第94話「上級生のプレッシャーを背負ってくれたの巻」の感想です。
ネタバレ含むのでご注意!


大山高校戦。
0対0で迎えた5回表。
ついに大山が先制して、なおもノーアウト2塁。
試合前日、谷口と倉部監督との間に、
『2塁ランナーからのサイン伝達はやめよう』
という約束になっていたはずだが、2塁ランナーがいる場面での大山打者のバッティングにサイン伝達を疑い始める墨谷ナイン。
井口ははっきり
「サインは送られていると思いますね」
と断言し、対策として逆のコースにミットを構えるという。
その提案に難色を示す近藤。
そしてイガラシは、2塁ランナーからのサイン送りはどのチームもやっており、それで得点確率が上がるわけではけっしてないとし、ここは気にしてペースを乱すのは得策ではないと話す。
それぞれの意見を聞いた丸井は、谷口の
「マイペースにやれ」
という言葉もあるし、逆コースへのミット構えは近藤も投げづらかろうとして、このまま2塁ランナーは無視でいこうと指示。

打席には3番鳥羽。
(そうかもな。色々とやるのは1年の近藤を惑わしちまう)
と考える井口。
(やはりミットめがけておもいっきり投げたい)
と思う近藤。
初球。
外角への球を鳥羽は一歩踏み込んでライト方向へ大きな当たりを飛ばす。
ライト久保が懸命にバックしてジャンプするが、グラブに当ててはじき落とすのが精いっぱい。
急いで捕球した久保から中継にボールが戻ってくる。
その間に2塁ランナーはサードを回ってホームイン。
打った鳥羽は3塁へ向かおうとするが慌てて2塁へ戻る。
1点追加されて、なおもノーアウト2塁。

再びマウンドに集まる墨谷内野陣。
「今のバッターの走塁…。3塁に行けたのにわざと2塁で止まったようにも見えた」
(2塁からサインを送るために……)

そう話す井口。
「止まったんでしょうね」
ベンチの半田もそう口にする。
だが谷口は
「送ってる送ってないは関係ないな」
「近藤は疲れている」
「無理もない。この間高校に入ってきたばかりの子がこんな舞台で闘ってるんだ」

と言い、ここでピッチャーを近藤から井口に交代。
キャッチャーに萩原を入れる。
ベンチに戻った近藤を
「ここまで良く投げてくれた」
と労う谷口。
近藤は
「お役に立てなくて…」
と返すが谷口は、
「違うんだ。君は先輩ピッチャーみんなのプレッシャーを背負ってくれたんだ」
と語った。
ノーアウト2塁。
これ以上追加点は許したくない場面での登板となった井口だが、
「緊張なんてしてる場合じゃないぞ! エンジン全開で行く!」
と言い、イガラシや松川もいつ出番が来ても準備万端と気合いを入れる。

そんな井口の投球練習を見つめる大山ベンチ。
「井口クンの本来の姿」
「近藤クンより速いな。そして左…。いかにも打ちづらそう」
「墨谷のピッチャーは豊富だ。ここから果たして何点取れるか…?」

倉部監督が口にする。
一方、墨谷ベンチ。
「さすが”春”も来てるだけのことはあるな。徐々に自分達のペースに巻き込んでいく」
「あとやっぱり…勝ちへの執念がすごいですね」

と、谷口と半田が大山を評価。
「そうだな。そうなんだろうな
谷口は前日倉部監督とした2塁からのサイン送りをやめようと言う会話を思い出し、
「くくく。でも甲子園って面白いな」
「ありがたいことだよ。これで野球が……もっともっと楽しめる」

と、追いつめられた様子もなく不敵に笑って見せた。

そして2塁ランナーがいる間はノーサインで行こうと決めた井口と萩原のバッテリー。
打席には4番長内。
初球。
外へのストレートを空振り。
2球目のストレートも空振り。
3球目の変化球を引っかけてショートゴロ。
微妙なイレギュラーがある甲子園グラウンド状態もしっかり頭に入れつつ、ボールをよく見て処理するショートイガラシ。
2塁ランナーは進塁できず1アウト2塁。
5番橋上も初球引っかけてサードゴロ。
6番成田をセカンドゴロに打ち取って3アウトチェンジとなった。

井口に代わって内野ゴロ3つで攻撃終了となった大山。
「むむ」
思わず唸る倉部監督。
そして
「大山のバッターはコースでも教えてもらわない限りゴロしか打てない」
「これを”徹底”と呼ぶのか? ”バカのひとつ覚え”と呼ぶのか?」

と話す半田。

ここで第94話が終了となります。

感想

2塁ランナーからのサイン送りを確信した墨谷ですが、あくまでマイペースを崩さない野球を徹底。
5回2失点でランナーを背負ったまま降板という結果は近藤にとっては不本意かもしれないけど、谷口にとってはかけた言葉通りの大きな意味を持つピッチングだったんでしょうね。

次回、
”あの提案”が功を奏したのか?『目が慣れる頃』
この後の墨谷の攻撃に期待です。

関連リンク

・第90話「神宮とは違うの巻」
・第91話「ランナーセカンの巻」
・第92話「第4試合で良かったの巻」
・第93話「3度めの対決の巻」
・第94話「上級生のプレッシャーを背負ってくれたの巻」
・「キャプテン2/プレイボール2」感想ページ
・「キャプテン」連載開始50周年記念特集ページ

