第89話「下がったまま普通に守れ! の巻」の感想です。
ネタバレ含むのでご注意!


8回裏を終わって点差は6点。
9回表の攻撃を前にベンチ前で円陣を組む墨谷。
「いいか。おれは……最後まであきらめるつもりはない」
「あきらめた瞬間に終わりがくる」
谷口の言葉に「え?」となるナイン。
「谷口のいう通りだ! あきらめなければ終わりはこない。6点差がなんだってんだ!」
続けて倉橋も檄を飛ばすが、横井や鈴木たちは
(ほ、本気で言ってんの…?)
と言葉が出ず。

だが、この回先頭のイガラシは谷口が味方を鼓舞してるだけではなく、本気でまだ試合を諦めていないのだと感じていた。
そんなイガラシの元に谷口が歩み寄り、
「バットの握りはどこだ?」
とたずねる。
イガラシが握って見せると、
「そこじゃダメだ。グリップがおなかに当たるとこまで短く握れ」
と、何度か指示を与える。
「しかしこんなに短く持ったらボールが飛んで行ってくれるか?」
と、心配するイガラシに、自分達はもう木製バットではなく金属バットを持っているのだから、これでも芯に当たったら飛んでいくのだと話す。
さらにヒザと腰をかがめて、ボールの軌道に顔(視線)を近づけろという。
そして試合を締めようとする村井は変化球も混ぜてくると。

そこへ戸室もやって来て、イガラシに自信を持てと話す。
8回表に自分がヒットを打てたのはマグレなんかではなく、村井の球威が落ちていた。
今日の村井は1回の頭から丸々投げているわけだからなと。
「わ、わかりました」
打席へ向かうイガラシは一度振り返って谷口を見る。
(あの目! 本当にあきらめてない!)

初球。
変化球を見送る。
キャッチャー佐々木はイガラシが変化球に面喰ったと思ったようだが、イガラシは戸室が言ったとおり、村井の球威が確かに落ちてきていることを感じた。
2球目。
(芯でコツコツと!)
初球から続けての変化球を、グリップエンドがユニホームをかすめながらもスイング。
打球はワンバウンドし、飛びついたサードのグラブに当たってショートが捕球。
イガラシは1塁にヘッドスライディング。
きわどい判定はセーフとなり、ノーアウト1塁。
「いいよいいよ。1本くらい気にすんな」
たかが1本と言った様子で余裕の佐々木。
続く4番倉橋もイガラシ同様の握りと構え。
(またか)
(まあいい…いくらでもやってくれや…ここよ)

とここでも余裕の佐々木だが、倉橋は初球のシュートを打ち返してレフト前に落ちるヒット。
5番松川も初球のカーブを打ち返し、1塁線へ飛んだ打球は1塁ベースに当たってフェア。
すぐに捕球したファーストとヘッドスライディングの松川のクロスプレーとなったがセーフ。
これでノーアウト満塁。

打席には6番半田。
(最後半田でスクイズでもやって1点だけ返してくれや。もうそれでいいよ)
スタンドの田所はあくまで勝てないと思いつつの応援。
谷口は
「半田! 6点も差があるんだ! 打ってくしかないんだからな!」
とヒッティングの指示。
満塁になった事で定位置より前に出ようとする谷原のサードとショートだが、
「いちいち前になんか出るなー!」
谷原監督が叫ぶ。
「バックホームもゲッツーも無理して狙う必要ナシ! 下がったままフツーに守ってりゃいいんだ!」
と指示を与え、また村井も
「そうだ。6点も差がある。オタオタしなくていい」
と言ったことで、サードとショートは定位置へと戻る。
そして半田への初球。
(芯でコツコツと…芯でコツコツと…!)
「当たれ!」
バットをかすった打球はボテボテのサードゴロ。
猛スピードで前進してくるサードだが、
「うう。下がっていたから…」
どこにも投げられずに4連打となり1点を返してなおもノーアウト満塁。
「いい! いい! 1点くらい気にすんな! 引き続き下がってろ!」
と谷原監督に慌てた様子はない。

しかし、続く7番井口も1・2塁間を抜けるライト前ヒットを放ち、この回墨谷は5連打で2点を返した。
「うしろで守っているのに堂々と抜いて行った…」
ここに来て墨谷の連打にさすがの谷原監督とマネージャー樋口も動揺の色が見え始める。
そして谷口は
(あきらめない…)
逆転を信じていた。

ここで第89話が終了となります。

感想

やっぱり谷口は全然諦めてませんでした。
たとえみんながやる気なくして自分1人になっても最後まで諦めない人でしたねw

疲れが見え始めた村井相手に
『芯でコツコツと』
打ち返すことで5連打と、8回裏谷原にやられた攻撃をやり返すような猛攻。
次回は
『倍返しだッ!』
とありますが、この調子だと4点差もわからなくなってきました!

