坂口博信氏監修のXbox360RPG第二弾。
同氏が手掛けた中でも特に「ファイナルファンタジー」に近いとされる本作であるが、実際にプレイした感覚などをお伝えしていこう。
■ストーリー
本作の主人公は、ウーラ王国軍所属少尉のカイム・アラゴナー。
死ぬ事ができずに千年もの時間生き続けてきた男で、カント軍との戦争の最中、落下してきた小惑星によって両軍壊滅状態の中、カイムだけは無傷で戻って来る。
そして、国の宮廷魔術師・ガンガラから、小惑星が落下した原因とされている暴走したグランドスタッフの調査を依頼される。
その調査には同じくウーラ王国軍所属の兵士ヘス・パラボアと、ガンガラからの使命により魔導師ヤンセンを同行させる事となった。
■ゲーム内容
ゲームは主人公カイムをメインに操作。
グランドスタッフへ向かう所から主人公であるカイム。
そして同じくウーラ王国軍所属の女剣士セス。
ガンガラに雇われている魔導士ヤンセンの3人パーティで行動。
戦闘もこの3人に指示して進める事になる。
フィールドは存在せず、各地への移動はマップ画面から行うエリア選択式。
ただし、船での移動のみ海上を実際に操作して移動する。
プレイ経験者なら「ドラゴンクエスト8」の船移動をイメージしてもらえばわかりやすい。
本作独特のシステムはカイム、セス、ミン、サラの不死者。
本作では彼らを含めて味方キャラ全員が死なないとゲームオーバーにはならない。
しかし、この不死者達はHPが0になっても、1ターン経過すると自動的に復活するという能力を持つ。
(バトルシステム)
戦闘はランダムエンカウント方式で、コマンド入力型のターン制。
最初に全員分のコマンドを入力してから敵味方行動を開始する。
通常攻撃の他に、覚えたスキルをあらかじめスロットに登録しておくことで様々なスキルを扱うことも可能。
このあたりはRPGファンなら誰でもわかりやすい要素だろう。
なお、不死者はHPが0になって倒れたとしても一定ターンで復活できるため、彼らが復活するまで残りのキャラが倒されなければゲームオーバーとなる事はない。
独自のシステムとしては「エイムリングシステム」と「ガードコンディション(GC)」がある。
「エイムリングシステム」は、キャラが装備したリングによって効果が得られる要素。
キャラクターの行動時にRトリガーを引きっぱなしにし、タイミング良く離す事で攻撃にリング効果が上乗せされる。
「ガードコンディション」は、GCポイントは前衛がダメージを受けてHPが減る事で減少し、GCレベルが高ければ後衛のダメージが減少する。
このGC要素は敵にも設定されている。
(本作最大の要素でもある千年の夢)
合間に挿入される「千年の夢」は、カイムの千年間の出来事を綴った内容で、ここでは映像やボイス演出はなく、サウンドノベル形式がとられている。
この「千年の夢」の効果は非常に大きく、カイムに感情移入できる作りになっている。
全てにおいてオーソドックスという言葉がピッタリ合う。
目新しさはない。
不死者という設定ももっとゲーム要素として活かしてもらいたかったという不満も残る。
強いて言うのであれば発売当時としては「次世代機で遊べる和製RPG」という点、
そしてあのFFの生みの親である坂口博信氏、
FFシリーズの音楽を作曲してきた植松伸夫氏、
スラムダンクの作者井上雄彦、
小説家重松清氏、
彼らが関わるロールプレイングゲームというのがウリだったかもしれない。
発売に先駆けてファミ通に付属された体験版を遊んだ時、大勢の敵兵に囲まれた状況からシームレスで戦闘に移行する場面を見た時は間違いなく次世代を感じさせた。
ああいうシーンを期待していたユーザーには残念な部分もあっただろう。
なお、発売時にも散々言われてきた読み込み時間については全体的に長い。
戦闘開始時、エリア移動時、建物へ入る時など、全てにおいて長い。
「ロード時間なんてそんな気になるものなの?」
そう思うユーザーもいるだろうが、やはり快適さという面でロード時間と多さはマイナス点と言えるだろう。
今ならハードディスクにインストールする事で若干の軽減はできるか?
こういう言い方は開発の方々にとってはイヤな言い方かもしれないが「ファイナルファンタジー」である。
ただ、本作をシリーズ化しなかった(できなかった?)事は正解だったようにも思える。
人気が出るとすぐに続編を出したがる傾向が多い中では想像の余地が残された点では良かった。
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