第56話「練習のようにバットを振るの巻」の感想です。
ネタバレ含むのでご注意!


東実戦は8回裏に東実が1点先制し1対0。
たかが1点と檄を飛ばす墨谷スタンドだが、1点をもぎり取って絶対的エースが守り抜く。
それが王道であり、今年の東実の野球なのだという東実監督と佐野。

追い込まれた墨谷は9回表の攻撃を前に円陣を組む。
谷口監督は「追いつこう」なんて思わず、練習してきたことだけをやればいい。
練習のつもりでバットを振り抜けばいい。
ただそれだけでいいと選手たちに指示。
選手たちもこの9回表に来て、まだバットを振り抜ける力が残っている事が反撃の自信を持たせているようだ。
谷口監督にも墨谷ナインにも悲壮感は全くない。

この回先頭打者の1番丸井が打席に入る。
今は不思議と佐野のことをライバル視していないと感じる丸井。
相手がだれであろうと自分のスイングをすればいいとバットを構える。
初球。
ストレートを見送ってボール。
2球目もボール。
ちょっとずつボールが外れるようになってきたと感じる丸井。
それは最後の最後で佐野に疲れが出てきたのか。
それとも最後のプレッシャーなのか。
3球目。
(これは……行ける!)
と思い切り振り抜くがバックネットへのファール。
バットに当てた事で佐野の球威がまだ落ちていないと感じる丸井。

4球目は一塁線へのファール。
振り遅れたことでやはり佐野の球威は落ちていないと確信する丸井。
(昔は虚弱体質だったくせに、そーとー練習して改善してきたみてーだな)
不敵な笑みを浮かべる丸井だが、佐野はそんな丸井に呼吸が乱れ始める。
(丸井…。なんだよ? 丸井。おれがこんなに闘ってるのに…おめえは全然闘ってねえじゃねえかよ!)
(なんだ? その…バッティング練習をしてるだけのような振りは!)

5球目。
6球目。
7球目。
ファールが続く中、全然力を入れている様子がない丸井に、佐野は自分がひとり相撲しているような気分に陥る。
その焦りが佐野の手からボールを抜けさせてしまった。
8球目。
(練習のように……! 振るだけ!)
練習どおりに振り抜いた丸井の打球はレフトスタンドへ飛び込むホームランとなった。
あんなに苦労して取った1点をひと振りで同点にされた佐野と東実監督はショックを受ける。

2番半田と3番井口は惜しくも東実守備のファインプレーによってアウトとなったが、両者共にいい当たりを連発。
ここまでの佐野を見た谷口監督は、佐野に疲れが出たか腕の振りが落ちてきているのか考えるが、
(いや! 落ちてきてないよな)
(ウチの選手が9回に来てもピンピンしすぎなんだよ)

という結論に至る。

打席には4番イガラシ。
コンディションの良さを感じるイガラシと、ここで終わらせて9回裏にサヨナラを狙う佐野。
初球シュートを見送りストライクとなるが、
(なんだ? このシュート)
(ホームランのショックか……?)
(引きずっているな)

と感じたイガラシ。

試合のように練習をし……
練習のように試合をする

いつもの振りをするだけ

2球目もシュートだが、今度は見送ることなく振り抜く。
打球はライト方向へ高々と上がっていく。
(2球。あのヘナチョコシュートを続けたら…おしまいだよ)
悠々と走るイガラシ。
「入らん!」
「絶対入らん!」

叫ぶ佐野。
ライトポール際、ライト石島が飛びついてフェンスに激突。
駆け寄った塁審が大きく腕を回して叫ぶ。
「ホームラン!」
大ショックの佐野。
ダイヤモンドを回るイガラシは、
(谷口さんの言葉は魔法だ。いや魔法などない! 谷口さんはチームのコンディションを最適に整えてきただけなのだ)
と感じていた。

たったふた振りで逆転した墨谷。

ここで第56話が終了となります。

感想

先制された直後、最後の攻撃というプレッシャーがかかる9回表にあっさり逆転した墨谷。
谷口監督にも選手たちにも全然焦りの様子がなかったですね。
ここが昨年までの墨谷との違いでしょうか。
谷口自らが選手時代に経験してきた疲れを知っているからこそ、選手たちにあれだけ強く練習を休むよう指示して、コンディションを万全に整えさせた結果でしょうね。

