第101話「精神の野球! 心の野球! の巻」の感想です。
ネタバレ含むのでご注意!


信州学園戦。
2回終わって6対0と墨谷が大きくリード。
スタンドで
「まさかまさかの”3試合め”あるぞ」
と話す田所と倉橋。
対する信州学園側はスタンドの応援団も、テレビで見守る地元民たちも諦めムードが漂う。
そんな中、監督の
「よし。元気出して行けよ!」
との言葉に3回の守備につく信州学園選手たち。
照明が灯り、すでに完全なナイター状態。

この回墨谷の攻撃は7番の久保から。
初球。
(外れてる)
と、見逃した球はストライクの判定。
2球目。
(これも外れてる!)
と、見逃すがこれもストライクを取られて2ストライク。
(ストライクゾーンが広がり始めたかな?)
そう感じる久保と、ここまでの2球をストライク取ってくれたことで、
(際どいとこ攻められる)
と、強気を見せるピッチャー住友。
3球目。
(これも際どい! 見逃したらストライクとコールされる!)
打ちづらいボールに手を出してしまった久保。
セカンドゴロとなり1アウト。
その様子を見ていた谷口が戻って来た久保に、ストライクゾーンが広く感じた事を確認。
「そうか。やはりこれはこの前と同じ展開になっていくかもしれんな」
「両チームに点が入りづらくなり、ポンポンと試合が進んで行く……」

8番島田はセンターフライ。
9番鈴木はセカンドフライに倒れて3アウト。
この回は3人で攻撃が終わった。

そして谷口の読みどおり、ストライクゾーンが広がった事で試合はテンポアップ。
3回以降は両チーム得点がないまま進む。
「た、谷口……」
「どうなってる…?」

この状況の説明を求める部長。
「向こうも打てませんがコッチも打てなくなっちまいました。試合はやはり膠着化しました」
「この試合はこのまま行くでしょう」

そう答える谷口に部長は現在の点差を確認し、
「もう安心して見てられるんだな?」
と、問いかけ、
「どうぞ」
と、谷口も答える。
そして3試合も
「たぶん……あります」
と話す。
この状況をスタンドから見守る田所は、父ちゃんが寄付した50万円に、3回戦のためにもう50万行くと考え、
(大丈夫なのかウチの家計…)
と、心配し、倉橋もまた、
(も~新幹線代ムリ! 3回戦は来れない)
と、涙を浮かべるも、
「でもとにかく今は幸せ!」
「人生で最高の幸せ!」
「この幸せを噛みしめるぞ~~~!」

と、すでに勝利したかのような喜びよう。

その後も試合は動くことなく、6対0のまま7回を終了。
3回から7回までにかかった時間はたった30分。
この早さに甲子園の係員も満足気。

信州学園監督は、誰もがこの試合の結末を悟っているとしながらも、
(創部66年。春・夏合わせて36回出場うち優勝1回の伝統は何人も犯せん)
(対して墨谷高校は……たまたまいい選手が集まってきたからなんだろう…。”奇跡の甲子園初出場”!)
(”伝統”と”奇跡”じゃ培ってきたものが違う! ”ポッと出の新人”じゃ持ち合わせていない精神力がある)
(そういう教育がされておる)

と考え、8回攻撃前に円陣を組ませると、ナインにこの試合諦めていない事を確認。
「よし。じゃあ歌え!「信濃の国」を」
と、長野県民ならほとんどが歌えると言われる県歌を歌わせようとする。
今、ここで歌う事に戸惑いを隠せない選手たち。
「ただし、今ここで歌うということはそれなりの精神力が必要とされるが…」
「ナイターの関係……TV中継の関係…。今色々と急かされとるのはわかるよな」

と、監督が言うと、選手たちは迷いを見せながらも信濃の国を歌い始めた。
「信州学園ハリーアップ!」
それを見た審判が何度も急かすが、選手たちはそれを無視して歌い続ける。

