第60話「ペース配分は考えるな! の巻」の感想です。
ネタバレ含むのでご注意!
城東戦。
先攻墨谷は1回表、いい当たりを連発しながらも城東の好守に阻まれて0点。
その裏。
墨谷の先発近藤がピッチング練習を行っている。
スタンドから見守る田所の話だと、近藤は今大会ベンチ入りこそしているものの登板機会は1イニングのみであり、大事な準決勝で1年生を先発させる事に不満を口にする。
それについて倉橋はローテーションや経験を積ませようとしているのでは? と話すが田所は納得しない。
が、去年も1年だった井口やイガラシが投げているし、田所キャプテンの時代だって1年の谷口を投げさせたじゃないかと言われて、あの頃と今とでは違うと言いながらもそれ以上は言い返せず。
ピッチング練習を終えた近藤にキャッチャー井口が行けるとこまで行ってくれるだけでいいと声をかける。
あとには自分やイガラシ、松川も控えている。
そのかわりペース配分は考えずに全力で行けと。
その様子を見つめる記者席では、
「谷口監督は城東を格下と見ている節がある」
とし、負けたら終わりの高校野球でこのローテーションは危険だと話していた。
打席には城東の1番桑原。
初球外角へのストレートを見送ってストライク。
桑原相手に練習試合の時より威圧感がないと感じる近藤。
対する桑原と城東ナインの頭には近藤に対して1年坊という意識。
(1年坊だからってナメんなよ)
(「行けるとこまで」ってことは…9回まで行けたら行ってエエってことや)
2球目。
(コイツがすごい球を投げることは知ってるが…この公式戦準決勝で実力が出せるか?)
(くらいつく!)
桑原の食らいついた打球は平凡なショートフライとなり1アウト。
(ヘヘ…バッター全然押されとんやん…)
と余裕の近藤だが、桑原が次打者松森に対して何やら話す姿を見る。
桑原は練習試合でも見た浮き上がってくる感じのボールだが、ボール2個分バットを上に出すようアドバイスしていた。
初球。
松森はアドバイス通りにボール2個分上を叩きつける。
打球は3塁線への鋭いあたり。
サード松川が捕球して1塁へと送球するも、諦めない松森はヘッドスライディングしてセーフ。
アウトと言われても文句のないタイミングだったが、それをあきらめないという気迫が審判の両の手を広げさせたのだと思うスタンドの松下。
1アウト1塁となり、打席には3番荘司。
バントかヒッティングか。
初球は外角にはずしてボール。
バントの構えこそしなかったもののどう出るかまだ読めないバッテリー。
2球目は少し内側に入れるボールを振りかけてバットを止める荘司。
これもボールとなってノーストライク2ボール。
3球目。
次はストライクゾーンへ入れろとの井口のサイン。
それを読んでいた荘司がヒッティングに出る。
(練習試合の時の感覚は憶えている! 城東のバッターはワイの球は打てん!)
近藤も井口も空振ると思ったが、荘司は喰らいつくバッティングで打ち返すと打球はレフト半田の後方へ抜ける長打コース。
1塁ランナー松森は2塁から3塁も回って一気にホームイン。
打った荘司は2塁へ。
タイムリーツーベースとなって城東が先制した。
墨谷内野陣がマウンドに集まる。
ドンマイと励ます丸井だが、近藤も井口も今のボールは空振りか良くてファールだと思っていただけにショックを隠せない。
「たかだか1点だ近藤! 1個ずつアウトに取ってこー!」
ベンチから谷口監督の声が飛ぶ。
1アウト2塁となって打席には4番旭丘。
初球は1塁線横に外れるファールながら鋭い当たり。
2球目。
カーブを投げた近藤だが、これも喰らいつくバッティングで打ち返されると打球はセンターに抜けようかという強烈なゴロ。
「丸井! あきらめるな!」
谷口監督が叫ぶ。
「あきらめねぇ!」
これをセカンド丸井が捕って2塁ランナーは動けず。
ファーストへジャンピングスローした送球は山なりとなりファースト加藤捕れず。
それを見た2塁ランナーは3塁へ走る。
が、ファーストベースカバーに入った近藤が
「サードへは…行かせへん!」
と地を這う送球。
見事2塁ランナーを刺した。
ここで第60話が終了となります。
練習試合でのイメージが抜けない近藤に対して、その時とは違うという自信を持って挑む城東打線。
最後の場面はなんとかピンチを広げずに済んだものの、イメージと違う城東に近藤と井口の戸惑った様子が気になります。
そしてこの準決勝で公式戦での経験が少ない1年生近藤を先発させたことに田所は納得できない様子だったり、記者たちは谷口監督が城東を格下と見ていると話していますが、実力で劣る相手であっても油断すればやられる怖さを一番知っている谷口監督だけにそれはないかなと思いました。
近藤の言葉で言う偉大なる分業体制で、消耗戦になりそうなこの試合での投手の消耗を分散させる狙いとか?
