第31話「速いシュートの巻」の感想です。
ネタバレ含むのでご注意!
1対0。
墨谷リードで迎えた9回裏ワンナウト満塁。
東実は疲労困憊の佐野が打席へ向かうも、バッターボックス手前で気を失って倒れてしまう。
監督たちが慌てて駆け寄って頬を叩いて意識は取り戻したものの、監督は主審にバッター交代を告げる。
しかし、やはり佐野は引き下がらない。
「おねがいです。打席に立たせて下さい」
「今「行け」と言ってくれたばかりじゃありませんか」
だが、今度ばかりは監督も佐野の意志を尊重するわけにはいかず、なおも食い下がろうとした佐野だったが再び気を失って倒れてしまった。
タンカで運ばれていく佐野の姿に代打の工藤は
「佐野。オマエの心意気…おれが引き継ぐぞ……」
と気合いを入れる。
この交代に計算が狂ったのは墨谷の方で、
「満塁にしておいて佐野を打席に迎えれば…」
「ゲッツーで一気に試合を終わらせる可能性が高いと思った」
のだと倉橋は話す。
疲労で打てても走れない佐野相手ならワンナウトでも深めの守備陣形が取れたが、ピンピンした代打の工藤相手だとそうはいかない。
ここで倉橋は中間守備でバックホーム優先へと変更し、無理して2塁ゲッツーは狙わないよう指示を出す。
それぞれの守備位置へ戻って行く内野陣だが、その中で谷口がイガラシを呼び止め、
「倉橋はああ言っているが、あわよくば2塁のゲツーも狙っていいぞ」
と指示。
速いゴロを打たせれば2塁でいけると話す谷口に対し、ゲッツー崩れが怖いのではと意見するイガラシ。
2人の様子を
(何を相談してるんだ?)
と不思議に見つめる倉橋。
「イガラシ。オマエだったらここでどういうピッチングをする?」
谷口の質問にイガラシが考え込む。
いつまで経っても試合再開の様子がない事に工藤が主審にアピールし、主審からも急ぐよう忠告が飛ぶ。
「スイマセン。すぐ終わりますんで」
謝りながらももう一度イガラシに問いかけると、
「か……“緩急”ですか?」
との答え。
それに対して谷口は
「緩急をつけたら泳いでボテボテになるだろ」
「それだとゲッツーを取りにくい」
とし、ここは
「速いシュートを投げる」
のだという。
イガラシのシュートはどういう握りかとさらに質問を続ける谷口。
「内側の縫い目に指をかけて内側に捻る」
だが、捻ったらスピードが乗らないのでダメなのだと話す。
「おい! 「あと少し」って言ったろ!」
我慢の限界にきた主審に怒鳴られて謝る谷口。
工藤もかなりイライラしており、その様子に気付いた倉橋も
(“ジラシ”が効いてる……?)
と感じる。
それでも谷口の話は終わらない。
速いシュートを投げるための握り、
「2本の縫い目に指を乗せて捻らない」
と、実際の握りをイガラシに見せながら説明。
「捻らなくて曲がるんですか?」
と聞くイガラシだが、
「曲がる! 充分曲がってくれる」
「そしてこの投げ方の方がスピードが乗る!」
のだと言う。
「おい! 遅延行為と見なすぞ!」
ついに主審から最終通告を受けてようやく話は終了。
待たされ続けた工藤はすっかり頭に血がのぼった様子。
(イカンイカン)
(高校最後の打席になるかもしれないんだ)
と自身に言い聞かせるが、倉橋は工藤が完全に肩に力が入っていると判断。
こうしてようやく投じられた工藤への初球は谷口の言う速いシュート。
それを無造作に打った工藤の打球は読みどおりサード正面の速いゴロとなりイガラシのグラブへ。
「バックだ!」
叫ぶ倉橋だが、
「いやイガラシ! セカン行ける!」
谷口はセカンドへの送球を指示。
セカンドに入った丸井へボールが送られてツーアウト。
(「ゲッツー崩れ」は許されんぞ!)
