第22話「丸井派は少数派の巻」の感想です。
ネタバレ含むのでご注意!


野球という”男の世界”にリカとサチ子の存在は不要だから谷口に話して欲しいと丸井に頼んだイガラシだが、あっさり了解した丸井に驚く。
だが、丸井も同じことを考えていたらしく、キャプテンである自分が橋渡しをしなければいけないという。
「だがな。これもデモクラシーの時代だ…。1年は置いといたとしても、2~3年の意見を聞いてみてぇと思う」
その台詞に再び驚いたイガラシは
「バ…バカなんですか? あんた…」
と思わず言ってしまうが、
「なんだとーイガラシ!」
「いやスイマセン。口が滑りました」

怒った丸井に慌てて謝る。
丸井は中学野球ではなく高校野球部のキャプテンとして、昔みたいに強引には進められない事をわからせようとするが、それを聞いたイガラシが笑う。
こんな言い方をしていたらまるで自分ひとりが悪者だと。
丸井はイガラシが言うことはもっともだから悪者ではないと話すが、
「ヒガミなんですかねぇ?」
「谷口さん……あの人は2枚目だから予備校になんか行けば女も寄ってくるでしょうよ」
「でもこちとらは生来のサル顔。女にゃ縁のない人生でしてね…」

珍しく自分を卑下するイガラシ。
「お、おめぇだって予備校にさえ行けば…」
「かくゆうおれだってなオニギリ顔で女にゃ縁はねぇが…来年予備校に行ったら絶対モテると信じてるんだよ!」

丸井が必死に励ますが、
「浪人すること前提ですか?」
とイガラシに言われて一瞬言葉を失う。
「あたりめーだろ! おれがストレートで大学生になっちまったら谷口さんと同学年になっちまうだろ!」
その話を聞いたイガラシが今度はおかしそうに笑い始めた。
「すいませんね。カンジの悪い後輩に付きあわせちゃって……」
「いいってことよ! おめぇがカンジが悪いのは昔っからだからなーッ」

翌日。
昼休みに2、3年を部室に集めた丸井は、この極めて男臭い野球部の中に女が必要かどうかを聞いてみた。
女はいらないと思う方に挙手したのは、
イガラシ
久保
島田
加藤
井口
片瀬
の6人。
たった6人しかいない事に内心驚くイガラシ。
松川と鈴木からは何を言いたいかわかるとしながらも、
「あの人達はありがたい存在だよ」
「体を大きくするっつったって物理的にメシを炊いてくれる人がいないと…」

と言われ、丸井は
「わ、わかったよ…。変なことを聞いて悪かった」
と話し合いを終える。

「デ…デモクラシーをやったら結果はコレ…まさかの…」
ショックを受けた様子で廊下を歩く丸井に、イガラシが自分のせいでスイマセンでしたと謝り、この話は忘れて下さいと言って行ってしまう。
丸井もイガラシも多数決するまでもなくほぼ全員が賛同すると思っていたらしい。
だが、賛同したのは丸井派の6人のみ。
丸井派は少数派だとあらためて知らされる形となったが、
(だけど……だけど……おれはキャプテンだ。デモクラシーをそんなに頼りにしてていいものか??)
(キャプテンとして…まっとうな判断をしなきゃならねぇ時もあるんじゃねぇのか?!)
(この厳しさのみを追求する男だけの空間において…オンナがうろちょろしてたら緊張感がそがれるんだ!)
(谷口さんにおれが言わなきゃ!)

決心した丸井は部室で谷口に女不要論を伝える。
「ナマイキ言って本当にスイマセン!」
それを聞いた谷口は驚きながらも、
「よく行ってくれた丸井…」
「おれも同じことを考えてたのさ」
「こーゆーのはそぐわないな。ウチにとっては…」

といい、リカ達には自分の口からちゃんと言うと言って部室を出て行く。

翌日。
メシ炊きにやって来たリカとサチ子を校門前で待っていた谷口は、これからは食事の準備は部員たちだけでやると伝える。
「そ、それにウチの部……。女子にメシを作ってもらうって雰囲気じゃないんで……」
「ゴ、ゴメン」

それを聞いたリカ達は驚きつつも、自分達が浮いていることはわかっていたと話し、自分達がいることで部員の練習に影響を与えてしまうとしてそのまま帰って行った。
帰りの電車内で二人は雰囲気から察していたから驚きもなく、むしろ正直に言ってくれたことでどこかホッとしながらも残念さも感じさせる表情。
でも浪人生として勉強に集中するのだと自分達を奮い立たせる。
谷口には予備校に行けば会えると。

