第117話「どんどん前に飛ぶの巻」の感想です。
ネタバレ含むのでご注意!


浪国戦。
4対0と浪国4点リードのまま9回1アウト。
打席に4番イガラシが入る。
3番井口の当たりは惜しくも相手の好守備に阻まれたものの、
(しかしこの試合初めてのヒット性が出た。いや完全にヒットだった)
(おれだって打てるかもしれない。最後にヒット打ちたい)

そう思いながら初球を待つイガラシ。
ここまで縞馬の球数が160球。
ここまで1人5球以上投げさせる作戦の効果によって、縞馬にも明らかな疲れの色が見てとれる。
「縞馬相手にそれができただけでもウチのチームはものすごく成長したと言えるな」
そう語る谷口。
初球。
イガラシが打つ。
打球はセンターへ抜けようかという強烈な当たり。
ショート本山が横っ飛びで捕球しファーストへ送球。
「ちくしょ!」
イガラシハヘッドスライディング。
送球がワンバウンドになる。
判定はセーフ。
盛り上がる墨谷ベンチ。
「ふん。あそうですか。がんばって下さいよ」
吐き捨てる縞馬だが、蓄積した疲労の影響で息は粗く顔色も悪い。

(4点差……打つしかないが……)
打席には5番松川。
「松川! ゲッツーなんて怖がんなよ!」
谷口が叫ぶ。
(もし内野ゴロになったとしてもゲッツーにさせない走塁をしてやる)
そう考えるイガラシ。
(高校最後の打席…。ゲッツーでは終わらせないぞ)
気合いの入る松川。
初球。
(絶対出る! 絶対出る! 男の根性見せてやる!)
強い思いでバットを振るが、打球は高く弾み、ピッチャーとセカンドの間へと舞い上がる。
セカンド椎木がオーライオーライと声を出すが、
「いや……!」
「おれに任せろ! おれの方がゲッツー取り易い!」

と、縞馬がそれを制止する。
「いやゲッツーは無理や! ボールファーストや!」
カドバンから声が飛ぶがそれでも縞馬は、
「いやこのまま振り向けばセカン行ける!」
と、捕球しかけたところがグラブでボールを弾いてしまう。
転がる打球をすぐさま椎木が捕球してファーストへ送球するが大きく逸れてしまい、ボールはファールゾーンへ転がっていく。
その間に2塁に到達していたイガラシは3塁へ。
松川は2塁へと到達。
1アウト2・3塁となった。
「セカンドあせったーー!」
「ここで浪国にミスが出ましたーーー!」

実況者が叫ぶ。
「やった。執念が実った」
2塁ベース上で満足気な松川。
浪国内野陣がマウンド上へ集まろうとするが、
「ああいい! これくらいで集まってこなくて」
と、縞馬がそれを止める。
「この回はやけにボールが前に飛ぶ」
「空振りがない…」

谷口と半田が話す。
さらに半田は今の縞馬のフィールディングは運動神経のいい彼にしては少しおかしかったと語る。
そんな縞馬に指示を出したカドバンもまた
(セカンが捕ってボールファーストならケガはしなかったのに)
と、その判断に不満げ。
「はは。ちょっとしくっちまったぜ」
それでも縞馬はあくまで強気な発言。

打席には6番加藤。
ゲッツーの心配がなくなり、
「思いっきり打つだけ!」
と、声を飛ばす谷口。
初球。
「あ!」
声をあげる加藤。
(ボールに力がない!)
動揺するカドバン。
そんな力のないボールを叩くと、打球はライト前へフラフラと上がる飛球となった。
ライト戸井が前進して飛び込むが打球はワンバウンドとなる。
ショックの縞馬とカドバン。
3塁ランナーのイガラシが還ってついに墨谷が1点を返し4対1。
「ちくしょう。全部打ち取っているのにアンラッキーが重なって……」
と、口にする縞馬。
「そうそうアンラッキーなんや! 気にすんな!」
と、声をかける浪国監督。
だが半田は、
「アンラッキーというか……この回は打球がどんどん前に飛びます」
と、口にする。
そして谷口は
「ワンナウト1・3塁」
「これはちょっと……あきらめられなくなってきたぞ……」

と話す。

打席には7番久保が入る。
「久保!」
「打てる打てる! もうボールに威力ない!」

1塁から加藤が叫ぶ。
それを聞いた縞馬。
「何!?」
「おい…」
「生意気言いやがって~~~~~。ポテンヒット野郎が~~~」

と、プライドを刺激された様子。
谷口からはここもゲッツーを気にせずおもいっきり行けとの指示。
(なんとなくだが…今までコツコツやってきた事の成果が出てきてるような気がする…)
そう考える久保。
初球。
久保の打った打球は押されて浅いレフトフライ。
すでにレフト見石が捕球体勢に入っている。
だが3塁ランナー松川はタッチアップを狙う。
(こうなったらあきらめられなくなってきた!)
バックホームの送球がややファースト側へと逸れる。
「それでも楽勝だ!」
捕球し、松川の差し出された左手へのタッチを狙うカドバン。
だが瞬間、松川が左腕を引く。
そのまま体が大きくずれてホームベースにタッチはできず。
カドバンが松川にタッチをしようとするが、その体の上をジャンプしてがら空きのホームベースへとタッチ。
勢いのまま転がる松川。
判定はセーフとなって4対2。
2アウトながらランナー2塁。

