水木しげる氏の漫画「縄文少年ヨギ」の感想です。

我々の祖先はこんな生活をしていたのかもしれない

縄文時代。

どんぐり村に住む少年ヨギを主人公に、当時の人々がどのような暮らしをし、問題を解決してきたかを水木しげる先生独自の考察で描いた物語。
現代と比べて
「生きること」
がとても困難だった時代。

どんぐり村ではそういった危機に瀕した際など、代々「おばば」と呼ばれる存在が村を導き、祖先の血を絶やさないよう暮らしていた。
どんぐり村の村人たちは基本的に平和的であり、のどかな生活風景が描かれているが、いくつもある他の村同様によそ者に対しては警戒心を抱き、残酷な方法をとろうともする。
彼らが守るべきものはあくまでも自分達の村とその血統であって、そのためにはたとえ子供だろうが犠牲にする事を躊躇わない。
そういう常識がこの世界にはある。

そんな中、どんぐり村を中心にこの世界では、
・花を摘みすぎた事で花の精の怒りを買って消えてしまった少年
・宇宙の炎で焼かれたという争いのツボ
・大ネズミの群れの襲来
・人の生死を決める係がいること
など、水木先生の作品らしい不思議な出来事の数々がヨギを待ち受けている。

私は実際の縄文時代に詳しくはないが、この漫画では、
「もしかしたらこうだったのでは?」
「こうだったら面白かったかも?」
という、水木先生の他の漫画でも見られる独自の解釈で縄文時代を生きた人々の暮らしが描かれており、それが大きな魅力となっています。

感想

私はこの漫画をコンビニ販売版で知り、それ以来何度読み返したかわからないほど好きです。
疲れている時にヨギ達の生活を見るとなんか癒される気分。

常に食糧問題や村人同士の諍いなどもある中で、豊かとは言えない日々を送りながらもラストでみんなが歌うシーンに悲壮感はなく幸福感すら伝わってきます。
先の見えない不安や恐怖と常に戦いつつも、彼らはたまにしか味わえない満腹に酔い、非常にいい笑顔をする。
「幸福ってなんなんだろうか?」
ふと柄にもない事を考えてしまいそうになるが、その答えのいくつかは同じく水木先生の他の作品で描かれていたりするので、そちらもまた機会があれば紹介させていただきたいと思います。

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