第116話「センバツで帰ってこいの巻」の感想です。
ネタバレ含むのでご注意!


浪国戦。
4対0で9回表1アウト。
近藤の初球をカドバンが雄叫びあげて打つ。
打球はセンター方向へと上がり、センター島田が前へと出て来るが、
「おれに任せろ! セカンドフライにする!」
セカンド丸井が追いかけて行き捕球。
結果、内野フライとなり、近藤に代わってから9人連続内野フライとなった。
強引とも言える丸井のプレーだが、
「これは……丸井の意地だ」
と、半田が口にする。
解説席では
「しかしこれはすごい1年生が現れたものですねぇ…」
「ス…ス…スーパー1年生と言ってもいいんじゃないでしょうか…」

と、近藤を評価。
そして対する浪国監督も
(あとアウトひとつ取ったら君は東京へ帰って行くのか…。残念だな。もっと甲子園で君を見たかったが…)
(楽しみにしている! すぐセンバツで帰ってこいよ!)
(都立だから難しいかもしれんが…。甲子園という場所はこういう人材を待っている!)

と、心の中で近藤への賛辞を贈る一方、もう内野フライは打たんぞと、打席に入る4番本山に視線を送る。

2アウト。
打席に立つ4番本山。
(2回め……もうフライは打てん。浪国の4番としては…)
気持ちを強く持つ本山に対して、キャッチャー井口はここまで近藤の好きなように投げさせてきたとし、最後も好きなように投げろとの指示。
(おれは近藤がマウンドに登ったこの30分くらいの間に人生観が変わった! 明らかに近藤は全てを超越しちまった! こんなことがあるんだな! それは甲子園だ! 甲子園がそうさせた…)
(おれ達の甲子園はもうじき終わる! でもこんな清々しい気持ちになるとは……)

初球。
(この屈辱は……おれから始まっている!)
(見逃せばボールなんだ!)

そう考える本山は初球を見送るがストライク。
(高めへ外れて行かなかったな…)
(イニングを重ねてまとまってきているのかもしれん。だったらそっちの方が好都合や)
(ストライクゾーンにちゃんと的を絞って振れる!)
(落ちついて叩きつければフライにはならん!)

2球目。
(ストライクのコースだ!)
(おれが……終わらせる!)

今度はストライクゾーンと見た本山が打つ。
打球はゴロとなり三遊間を抜けていこうかというあたり。
「浪国のプライドはギリギリ保てた!」
叫ぶ浪国監督だが、
「丸井さんが意地を見せたのなら…おれだって見せる!」
ショートイガラシが横っ飛びで捕球。
しかしそのままの体勢では間に合わない。
が、
「おれは近藤の……パーフェクトを終わらせない!」
と、イガラシはその体勢のまま1塁へと送球する。
『なんとイガラシ君この体勢のまま投げた!』
『イガラシ君は強肩だが――…!』
『なんとこの送球がノーバンで届く…!』

実況の声。
ヘッドスライディングする本山だったが判定はアウトとなり3アウトチェンジ。
まさかのアウトに浪国ベンチは総立ちで呆然。
近藤は代わってから10人に投げてパーフェクトピッチングを見せた。
それは浪国監督のプライドを大きく刺激したらしい。
(センバツまでなんて待てない。この大会が終わったらすぐ東京に乗り込む。去年はアクシデントで墨谷と組まれたが、今度は正式に練習試合を申し込む!)
(このお返しをせねば気がすまない!)

そしてあのカドバンも4点差がついたから攻撃が大雑把になったといい、
「コッチも途中からムキになっちまった」
(僅差で出てきていたら絶対こんなことにはなっていなかった)

と考えるも、自分達は3年生だからもう近藤にはお返しできないと悔し気な様子。

試合は4対0のままいよいよ9回裏。
マウンドに縞馬が上がる。
(おれの目から見ても確かに近藤はすげぇ)
(だがおれ達は全国の猛者共と闘ってきたから知っている。近藤より才能のなる投手はゴマンといる)
(この近藤のすごさは甲子園が成せるもの――。甲子園のマウンドに立つと瞬間的にものすごく成長する奴がいる)
(その瞬間にたまたまおれ達は出くわしてしまった)
(それにしてもこの結果は許せねぇ…。お返ししたかったがもうおれ達はできねぇのか)