予備校で事の次第を松下に話す谷口。
そしてお花茶屋は案外鍛えられているのになんで公式戦で勝てないのかという話になる。
谷口が聞いた話だと、お花茶屋は進学校ということもあり部活の対外試合が月1回だけと決められているらしい。
谷口は墨谷もお金がないから遠くのチームと練習試合ができない事が悩みだといい、相手がこっちまで来てくれればいいけど、去年の秋に一回戦負けしているため強豪校と見なされてないからそれも無理だという。
最後に城東とも練習試合をしたいから松下に伝えてもらえるよう頼んで帰っていくのだった。

部室前で近藤の球を受ける井口。
それを見た丸井が声をかける。
井口の手には左用のキャッチャーミット。
なんと井口が近藤の球を受けるために自前で買ったのだという。
「コイツと遊んでるうちに本格的に受けてみたくなりましてね…」
「丸井さん。コイツはやっぱ並の1年じゃねぇ! もっと本格的に使って行ってもいいんじゃ?」

と進言した井口は、なんと近藤の女房役をやらせてもらえないかと直訴する。

一方、お花茶屋高校の校長室に呼ばれた杉本先生は、お花茶屋の卒業生で野球部OBの白樺を紹介される。
白樺は不動産業で成功した人物らしく、野球部に一千万円寄付したいという。
野球部が勝てないのは実戦を積めないからだとし、この一千万を使ってバンバン対外試合を組んで、バンバン地方遠征してもらいたいと。

予備校では講義中、隣りに座る谷口を見て、マネージャーはクビになったけど毎日谷口には会えると満足気なリカ。
そんな状況に
(それはそーと……よく考えると…なんでリカがいつも谷口の隣りなわけ? 別に席は決まってないのに…)
と思いながら見つめるサチ子の姿。
そして塾長室では講師が前回の模試の結果を塾長に見せていた。
谷口の成績が3500人中75位だったらしく、集英予備校の生徒にしてはかなりの期待株なのだという。
しかし谷口の志望校は国公立の一番学費の安い大学で、秀英予備校のカリキュラムでは対応していないらしい。
だったら小学館予備校に移せという塾長だが、谷口の家は貧乏でそんな学費は出せないのだと聞き、特例で学費据え置きでいいから小学館に移ってもらえと決断。
講師が早速谷口に話してみるという。

グラウンドで特守として谷口のノックを受ける丸井。
女のいない緊張感のある日常が戻ったが、中学時代にみんなからキャプテンを排斥された自分が今度は他人を排斥する側に回ったことに後味の悪さを感じていた。
「丸井。いいんだ。デモクラシーよりオマエの考えを通したこと…。そーゆーことだってあるさ」
「気にすんなよ…」

そんな丸井に半田、松川、鈴木が声をかけているシーンで第22話が終わります。

感想

デモクラシーを意識しながらも最後は自分の意志を通した丸井。
最後のシーンを見ると派閥とは言っても、互いに全く理解し合えないというわけではなく、今回の決断と行動によってまたその距離が縮んだ気はします。

一方でお花茶屋に思わぬ後援者出現によって、墨谷との対戦する日も近い感じになってきました。
そして墨谷の方もゴタゴタがある中で井口が近藤の捕手を志願。
まだ入部したばかりの一年生ながら、あの井口にここまで認めてもらえるってやっぱり近藤すごいな~と思いますね。

今回はそれぞれに動きがあった回でした。

関連リンク

・第18話「教えてやる! 弱点をの巻」
・第19話「研修! 谷口監督の巻」
・第20話「肉と米の巻」
・第21話「恋の嵐の予感の巻」
・第22話「丸井派は少数派の巻」
・「キャプテン2/プレイボール2」感想ページ

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18 Thoughts on “「キャプテン2」第22話感想

  1. 初めてコメントします。
    キャプテン2は本当に面白いです。
    校舎うらのイレブンのメンバー出てきたのには感動しました。笑
    谷口とリカとサチコの今後の行方が楽しみです。

    • はじめまして~。
      コメントありがとうございます!

      プレイボールがアニメ化された時やプレイボール2の連載決まった時も、子供の頃大好きだった作品をまた見ることができる事に嬉しいやら不思議やらの感覚を覚えましたが、今もキャプテン2を毎回読むたびにそんな新鮮な気分にさせられます。

      ちばあきお先生の他作品と登場人物が出てくるあたりはファンならではの喜びがありそうですね~。
      私は逆パターンでキャプテン2のあとで校舎うらのイレブンを読んだ形になりましたw

  2. ゅんゅん on 2021年11月7日 at 12:56 PM said:

    今回は色々と驚きましたね。
    イガラシや丸井が女にモテるモテないで語るとは、旧原作だったら絶対お目にしなかったであろうシーンですね。

    そして井口がまさかの捕手!?
    個人的にかつて井口の球を受けていたというイガラシがもしかしたらと予想していました。本人曰くすべてのポジションをやっていた経験もありますし。
    牧野もいますが1年にはまだ荷が重いかな?