2点差まで追い上げて盛り上がる墨谷ベンチ。
まさかの展開に言葉を失う浪国ベンチと縞馬カドバンバッテリー。

ここで第117話が終わります。

感想

ここにきて墨谷の思惑通り縞馬に明らかな疲れが見えてきました。
浪国ベンチはその異変に気付いていないのか、縞馬同様に監督もあくまでアンラッキーだと言っていますね。
でもさすがに2点差となって浪国も何か手を打ってくるのでしょうか。

次回は、
谷口が仕掛けてきた!
『作戦なんて出来るわけない』の巻

谷口がどんな仕掛けをするのか。
勝負わからなくなってきました。

関連リンク

・第113話「前のめりになる!の巻」
・第114話「甲子園は終わったの巻」
・第115話「ズドーンの巻」
・第116話「センバツで帰ってこいの巻」
・第117話「どんどん前に飛ぶの巻」
・「キャプテン2/プレイボール2」感想ページ
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20 Thoughts on “「キャプテン2」第117話感想

  1. リチャードコシミズしか勝たん on 2025年9月15日 at 6:30 PM said:

    これは墨谷勝ちプラグ立ったんじゃないかな?と見てます。またあの監督の君たちは走って帰りなさいがおがめるものと期待してます。

    • 近藤の登板からここに来て一気に流れが墨谷に傾いたかなって感じありますよね~。
      またあの練習試合後の再現されたら笑ってしまいそうw

  2. しん on 2025年9月8日 at 10:16 PM said:

    こんばんは。いつもありがとうございます。
    まさかタッチアップの展開が同点とかじゃなく、強引なしかも成功しても2点差というのは考えてなかったですね。次回谷口監督やっと動くようなので楽しみですが、打順は次が島田でその次が近藤ですか。勝つか負けるか、終わり方考えてみても、島田でスリーアウトも谷口何にも動けずで。さらに次の近藤でもし試合が終わるならそれは逆転になるのではないでしょうか。近藤で終わり丸井まで回らずゲームセット、甲子園も終わり、連載も終わりwはないと思うので。
    いや、そんな中途半端なのはホントに辞めて欲しいw
    と、なると丸井までは回るはず!丸井決めてくれ〜!

    • しんさん、こちらこそいつもありがとうございます!
      松川かなり強引かつ無謀な走塁になりましたが、結果的にカドバンにも動揺与えられた点は次回に響きそうですね~。

      次回もしも丸井で終わって連載終了なんてなったらほんとにキャプテンなのに丸井の立場がないですねw
      決めるならそこは丸井で決めて欲しいというのは同感です!
      今の勢いだとこのまま浪国にも勝って続きそうな気配あるんですけどねぇ。

  3. 皆さん、墨谷ビイキ? on 2025年9月5日 at 11:57 PM said:

    う~ん、どう考えても松川は暴走でしょ。
    同点(または逆転)のランナーなら一か八か賭けてみる価値はありますが、セーフになってもまだ2点ビハインドの場面で、アウトになったらそれで即ゲームセットですよ。
    それを完全にアウトのタイミングでスタート切るなんて。3塁コーチもなにやってるんでしょうね、止めろよ!
    結果、曲芸まがいのプレーでセーフになったからよかったものの、そんな無茶な走塁、野球を知っていれば絶対しないはずです。。。

    • 送球逸れていなければ完全にアウトのタイミングだったでしょうしねぇ。
      確かに無理してタッチアップする場面ではないと思います。
      なんとなく松川の見せ場を作ったのかなぁというシーンでしたね~。

  4. けん on 2025年9月5日 at 4:22 PM said:

    こんにちは!
    これをアンラッキーと捉えてるところが浪国の痛いところですね。そういう隙を付くのは墨谷の得意とするところでしょう。近藤は絶好調だし延長になったら墨谷が有利だと思います。

    • けんさん、こんばんは~!
      縞馬だけではなく監督までアンラッキーだと考えているあたりが、墨谷にとってはチャンスだなと思っちゃいますね~。
      冷静そうだったカドバンも松川の走塁で動揺し始めていそうだし、おっしゃるように延長にもつれ込んだら墨谷にとっては大チャンスかなぁ。

  5. 打順的に近藤が良いところ全部持っていく展開でしょうか…

    出来れば満塁でキャプテン丸井に決めて欲しいです

    それにしても松川、
    あんなトリッキーな走塁出来たんですね(笑)

    本職のピッチングではイマイチですが、
    値千金のビッグプレイです!(^^)

    • このままだと投打共に近藤の強烈な印象付けで試合決まるみたいな気はしますね~。
      私も丸井の活躍をもっと見たいのですが、この試合はもう完全に近藤の舞台って感じになっちゃってますからどうなりますか……。

      松川の走塁は彼の意地を見せてもらった気がします。
      あのプレイで浪国側には相当動揺させる事ができたと思うし、試合もわからなくなってきました!

