで油断した様子を見せないカドバンの怖さも見た気がします。

次回は、
気になる次打者の表情。
『ツッパリがやってきた!』の巻

次打者は4番本山でした。
前回から不気味な存在だなと思っていたのですが、今回の紹介でも得体の知れない何かを感じます。
カドバンに代わって4番任されるくらいだから何かあるんでしょうね。

関連リンク

・第103話「甲子園のアレの巻」
・第104話「サヨナラ投手の巻」
・第105話「自信をなくした男の巻」
・第106話「ザッピングの巻」
・第107話「今日で最後の巻」
・「キャプテン2/プレイボール2」感想ページ
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14 Thoughts on “「キャプテン2」第107話感想

  1. しん on 2025年4月8日 at 10:34 PM said:

    いつもありがとうございます。
    ようやく見応えある試合になりそうで楽しみですね。イガラシだけじゃなく3年生丸井、鈴木、松川、島田、加藤みんなの出番があればいいなと。
    あと浪商もどきが出てくるならば、勝ち上がって
    箕島、星稜、早実もどきなんかと対戦とかあればw
    なんて妄想もw

    • しんさん、こちらこそいつもコメントありがとうございます!

      今回はイガラシとカドバンの対決をメインにかなりガチ対決な様子なので、途中経過カットされる事なく描かれて欲しいですね~。
      3年生はそれぞれに見せ場あれば嬉しいなぁ。

      もしこのまま勝ち上がっていくと、おっしゃるような”もどき”校が結構出てきそうな気もしますw

  2. 清貧一郎 on 2025年4月4日 at 5:22 PM said:

    こんにちは
    イガラシ絶好調ですね
    今回の話で、野球の一番の魅力は投手と打者の1対1勝負にあることを再認識しました
    次の打者の本山との勝負が楽しみです
    この後の試合展開も、気になります

    • 清貧一郎さん、こんにちは~!
      ここにきてイガラシの圧巻のピッチング熱いですね~。
      カドバンとの勝負後で気力使ったとこでの本山ってのが不気味だなぁと思っているので、次回この打者がどんなバッティング見せるのかちょっと怖さ感じてますw

  3. リチャードコシミズしか勝たん on 2025年4月3日 at 11:20 PM said:

    やっぱキャプテンは
    「クク」と「ククク」
    ですね。地味に好きな描写です。

  4. けん on 2025年4月2日 at 4:08 PM said:

    テレビでイガラシのピッチング見たいもんですねw。中学時代はイガラシの球は軽いって話でしたけど墨高の肉体改造で完璧に克服できて、今ではスピード、キレともに今大会ナンバーワンなのかも。当然プロも見てるでしょうしね。プロのスカウトも登場してほしいですね。

    • 見てみたいですね~w
      正直イガラシは投手としてはもう墨二時代で完成されていて、墨高では松川、井口といて、近藤も加入したからバッターに専念するかななんて以前思った事もありましたが、肉体改造に始まり、ここまでくるとは……。
      まだまだ成長過程だったんですねぇ。

      浪国戦のピッチングを見たスカウトの評価聞いてみたいですw

  5. イガラシ、
    直球の質が変わりましたねー。

    中三から高一では球の威力や速さでは近藤や井口には敵わない感じで、
    谷口にツーシーム教わってからは技巧派になると思っていたのに、
    ここに来ての覚醒とは⁉︎

    四番の本山もモデルはプロ入りされた選手ですから対決楽しみです。

    • イガラシ、本人が人生最高というくらいに圧巻のピッチングでしたね~。
      浪国打線のバットがボールに当たらないなんてまさに覚醒って感じです!

      本山もモデルの選手いるという事はかなりクセが強い選手なのかな?
      今一番怖さと不気味さ感じる選手ですw

  6. 中ラマ on 2025年4月2日 at 12:31 PM said:

    こんにちは。いつも楽しみにしてます。

    3回戦、いよいよはじまりましたね。
    先発は精神的に立ち直ったイガラシ。一球一球に思いを込める。手に汗握る展開ですね。
    この試合、どういう展開になるか次回が楽しみでなりません!!

    下馬評は圧倒的に浪国でしょうが、墨谷だって強豪ひしめき合う東(西でしたっけ)東京代表、墨谷ナインを自分では気づかないようですが力はついていると思います。
    がんばれ墨谷‼

    • 中ラマさん、こちらこそいつもありがとうございます~。

      イガラシ同様いよいよ始まったな~って感じです。
      今回はイガラシの気迫と球が浪国打線を圧倒しましたが、やっぱりこのまますんなりとはいかないんでしょうね~……。
      縞馬のピッチング含めて次回以降の勝負も楽しみです!

  7. 匿名 on 2025年4月2日 at 11:23 AM said:

    覚悟を決めたイガラシがかっこいいですね
    どこまでいくか分かりませんが墨谷らしい野球を見せてくれたら嬉しいです

    本編とは関係ありませんが浪国の選手は皆どことなくちばてつや先生が描きそうな顔ですね コージィ先生のお遊びでしょうか…?

    • イガラシの気合いが半端ない感じですね~。
      カドバンとの勝負はこの後も見応えありそうですが、その直後の本山も不気味だなぁと思います……。

      浪国ナインの顔やっぱりそうですよね!
      スタメン紹介見て感じましたw

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