    • まさか丸井とイガラシのそんなトークが聴けるとは思いませんでしたw
      特にイガラシはそういうの気にしないタイプだと思っていたので……。

      今の面子だとイガラシの捕手はアリだと思うんですが、そのあたり谷口の構想の中にはどうあったのか気になります。
      2年生になる頃には牧野が正捕手やるのか。
      それとも井口をそのまま捕手として牧野は控えなのか。
      色々想像してしまいますね~。

  3. ごんた on 2021年9月26日 at 7:53 PM said:

     予備校の生徒の異動とは初めて聞くね。いよいよ彼女達ともお別れですね。次回から元通りの野球生活に戻るのかな?そろそろ夏本番に向けて対策とらなきゃいけない頃だから、ポジションも井口が捕手やるなんて今更言ってるとこ見るとなんだか固定されてないようだね。よその強豪校は今頃は既に練習試合組んでチーム強化に励んでるだろうから墨谷もペースを上げていかないと、そう考えると五十嵐の主張も理解できるね。
     サル顔だとか三角のおむすび顔とかスポーツ選手にはあまり関係ないね。プロ野球選手はイケメンじゃなくとも綺麗な奥様もらってる人いっぱいいるし。そもそもモテ基準てなんなのさ。告白受けたかどうか?谷口には確かに女子が寄ってくるけど、実際告白はされてないんだよね。あれだと後から誤魔化しがきくんですよ。単なる男女の友情だとか、人助けだとかいくらでも言い換えがあるから。まあ直接女子が寄ってこなくとも、影で「あの人素敵」と思われてれば一応モテてるんじゃないの?ただそれだと証明できるものは何もないけど。

     話はそれたけど、お花茶屋の野球に対する力の入れようには目が離せないですね。「いづれ頭角を現すだろうよ。まだずっと先のこったろうが」この谷原の監督の名セリフを思い出す。去年の谷原と墨谷の関係が、今度は墨谷とお花茶屋になり墨谷は追われる立場ですか?夏の大会この学校に意外と苦戦したりしてね。楽しみです。

    • 谷原の時とは立場が逆っていうのはありそうですね~。
      今の墨谷はまだポジション関係も含めてチームがまとまっていないようですしそのあたりも影響出るかな?

      私もお花茶屋には意外と苦戦しそうだなぁと思っています。
      谷口から見ても思ったより鍛えられてるみたいだし、すぐではなくてもこれからさらに力つけてくるかも……。

  4. 野球以外のことはもっとサラッと描いて、
    本編も野球に集中して欲しいですね(笑)

    練習試合の相手がいない、
    と言いますが、
    それこそ川北なんて受けてくれるとおもうのですが…

    • やっぱり野球がメインなのでどうしてもそちらを期待しちゃいますからねw

      言われてみると川北は田淵さんに言えば喜んで試合組んでくれそうですよねぇ。
      秋に一回戦負けしたとは言っても今の墨高相手なら練習試合やりたいって学校は多そうにも思いますがどうなのかな~。

  5. ともパパ on 2021年9月15日 at 8:05 PM said:

    いつも楽しく拝見しています。
    私はヤンジャンのアプリで本作を読んでいますが、最近は先にこちらのサイトを拝見することが多く、実物を読まなくても情景が浮かんできて、hiroさんの文章力にいつも驚き、感動しています。
    (前回も浮かばなかったのはリカとサチ子のお父さんの顔くらいでした)

    さて、ストーリーが毎回野球、特に近藤の成長と谷口君の恋模様の二本立てで面白くなってきましたね。
    登場人物紹介も近藤が先頭だし実質この二人が主人公のようなものですし、そこに丸井、イガラシ、井口らがうまく溶け込んでいて本当に楽しくなってきましたね。
    私としては、田所先輩もプレイボール2でお役ご免とならずにまた登場してくれることを願っています。

    • コメントありがとうございます~。
      このような拙い文章をお褒めいただき大変励みになります!

