第56話「試合の流れの巻」の感想です。
ネタバレ含むのでご注意!
10対3で墨高がコールド勝ちしそうだと聞いていた川北ナインは、神宮第二球場で新木場高校相手に12体0のコールド勝ちをしてここ第一球場へとやって来た。
去年エースだった田淵が今年は監督となった模様。
しかし、スタンドに出た川北が目にしたのは前回ラストの大飛球。
ボールが落ちて来るのを待つライトの片瀬。
(ボールが落ちてくる!)
(捕れるのか?)
(いや捕らなきゃ…!)
ボールが揺れて見える片瀬にみんなが叫ぶ。
しかし、ボールは落ちて来ることなく無情にもスタンドインして10対10の同点となってしまう。
動揺を隠せない谷口の元へ内野陣が集まる。
(弱い! なんと弱いんだ! 谷口…)
その中で倉橋は、今日はなぜか一番球威がなかったのに3年生の責任感から火消しを買って出たまではいいものの、その決断を迷っていた谷口の弱さを嘆いていた。
そして自分達はシード校と言っても所詮は弱い者の集まりであり、そのためにやって来た
「4人のピッチャーで力を合わせて」
という作戦にも限界を感じ、谷口は誰よりも自分達が弱いことを本能的に知っているからこそ判断がブレるのだと。
格下と思っていた大島にちょっと圧されただけでボロボロと崩れていく。
自分達の中で一番強い谷口がこんなに弱いのだから、自分達がいかに弱いかを知らされていた。
「まだあきらめない!」
ようやく口を開いた谷口に、自分が投げようかと話すイガラシだが、
「イガラシ。オマエが出しゃばるんじゃねえよ」
と止めに入る倉橋。
谷口もこの回は自分が投げ切ると答える。
イガラシ、丸井、松川の3人がその判断に納得した様子ではないものの、倉橋の一言で内野陣はそれぞれの守備位置へと戻る。
そういう倉橋も今の谷口への不安は当然あるようだが、
(「最後まであきらめない」)
(谷口…オマエのモットーが大好きだよ)
(高校の最後…ちょっとカッコ悪かったかもしれないがこれが現実ってモンだよな…)
(もういい! 最後の最後はオマエが好きにするのが一番いい)
と、全てを谷口に託す覚悟でいた。
その様子を見つめる田淵は一昨年の練習試合を思い出していた。
川北に全然歯が立たなかった墨高がシード校にまで出世し、今大会もここまで勝ち抜いてきた墨高をすごいと思っていたが、粗の多い大島相手にこの戦い方では
「馬脚を現した」
とし、倉橋と谷口には目をかけていたが、墨高は消してこの試合は大島工業に注意して見ておくようナインに指示。
しかし、谷口は後続を三振に終わらせて3アウトチェンジ。
ベンチへ引き上げる途中、谷口はイガラシに
「延長戦にはしたくない」
「9回の表で勝ち越す」
「そしたら最後の最後はオマエが締めろ」
と指示。
9回表の攻撃前に円陣を組む墨高。
「絶対勝ち越すぞ!」
先頭バッターの丸井を送り出した谷口に、井口と片瀬が謝りに来る。
だが、今はそんなことを言ってる場合じゃないだろと叱り、試合に集中して声を出すよう指示する。
同点に追いついて勢いづく大島ナインに比べて、追い詰められた心理状態の墨高ナイン。
打者の丸井も
(ヤバイ。ヤバイ。ヤバイ)
(試合の流れが…!)
と考えるように試合の流れに飲み込まれたか、いい当たりがピッチャーライナーとなって1アウト。
「いい当たりがピッチャーライナー。試合の流れが完全に大島に行ってるのがわかる」
「残念だよ谷口クン。我々とは戦えない運命だったんだな」
スタンドで見ていた田淵が呟く。
そんな流れを誰よりも感じていた谷口だが、
(球場全体が『試合の流れ』を酌み取っている!)
(だけどまだ同点なんだ! あきらめる理由はない!)
と、最後まであきらめないよう気持ちを奮い立たせる。
ここで第56話が終了となります。
川北商業高校が偵察する中で同点へと追いつかれた墨高。
当然ながら今回の話の中で谷口の表情には全く余裕が見られませんでした。
倉橋はじめナインもどこか諦めムード漂う中、それでも最後まであきらめない谷口はさすがといった感じです。
対照的に
「輝いて見える」
と倉橋も感じるほど活き活きとする大島ナイン。
この絶望的な流れをひっくり返せるのでしょうか。
話は変わって久々の登場となった川北商業高校。
田淵のほかに小野田の姿も見られました。
試合の流れから大島にターゲットを絞った田淵監督を驚かせて欲しいですね。
・第52話「盛り上がるスタンドの巻」
・第53話「コールド勝ちへの道の巻」
・第54話「割り切ったバッティングの巻」
・第55話「堕ちた信頼の巻」
・第56話「試合の流れの巻」
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