第90話「はあはあだほうのおそろしさの巻」の感想です。
ネタバレ含むのでご注意!


谷原戦9回表。
墨谷は5連打で4点差とし、なおもノーアウト満塁。
谷原の捕手佐々木が村井のもとへ駆け寄り、変化球のキレが悪いことをお互い確認。
まだ4点差があるのでストレートで締めようと決定する。

墨谷の次打者は島田。
谷口から
「村井の球威は間違いなく落ちてきている」
「体勢をかがめてボールの軌道に視線を近づける」

という指示を受けて打席へ。
『芯でコツコツと』
のバッティングで初球から振りにいくが、3塁線に転がった打球をサードがキャッチ。
それを見た2塁走者半田はヘッドスライディングし判定はセーフ。
内野安打となってついに点差は3点。
谷原のサードは今の打球は前に守っていればホームゲッツーできたのにと悔しそう。
ここでたまらず谷原監督も立ち上がり、バッテリーを呼び寄せる。
「まさか同じことをやり返されるとはな」
自分達がやった10連打に追いつく勢いの墨谷打線に、もはや余裕こいて下がったまま守っている場合ではないと、ホームゲッツー狙いの指示を与える。
そのためには100%ゴロを打たせるために低めしか投げるなと。

打席には9番戸室。
内野陣を前進させてのバックホーム態勢に、戸室も谷原が本気になった事を感じる。
初球。
低めギリギリのストレートを打ち返すと、前進守備の三遊間を抜けてレフト前ヒットとなり点差は2点。
この状況に谷原のマネージャー樋口は、
(いちいち守備位置の指示の裏に行ってしまっている)
(そしてそれもあるが…この9回に来て村井さんの球威の落ち方がひどい)

と感じていた。

そして打順は1番にかえって谷口。
ここで再び谷原監督がタイムをかけてバッテリーを呼ぶ。
ナインの反応を見るに、1イニングで2度もタイムをかけて呼ばれるのは珍しいらしい。
すいませんと謝る村井に対し監督は、
「私は今大会ピッチャーの起用方法を間違ったようだ」
「完投グセをつけなかった!」

と話す。
野田と村井の分業にこだわりすぎて、一番多く投げてひとり6イニングス。
さらに最初の方はコールド勝ちだったから、今大会初の9イニングスめでこんなにバテバテになるとは思わなかったらしい。
だが、
「谷原のエースとしては情けないぞ!」
「甲子園に行ったら今度こそ完投が待っている! あの炎天下でのな!」
と村井を叱咤し、ここは神宮ではなく甲子園だと頭を切り替えて投げるよう指示を与える。
守備も前進守備から中間守備へと切り替えさせて試合再開。
監督に言われたとおり、自分は炎天下の甲子園にいるのだと思い込もうとする村井。

試合を見守る田所は、この状況で4回目の打席が回った谷口の1番起用が結果的に当たったとし、1回表にこの谷口から始まった攻撃が電光石火で先発の野田を引きずり降ろして、それがめぐりめぐってエース村井の疲弊に辿りついているとし、
「だがな。腐っても天下の村井よ。たかだか9回投げたくらいでバテるわけねえんだ」
といい、村井を疲弊させているのは
「これも天下のハアハア打法よ」
と言う。
「谷口率いる墨谷打線はボロボロになってハアハア言い出してからが真価を発揮する!」
のだと。
そのとおりなのかマウンドの村井は、はあはあ息切れ状態の谷口を見て、
(さっきからハアハアばっか言って…)
(一体何なんだよおめえら!)
(気色悪いんだよッ)

と初球を投じるが、これも芯でコツコツと当てた打球が中間守備の三遊間を抜けて8連打となり、とうとう点差は1点。
次打者丸井も
「やられたらやり返す」
「あたりめえじゃねえか」

と言いながら打席に向かう途中で転倒するほどの疲れ具合だが、それでも
「もうきめたもんね」
「同じこと…倍にして返してやる」

と立ち上がる。

そんな墨谷の執念に谷原監督も、
「私が育て上げた村井が9イニングスでバテるわけないんだ!」
(この得体のしれないハアハア言ってる化物どもが村井の精神力を攻撃している…)

と、この状況に与える指示が見当たらない様子。
「うわああああ! この化物めえ!」
叫ぶ村井の初球を、
「あきらめねえ…あきらめねえ…!」
「あきらめねえんだよッ!」

丸井が打ち返す。
打球は1・2塁間を抜けてライト前へ。
すでに走るのもままならない丸井を見たライトがライトゴロを狙って1塁へ送球。
しかしこれまた判定はセーフ。
「わああああ!」
叫ぶ谷原監督。
9連打で同点に追いつかれたショックなのか、マネージャー樋口は監督の髪の毛の色の変化に気付く。