1番を歌い終えたところで、ようやくこの回先頭打者の7番宮下が打席に入った。
(今なにか歌をうたってなかった?)
不思議そうなマウンド上の松川。
初球。
宮下が見逃してストライク。
2球目。
打ちに来た宮下の打球はサード鈴木のグラブを弾きレフト前のヒットとなる。
ノーアウト1塁。
打席には8番伊藤。
点差を考えて送りバントはないと判断するバッテリー。
初球から伊藤が打って出る。
打球はサード正面のゴロとなり、ダブルプレーを狙いに行くが、思った以上の打球の速さに鈴木がボールを捕り損なう。
2塁は間に合わないので1塁へ送球するが、伊藤がヘッドスライディングしてこちらもセーフ。
ノーアウト1・2塁となった。

その様子に谷口の表情が強張る。

ここで第101話が終了となります。

感想

前回の流れ的に今回で決まるかと思っていたけど、ここに来て信州学園の反撃。
信州学園の監督が思っていたよりも冷静というか、県歌で選手たちの気持ちを落ち着かせたあたりが伝統の力なんでしょうか。
8回は信州学園に流れが傾いているようですがどうなりますか。

次回は、
万全の男がマウンドへ!
『勝負は下駄を履くまでは…』の巻。
墨谷がこのピンチを凌ぐか。
それとも信州学園が猛追するのか。

関連リンク

・第97話「ハリーアップの巻」
・第98話「客観的に考えればの巻」
・第99話「県民の想いの巻」
・第100話「TVを消した県民の巻」
・第101話「精神の野球! 心の野球! の巻」
・「キャプテン2/プレイボール2」感想ページ
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14 Thoughts on “「キャプテン2」第101話感想

  1.  hiroさん、あけましておめでとうございます! 今回も丁寧で分かりやすいレビュー、感謝致します。

     とりわけ甲子園編に入ってから顕著なのですが、球場係員といい、点差が付いた終盤の可変ストライクゾーンといい、どうも墨高は”外的要因”とばかり戦っている印象があります。もう少し、ちゃんと「対戦相手」と戦って欲しいのですが、これもコージィ先生の”色”なので、仕方ないですね……。

     「信濃の国」の歌については、学生時代に読んだ”信濃を舞台とした推理小説”で聞きかじった覚えがあります(ズバリ『「信濃の国」殺人事件』という題名です・笑)。地元の歌を歌って勇気を奮い立たせるというのは、郷土色の強い高校野球ならではの展開で、胸が熱くなりますね。

     私の方も小説をどんどん書き進めていきたいのですが、昨年末からちょっと体調を崩し気味で、更新が滞りがちです(汗)。hiroさんも、お体には気を付けて。
     今年もhiroさんのレビューを楽しみにしていますね!

    • 記憶さん、あけましておめでとうございます!
      こちらこそいつもコメントいただきありがとうございます~。

      言われてみると一回戦もここまで二回戦も、そこ(外的要因)が結果に直結する展開ですよねぇ。
      あのまま大山ともガチで試合続けていたらどうなったかも知りたかったですし……。

      恥ずかしながら私は信濃の国は知らなかったのですが、今回の信州学園戦は地元愛が色濃く出ているなぁと感じます。

      この年末年始は私の周囲でも体調崩された方が多くいらっしゃるようで、まだまだ寒い日が続きますからどうかご無理なさいませんように……。
      私も記憶さんの小説、今年も楽しみに読ませていただきます!

  2. 清貧一郎 on 2025年1月12日 at 9:11 AM said:

    こんにちは
    試合もつれてきましたね
    次回の話の予告「万全の男がマウンドへ!」とあるので、リリーフ投手の登場なのですが、イガラシの登板でしょうか
    次回以降の試合の展開が楽しみです

    • 清貧一郎さん、こんにちは!

