第57話「バットは振り抜け! の巻」の感想です。
ネタバレ含むのでご注意!
同点に追いつかれた墨谷は、9回表も先頭打者の1番丸井が打ち取られて1アウト。
試合の流れが大島に傾いている事を誰もが感じる中、続く2番イガラシの鋭い打球も三遊間を抜けそうになるもショートが飛びついて捕球。
イガラシがヘッドスライディングするが際どいタイミングながら判定はアウト。
丸井、イガラシとヒット性の当たりがことごとく阻まれた事を
「試合の流れ」
だと見るスタンドの川北監督田淵。
打席には3番谷口。
(死んでも出る!)
(いや……出るだけじゃダメだ!)
(ツーベースを打たなくちゃ!)
ランナー2塁にして4番倉橋の1本にかける谷口は、初球を右方向へと流し打ち、打ってすぐにスタートを切るもファール。
バッターボックスに戻ってバットを構える谷口の姿に、
(なんて肩に力が入っているんだ…)
とベンチの半田が気付く。
そんな中で2球目も右方向へ流し、なんとしても2塁打にすべく素早いスタートを切るがまたファール。
1塁から戻って来た谷口をベンチ前で呼び止めた半田はタイムをかけるようお願いし、
「肩に力が入りすぎです」
とアドバイス。
あんなに力を入れていたら打てるものも打てなくなるとし、
「”結果”を出すための”逆算”をした方がいいと思います」
と話す。
あんなに走り出すことに神経を集中していたらバッティングの体を成しているとは言えない。
そして
「『芯でコツコツと』はけっして『振り切るバッティング』ではないとしても……”振り抜かないと”意味がないのでは…?」
という。
それを聞いた谷口は審判にバンソーコーを貼り直すと言ってベンチ裏へと向かい、何かを探し始める。
それが何なのかわかっていた半田が谷口に差し出したのは竹バット。
「”結果”を出すための”逆算”」
半田のアドバイスを口にしつつ、肩の力を抜いて素振りを始める。
芯の狭い竹バットを使って練習するとま芯に当てる訓練にはなるが、いつも当てるだけの練習をしてきたわけじゃない。
そして金属バットは芯が広くて反発係数も高いが、スイングは完結させねばならない。
「おれは基本を忘れていたのかもしれない」
「ありがとよ半ちゃん」
礼を言ってベンチから飛び出して行く谷口。
カウントツーナッシングから試合再開。
谷口は田所メモにあったマウンド上のエース小金井に関する説明を思い出す。
『エース小金井は追い込んだ直後のボールは100%変化球』
変化球スライダーにヤマを張るも、小金井の投じた3球目はストレート。
(振り遅れて…空振る…!)
動揺する谷口だが、それはストレートではなくシュートであり内角へと曲がる。
(どうだ? このシュートは意外だろ!)
小金井にとって意表を突いたシュートだったが、曲がった分だけスピードが落ちたおかげで谷口のバットが対応。
(カットできる!)
(ここで振り抜けばファールゾーンに行く…!)
バットに当たったと同時に思いっきりバットを振り抜くと打球は高々と上がった。
ファールだと思いながら打球を追いかけるレフトだが、上空の風に煽られた打球はファールゾーンからどんどん戻されて行きポールの根本に直撃。
「え?」
まさかの勝ち越し本塁打に誰もが驚く中、第57話が終了となります。
半田のアドバイスによってバッティングの基本を思い出した谷口と、そんな谷口相手に意表を突いたシュートで勝負をかけた大島のエース小金井。
2球目までの谷口だったら打ち取られていたところでしょうか。
カットに専念した打球がポール直撃の本塁打になったあたりは、風の影響ではあるけど谷口の気持ちの強さも感じさせました。
打球を追いかけたレフト、スタンドから見ていた川北ナイン、そして打った谷口も驚く結果となった勝ち越しの本塁打によって『試合の流れ』がどう変化するか。
9回裏イガラシのピッチングが楽しみです。
・第53話「コールド勝ちへの道の巻」
・第54話「割り切ったバッティングの巻」
・第55話「堕ちた信頼の巻」
・第56話「試合の流れの巻」
・第57話「バットは振り抜け! の巻」
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