      キャプテン2の墨高編は近藤と谷口をメインとして、丸井やイガラシといったキャプテン経験者を中心に展開していくのかなという感じになってきましたね~。
      私も田所さんがもうそろそろ出てくるのではないかと毎回出番待っていますw
      これから実戦が始まるとまた応援に来てくれたりしそうですよね。

  6. ベレーナ on 2021年9月15日 at 6:57 PM said:

    倉橋以外に変わりが聞かなかったのも要因ではあるので、教育係から女房役の井口さんというのもいいですよね。本質は我が強いのは変わらずと思いますがやはり谷口からチームプレイの大切さを教わったことが大きかったのではないでしょうか

    谷口も、リカ達の協力を断る時に「みんな喜ぶから試合の時には応援に来てくれない?」とか「料理作ってくれてありがとう」くらい言えてれば株が爆上がりだったのに、それを言えない不器用さもまた谷口ですね笑

    でもそろそろ牧野達の出番もあって欲しいです

    • 成長した部分もあるけど井口の本質は変わってはいないというのは思いますね~。
      そんな井口が教育して、その才能を認めた近藤の女房役を買って出るということは、近藤がどれだけ成長していくのか楽しみにさせられます。
      牧野たち墨二組や他の新入生の実力も早く見たいとこです。

      リカ達への断りはベレーナさんがおっしゃるように、あと一言を付け足せればよかったんでしょうね。
      でもほんとそういうとこが谷口なんでしょうけどw

  7. けん on 2021年9月15日 at 2:38 PM said:

    白樺って人はちばあきおさんの「気になるあの子」の桜子ちゃんのお父さんで、予備校の塾長は「ピーター三世」に登場する校長先生です。「気になるあの子」はちょっとキュンとくるお話です。
    どうやら墨高とお花茶屋高校との練習試合が実現しそうな流れですね。いよいよ近藤の実戦デビューかな?女房役に井口。近藤が投げる時だけの専属捕手かも知れないですね。

    • あの2人も別作品からの登場でしたか!
      これからもこういう起用は増えてきそうですね~。

      話の流れ的にお花茶屋との練習試合きそうですよね。
      実際に対戦したら手強そうな気がしてます。
      松下に頼んだ城東との練習試合も組まれるかな?
      今の城東ってもうどんなチームなのかも想像つかないですw

      今回の話見てると井口は近藤の時だけ捕手やりそうだなと思いました。
      それ以外の投手の時に誰が捕手やるかですねぇ……。

      • けん on 2021年9月15日 at 7:43 PM said:

        当時の1,000万円ってとてつもない金額ですよね。今でも凄いけど。それを野球部の強化費用に当てるんだとしたら凄いことになりそう。杉本先生もああ見えて熱血だし、強敵になりそうな予感がしますね。これは墨高のOBにも頑張ってもらわないと(笑)。
        「気になるあの子」って作品に、武と桜子ちゃんという2人の子供が出てるんですけど、この2人がその後どうなってるのか気になってたので是非登場して欲しいなって思います。コージィさんの描くキャプテン2は、登場人物の内面にスポットを当ててますよね。谷口、丸井、イガラシが本当はどういう人なのかも分かってきました。ちばあきおさんは過去の作品を含めてキャラクターの一人一人を本当に大切にしてたし、それをコージィさんが見事に表現されているように思います。そういう視点で見ていくと、キャプテン2これからも楽しみです^_^

        • 杉本先生ならあの1000万円を有効活用するための策も考えそうですからね~。
          予想外の強敵としてこれから墨谷のライバルになっていくのかなぁという感じがします。
          まさかお花茶屋がここまで絡んでくるとは思いませんでしたw

          確かにこれまで表に出てこなかった各人物の姿が見えてきましたね。
          今回のイガラシの告白とか意外でした。
          そういうの全く気にしない性格だと思っていたので……。

          今回はそれぞれが大きく動き始めた展開でしたけど、この先も他作品からの登場人物も含めて予想外の展開があるかも? と期待させられます!

  8. ベレーナ on 2021年9月15日 at 8:44 AM said:

    かえって気を遣いながら練習するよりも、今回のような形がみんな円満に済んでよかったかもしれませんね。

    井口のキャッチャーはまさかと思いましたが、体格も肩もいいので向いているかもしれないですね。

    谷口も努力の甲斐あって成績がますます上がりましたが、野球がそれなりに強い大学を狙ってもいいのに、やっぱりまだ父ちゃん達への負い目はあるんでしょうね

    • 色々ありつつも自然な形でチームがまとまりつつあるのかなぁという感じですね~。

      捕手井口を自分から買って出るとは思いませんでした。
      どっちかと言えば自分が投げたいタイプで、昔のイメージで我を通すタイプかなと思っていたけど、同じ投手だからこそ近藤の才能に惚れ込んだって感じなんでしょうかね。

      谷口はやっぱり勉強でも谷口でしたねw
      今回の特待生の話からどういう進路へ向かうのか。
      そっちも気になっています。

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