そのあたりの谷口監督の狙いも気になるところです。
・第56話「練習のようにバットを振るの巻」
・第57話「男の心意気の巻」
・第58話「運命の道筋の巻」
・第59話「あきらめるな! の巻」
・第60話「ペース配分は考えるな! の巻」
・「キャプテン2/プレイボール2」感想ページ
・「キャプテン」連載開始50周年記念特集ページ
谷口一年生時
谷口の分析と練習に付き合って守備力アップ、
谷口のフォークもありシード校東実に善戦。
谷口二年生時
倉橋と少数ながら実績のある一年生の加入、
ノーシードながら前評判は高く聖陵、専修館に勝つが、ベスト8で力尽きて明善に敗退。
谷口三年生時
全国レベルの一年生の加入、
金属バットへの対応で、
春に大敗した谷原をベスト4で戦い追い詰める。
ときての今夏のベスト4。
選手の質も含めて墨谷は段階を経てチーム力上げていった。
…なのに、
城東は監督は弱小時代のキャプテンのまま。主力の墨谷OB達(笑)は中学時代に実績なし。
松下のノックと気持ちだけでベスト4。
シード校も撃破しているはずなのに疲れなさそう。
正直、墨谷がコールドでボロクソに勝ってくれないと納得できません(笑)
ここまで勝ち進んで今の墨谷と張り合えるとなると相当な練習量積んだんだろうなとは思いますが、
そのあたりの描写が松下関連しか描かれていないので、過去の城東見てると違和感はありますね(笑)
特にピッチャーの栄川は専修館戦で疲れあるみたいな描写あったけど、他のナインがピンピンしているというか……。
でも結局どこかで差が出始めて大差で墨谷が勝つのかなぁとは思っているのですがどうかなぁ。
かつてのキャプテンでは地区予選の決勝戦で谷口が最初に戦った江田川とぶつかりましたが、今回の決勝でも見知った相手が出てくるんでしょうか。仮に墨谷2中のメンバーと戦うのであれば、谷口と最初に仲良くなった河野がエースで西田や高木、小室や遠藤が勢揃いするのも面白そうですね。
決勝の相手として候補はいくつか浮かぶんだけど予想できないって感じですね~。
墨二時代のメンバーは私も出て来て欲しいなと思います!
谷原も川北も東実も倒して、松下がコーチした城東も倒したあととなると、何かしらそういう人物が出て来てくれないと決勝が物足りなく感じそうですからねぇ。
早々のレビューありがとうございます。城東との準決勝が始まりましたね。 昨年4強で、今年も練習試合で強豪にも連戦勝利する墨谷とはノーシードの城東クラスでは地力が違うので一方的な試合なるはず。 また、準決勝のもう一つの試合相手について、選手の誰も、田所さん、倉橋、大学生、までも何も言わない、相手高校の偵察にもいかないのはリアリティがなさすぎ。 ちば作品のプレイボールでは事前の偵察や試合見学、試合前の対策特訓なども見どころのひとつだったはずですが、谷口監督は一体どうしちゃったのでしょうか。
こちらこそありがとうございます!
たしかに谷原や川北を圧倒して東実にも競り勝った墨谷相手に、いくら練習を積んで意識改革もしたとは言え城東では地力が違うはずですよね。
敵チームの偵察や事前対策などが描かれていないのは私も気になっていました。
どんな相手でもそこを怠らないのが墨谷の強さの秘密だったように思っていたので、今回のように予想外に準決勝まで勝ち進んだ城東相手なら、何かしらの対策をチームで練っていそうなんですけどねぇ。
近藤や井口の反応見た感じそういうのもしてなさそうですし……。
やはり先入観というものはなかなか無くせないようで、墨谷側、城東を舐めていないつもりが無意識に舐めていたのかも。
チーム全体が、そのことを反省せざるを得ないようです。
一方で、この回の丸井のプレイは、墨谷の『あきらめない』精神が、やや裏目に出たようにも見えます。
普通ならセンター前ヒットか、内野安打で一・三塁という当たり。捕ったまでは良かったが、一塁送球は難しい体勢。
加えて丸井の場合、守備範囲は広いが、特に強肩ではない。
体勢を立て直してから投げたのでは、おそらく間に合わない。バックトスでは、おそらく一塁までとどかない。
結果、無理な体勢から投げざるを得ず、山なりの送球しかできなかったせいで、ああなった。
もう一つ、二塁ランナー荘司の走塁も、まずかったように見えます。
打球がゴロだと判った瞬間に走っていれば、悪くとも二死三塁だった可能性が高い。
判断をミスったのは、荘司本人か、それとも三塁コーチャーか。
確かに丸井のプレーは結果的に刺せたから良かったものの、ピンチを広げる可能性の方が高かったですね……。
荘司の走塁に関しても同意見です。
う~ん。
やっぱり墨谷はこれまでの城東のイメージでどこか舐めているんですかね~……。
近藤や井口はもろに練習試合でのイメージ引っ張っているようですし。
前の回の守備といい、ガッツがあるチームは怖いですねえ……昨年の準決勝も、ハアハア打法で格上を追い詰めて、負けはしたものの、相手は決勝がパアになる位ボロボロにした恐怖のチームがありましたね。
とことん諦めない姿勢で向かって来られると精神的に圧されるなぁと感じますねぇ……。
でも今回の話の中で谷口監督の表情には驚きとか焦りみたいなものがなくどっしり構えていたので、何か考えているのかなと思いました。