“丸井相手に10球中3本ヒットを打たれたら負け”
という「10球ストライク勝負」を井口に言いつける谷口。
何がしたいのか読めない倉橋は遊びじゃないと止めようとするも、谷口は井口から才能がある奴にありがちな性質が見て取れるといい、
「丸井に鼻っ柱をへし折ってもらいたい」
のだといい、谷口は谷口で何か考えがあるのだと感じた倉橋もこの勝負を承知する。
谷口が審判となり勝負開始。
「ストライクが入らなければ100球でも投げさせる」
と言う谷口だが、丸井という的の小ささに投げにくさを感じる井口の球は、厳しい判定の中全くストライクが入らない。
結果、最初の4球は全くストライクが入らずストレートのフォアボール。
焦った井口は5球目、6球目を何とかストライクに入れるも、7球目と8球目は打ち返されて3の2。
あと1球打たれたら負けという状況になった時、外野を守っていたイガラシが
「ボールを置きに行ってる」
と忠告。
それを聞いた井口はボールの縫い目を指先でひっかく事を意識しながら投げるようにし、丸井にヒットを打たれないようになる。
7の2となったところで、
「このままでは先輩の威厳が発揮できなくなる」
と、今度は丸井が打席でかがんで見せる。
それでも井口は焦らずに投げて8の2。
今度は打席で大きく伸びあがって見せる丸井に、ストライクゾーンが大きく見えるという井口の球は大飛球にはされるもライトフライで9の2。
そして最後の1球。
再び丸井が打席でかがんで見せると、伸びあがったあとのせいもあり、さっきよりもストライクゾーンが狭く感じた井口は、またもボールを置きにいってしまう。
その絶好球を丸井が打ち返しセンターオーバー……かと思われたが、島田のファインプレーでアウト。
勝負は10の2で井口の勝ちとなったが、井口にとって最後の打球はどう考えてもヒットである自分の負けだと話す。
ところが谷口は10の3だろうが10の2だろうがどっちでも良く、本当は10の0じゃなかったら井口の負けだと宣告。
10打数で3本ヒットなら3割だが、これはあくまで10ストライクでヒット3本という打者不利の条件。
この条件で1本でもヒットを許すのは力が足りないからだといい、なぜ変化球を投げなかったのかと尋ねる。
これは勝負なのだから変化球を使っても良いのに、ストライクを入れるのに汲々として直球以外の選択肢が井口の中に全くなかった事を指摘。
そしてこの勝負の真の狙いが結果ではなく、真剣勝負で井口の指がいかに硬球を扱えるか見るものだったと話す。
結果、谷口は倉橋の意見が正しかった事を認め、井口をピッチャーの頭数には入れず、夏の大会までは野手として練習させる事に決める。
ここで第3話が終了となります。
今回は1話全部丸井と井口の勝負でした。
才能があるゆえに真面目に練習に取り組まず、また先輩達の意見にも耳を傾けない。
今回の勝負はそんな井口の性質を見抜いていた谷口が、身をもって知らしめるために用意した演出だったように思えます。
もちろん谷口自身は井口を4番手投手として推していたので、ここでの勝負次第で反対する倉橋を納得させられるという考えもあったとは思いますけど。
ストライクゾーンの判定を厳しくしたのも、変化球を選択肢に入れさせるためのヒントだったのかなぁと感じますが、結果ストライクが入らないという状況に井口は焦り、彼の一番の魅力を消してしまう「ボールを置きに行く」という行為に走らせてしまいました。
今回の出来事が井口にどう響き、今後どのような影響を与えていくのかが気になるところです。
そして「プレイボール2」としては3話目でようやく見る事ができた谷口のキャプテンとしての厳しい顔つき。
元々新入生から
「温厚そうな人」
なんて見かけで判断されがちな谷口の外見と、普段の物腰やわらかい態度なのですが、こと野球に対してだけは周囲がドン引きするほどのスパルタ気質。
過去の谷口なら硬球を扱えるようになるまで井口に猛練習させるという選択肢もあるはずですが、一方で井口はこれまで谷口が見てきたどの同級生や後輩にもいないタイプ。
同じやり方では通用しないと考えてか、突き放しているところが面白いですね(井口に対しては入部した頃からこの扱いで一貫しています)。
もし、谷口がキャプテンしていた頃に近藤(墨谷二中で谷口が卒業後に入部してくる一年生)がいたら、似たような扱いになったのかなぁなんて想像したりw
あとセンター島田のファインプレーも地味に懐かしさを感じる場面でした。
こんなふうに一つ一つに懐かしさと嬉しさを覚えられるのも「プレイボール2」の魅力です。
・第1話「第3の投手の巻」
・第2話「意見の違いの巻」
・第3話「丸井対井口の巻」
・第4話「ピッチャー、クビの巻」
・第5話「手の巻」
「プレイボール2」「キャプテン2」感想ページ