      このまま一方的な展開で終わるかと思っていたけど、信州学園の反撃始まりました。
      流れが傾きつつあるとこで、次回万全の男となると……イガラシ期待したいですね~。

      ここからもうひと波乱あるのかなぁ。

  3. 匿名 on 2025年1月8日 at 9:34 PM said:

    試合中に合唱はアニメ版キャプテンでもやっていました。しかし倉橋はもう新幹線に乗れないんですね。近くに雑魚寝で泊まる場所を見つけるか夜行バスを利用できればいいんですが…余談ですが当時連載されていたこち亀では夏に砂浜で毛布を敷いて寝ていました。

    • そういえばアニメ版で歌っていましたね~。
      ベンチから丸井がやって来て歌い始めてみんなも歌うってシーンでしたか。

      倉橋は勉強の問題や墨谷がここまで勝ち残ると思っていなかったんでしょうけど、こんな事ならほんとこっちで泊まるとこ見つけた方が安上がりだったっぽいですねw

      こち亀聞くだけでそのシーンがなんとなく思い浮かびますw

  4. しん on 2025年1月8日 at 5:44 PM said:

    いつもありがとうございます。今年もよろしくお願いします。
    また松川に打ち込まれる役回りがまわってくるのでしょうか。。
    奇跡の初出場墨谷。奇跡という言葉で片付けられるチームではないでしょう。あの当時強豪といえどほとんど投手は1人で予選から甲子園といわゆるエースで4番タイプが多かったように思います。
    浪商牛島、早実荒木大輔、その後に続く80年代も池田の水野、PL桑田などエースが1人ずっと投げ抜くというイメージでした。エースが凄過ぎて控えピッチャーは多くても2人くらいだったのでは。
    しかも明らかにレベルの落ちる。
    しかし今の墨谷は他のポジションも守れての投手4人ですからね。
    実力にそれぞれ明らかな差がない4人!も、いるってのは凄いチームですよ。
    もう優勝してもらいましょうw

    • こちらこそ今年もよろしくお願いします!

      試合の雲行きは怪しくなってきましたよねぇ……。
      でもおっしゃるように今の墨谷は奇跡で語るようなチームメンバーではないと思います。
      そもそも奇跡で川北や谷原相手に圧勝できるほど甘くはないでしょうからね~。
      この後もおさえてその実力を信州学園の監督に示して欲しいです!

  5. あまじん on 2025年1月8日 at 3:29 PM said:

    いつもありがとうございます。 今年もよろしくお願いします。 信州学園戦は同点までもつれ延長戦となるが、代打近藤が決勝打、最後はマウンドにも立ち、ナイターで一層速く見える快速球で連続三振の快投を魅せる。  ということでどうでしょう。

    • こちらこそ今年もよろしくお願いします!

      私は今回で決着だと思っていたので信州学園の粘りに驚かされましたw
      簡単には終わりそうにないし、あまじんさんの予想どおりもつれそうな感じですかね~……。
      そうなった時に近藤が活躍するパターンはありそうだなぁ。

  6. 中ラマ on 2025年1月8日 at 1:05 PM said:

    いつも楽しみにしております。

    序盤の得点で墨谷楽勝かと思ってましたが終盤に来て信州の思わぬ反撃。しかも次回が「勝負は下駄を履くまでは」でしょ。暗雲が立ち込めて来ましたね。

    ピッチャーの替え時ではと思ったりしてます。

    松川の球は速くて重いのですが、球筋が素直なので慣れれば打たれやすい(以前、倉橋が言っていた)ので、目先を変えて多彩な変化球を持つイガラシなんてどうですかね。

    あぁ、ちょっと心配になってきました。

    • こちらこそいつもありがとうございます!

      私も前回読み終えた時はこのまま終わるかと思っていたんですけどねぇ。
      谷口含めて三回戦を意識し始めたところでまさかの……って展開もあるのかな……。

  7. にしなさとる on 2025年1月8日 at 9:14 AM said:

    信州学園監督の考察、微妙に的を外していますね。
    墨谷高校が甲子園に出たのは、たまたまいい選手が集まって来たからじゃない。谷口隆夫という、傑出したリーダーがいたからなんだということに、気づいていない。
    彼が選手としてはともかく、チームリーダーとしては天才的な人物であり、だからこそチームが強くなり、いい選手が集まったのだということに、気づいていない。
    墨谷二中も墨谷高校も、彼がやって来てから急激に強くなったことを知っていれば、気づいたでしょうに。

    • 確かに谷口の事には全然触れていませんでしたしねぇ……。
      大山の監督は慌てて墨谷の情報集めていたけど、信州学園の監督は聞いた話だけで判断していそうな感じかなぁ。

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