第93話「3度めの対決の巻」の感想です。
ネタバレ含むのでご注意!


大山高校戦。
倉橋のほか、リカとサチ子も応援に駆けつけた。
二人は午前の講義を終えてすぐに新幹線でやって来たらしく、予備校を出る時に松下と遭遇し、甲子園に行く事を告げると松下は泣きながら、
「新幹線代なんて…おれねえ…」
と、自らも甲子園へ応援に行きたい気持ちを抑えた。
さらに二人は予備校を出たところで小学館予備校の女子二人とも遭遇。
米屋と肉屋の娘でお金がある(らしい)リカやサチ子と違い、小学館女子も松下同様に新幹線代はなかった。
そして甲子園へ向かう新幹線の中で、
「これで大学落ちちゃったらどーしよ…」
と、呟くサチ子にリカは、
「あたしもうかまわないんだ」
と、覚悟を決めた様子で答えるのだった。

試合は5回表まで進んで0対0.
打席にはこの日3回目となる大山1番の東郷。
前2打席はセーフティバントを試みての三振。
解説席もここはもう普通に打って来るとの予想。
「さぁ3回め。よろしく頼むよ近藤クン」
と、挨拶する東郷に近藤は不気味な何かを感じるが、いくらなんでももうセーフティバントはやって来ないだろうと予想。
ファースト加藤も同意見だが、サード松川は
(いやいや……わかりませんよ~この人)
と警戒。
初球。
東郷がバントの構えをとる。
ダッシュする加藤と松川。
が、バットを引き、外角へはずれてボール。
(やらない)
(いやボールだからやらなかっただけだ)
と思う加藤と松川。
(これはわからんな)
迷う近藤。
2球目。
またもバントの構えをとるが、これもバットを引き、外角へのボールとなって2ボール。
(やらない)
(ボールだからやらないだけだ)

先ほどと同じ思いの加藤と松川。
対する東郷はこの二人のチャージは相変わらず鋭いとし、近藤はややボッとしているが、さすがにピッチャーに捕らせたらアウトになると考える。
3球目。
高めのストレートを今度はヒッティングしてファール。
これに驚いたのは加藤と松川。
(ち。どっちなんだ?)
加藤に迷いが生まれる。
「惑わされるな! 自然体で反応すればいい!」
声を飛ばす丸井。

だが、東郷は今のファールで墨谷に迷いが生まれたはずだと判断。
あとは内野のどこにやるか?
墨谷内野陣の動きを予想し、セカンド付近が空くと考えるが、
(ここはあえてショートに捕らせるバントに挑戦してみる!)
と決断。
1ストライク2ボールからの4球目。
バントした打球は前進してきた近藤たちの頭上を超えて、ショートイガラシの前へと落ちる。
イガラシが即捕球してファーストへ投げるが東郷が速い!
送球よりも早く東郷が駆け抜けてセーフ。
が、ショートイガラシが捕球。
セカンド丸井がファーストに入った事でセカンドががら空きとなり、東郷はそのまま2塁へ走る。
センター島田とイガラシがカバーに走る。
「島田の方が早い!」
そう判断した丸井は島田へボールを送るもセカンドもセーフ。
ノーアウト2塁となった。
「う~ん。1回ヒッティングをやられたから惑わされちまったな」
と言う谷口。

打席には2番大川原。
墨谷内野陣がマウンド上に集まる。
たとえヒットを打たれてもホームで刺すぞと指示する丸井だが、
「しかしですね。ランナーが2塁に行くとさっきからな~んかいい当たりが出るような気がして…」
と、井口が口にする。
「まぁわからないようにこっそり出すことはいくらでもできますからね」
と、イガラシも疑念を抱いている様子だが丸井は、
「もしサインが出ていたとしたらアレだな……」
「そりゃ自分達の弱さを自ら告白してるようなもんだよ」
「相手を欺かねぇと勝てねぇ」
「大山高校恐るるに足りずってことになる。通常通りやればいいさ」