ここで第90話が終了となります。

感想

とうとう6点差を追いついた墨谷。
今大会初めて9回投げた事による疲弊と、墨谷打線の粘りによって精神力を削られた村井の球威が落ちたこともありますが、どうして谷原はここまで来て油断したのかなって思っちゃいますね。

8回裏の攻撃ではまさしく甲子園常連校らしい、これまでの強豪校とは違った風格を見せられ、読んでいるこっちも
「これはさすがに勝てない」
と思わされましたが、この最終回よりにもよって監督やキャプテン、そしてエースが油断してしまったがために、墨谷に隙を与えてしまった気がしました。

次回は
『谷原! 史上最悪の日』
とあるので、このまま逆転しそうな感じですね。

あと監督の白髪も心配ですw

関連リンク

・第86話「記録が精神的支柱の巻」
・第87話「最後の砦の巻」
・第88話「お株を奪われた墨高の巻」
・第89話「下がったまま普通に守れ!の巻」
・第90話「はあはあだほうのおそろしさの巻」
「キャプテン2/プレイボール2」感想ページ

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10 Thoughts on “「プレイボール2」第90話感想

  1. イガラシ、倉橋と続くのできっと逆転するんでしょうね。倉橋あたりが満塁打ってついに谷原が戦意喪失とか、そんな流れのように見えますよね。
    ところで決勝ですけど、やっぱり明善になるんでしょうか。前年は専修館に勝った後、1日休みがあって、確か完全休養日に当ててましたよね。明善のことを何も知らない状態で戦って、最後まで粘ったけどついに力尽きたんでしたよね。今回も雨で休みとかあれば良いんですけどね。
    ふと思い出したんですけど、松下のいた城東高校ってどうなったのかなぁ?明善に雪辱を果たして優勝を決めて欲しいけど、読む方としては何となく谷原戦でお腹一杯と言いますか、どうも明善戦にワクワクしません(笑)。それなら松下対谷口、丸井、イガラシの方が面白いなぁと思っています^_^

    • 決勝はたぶん明善だと思ってるんですけど、まさかの番狂わせがあったりもするのかなぁとも少し思ったり……。
      明善は前回対戦時も選手個々のデータや能力があまり描かれずに終わったので、谷原と比べると印象がちょっと薄いんですよねぇ。
      それだけに不気味さもありますけどw

      城東の話は全然出てこないですね~。
      あのエース藤井が卒業して松下がどうなったのかなど気になります。

  2. 東実戦を思い出す…
    同意です!

    村井の描写にボリュームが出てきたので、
    外見が中尾に見えてきました(笑)

  3. おでん on 2021年2月8日 at 1:14 PM said:

    はじめまして、いつもこっそり感想を楽しみにさせてもらっていますー。
    裏目裏目、ふと、一年時の東実戦の「低め」や「歩かせろ」を思い出しました。
    たらればになりますし、名門を作り上げた谷原の監督が無能だとは言わないのですが、
    もしも、墨谷の恐ろしさを知っている東実監督がこの試合で谷原を率いていたら、違う展開が待っていたのかもですねえ。

    • はじめまして~。
      コメントありがとうございます!

      確かに東実の監督だったら、墨谷のあの粘りを知っているだけに6点差あっても油断はしなかったかなぁと思っちゃいますね~。
      むしろより強固に守備固めをしてきたかも……。

  4. ベレーナ on 2021年2月4日 at 10:32 PM said:

    前回から墨谷…というより谷口のいるチームの真骨頂というか原点に戻った気がします

    1 最後まで諦めず
    2 『2』のテーマ『芯でコツコツと』

    目的のために何をすべきかを考え、実質的に監督を兼任する谷口の努力と工夫は一見精神論に思えますが、みんなが‘’自然と‘’動かされていく。現在でいえばメジャーの吾郎やダイヤのAの沢村に通じるものを感じます。

    でもここまでくると決勝では全力を出せず準優勝に終わって、甲子園は丸井や松川に託す展開が想像できてしまいます

    • 持ち前の粘りが相手投手の気力を奪っていくというのは谷口がもっとも得意とする(本人にその意識はないかもしれませんが)とこですからね~。
      でも、前々回の谷原の攻撃見た時には、それも谷原には通用しないのかなと思っちゃいました。

      このまま勝って決勝戦進んでも疲労が激しすぎてきつそうですねぇ。
      明善にリベンジして欲しいとこですが……。

  5. 匿名 on 2021年2月3日 at 3:41 AM said:

    まさか6点差追いつく展開に持っていくとは。逆転後の守備も気になりますが、決勝明善戦に期待して良いのでしょうか?

    • 前々回までとは完全に立場も逆転した印象なので、このまま勝って明善戦いけそうな気がしますね~。
      私も9回裏どうするのかなと考えたんですけど、なんとなく丸井の言葉通りに倍返しで圧倒的差をつけて、9回裏は戦意喪失した谷原をあっさり……って感じになっちゃうとか?

      それだとあの谷原相手としては寂しい終わり方だからないかなぁ。

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