第60話「ウチはベータの巻」の感想です。
ネタバレ含むのでご注意!


田所が録画してくれたという川北商業の試合を見るため、田所電機商会へと集まった墨谷野球部員たち。
レジに座る初登場田所の父親? に挨拶をし、店内に並ぶビデオデッキに興味津々。
SONYのビデオデッキ(ベータマックス)¥228.000
「どこ(のメーカーの)でも取り寄せられるよ。ひとつくらい買ってく?」
と話す田所父に、
「こんなもの一生買えないと思う」
と価格に圧倒されっぱなしな松川半田戸室の3人。

部屋に案内されると田所がVHS方式とベータ方式について説明し、自分の家はベータを使っているという。
テレビ画面には川北商業と新木場高校の試合の様子が映し出される。
前試合で完封しているという新木場のエース河仙のピッチングに、
ボールも速いし変化球も曲がる
コントロールもいい
完成度の高いピッチャー
だと評価する墨高ナインと田所だが、そんな河仙を川北打線がメッタ打ち。
大島工業のような大きいのはないがとにかくヒットが続く。
その中で谷口がある事に気付いた。
「けっこー打席で粘りますよね」
川北の打者は”初球打ち”が1回もなく、ほとんど追い込まれてからヒットを打っているという。
ヒット18本中15本が2ストライクからのヒット。
普通バッターは追い込まれるとヒットの確率は下がるものだが、川北打線は粘って粘って好きなボールがくるのを待ち、それを確実に仕留めているという感じらしい。
逆に言えば
「じっくり粘ってそのポイントに誘い込む」
どの球に対しても勝負に行ったバッティングであり、逃げているから追い込まれているわけじゃない。

川北レギュラーは例年よりも小粒だが好打者揃い。
ここで実況アナウンサーの言葉に耳を傾けると、今年の川北レギュラーはエースの小野田以外は全員が幼馴染みであり、元々は同じ会社の社宅っ子だと判明。
その社宅が千葉の市川にあり、市川には川北商業の練習グラウンドがあった事から、そこで野球部の練習を見て野球への憧れを強くしていったという。
だが、市川は千葉県で江戸川区に本拠がある川北商業へ通うことができない。
そんな時に社宅が江戸川区に移転する事が決まり、晴れて東京都民となって川北を受験したらしい。
ここで川北レギュラー9人の情報が流れる。
1番・センター  登米田
2番・レフト   立川
3番・ライト   島谷
4番・サード   田辺
5番・ショート  犬山
6番・ファースト 井上
7番・セカンド  神戸
8番・キャッチャー戸田
9番・ピッチャー 小野田
その経緯から結束力が堅そうだと話す田所。

続いてエース小野田のピッチングに、
「おととし練習試合でやって以来だが、かなり成長しているな」
と話す谷口と同意する倉橋。
新木場も前の試合では10点を取っているそうだが、その打線に手も足も出させずに終わってみれば12対0の5回コールド勝ち。
この試合での小野田の投球数は50球ほど。
逆に新木場ピッチャーは5イニングスで150球以上。
1イニング平均30球も投げさせられていた。
「打席で粘るから…」
口にしてそのまま考え込む谷口。
ピッチャーに球数を投げさせるタイプの川北打線相手に、分業体制を敷いてきた墨高としては4人の投手で臨機応変にと行きたいが、井口には1年生ゆえの脆さがあり本番では怖いとわかったことから、川北戦では井口は使わずに自分と松川、そしてイガラシの3人で頑張ろうと考える。
そしてエース小野田の豪速球が一昨年の秋からかなりスピードアップしており、今までのどのピッチャーよりも速いと悟り、
「明日は午後から集まって軽くアップだけの予定だったが……」
「朝9時集合としたい!」
「弁当も持ってきてくれ!」
と、急遽予定変更をナインに告げる。
「小野田のスピードは怖い」
と。

翌日。
朝から集まった部員に
「打って打って打ちまくりたいと思う」
と話す谷口はバッティングピッチャーに井口を指名。
ただし、プレートの3メートル手前から投げてくれと指示。
各自が戸惑いつつも練習開始。
「ただでさえ井口クソ速いのにこんなのかすりっこない」
動揺する丸井に
「打てなくても……目を馴らすんだ!」
「この速球に馴れとかないと小野田は絶対打てない!」
と谷口はとにかく速球に目を馴らすよう告げる。
そんな様子にキャッチャーの倉橋は思う。
(大会中の練習は抑える方針だったのに…ここに来て路線を変更しようとは!)
(だがこれが谷口!)
(体を動かしてないと気が済まないんだ!)
そして打席の丸井も
(今日は一日中練習か!)
(でも谷口さんはこうでなくちゃな)
とどこか嬉しそう。
しかし井口だけは
(今日バッティングピッチャーをやらされるということは……おれのあしたの出番はないということだ!)
と複雑な気持ちでいた。

一方、中一日を完全オフとしていた川北商業の幼馴染軍団は電車に乗って千葉の海で磯釣りをしていた。

という場面で第60話が終了となります。

感想

田所家のビデオデッキがベータだと判明する場面から始まり、今年の川北の情報が次々に明かされていきました。
レギュラー9人中8人が同じ社宅の幼馴染という出来過ぎたというか、小野田だけ違うってなんだかかわいそうと思ってしまいましたが……w
中一日を猛練習にあてた墨谷と、よく子供の頃に来たという海で磯釣りを楽しむ川北幼馴染軍団。
この差が試合にどう影響するのでしょうか。

次回予告では
「ベータだった田所家。だがバッティングセンターにあったのはVHSだった!」
とあることから、墨谷はこの後でバッティングセンターに行って、例のマシン相手に豪速球に目を馴らすのかな?