そう思う縞馬の様子にカドバンが異変を感じる。
(あれ? バテてる? 珍しい事もあるもんやな)
そう感じ取ったカドバンは縞馬にウォーミングアップは1球でいいと指示。
墨谷の攻撃は3番井口から。
8回まで縞馬に対して墨谷が出したランナーは四球の丸井とイガラシ。
そしてエラーで出た島田。
内野安打の片瀬とポテンヒットの久保。
この5人だけという状況に解説席では、
「これはほぼ完璧に抑えていると言っていいでしょう」
と、話す実況に対して、
「しかしですね。気になるのはタマ数の多さですねぇ」
「8回までに150を越えて155球まで行きました。この回を投げ切れば170まで行くかもしれません」
「1回戦からひとりで投げているわけですからねぇ…」
「鉄人縞馬クンでもやや疲れは見えます。事実今投球練習を1球だけで済ませました」

と、解説は縞馬の球数と疲れを気にしている。

(さあ、甲子園最後の打席)
打席の井口。
初球。
力のない高めに抜けたボールを見送る。
そのボールを見た半田は「ひとり5球作戦」の効果が出てきたかと感じる。
また解説者も
「高校野球はたとえ9回で4点差があると言っても何があるかわかりませんからねぇ」
と、試合を見つめる。
2球目。
井口が打つ。
打球は左中間への大きな飛球。
墨谷にとってこの試合初めてのいい当たりとなるが、センター村本がジャンピングキャッチして1アウト。
「バ~カ。そんなに甘くねぇんだよ」
あくまで不敵な縞馬。

ここで第156話が終わります。

感想

ついに1人のランナーも出さず浪国打線をパーフェクトに抑えた近藤。
衝撃的なその内容に浪国監督や選手のプライドが刺激され、彼らの中で何かが変わってきた感じでしょうか。
縞馬にも明らかに疲れが見え始めていますが、それでもヒット1本を簡単に許さないあたりさすがは強豪校です。

次回は、
無理めのタッチアップは成功するか?
『どんどん前に飛ぶ』の巻

もしかすると勝負の行方わからなくなってきたかな?

関連リンク

・第112話「ノルマの巻」
・第113話「前のめりになる!の巻」
・第114話「甲子園は終わったの巻」
・第115話「ズドーンの巻」
・第116話「センバツで帰ってこいの巻」
・「キャプテン2/プレイボール2」感想ページ
・「キャプテン」連載開始50周年記念特集ページ

関連商品

・キャプテン2(16)
・キャプテン(1)
・プレイボール2(1)
・プレイボール(1)

14 Thoughts on “「キャプテン2」第116話感想

  1. にしなさとる on 2025年9月6日 at 10:48 AM said:

    忘れていましたが、この回「イガラシ君は強肩だが?!」という実況席のセリフが抜けているように思えます。

  2. しん on 2025年8月21日 at 5:05 PM said:

    こんにちは。いつもありがとうございます。
    タイトルのセンバツで帰って来い。やはりというかそんなに深い意味でもなかったですねw
    待ちに待った墨谷の攻撃にまずはホッとしたというか。実際に見るまではまさかのまさか最終回墨谷攻撃描かれず一つ月後。。。なんてことはないだろうなと恐れもあったのでw
    井口の打球はファインプレーですか。
    どなたかも仰る通りそうそうファインプレーは出ないもんです。出ないもんですがこのキャプテン2は城東戦やお花茶屋の時もそうでしたが出るんですよね。それも突然その回頻繁にみたいなw
    また次回タイトルも悩ましいw
    無理めのタッチアップは成功するか?
    どんどん前に飛ぶ

    タッチアップの成否は負けてもせめて一点だけでも返す(三塁ランナーイガラシ)といった、ちょいとネガティブな想像とこれで同点だ!のような盛り上がる展開なのか。。
    どんどん前に飛ぶはある程度ヒットは続きそうではありますが。。。
    もしかして最後のバッターは丸井?とか色々想像してしまいます。
    でもやっぱり勝って欲しいなぁ。

    • しんさん、こんにちは!
      あの次回予告はただの浪国監督の勝ち誇った台詞だったみたいですね~。
      確かに試合の経過や結末が描かれず……っていうのは何度か見ているので、その恐怖は常に付きまといますよねぇ。

      次の予告もまたどうとでも取れるというか……どんどん前に飛ぶと聞けばいいイメージだけど、ただ飛ぶだけで好守備に阻まれる可能性もありますからねぇ。
      ここでもし墨谷が勝てば浪国監督どうなってしまうのかw

