第86話「電話は鳴ったの巻」の感想です。
ネタバレ含むのでご注意!
旅館のロビーで新聞を読む大山高校の倉部監督。
そこには墨谷が
『甲子園練習30分間バッティングのみ』
の記事。
すると二階から谷口と部長が下りてきた。
たった今見た記事の話となり、
「役員の人に何か言われませんでしたか?」
と倉部監督が尋ねる。
ノックはやらないのか言われたと答える部長。
しかし谷口はバッティング練習中に他の者は守備についていたとし、
「その方が野手は生きた打球を体験できるか。ノックのボールは人工的な打球だからね…」
「ただ、この記事によると…投手陣も誰ひとりとしてブルペンで投げなかった――と」
という倉部監督に対しては、変わるがわるバッティングピッチャーをやらせたと話す。
倉部監督はそんな谷口の考えを合理的だと言い、ピッチャーに甲子園のマウンドから投げさせる事は非常に大事な練習だとし、
「つまり一石三鳥にはちゃんとなっている――と。頭いいなあ~」
と言うが、部長は買いかぶらないで下さいと言い、墨谷は甲子園行きを決めてからフリーバッティングしかやってないと説明。
選手が一番楽しい練習だと答えたバッティング練習のみをし、もう甲子園を決めたら楽しいことだけ毎日やっていようとしたのだと話す。
すると倉部監督は
「いやあなたの考え方は素晴らしい」
「日頃選手達には厳しいことを強いてますからな。甲子園行きを決めたら緩めてあげた方がいい」
「少しでもいい思い出を作ってあげる。それが私達の仕事ですよね」
と言って部屋へと戻って行った。
谷口は大山高校の練習がかなりハードだったと部長に説明。
「言ってることとやってることが違う…」
と話す谷口に部長は、大山高校はセンバツ1回戦負けしたので今度は1勝したいんだろうと答える。
そして部長は墨谷と大山は根本的に違うといい、自分達は修学旅行で来たのだからもっと楽しみたい。
伸び伸びとやりたいよなと話すが、昨日の甲子園練習で
「ここは意外と堅苦しいとこだよ。”壁”のあるとこだよ……」
「とくに新参者にとっては…」
と強く思ったらしい。
部長の願いはただひとつ。
せっかくここまで来たんだからエンジョイし切って東京に帰らせてやりたいと。
谷口は東東京大会で勝ってからフリーバッティングしかしていない。
最初の提案を受けた時に少し戸惑ったという。
もう少し体をいじめる練習メニューを付け加えてもいいのではないかと。
ところが人間好きなことだけやってると成果が出るのか、選手達の飛距離が微妙ながら伸びているような気がするのだという。
谷口は昨日甲子園に足を踏み入れた時、感動と共にとてつもない恐怖感を感じた。
フェンスがとんでもない遠くにある。
ひょっとしたら数字的なものは神宮と大差ないのかもしれないが、人に与える空間的な感覚はとにかくだだっぴろい。
こんなとこでフリーバッティングをしたらボールが飛んで行かなくて絶対落ち込むと感じたらしい。
ところが選手達は臆さず飛ばしていた。
このチームの集大成の練習として「伸び伸び」ってのがいいのではないかと。
一方、部屋に戻った倉部監督は雑誌で墨谷の選手たちの情報を見ていた。
「2番レフト半田の好スライディングで決勝点をもぎとり…、1年生投手近藤が最後三振みっつを取るなどして締めた」
「ピッチャーは他に3年の松川、2年のイガラシと井口…何? 井口は正捕手でもあるのか。それも左だと?」
そこに書かれた情報から、15人のベンチ入りメンバーの中に近藤が入っていない事を確認。
情報を見た限りの倉部監督の墨谷評は、監督は少し騒がれてはいるが肝心の選手の方は話題に登ってこない。
特筆すべき選手はいない。
言い替えれば全員野球で勝ち上がってきたということ。
「墨谷の野球ちょっと見てみたい気もするが…。まあ無理か…」
初出場のチームは初戦で絶対負けるとし、大山と墨谷が対戦する事は99.9%ないと断言。
部屋と出たところでさっき気になってた近藤とすれ違う。
「ケガでもしちゃったの? 残念だったね」
「1年なんだろ。また来れるまた来れる」
近藤意味がわからず。
翌日。
抽選会場に到着した選手たち。
旅館では部長と倉部監督が連絡を待っている。
最初に電話が入ったのは大山高校からだった。
大山キャプテンの東郷が予備抽選で1番を引き当てたらしく、選手宣誓やる事になったという。
嬉しそうに話す倉部監督。
そして抽選は進む……。
部屋で勉強中の谷口の元へ、顔色変えた部長と倉部監督がやって来た。
一回戦で墨谷と大山が当たってしまったという。
両校の選手たちを玄関先で出迎える谷口。
「まあこうゆう運命もあるさ。今までと変わらず仲良くやって行こう」
と話し、大山キャプテンの東郷とも握手するが、その間に倉部監督は電話で墨谷の情報を送ってもらうよう依頼し、玄関先にいた谷口たちに
「まあ残念ですがこーゆーことになったんで……これからは選手同士は少し距離を取りましょうか」
と話す。
互いの部屋に入って、両校ともになんとも重苦しい雰囲気。
これまで和やかだった雰囲気が戦闘モードになった事に谷口は
「僕らはちょっと修学旅行気分が過ぎたのかもしれません。大山高校が普通なのかも」
と言う。
そして大山高校の部屋では、倉部監督が墨谷は絶対負けると宣言。
その理由は初出場校だからであり、初出場校は絶対甲子園に呑まれる。
かつて自分達がそうであったように。
しかも墨谷は思った以上に修学旅行気分。
負ける要素がひとつも見当たらないという。
「最高のクジを引いてくれた! 東郷!」
ここで第86話が終了となります。
大山高校とまさかの一回戦での対戦となりました。
これから倉部監督の手元に届くであろう墨谷の情報から、現在の墨谷評がどう変わるかはわかりませんが、今のところは自分達の体験も含めて油断してくれていると思っていいのでしょうか。
でも甲子園での一勝への執念は経験ある大山の方が現状上な気もします。
次回は大山高校の偵察。そして意外な提案とあります。
大山高校から何か提案されるって感じかな?
