Nintendo Switch「オクトパストラベラー」の感想です。
8人の主人公から1人を選んで物語を進めて行くロールプレイングゲーム。
HD-2Dによって描かれた2Dドット時代を彷彿させるグラフィックが特徴で、昨今のゲームでは当たり前となったCGムービーによる派手な演出はない。
OPHILIA (オフィーリア)
CYRUS (サイラス)
TRESSA (トレサ)
OLBERIC (オルベリク)
PRIMROSE(プリムロゼ)
ALFYN (アーフェン)
THERION (テリオン)
HAANIT (ハンイット)
それぞれ名前の頭文字からタイトルにもある「OCTOPATH(オクトパス)」と付けられたとか。
彼らには固有ジョブが設定されており、それぞれが違ったフィールドスキルを使用できる。
ストーリーやサブストーリーを進める上でも非常に重要な要素の1つ。
選択する主人公は1人だが、他のキャラも全員仲間にできて、必要に応じて酒場で入れ替えが可能。
また、全員分の物語を1プレイで楽しめるよう作られているのはありがたい。
だからと言って必ずしも全員のシナリオをクリアする必要はなく、最初に選んだ主人公のみ進めてもいいし好きなキャラだけ進めてもいい。
そのあたりはプレイヤーの自由。
メインストーリー部分で描かれるのは基本的にそのキャラクターのみで、仲間との会話や絡みなどは一切描かれない。
人によってはもっと仲間同士の絡みも見たいという人もいそうだが、今作のテンポを考えた場合に私はこの形で正解だったと思う。
そして、そういった仲間描写の補完を行う意味で用意されているのが、特定の組み合わせや場所で発生するパーティチャット。
ストーリーに関した会話もあれば、あまり関係ない主人公たちの意外な一面が見れる会話もある。
数も結構用意されていそうなのだが、場所や発生時期の問題も含めると全てを見るのは大変そう。
ゲームの流れは各キャラごとに全四章に区切られており、行く先々で発生する問題を解決して次の章へ進むといった流れ。
・どの場所でどのキャラのストーリーが進行するのか
・推奨レベルはいくつなのか
といった情報を表示してくれるので、好きなタイミングで好きなキャラのストーリーを進めてOK。
章によって行動範囲が制限される事はなく(第一章除く)、基本的には世界の好きな場所に序盤から行けるようになっている。
また、一度訪れた町へはファストトラベルが可能で、ストレスのない遊び方ができる。
各町やフィールド上ではサブストーリーも発生。
各キャラの固有スキルを活かした内容のものが多い。
とりあえず受注しておいてあとでまとめてクリアという形でもOK。
私はそうしました。
ジョブ変更
各祠を訪ねる事でキャラごとに設定された固定ジョブとは別にバトルジョブの設定が可能となる。
ジョブ装備を行うことで使用可能武器やアビリティの増加といった、バトルを優位に進めやすくなる。
ただし、同じジョブを複数人に装備させるのは不可能。
アビリティ
各ジョブでは、バトルで入手できるJPを使用してアビリティとサポートアビリティを習得できる。
いずれも習得できるアビリティはジョブによって異なり、アビリティはそのジョブを装備していないと使用不可だが、サポートアビリティは装着する事で他のジョブになっても効果を発揮。
最大4つのサポートアビリティを自由に組み合わせる事ができる。
PT構成や戦う相手によって付け替えると便利。
バトルはランダムエンカウントのコマンド形式(ダッシュ中はエンカウント率が上昇)。
敵の弱点を突く事でブレイク状態にすれば、気絶状態にできるだけでなく防御力も大幅にダウンさせられる。
そして1ターンごとに貯まるBPを使用してのアタックで大ダメージ。
これがバトルの基本的な流れとなる。
まずは相手の弱点を知ることが大事。
ネット上でバトルスピードを倍速にして欲しいという声も見られるが、私としては今のスピードでも十分テンポはいいと感じた。
こちらはボスバトル。
流れは雑魚戦と同じだが、他の雑魚よりも大きく描かれたボスキャラに懐かしさを感じる人も多いはず。
2D世界で必要なのって理屈じゃないんだよなぁと思う。
・ダンジョンがただの迷路
どのダンジョンも迷路としての役割は果たしているのだが、これといった仕掛けなどが一切ない。
ゲーム全体のテンポを考えるとこの方が遊びやすいが、ボスへたどり着くまでの通り道の役割しか果たしていないのは味気ないとも感じてしまう。
・宝箱関係
紫色の宝箱はテリオンしか開ける事ができないため、これらの回収をしようとすると実質テリオンをはずす事ができない。
テリオンにはこの独自能力がなくても「盗む」という超有能な固有スキルがあるので、せめて紫箱は盗賊ジョブのサポートアビリティで開けられるようにして欲しかった。
あと同じく宝箱関係になるが中身が嬉しくない。
各マップにおいていくつも宝箱は配置されているが、そのほとんどが回復系アイテムばかり。
装備品などはトレサの「買取り」やテリオンの「盗む」で手に入るにしても、この
「宝箱を見つけたのに嬉しくない」
てのは、バージョン1時代の『DQX』を思い出したな……。
「昔ながらのグラフィックのゲームを今の遊びやすさでプレイ」
古いゲームファンにとっては一番理想ともいえる形のRPGを遊ばせてくれる今作。
正直なところ、SFC世代にアピールするためにガワだけをそれっぽく見せたゲームくらいではないかと思っていたのだが、実際にプレイして細部までかなり丁寧に作られているのがわかる。
そして、現代の3Dグラフィックによる実写のような世界と演出もいいが、心に響く台詞やシーンに3Dも2Dも関係ないなとあらためて感じさせられた。
一方でキャラ同士の掛け合いやダンジョン関係の物足りなさもあるにはあるのだが、それらをできる限り排除したからこその今作のテンポである事を考えると、次回作以降このシリーズがどのような方向性へ舵取りをしていくのかも非常に気になるところ。
何はともあれ新規タイトルとして基本部分がまずしっかり丁寧に作られたという事が大きい。
ちょっとした時間でチビチビ進めるお手軽さも含め、Switch向きの非常に満足度が高い1作です。
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