(ひとつでも流れに淀みがあっちゃダメだ)
足の速い工藤相手に完璧な流れを意識する丸井。
その間に3塁ランナーはホームベースを踏む。
工藤の足と1塁への送球はほぼ同時のタイミング!
もし1塁がセーフならホームインが認められて同点となるが……、
「アウトアウト!」
1塁塁審のコールが響く。
ゲッツー完成でスリーアウト。
ここで第31話が終了となります。
青葉学院時代最後の試合を彷彿させる佐野の執念だが、さすがにバッターボックスに立つ事はできず。
佐野の打席を見たかったけど、このあたりは『キャプテン』で見たシーンの再現が優先された形でしょうか。
そして今回の大半を占めた谷口とイガラシの会話シーン。
読んでいて私も
「そんなにのんびり話していていいのかw」
なんて思ったけど、熱が入ると周りが見えなくなる谷口らしいシーンでもありました。
この意図せぬジラシの犠牲者となった工藤は高校最後の打席ということで気合いが入っていただけにちょっと気の毒だったかな……。
でもそれも含めての実力ということでしょうか。
東実、そして佐野相手としてはなんとなくあっけない幕切れにも思えますがまずは初戦突破ですね。
イガラシには落ちるシュートというキメ球があるんですけどねぇ。それが描かれていないのが何故かな?って思いました。イガラシは野球センスから言えば谷口、丸井よりも上という設定でしたし、確かにイガラシは体格は小さいですが、墨二の猛特訓を3年間も続けて全国制覇もしたんですから、墨高でも新入生の中では圧倒的な存在であってほしかったなぁ。
でも、これからはイガラシが体力的なハンデを乗り越え、墨高のエースとして甲子園のマウンドに立つ。そんなシーンも想像出来ますね。だけど、ちばあきお先生なら、墨高を甲子園には行かせないかなぁ。今後どうなるか楽しみです^_^
モウちゃんは知らなかったので、何度もキャプテンを読み直して
「どこで登場したっけ」
なんて探してしまいましたw
読んでみたいんだけど売ってないんですよねぇ……。
イガラシって墨二入学からキャプテンとして全国制覇を成し遂げるまでのイメージが強すぎて、どうしてもプレイボール2では井口と比較される立場で描かれているので物足りなく感じてしまいます。
でも、ここから体格差などからくる体力面のハンデをどう克服していくのかも楽しみですね~。
その違和感も含めて楽しんでいます
元々千葉あきおさんは、1コマ1コマに全神経を注ぎ込む様な作画をしていたと聞いていますので、そこまでの再現は期待していませんし、不可能だと思います
それよりも、キャプテンとプレイボールのオリジナルの終盤の作画の乱れがものすごく気になっていましたので、そこと比較したら文句のつけようがないくらいに頑張って書いておられると感じています
まだまだ楽しみにしています
千葉あきおさんが、「甲子園委行く谷口や、プロを目指す谷口の姿も描いてみたい」と、オリジナルのどこかの巻の巻末に書いてありましたので、どこまで行くのかも楽しみです
ちなみにオリジナルは全巻持っていますが、子供も夢中になって読んでましたので、不滅の野球漫画である事は間違いないと思います
私の中では、サンダーバードと同じ位置付けで、親子3代に渡って夢中になれる漫画です
以上、還暦過ぎのオヤジでした
コメントありがとうございます!
確かに違う先生が描かれる以上、全てにおいて違和感なく描くというのは無理な注文かもしれませんね。
そもそももう絶対に読めないと思っていたプレイボールの続きが読めるだけでも満足!
今の時代だとこうしてファン同士で語れるのも楽しみの一つだと思います。
年代関係なく楽しめるというのはファンとしては嬉しくなっちゃいますねw
違和感ありますが、2では谷口、丸井がいてイガラシの立ち位置があいまいになっていますから、この試合での谷口のアドバイスを受けて次戦以降に成長していくんですかね。
普通なら中学で全国制覇したスーパー1年生ということになるんでしょうけど、これまでは半ちゃん以下の扱いです。1で高校野球にはまだ体力的についていくのは難しいかもいう位置付けになったのと、井口の成長物語を優先させたからしょうがないんでしょうけど。
コメントありがとうございます!