関連リンク

・第56話「試合の流れの巻」
・第57話「バットは振り抜け! の巻」
・第58話「空気を読まぬ男の巻」
・第59話「丸井、現る!の巻の巻」
・第60話「ウチはベータの巻」
「キャプテン2/プレイボール2」感想ページ

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8 Thoughts on “「プレイボール2」第60話感想

  1. 誠2号 on 2020年1月3日 at 9:27 PM said:

    川北は、ちばあきお先生の時は、小野田のもろさがあり隙をつけそうな雰囲気でしたが
    谷原の方が高い壁だと思いました。
    最後に前回やられたナチュラルボールの明善のピッチャーを打ち崩して欲しいね
    今の偵察担当は、半田でなく、田所さんが専任なんですね

    • 川北と谷原だとやはり徹底的にやられた谷原の方が脅威に感じますねぇ。
      成長したとされる小野田についても倉橋が本質は変わっていないはずだと考えているようですがどうでしょうか。
      明善は前大会で選手個々の能力や性格も多く描かれなかったのである意味一番不気味だなぁと思います。

      そういえば半田の偵察はなくなって田所さんに任せっきりになってますね~。
      すっかり今の状況に慣れてしまってコメントいただくまで当たり前のように見ていましたw

  2. 川北の田淵さんって確か倉橋の先輩で練習試合したときにエースだったけど墨谷が3年引退直後の時期だからハンデで監督代行してたんじゃなかったっけ?(練習試合の最中にじゃあ投げてもらえよとかあったからこの時現役だったこと自体は間違いない)
    つーかまず原作見てた限りじゃあの倉橋入部直後の練習試合の時点で谷口・倉橋1年、小野田2年、田淵3年だと思ってたわ。倉橋は田淵さんはもとより小野田相手にもさん付けで敬語使ってたし小野田も年長っぽい(≒いかにも2年生っぽい)感じだった
    まあ小野田が谷口倉橋とタメにされてることは仕方ないから百歩譲るけど、じゃあその場合田淵さんは今いくつなの?谷口言うまでもなく3年でしょ?まさか大学一年が高校野球の公式戦の監督してんの?それとも小野田の学年を歪めたように田淵さんも同様に谷口倉橋とタメなわけ?あるいはまさか留年してるわけじゃないですよね?

    そういうところが一事が万事批判される一因だと思うわ

    • おっしゃるとおり田淵は練習試合した時点で3年生だったと思っていました。
      アニメ版では田淵は2年生で登場したらしいのでそちらの設定を使ったのでしょうか。

  3. けん on 2019年11月7日 at 5:44 AM said:

    多分、間違いないような気がします。
    改めて「プレイボール2」の7巻を読んでみたら、川北のナインはみんな顔が黒いですよね。「磯ガラス」の少年たちもみんな顔が黒いんですよ。きっとその内トーボ君も登場するかも知れませんね。「プレイボール2」はちば作品の結集なんですね。

    • 今確認したらおっしゃるように田淵と小野田以外はみんな顔が黒かったですw
      こういう過去作品からの繋がりが色々登場するなら、ますますちばあきお先生の過去作の復刻版出して欲しいな~。

  4. けん on 2019年11月6日 at 3:21 AM said:

    磯釣りの話を読んで「磯ガラス」というちば先生の作品を思い出しました。キャプテンの単行本の最終巻に載ってたやつです。でも磯ガラスと呼ばれてたあの少年たちが強豪川北のレギュラーになるはずはなく…。ちょっとこれは考え過ぎですよね(笑)。

    ピッチャーを手前から投げさせるのは墨ニの伝統でしたね。これで青葉の佐野も、江田川の井口も攻略したんですよね。そしてこの後、例のバッティングセンターに行くんですね。一方の川北は磯釣り。釣りも粘りが大事ですから、川北の打席での粘りも釣りが役立ってるのかも知れませんね。川北の監督はキレ者ですから無意味に釣りをさせてるとは思えないし。今年の川北は手強いですね。

    • 私は当時単行本を揃えられなかったので「磯ガラス」は初めて知りました。
      でも、最近の「キャプテン2」での意外な繋がりなどを見ると可能性ありそうですね~w

      子供の頃からやってた釣りの粘りがあの打線の粘りを生んでいると考えれば、幼馴染軍団がのんきに釣り行く理由も、それを許す監督もわかりますね。
      あとは一昨年の小野田は終盤墨谷に追い上げられて苛立つとこが見られましたけど、速球だけじゃなくそういった精神面も鍛えられているのか気になります。
      性格はそのままな小野田を今年のキャッチャーが上手くフォローするのかなぁ。

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