  3. けん on 2025年8月21日 at 2:44 PM said:

    こんにちは。
    浪国は墨谷の恐ろしさをまだ知らないようですね。墨谷の真骨頂はここからですよ。あの谷原みたく再起不能にしてほしい(笑)
    いよいよ1人5球の成果が出始めたので今後の展開が待ち遠しいです。

    • けんさん、こんにちは!
      浪国監督も選手たちも近藤に意識が集中しているようだし、今回ラストの井口の大飛球も気にしていないようなら墨谷にとって大きなチャンスですよね~。
      明らかに疲れが見える縞馬を持ち前の粘りで打ち込んで欲しいです!

  4. 清貧一郎 on 2025年8月20日 at 9:31 PM said:

    こんにちは
    浪国は監督も選手も、熱くなってきましたね
    「(センバツまでなんて待てない。この大会が終わったらすぐ東京に乗り込む。去年はアクシデントで墨谷と組まれたが、今度は正式に練習試合を申し込む!)」
    この試合の後のことになりますが、この練習試合見てみたい気がします
    でもその前にこの試合がどうなるかですね
    縞馬がかなりばてているので、4点差なんてまだわからないです
    9回裏の攻防も楽しみにしてます

    • 清貧一郎さん、こんばんは!

      余裕見せていた浪国監督の表情に焦りの色見え始めて、ついには以前の練習試合の時のような地が出始めたあたり、相当プライド傷つけられたんでしょうねw
      この監督の性格からして次の練習試合は目の色変えて近藤攻略に来そうw

      縞馬やカドバンにも変化が見え始めて、特に縞馬は明らかに疲れが出てるから、9回裏1アウトだけどここからの大逆転に期待したいです!

  5. 中ラマ on 2025年8月20日 at 9:50 AM said:

    いつも楽しみにしています。

    「選抜で帰ってこい」は浪国監督のひとりごとだと見ました。
    墨谷に勢いが出てきましたね!
    試合の行方はどうなるかわからくなってきたのでは?
    今回は久しぶりにワクワクドキドキしながら読みました。

    井口は浪国の好守に阻まれましたが、イガラシ、打てー、次回、次々回で墨谷逆転をイメージしてます。楽しみです!!

    「選抜で帰ってこい」は浪国監督のひとりごとだと見ました! 

    • 中ラマさん、こちらこそいつもありがとうございます!
      あの台詞を言った直後からすでに浪国監督の動揺した様子が見られたし、近藤のピッチングがそれまでの空気を変えた感じですかね~。
      明らかに疲れている縞馬の状態も含めて、ここまでの作戦の成果が出て、もしかしたらもしかするかも……?と期待できる展開になってきた気がします。

  6. にしなさとる on 2025年8月20日 at 8:28 AM said:

    縞馬の最後のセリフが気になりますね。
    「そんなに甘くねぇんだよ」と言っていますが、考えてみると、この場合「甘い」と言われるべきは、むしろ彼の方のはず。

    そもそも、ファインプレイなんてものは、普通じゃ出来ないプレイだからそう呼ばれる。
    井口の打球は、普通なら完全に左中間二塁打の打球だった。それをファインプレイに助けられた。

    そして本来、味方がファインプレイをやってくれるなんてことは、期待する方が間違っているし甘すぎる。
    どうも次回、縞馬に強烈なしっぺ返しが来るのじゃないか。そう思えてなりません。

    • 井口の打球は普通に抜かれていてもおかしくない当たりを村本のファインプレーで救われたようなものですからね~。
      おっしゃるようにあんなプレーがそうそう出ると考えることこそ甘いと思います。
      疲れが見える縞馬も受けるカドバンも心理的な面で何か変化が見えてきてるし、9回裏1アウトと厳しい状況ではあるけど何か期待させられてしまいます!

      • にしなさとる on 2025年8月21日 at 9:04 PM said:

        待てよ? 打順を考えると、この後墨谷が1点返して3点差の二死満塁で、打席に9番近藤、という展開が有り得ます。

        と言っても、逆転サヨナラ満塁ホームランでは、わざとらしすぎる。
        もっとひねった展開になるでしょうが……。

        • もしその展開だと浪国にとっては近藤という選手がさらに強烈に印象付けられて、この試合を象徴するような結末になりそうですね~。
          今後完全に因縁の相手としてライバルとなるような……。

しん にコメントする コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。

Post Navigation