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16 Thoughts on “「キャプテン2」第94話感想

  1. トモパパ on 2024年10月15日 at 5:59 AM said:

    ずっと連載を拝見し、同時にhiroさんのこのコラムを拝見しています。
    連載当初から賛否もありましたが私は単純に何十年ぶりの再開を楽しんでいますが、甲子園出場が決まってから、読者としても燃え尽きてしまったのか?、ちょっとしんどくなってきました。
    特にこの会の2塁ランナーからのサイン送りは当時は当たり前でちば先生の描く作品中にもしばしば登場したこととはいえ、今の世代の若者には理解し難い描写ではないのかな、と。
    せっかくなら新しい読者も惹きつけるような描き方にして欲しいのですが、難しいですかね。

    • コメントならびに記事見ていただいてありがとうございます!
      どうしても違う作者さんでの再開という事で人によって感想も様々あるようですが、私はやはり懐かしさが勝って楽しんでいます。

      当時と今での違いなど色々難しい部分はあるけど、トモパパさんのおっしゃるように新しい読者も惹きつけて、さらにファン増えて欲しいなとは思うんですよねぇ。
      昔からのファンも納得させつつ今の人にも受け入れられやすい……。
      やっぱり難しいのかなぁ。

  2. イガラシのラーメン on 2024年9月25日 at 12:59 PM said:

    やはり大山高は取り決め反故で何らかのジェスチャーでサイン送りやってましたね。
    しかし監督の谷口がそれに動じず「くくく、でも甲子園って面白いな」と余裕の発言で、
    ここに来て谷口も大分監督としての貫禄がついてきたようなそんな感じも受けました。
    内野陣も荒れたグランドでの守備に慣れてきたようですしここからの墨谷の反撃に期待です!

    • 先制されてなおもピンチの中で谷口監督のそのセリフはすごく頼もしく感じました!
      そしてこの状況でナインが慌ててないのも安心して見ていられますね~。

  3. 匿名 on 2024年9月20日 at 8:29 AM said:

    谷口が2年の時の大島工業戦だったかな?
    サイン送りでヤマをはる相手にノーサインで仕留めてましたね。

    大山高はコースわからないとゴロしか打てない、
    と言ってましたが、
    初見で当ててますよね。

    中学時代の井口が投げた球種がわかっただけで久保はイガラシに褒められてたのに(笑)

    • そういえばありましたね~。
      大山はなんだかんだ言ってもやはり甲子園二度も出場している強豪なだけはあるかなぁって感じがします。

  4. いつもありがとうございます。

    イガラシキャプテン時代の全国大会初戦の対白新中学のように、
    前半苦戦するも、後半フルボッコ…みたいな試合になると予想しております。

    • こちらこそありがとうございます!
      白新中戦も終盤まで苦戦したけど、相手投手攻略してからは白新監督の自滅もあって一気に畳みかけましたね~。
      今回も大山戦もそうなりそうな気配はあるけど、倉部監督まだ何か企んでいる気も……。
      心配しすぎかなw

  5. にしなさとる on 2024年9月18日 at 9:41 PM said:

    ノーサインで大丈夫ということは、萩原は肩は弱いけどキャッチングは上手いんでしょうね。
    だからここで起用されたのかも。

    • そのための萩原起用っぽいですね~。
      井口からノーサインと言われても動揺した様子もなく
      「OK。わかってる」
      と平然としていましたし。
      なんとも頼もしさ感じさせられました。

  6. 中ラマ on 2024年9月18日 at 8:16 PM said:

    いつもありがとうございます。マンガ読んだあと、もう一度このサイトを読んで楽しんでいます。
    井口、登場しましたね。必殺ナチュラルシュートは投げませんでしたがすべて内野ゴロで打ち取りました。
    2点のビハインドくらい墨谷の強力打線ならだいじょうぶ。大量点が入るような気がしま
    す。せこい監督のいる大山にはスカっと勝ってほしいですね。

    • 中ラマさん。
      こちらこそありがとうございます!

      若干イヤな流れだったのを井口が3人でピシャリと抑えてくれたのは大きいですね~。
      墨谷は選手たちも落ち着いているし、あくまでも自分達の野球をやれば逆転も難しくはないかなぁ。

  7. 匿名 on 2024年9月18日 at 2:21 PM said:

    いやらしい戦い方をするチームだと過去には金成中がいましたが、2回とも力押しで撃破と谷口監督は搦め手に対しては小細工よりも普段通り戦うことを心がけているように見えますね。それにしても墨谷はあまり焦っていませんね。勝ち負けを気にしないというよりは負けるとは思ってないように見えますが…

    • 金成中確かに思い出しますね~。
      特に谷口キャプテン時代は最初ああだこうだと悩んだけど、結局は自分達の野球で勝利。
      その時と比べたらさすがに今回はどっしり構えている感じです。
      谷口監督の様子からはむしろ楽しんでる感じすらありますよねぇ。

  8. こんにちは。
    ずっと前から井口と近藤の球はどっちが速いんだろうって思ってましたが、そこはやはり先輩の井口のほうが速いんですね。
    スッキリしましたw
    速さの順でいうと井口、近藤、イガラシ、松川、谷口って勝手に予想。皆さんはどうでしょうか?

    • こんにちは~けんさん!
      スピードはさすがに先輩井口の方が速いんですね~。
      速さの順番だと私もけんさんと同じ予想かなぁ。

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