関連リンク

・第85話「動きはじめる試合の巻」
・第86話「記録が精神的支柱の巻」
・第87話「最後の砦の巻」
・第88話「お株を奪われた墨高の巻」
・第89話「下がったまま普通に守れ!の巻」
「キャプテン2/プレイボール2」感想ページ

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10 Thoughts on “「プレイボール2」第89話感想

  1. 匿名 on 2021年2月5日 at 2:46 PM said:

    私立と公立の総合的な力量の差の解説をして、精神力で覆す見せ方がプレイボールらしく、決着の付け方が楽しみ

    • 村井や谷原の監督をこれだけ動揺させるのだから、墨谷の粘りの恐ろしさというものを再認識させられた気分です。
      ここからどこまで点を入れて、9回裏をどのようにしのぐか。
      楽しみですね~。

  2. イレブン on 2021年1月21日 at 12:50 PM said:

    まさか?? キャプテン翼ばりにどんな相手も最後は必ず勝つ安心感(見ていてドキドキ感0)漫画になってしまう…

    • そうなってしまうとドキドキ感はなくなりますねぇ。
      ここからはたして逆転するのか、それともやはり追いつけないのか……。

  3. ボロ山 on 2021年1月20日 at 9:19 PM said:

    ノーアウトで4点差まで縮めましたね
    この回で逆転できそうですね
    かつての中尾相手の東実戦の最後に見せた
    攻撃を彷彿させますね
    谷口の諦めない気持ちは、いいですね
    プレイボールの好投手は、左が多く村井や百瀬や中尾などですね!
    また2月3日が楽しみです

    • 東実戦思い出しますよね~。
      正直読者視点でも前回の流れで諦めていたので、ここにきて谷口の諦めない精神は頼もしく見えました。

      言われてみると確かに左の好投手が多いですね~。
      佐野も左ですし……。

  4. 匿名 on 2021年1月20日 at 7:46 AM said:

    谷口のあきらめないスピリッツがナインに移り反撃にでましたね。あえて9回コールド勝ち寸前まで持ってきて村井はかなり精神的に楽になりましたが、これが落とし穴でゾンビのようにヒットをコツコツ打ち出して、村井は高校野球特有の雰囲気に飲まれて、焦りこのままシングルヒットを量産されて、6点差が同点になりそして気が付けば9対16になり7点差がつき墨谷がコールド勝ちになりそうな雰囲気ですね。これだったら9回の裏は誰も投げなくていいし。

    決勝の明善戦はお約束の雨で1日休みが来るでこれで万事OKです。

    • 誰が諦めても谷口は諦める人じゃなかったですねw
      そしていつものようにそのスピリッツがナインにも移るという効果で粘りの反撃。

      次回倍返しだっていうのがどうなるのか。
      さすがにここまで連打されたら谷原も何か対策練りそうですけどどうかなぁ……。

  5. レグ on 2021年1月20日 at 5:29 AM said:

    えええ・・・墨谷に栄光あれ!
    谷口高校最後の攻撃!ってなってたのに
    こんな展開・・・
    ある意味東実の中尾と百瀬と同じ展開ですね・・・
    しかも前回書いた「最低でも5人出塁」が
    もう出ちゃった・・・
    8・9番アウトから谷口・丸井で逆転できるか
    どうかかな

    こう考えるとボロボロになったとはいえ
    佐野の方が上だったの?と思えてしまう。

    とにかく、谷原が守りの守備に入ってしまってますね。
    イガラシの底力を警戒したりしてたのに
    ここで油断しちゃうのか

    そういう意味では、最後まで油断しなかった
    去年の明善の方が墨谷のことを認めていた感じですね
    次回、スタンドでそういう台詞が出てくるかな?

    • 明善は最後まで気を緩めないようキャプテン? が指示出していましたね~。
      今回もサードやショートは気を緩めていないようだけど、肝心の監督や村井、佐々木が6点差ついて油断しちゃってるような描写あったのが気になります。

      ここまでの展開ならこの状況でマネージャーの樋口が何か言いそうな気はするんですが……。

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