と言い、内野陣は守備位置へと戻る。
とは言っても打たれるのはイヤだと考える井口。

(サインは出てないと思うんやけど…)
と思いながらの近藤の初球。
外角低めをまたも踏み込まれて打ち返されると、打球はセカンド丸井の右を抜けるライト前ヒット。
2塁ランナー東郷は3塁を回る。
ライト久保からバックホーム。
クロスプレイとなったが判定はセーフ。
さらに打った大川原も2塁まで進む。
ついに大山に先制された。
「ま、また踏み込まれた」
「た…たしかに狙ったような右打ち…」
と、口にする井口と丸井。
「そしてまたランナーは2塁に…」
2塁上の大川原を見るイガラシと墨谷ナイン。

ここで第93話が終了となります。

感想

東郷3度めのバントや大山のサイン伝達など、今回の墨谷は迷わされるシーンばかりでした。
先制点を取られ、なおノーアウト2塁。
初回いい当たりをファインプレーで阻まれた墨谷打線が5回まで点を奪えなかった事を考えると、ここらで2塁ランナーからサインが出ているのかどうかハッキリさせて迷い捨てた方がいいかも?

次回は
ゴロしか打てない打線…。
『上級生のプレッシャーを背負ってくれた』の巻

疑いが消えないこの状況で次の1点をどう防ぐか?

関連リンク

・第89話「100%の男の巻」
・第90話「神宮とは違うの巻」
・第91話「ランナーセカンの巻」
・第92話「第4試合で良かったの巻」
・第93話「3度めの対決の巻」
・「キャプテン2/プレイボール2」感想ページ
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8 Thoughts on “「キャプテン2」第93話感想

  1. 匿名 on 2024年9月7日 at 4:19 PM said:

    しかし振り返ると近藤ってとんでもない投手ですね
    一年の夏からベンチ入りしてるだけでも凄いのに都大会準決では先発としての役割を果たし決勝では絶体絶命の修羅場を三振狙いで凌ぎ勝利投手、墨高メンバーが誰も経験したことの無い甲子園の舞台でここまで試合を作っている…
    いつもサムネ絵を見る度に思うのですがやはりキャプテン2の主人公は近藤…かな?w

    • ほんと墨谷二中入学時もすでに規格外でしたけど、高校入ってからも一年目からここまで頼れる存在になるとはって感じです!
      歴代キャプテン勢揃いでみんな主人公な感覚で見ていたけど近藤の描写が占める割合は多いかなと思いますね~。

    • 夏の鍋焼きうどん on 2024年9月11日 at 12:04 PM said:

      作品名にキャプテンがついて谷口くんが登場してる時点で、主人公は谷口くんです。

  2. 匿名 on 2024年9月5日 at 12:14 PM said:

    オジサンが未成年に自ら持ちかけた約束を破るのはあまりにもみっともない上にズルをするということは墨谷が勝つんだろうと読めるのでしてないで欲しいですね。それにしても予備高の二人はなぜか待ち構えていた様に見えますね。当時の新幹線はいくらなのでしょうか?

    • 倉部監督って見た目はいかついけど、そういう事はしない性格だと思っていたのですが、もしやっていたならやっぱり甲子園で勝つ事への執念なのかなぁ……。
      小学館予備校の二人はリカやサチ子の行動わかっていたように腕組みして待ち構えてましたねw

      新幹線運賃調べてみましたが、博多開業時1975年?で東京新大阪間が5010円。
      その1年後に1.5倍になり、1980年には9900円と書かれていたので、1979年だと7500円前後でしょうか?

  3. にしなさとる on 2024年9月4日 at 12:09 PM said:

    今回は、東郷の好走塁にまんまとしてやられましたね。
    予選決勝でお花茶屋のトリックプレーにやられたのと、似たようなパターン。
    一方で、2番打者がバントの気配も無かったのと、墨谷側も警戒するそぶりも見せなかったのが、不自然に思えますが……。
    さて、こうなると次のバッターがどう出るか? 普通に考えれば、今度こそバントなのだが……。

    • 言われてみると確かにおっしゃる通りですね~。
      あの場面でまるでバントする気配も、墨谷がそれを警戒する様子もなかったんですよねぇ……。
      今のサイン伝達疑惑で頭いっぱいな墨谷だと、次バントされたらあっさり決められそうだなぁ。

      • にしなさとる on 2024年9月4日 at 5:07 PM said:

        この場面でバントの気配も無かったのは、作者のミスかもしれませんね。
        単行本では書き直されるかも。
        バント警戒の前進守備の逆を突かれて、一点取られたことにするかもしれませんね。

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