  6. 清貧一郎 on 2025年9月4日 at 10:08 PM said:

    こんにちは
    試合の流れが完全に墨谷に行っちゃいましたね
    球数をたくさん投げさせる作戦の成果が出てきました
    なんか浪国は監督、選手とも自分を見失ってるような感じがします
    前から気になってたのですが、浪国はリリーフする投手がいないのでしょうか?
    だとしたらこの状況はかなりやばいですね

    • 清貧一郎さん、こんばんは!

      近藤が浪国打線を圧倒して流れが傾いた感じですかね~。
      私も浪国は監督含めてちょっと冷静ではなくなっているのかなって思います。
      明らかに縞馬の疲労が見て取れるのに、受けているカドバンは気付いていそうだけど、松川の走塁で彼も動揺してそうだし……。

      160球投げさせても交代しないって事はそういうことなんですかねぇ。
      正直浪国監督は何してるんだろって思いますw

  7. タカ on 2025年9月3日 at 6:09 PM said:

    こんにちは♪久しぶりのタカです♪
    昨日16巻を購入して読みましたが改めて読むと波国の監督の言葉から墨谷に負けるフラグに思えますね!
    次回のタイトルも波国監督目線でのタイトルかなと思います。
    いずれにせよ勝利して欲しいな

    • タカさん、お久しぶりです!

      序盤は浪国監督も以前練習時代で戦った時よりも落ち着いた雰囲気に見えたのですが、次第に地が出てきた感はありますw
      今回も縞馬の状態に危機感抱いてなさそうですし、あくまで上から目線と考えれば次回タイトルが浪国監督目線という感じはしますね~。

  8. 中ラマ on 2025年9月3日 at 5:08 PM said:

    いつも楽しみにしています。

    墨谷の反撃がはじまりましたね。ワクワクします。

    以下、今後の予想です。思いっきり希望ですが・・・

    2点差、2アウトランナー2塁で墨谷の8番は島田ですね。自分が思うに若くしていぶし銀のバッター、島田。疲労が溜まっている浪国縞馬からセンター前でまずは1点差。

    ラストバッター近藤が、球威の衰えた縞馬からサヨナラツーランでサヨナラ勝ち‼

    となればいいですねえ。
    島田、近藤、打ってくれーー、
    祈っています。

    • 中ラマさん、こちらこそいつもありがとうございます!

      墨谷の作戦が功を奏して狙い通りの展開になってきましたね~。
      確かにおっしゃる通りの展開で行けば投打ともに綺麗に近藤で締めて、より浪国に存在感植え付ける事もできるから爽快そうだなぁ。

  9. にしなさとる on 2025年9月3日 at 9:28 AM said:

    何というか――自覚は無いみたいですが、縞馬本人が一番焦っているように見えます。
    松川の打球だって、記録はセカンドのエラーですが、ゲッツーを焦った縞馬のミスがセカンドの焦りを呼んで、悪送球に繋がったように見えた。
    加えて、これも自覚は無いようですが、縞馬自身の発言も、焦り・虚勢・負け惜しみの色が濃くなっている。

    追伸1
    「セカンドあせった!」というアナウンサーのセリフが抜けています。
    追伸2
     松川の好走塁、とっさの好判断は殊勲ものですね。 まんまとしてやられたカドバンの顔は見ものでした。

    • ご指摘ありがとうございます!
      縞馬本人は気付いていないのか強がっているのかどっちなんだろうと思っていたけど、本人に自覚無くて周囲もそれに気付いていないようなら墨谷にもまだまだチャンスありそうですね~。
      唯一この中で戦況見えてるかなと思っていたカドバンも、加藤のバッティングから松川の走塁で動揺隠せていませんし、墨谷の狙い通り何かが起こるでしょうか。

      • にしなさとる on 2025年9月3日 at 7:08 PM said:

        次回、谷口が何か仕掛けるとしたら、島田が出塁した場合でしょうね。
        例えば、内野安打で一,三塁になったところで、島田が盗塁。
        カドバンも、冷静に見えて実は動揺していて、反射的に必要の無い二塁送球をしてしまう。
        結果、それが外野へ抜けてしまい、一点差で二死三塁になる、という。

        • カドバンは縞馬の球威も把握してそうだし、その上で松川のあの走塁の直後だけに内心穏やかではないでしょうしねぇ。
          おっしゃる通りの形になったら同点から逆転も見えてくるかなぁ。

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