第58話「空気を読まぬ男の巻」の感想です。
ネタバレ含むのでご注意!
同点に追いつかれたあとの9回表墨谷の攻撃。
丸井、イガラシと打ち取られての2アウトから、谷口が放った打球は左翼ポールの根本直撃の本塁打となる。
(し、信じられない…)
(手応えは……けっして良くなかったのに…)
(入った…)
打った谷口も信じられない様子で自分の両手を見つめながらダイヤモンドを1周。
そしてスタンドから見ていた川北監督の田淵は、ファールを打とうとしたバッティングではなかったのかと信じられない様子だが、上空で右方向へ吹くすごい風に気付く。
上空の風によって打球がファールグラウンドから押し戻されたのかと谷口も空を見上げた。
その様子をベンチから見つめる半田は、今の谷口のバッティングがバットの芯に当たったわけではなく、ファールにしようとバットを振り抜いただけだった事をわかっていた。
ところが金属バットの反発係数があるにしても、この結果は谷口が元々持っているパワーなのだと判断。
(谷口さんはすごい!)
とあらためてその能力に驚く。
また、9回裏に備えて投球練習をしえいたイガラシも、こんな場面でホームランを打てる谷口を
「本当にすごい」
と驚き讃えた。
11対10と1点勝ち越し、盛り上がる墨谷ベンチが谷口を出迎える。
その様子に田淵も
「こちらの想像を完全に裏切ってくれた」
と、驚くばかり。
これがあるから目をかけていたのだと話す。
そしてバッターボックスの4番倉橋は
(ゴ…ゴメン……)
(あきらめかけていてゴメン!)
と心の中で謝っていた。
「倉橋!」
「さあもう1点!」
谷口の声に涙を浮かべながら初球を待つ。
(”試合の流れ”なんて全く関係ない)
(場の空気を…全く読まない男)
(サイコーだぜ谷口!)
(オマエみたいな男に誰もがなりたいと思うが…絶対なれない…!)
その思いのままバットを振り抜いた倉橋だが、打球はサードライナーとなり3アウトチェンジ。
このあと少しずれていればヒット性がことごとくアウトになる状況を、
(これが”空気なんだ”)
と感じる倉橋だが、その中で谷口1人だけが違うことも感じていた。
試合がイケイケの時に好プレーできるのは驚くべきことではないが、逆境の時にすごい事をやる奴が本当にすごい奴なのだと。
9回裏。
マウンドに上がったイガラシは、まだ谷口の本塁打に感動していた。
高校生になって初めて感動したと。
そこへやって来た倉橋が上空の風について話す。
「谷口の執念が吹かせた風だ」
低くゴロを打たせて行こうと言って戻って行く倉橋だったが、その目が潤んでいた事をイガラシは見逃さない。
(倉橋さんも感動していたんだ)
(よしわかりました)
(ゴロを打たせます!)
(谷口さんのところへゴロを打たせます!)
あらためて気持ちを引き締めるイガラシと、まだまだ7点差を追いついた自信から勢いを感じさせる大島ベンチ。
内角を攻めた初球はイガラシの狙い通り、ショート谷口へのゴロとなって1アウト。
1点差というプレッシャーがかかるこの場面だったが、イガラシは恐ろしいほどにプレッシャーを感じていないという。
(谷口さんがいればおれは大丈夫だ!)
続く打者の打球は三遊間を抜けようかという強いゴロだったが、これを横っ飛びで抑えた谷口がファーストへと送球して2アウト。
簡単に2アウトを取ったイガラシに、1度は1年坊を信じまいと思った谷口も今は恐ろしい程に信用できると評価。
(さすがだ。天才野球小僧……イガラシ)
お互いへの信用を感じ合う中、最後の打者の打球も狙い通りのショートゴロに打ち取ったかと思われたその時、
「バカヤローイガラシ!」
突然の大声にドキっとするイガラシ。
「おれにもひとつくらいさばかせろ!」
声の主はサードの松川。
勢い良くボールをさばいて3アウト。
ここで第58話が終了となります。
最後の松川にはびっくりしましたが、谷口の本塁打がチーム全体に活力を与えた形でしょうか。
これまでにも行動でナインを引っ張ってきた谷口らしい結果だったような気がします。
でもやっぱりいいとこナシだった片瀬にも挽回のチャンス欲しかったな~とも思いますが、それは今回の試合を教訓として次の試合以降で期待したいですね。
さて、ベスト8進出を決めた墨高。
次回は丸井が谷口の迷いに気付いて危機感を感じるそうですが……何が起こるのか。
早速気になるところです。
・第54話「割り切ったバッティングの巻」
・第55話「堕ちた信頼の巻」
・第56話「試合の流れの巻」
・第57話「バットは振り抜け! の巻」
・第58話「空気を読まぬ男の巻」
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