一転して追いつめられた東実。
今の墨谷ならこのまま勝利しそうな気もしますが、次回は東実が無茶な作戦を仕掛けてくるようで、東実と佐野の執念が墨谷の自信を上回るかどうか。
気になりますね。

関連リンク

・第52話「体が軽いの巻」
・第53話「狙われた扇の要の巻」
・第54話「負けない心の巻」
・第55話「仕組まれた挟殺プレーの巻」
・第56話「練習のようにバットを振るの巻」
・「キャプテン2/プレイボール2」感想ページ
・「キャプテン」連載開始50周年記念特集ページ

関連商品

10 Thoughts on “「キャプテン2」第56話感想

  1. よく買い忘れるので、助かってます。感謝。
    今大会3試合目の東実戦ですが、今何回戦ですか?

    急に墨谷が強くなった感じですが、谷口君も監督3年目と考えれば、ノウハウや経験が加わり、戦力は変わらなくても勝ち上がってしまう。というのはリアリティあります。

    • こちらこそご覧いただいてありがとうございます!
      今は三回戦でしょうか。
      墨谷の急成長は肉体改造と選手たちの自信も大きいのかなぁという気がしました。

  2. たか on 2023年2月17日 at 2:08 AM said:

    今更なんですが、、青葉学院って名前は中学校入にしては私立っぽかったのに、中高一貫では無かったんですね

    • 野球の名門校だしストレートで高校まであってもおかしくなさそうだけどないんですよね。

  3. コンディションの良し悪しで勝敗が決するとは思いましたが、
    試合中盤で小技も織り交ぜて点を取らないと、
    一発勝負では怖いですよね。

    しかし、
    半田はいつまでも安パイ扱いで、
    流石に可哀想です(笑)

    • 苦労してもぎ取った1点を1発で返される。
      しかもその相手が丸井とあっては、佐野にとってショックも大きすぎたでしょうね~。
      さらにそのあとにまたも墨二組のイガラシに逆転の一打も許してしまうという……。

      半ちゃんの扱いは相変わらずですね(笑)。
      普通に何を仕掛けてくるかわからないいやらしい打者だと思うんですけど。

  4. にしなさとる on 2023年2月15日 at 1:02 PM said:

    佐野にとって、『またもや肝心な所で丸井にしてやられた』ショックが出ましたね。最後の最後でミスが出てしまった。
    野球における常識の一つとして、『カーブとシュートが両方良い投手は珍しい』というものが有ります。
    手の形の違いと投球フォームの違いによるらしいですが、佐野の場合、もともとシュートはカーブに比べ、ずっとキレが悪かったのでしょう。
    イガラシにそんな球を2球続けたら、ホームランを打たれるのも無理は有りません。東実バッテリーの配球ミスと言うしかありませんね。

    • 丸井の一本によるショックは相当大きそう。
      あまりに意識しすぎたといいますか。

      イガラシに対する配球は確かに東実バッテリーの完全なミスでしたねぇ。
      今の佐野を捕手がうまくリードできれば良かったのかもしれませんが……。

      • 墨谷のキャッチャーは左投げだからそこを狙っていけば…東実のサヨナラ勝ちになるはず。ただまだ墨谷の9回表の攻撃が終わってないから得点数によってはきつい。仮に延長戦まで突入したらコンディション面で東実を上回る墨谷に軍配が上がりそう。

        ただ小技を使ってくる東実が裏の攻撃だからこれは東実が勝つ確率が高そう。墨谷に勝った後に進学校のお花茶屋高校と当たって進学校特有の頭脳プレーに翻弄されて東実が負ける可能性がありそうですね。

        それとおそらく東実のモデルは巻頭カラーのユニフォームの色からして早稲田実業だと思われます。実際に早稲田実業は東東京地区に在籍した事もあるので違和感はないと思います。

        • 東実はこのまま簡単に終わる相手ではないでしょうし、9回裏の攻撃でどんな仕掛けをしてくるか注目しています。
          もし墨谷が負けて、さらに東実がお花茶屋に負けて……となると大番狂わせになるんでしょうけど、お花茶屋野球部が一気に有名になりますね~。

hiro にコメントする コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。

Post Navigation