第88話「第4試合の恐怖の巻」の感想です。
ネタバレ含むのでご注意!
試合前日。
倉部監督から、2塁ランナーが相手のサインを打者に伝えるのをやめないかと提案された谷口。
やるのが当たり前でやらないのが変だとしながらも、ピッチャーのコントロールが悪かったら逆効果だし、バッテリーも2塁ランナーの動きを見越して裏をかこうとしてコントロールを乱す原因にもなる。
そういう事もあってまともにプレーに集中できないし、第一フェアではないと話す。
普通の対戦相手なら提案できないが、墨谷とはたまたま同宿になったから言えるとし、
「それにこれは八百長の提案じゃない。正々堂々とやりましょ――って提案」
だと話す倉部監督。
谷口も
「ナルホド………確かに僕も昔から思ってました。アレをやって得点力が上がるのか？――と」
と、その提案を受け入れる。
選手達の部屋で行われるミーティング前にこの提案を選手達に伝えると、丸井はじめ選手達もむしろ歓迎ムード。
そしてミーティングでは半田が大山高校の打者について説明。
1番はレフト東郷。
俊足・巧打でバントも巧い。
実際にバント練習で見たところ、3塁線へのバントが人間技とは思えない巧さで、しかも左打者なのでセーフティバントの警戒は絶対必要。
その3塁線についても半田の感覚では甲子園のグラウンドはかなり柔らかかったと言い、マウンドからベンチに向けての傾斜があまりない感じだったと言う。
つまりライン際にコロコロと転がったボールは切れにくいと。
なのでサードは切れるのを待つのではなく、すぐ捕って投げるべきだと話す。
「甲子園の土ってな………鳥取県大山の土をブレンドしてあるんだってさ」
谷口の話に選手たちから
「へ～」
「よく知ってますね～～」
「博識～～」
と声が飛ぶと、谷口は気まずそうに
「まあな」
と答えるが、
「それ大山高校の誰かから聞いたんでしょ～～」
と突っ込まれるのだった。
翌日。
大会2日目。
第1試合（前橋市5-3野明）、第2試合（可相3-4栄比）共に延長になり、第3試合（田群-京馬）もテンポが悪い試合となっていた。
試合を待つ墨谷ナインの元に係員がやってくる。
「前の試合が押してるから攻守交代は素早くね」
「ピッチャーはストライク先行でテンポ良く投げよう。キャッチャーは捕ったら素早く返球」
「内野のボール回しもとにかくテキパキと」
そしてサイレンが鳴ってグラウンドへ出ると、練習の時とは違い、満員となったスタンドの観客が目に飛び込んできた。
その迫力に思わず呑み込まれそうになる墨谷の選手たち。
キャッチボールを済ませ、ノックではそれぞれが甲子園の土の柔らかさを確認。
浜風が強くなってきた夕暮れ近く。
今度は大山高校がノックを開始。
その守備のうまさに驚く墨谷ナイン。
（墨谷高校よ…「甲子園練習」でバッティングしかしなかったと言うが…この「第4試合のグラウンド」に気がついたか？）
（甲子園のグラウンド整備は日本一と言ってもさすがに第4試合は荒れてる。まともなゴロは転がらん。この荒れたグラウンドでの戦い方…）
（そしてもうひとつ！ 第4試合には恐怖がある）
ノックを終えてベンチに戻った倉部監督、そして墨谷ベンチの谷口にそれぞれ係員が話しかける。
「思い切って正々堂々打ってきましょうね監督」
それを聞いた倉部監督は、
（「正々堂々打ってけ」ってのは…「ポンポン打ってけ」ってこと）
（小細工する野球してると試合時間が長くなる）
（オジサマ方はナイター照明を焚くのが大嫌い。なぜかな？ 電気代がかかるからか）
（オジサマ方のこの「せかし攻撃」は大敵…。だがおれはアドバイスしちまったな）
と、谷口に何があってもマイペースで行くことと話した事を思い出していた。
そんな倉部監督のアドバイス通り、選手達に急かされても一切気にせずマイペースでやるよう選手達に念押しする谷口。
そして丸井と東郷がメンバー表交換を行い、それぞれベンチに戻って行く。
そこで墨谷のメンバー表を見た東郷が
「え」
と驚く。
「どうした？ 東郷」
「先発・近藤とありますが」
そう言われてメンバー表を見た倉部監督。
そこには
4 丸井（4）
7 片瀬（10）
2 井口（2）
6 イガラシ（6）
5 松川（1）
3 加藤（3）
9 久保（9）
8 島田（8）
1 近藤（7）
控えメンバー
那須（11）
萩原（12）
平山（13）
永住（14）
旗野（15）
記録員
半田
と記されている。