そういえば現在の2年生が入部したての新入生の頃、中学野球でならした彼らの動きを「思ったよりぎこちない」と言った当時3年生の山本たちに、
「そりゃかいかぶりすぎってもんでしょ。なんせやつらは中学を卒業したばかりなんですよ」
という倉橋の台詞がありましたね。
みなさんは名門の東実や川北と戦ってきたプレイヤーなのだからと。
実力という部分ではそのあたりの差を考慮しているのかなぁ。
もっともイガラシの場合は台詞など、キャラクターという部分が安定していない感はありますが……。
皆様、厳しい意見ですね。数十年経って続編読めるのはありがたいです。
ただ半田君のスタメンはちょっと。
打ち切りにならないようコミックは買うようにしていますw
隔週で忘れやすいのでHIROさんの感想はありがたいです。
1試合10話5ヶ月・・・そんなものかな。
聖陵といえばあのキャッチャーですが3年だったので、もう別チームですね。
個人的に言えば、墨谷の戦力を紹介しつつ圧勝してほしいものですが。
こちらこそ読みにくい部分も多々あるであろう感想を読んでいただき恐縮です。
私も現在コミックは全巻購入していますw
聖陵はあのキャプテンだった西田が抜けてどんなチームになっているのかも気になりますね。
控えピッチャーだった木戸が案外たくましく成長していたり……。
私も違和感ありありというスタンスは払拭できない派ではありますが、「工藤」をきちんと打席に送ったところは、プレイボールをきちんと踏襲していて、好感が持てました。原作のベンチからの声を拾っておられましたね。そういった意味で、墨高の1年生はすべて名前もキャラクタもきちんと描いて欲しいところですね。
ただ、試合になると興味津々に読んでしまいますので、今後どのように勝ち進むか(勝ち進まないと終わりというと身もふたもないですが)はとても楽しみですね。
谷口のフォークに磨きがかかるエピソードを入れておくと、抑えとして説得力が湧くんですけどね。シュートではなく、再度フォークで東実を苦しめてほしいところでした。惜しいところです。勿論、先発して欲しいのですが、原作を一歩進める意味で、投手谷口の成長も見たかったですね。ひょっとしたら今後そういう場面が出てくるかもしれないですが。
読んでいて「ん?」と思う部分はどうしても出てきてしまいますねぇ。
でもHIDEさん同様、今後の試合がどのように描かれていくのかは楽しみです!
キャプテンのシーンを再現と言うよりはコピーに過ぎなかったのではないでしょうか?
構図もやり取りもそのままでしょう。青葉監督を東実監督に書き換えただけに過ぎません。
また、熱が入った谷口だとしても、再三注意されているのに尚続けるのは谷口の礼儀正しさという別の面での性格上違和感が強かったです。イガラシも頭が良い筈なのに、あそこまで説明を受けねば理解できないのは到底考えられない性格に描かれ、古くからのファンとしては心外でなりません。
雑な野球描写の連続に辟易としています。作者は本当にプレイボールを愛していたのだろうか、疑問を覚えるほどの最近のキャプテン化ぶりです。
ふと立ち寄りましたが、気になりましたのでコメントを残させて頂きました。
失礼致します。
コメントありがとうございます!
色々な感想がこういう形で聞けるというのはありがたいです。
確かに佐野が倒れてから監督の平手打ち~佐野が目を覚まして慌ててバッターボックスへ……の部分は、流れから構図まで『キャプテン』のままでしたね。
イガラシに関しては墨谷二中のキャプテン時代を見ていると、今回に限らず「らしくないな」と思う描写が目立つような気はします。
谷口や丸井の後輩という部分を強調しすぎてるかな。
読者に説明がましかったですね。試合中は速いシュートを放る、見てろでよかったような。それにしても最近はシュート放るピッチャーをあまり見ないですね。カーブもそうか。
おっしゃるとおりあの場面は簡潔に描いた方がテンポ良かったような気はしますね~。
今回は話の大半が説明で終わりましたし……。
一時期からカーブやシュートではなくフォーク主体の投手が増えたかな?