・第82話「谷口の選択の巻」
・第83話「背番号を返してくれの巻」
・第84話「甲子園を見に行こうの巻」
・第85話「甲子園の土の巻」
・第86話「電話は鳴ったの巻」
・「キャプテン2/プレイボール2」感想ページ
・「キャプテン」連載開始50周年記念特集ページ
・キャプテン2(13)
・キャプテン(1)
・プレイボール2(1)
・プレイボール(1)
今回は墨谷をナメてかかると痛い目を見るぞのフラグが見事に立ちましたねw 近藤が高校野球の雑誌の選手メンバーのリストにいないのは、ベンチ入りメンバー15人を提出した後、半田がケガで近藤を登録で誌面には間に合わなかったという流れかな?これ何かの伏線になりそうですね。
キャプテン2は時代設定は1979年ですが、堂々と喫煙シーンを描いてるとこを見ると、表現を現代に合わせて改変せず、その時代をちゃんと表現しようとしてるのは非常に良いです。プレイボールでも大人はしょっちゅう喫煙してたもんな~
近藤関係は確かに何かの伏線になりそうですね~。
喫煙や新幹線、選手たちの遊びなどちゃんと時代に合わせた描写されてる感じでしょうか。
1979年となると私はほぼわからない時代なのでなんだか色々新鮮かも。
大山高校の監督の顔、なんか見たことあると思ってましたがやっとわかりました。あしたのジョーの丹下のおっさんそっくり
言われて比べてみたら個々のパーツが案外……(笑)
さすがに「アイパッチ」までは付けてないけどね(笑)
先発投手を誰にするのか考え物ですね
三年生の松川はお花茶屋で打たれていますし
だからと言って出さないのはかわいそうだし
二年生の井口は出すと捕手が弱肩になるので盗塁やバント処理で一点取られそうだし
イガラシは決勝戦では好投だったけど出すと後がない
だからと言って一年生の近藤を甲子園の先発投手にするのは…
自分が監督だったらいっその事くじ引きにしますね
なんも考えさせないで「初めから全力投球で後ろの投手につないでいけ!」
とでも言いますよ。
その方が選手たちも何も考えずに済みそうですし。
しかも甲子園初マウンドの緊張もありそうですよねぇ。
まだ大山高校の打線がどうなのかわからないけど、なんとなく三年の松川かなぁと思っているのですが……。
単純に、その日一番調子が良さそうな者で良いのでは?
その日の調子見てって感じでしょうか。
考えると誰が投げるか気になってくるなぁ。
選手としてはあらかじめ決めてくれないと
大舞台だとビックリしちゃうものなんですよ
そこを考えるとイガラシ一択かな?
そう言えばこの回の近藤、ちょっと想像力不足・洞察力不足かな?
半田がケガして選手登録から外れたことを、倉部監督が知らないのは、むしろ当たり前。
それくらい、ちゃんと考えれば気がつきそうに思えます。
こんにちは!
半田が大山高校の練習をメモしてましたね。一方で大山高校は井口がキャッチャーであることも知らない様子。
今のところ、情報量では墨谷のほうが有利かも知れませんね。
何となくですが、墨谷が勝ちそうな予感もします。
こんにちは~!
そうそう半田がメモしていたし谷口も一緒に見ていたし、一方で倉部監督は今のとこはほぼ墨谷の情報は持っていなさそうですしねぇ。
東京から取り寄せる新聞からどこまで墨谷を知るか……。
大山高校と一回戦で対戦って……。はっきり言って作為的過ぎます。これじゃ水島新司の野球漫画ですよ。
私も、有るかもしれないとは思っていましたが、二回戦か三回戦でぶつかる方が自然だった。
それと、その試合はおそらく墨谷が勝つでしょうね。理由は、最後のページを読んでみれば解るはず。
私も大山高校との対戦はもうちょっとあとだろうと思っていました。
もうしばらくは宿での今の雰囲気続くのかなと思っていたので少し残念(笑)
最後のページを読めば……。
うう、わかりませんでした……。
最後のページでの、倉部監督の言葉、選手にとっては逆にプレッシャーになってしまう可能性が高いと思うのですが……。
ああ~なるほど!
あそこまで監督に言い切られてしまうと、試合をやる選手達にとってはプレッシャーになっちゃいますね……。