墨谷ベンチには松葉杖をそばに座る半田の姿に動揺する倉部監督。
「あの松葉杖をついていた子が半田クンだったのか」
「あれは甲子園行きを決めてからケガをした？」
「そのあとで近藤クンが代わりに「7」を付けることになった？」
「あの雑誌、印刷が間に合わなかったのか！」
東郷も
「や、やられた。近藤投手は全くイメージできていない」
と動揺を隠せない。
そんな中で両軍整列。
先発を任された近藤は
（ワイが先発……）
（そして背番号7！）
（ジャイアンツで言ったら柴田といっしょや～～～～～）
と舞い上がっていた。
ここで第88話が終了となります。
墨谷の先発は近藤。
近藤のベンチ入りは想定外だった大山高校は出鼻を挫かれた感じでしょうか。
一方の墨谷はグラウンドに入った時こそ迫力に圧されていたけど、それ以降はリラックスしている様子に見えます。
このあたりが序盤どう影響しますか。
次回、近藤のピッチングに期待ですが、全くイメージできていないという近藤に対して、大山がどう攻めてくるかも注目したいですね。
・第84話「甲子園を見に行こうの巻」
・第85話「甲子園の土の巻」
・第86話「電話は鳴ったの巻」
・第87話「さすがの甲子園球児の巻」
・第88話「第4試合の恐怖の巻」
・「キャプテン2/プレイボール2」感想ページ
・「キャプテン」連載開始50周年記念特集ページ
・キャプテン2（13）
・キャプテン（1）
・プレイボール2（1）
・プレイボール（1）
墨谷いよいよ甲子園で試合開始ですね！墨高の応援団とか来てると思いますが今回はとくに描写は無かったのがやや残念。やっぱ晴れの甲子園の舞台ですしOB連も駆けつけてほしいとこです。
あと高野連のオジサンがやたら進行を急がせてますけど、これドカベンでも同じような描写あったなあｗ ナイター入ると照明代が高くつくので急がないと委員長に怒られるとかなんとか。現在だと話題のピッチクロックの導入のネタをグラゼニでもやっててこれも試合進行急がせててネタ被ってるかも。
ついに甲子園での試合だし、田所さんはじめOBたちが応援にやって来る様子とか見てみたかったですね～。
係員に急かされる様子がずっと描かれているけど、他の作品でも同様の描写あるという事は、実際でもやはりそうなんでしょうか。
確かに初出場校の高校生だとその勢いに圧されそう……。
これは明らかに作者側のミスですが、控えメンバーに鈴木がいないのが変ですね。
あと、東郷が「やられた」と言っているのに違和感が有ります。
墨谷は、意図的にそうしたわけではないのですから。
鈴木いないのは確かに変ですね……。
おっしゃるとおりコージィ城倉先生のミスでしょうか。
すっ、鈴木は谷口の１年冬に入部して本来１学年上だから…
消えたと言えば、須藤もいましたね、丸井と同級生。
須藤もいなくなりましたねぇ。
印象薄い村瀬と違って須藤は残りそうな感じだったけど……。
この大会は箕島高校が春夏連覇した時の
大会のイメージか。高校名も
前橋工→前橋市、比叡山→栄比、相可→可相
等目白押しです。墨谷は安倍投手でベスト8に進出した城西がモデルなのか初戦第四試合登場は昭和50年に初出場初優勝の桜美林か
これから楽しみが尽きませんね。
この時代はまだ私が生まれたての頃なので参考になります！
当時を知る人だとピンとくる感じなんですね～。
当時、甲子園に観に行ってました。
浪商には牛島ードカベン香川が居ましたよ。
牛島と香川のプロ入り前とかもう私には別世界な感じです（笑）
実際の甲子園見に行くとか羨ましい……。
この大会は箕島が石井ー嶋田のバッテリーで春夏連覇した時の出場校の名前をもじったと思う。比叡山→栄比、前橋工→前橋市、相可→可相など。としたら墨谷は
この年ベスト8迄進出した城西高校がモデルかもしくは初戦が第四試合なら昭和50
年に優勝した桜美林がモデルか。
いずれにしてもこれから出てくる全国の
チーム名も楽しみ。
この当時の様子はまるで知らないので参考になります！
詳しい人ほどこういう高校名のもじりやモデルもわかって、物語とはまた違った部分で楽しめそうですね～。
だから浪商→浪国もありますね。
なるほど。
浪国は浪商からきてるんですね～。
やはり、その日一番調子の良い投手を先発させたということでしょうか。
あと、半田に代わる２番はてっきり島田だと思っていましたけど。
近藤の様子から当日知ったみたいな感じですからね～。
谷口がどう考えての起用かはわからないけどその可能性ありますねぇ。