第119話「今度こその集大成!の巻」の感想です。
ネタバレ含むのでご注意!


浪国戦。
9回裏4対2と墨谷が追い上げて、2アウトながら満塁のチャンス。
ここで浪国監督は縞馬に交代の合図を送る。
「縞馬(シマ)バックや。ベンチに戻って来い」
だが縞馬は唖然とした様子で戻って来ない。
そこで監督はベンチにいる選手に
「おい。坂下をマウンドに行かせろ」
と指示。
だが、選手達は動揺した様子で縞馬を見て動こうとしない。
「オマエらシマの事を怖がっとんのか」
「じゃあ伝令や。成田。オマエがマウンドへ行け」

すぐそばにいる成田に縞馬のもとへ行ってマウンドから降りて来いと伝えてくるよう指示する。
その様子を見ていたカドバンは
(こ…交代なら主将であるわいに指示すれば一発なのに…。監督もどこか及び腰や)
(監督だってシマの事を100%思い通りにはできない。それくらいシマは大天才のスーパーピッチャーなんや)

(そしてシマの性格や。監督の事なんて屁とも思ってない)
と、この状況に複雑な気持ちを抱く。
互いに睨み合う縞馬と監督。
伝令として行けと言っても成田は縞馬を怖がって動けない。
「チッ! じゃあええわ!」
業を煮やした監督。
「もうええ! 次のバッターはチビの丸井や! 初回の時もフォアボール!」
「多分ここは100%フォアや!」
「それで4対3になったら奴もようやく目覚めるやろ! そこで堂々と交代させる!」

と、ここでの交代は断念。
「あ、あきらめた!」
思わず口にするカドバン。

一方、谷口は丸井に押し出しの可能性が高いから簡単には振るなと指示。
「だがとにかくツーアウトなわけだからな…」
「黙って見てて三振になっちまったらジ・エンドだ」
「打てそうなボールが来たら手を出さねばならん」
「難しい判断だ。今度こそ高校3年間の集大成だ」

と語るが、
「だがこれは高校最後の打席にはならない」
とも話す。
(ここに来て谷口さんは……完全に勝つ気になっている)
そう感じながら打席に入る丸井。
「来い!」
気合い十分の丸井。
「ここでチビの丸井が来ちまったか」
息を切らす縞馬。
(フォアボールは出せない。フォアボールは出せない)
その思いが縞馬にのしかかる。
そして浪国監督は
(あんな目標のデカイ近藤に入らなかったんだ! 丸井に入るかよ!)
(押し出しやってベンチに帰って来い!)
(次の打者は2番・片瀬。坂下が出てって三振で終わりや)

と、焦りと縞馬への怒りで平常心ではない様子。

打席の丸井は
(ここは……3塁にランナーが居るからフォークは投げないと思う)
(いや変化球自体選択できない。ストレートオンリーで置きに来るハズ)
と、ストレート一本に絞る。
セットポジションに入る縞馬。
(ストライクゾーンが……めっちゃ小いせぇ!)
苦しい縞馬の初球。
丸井が思ったとおりのストレートだが、
「うわッ!」
と、丸井が声をあげて尻もちつくような頭部付近へのボール球。
(ダメやこりゃ)
(疲れたのもあるが何より心を乱しとる)
そう感じたカドバン。
「シマ! 落ちつくんや! 間を取れ!」
と言われた縞馬は意識して間を取る。
3塁に牽制を挟み、ロジンバッグに手をやり大きく息をつく。

(入る)
「入る」
「入る」

2球目。
今度はストレートが入って1ストライク1ボール。
(落ちつきを取り戻そうとしている)
そう感じた丸井はタイムをとって、こちらも間を取る。
「よし。もう大丈夫」
「大丈夫」

そう呟きながら3球目を投げる縞馬。
しかし外れてボール。
4球目もボールとなり、1ストライク3ボールとなった。
「いよいよだ…」
「あと1球で押し出しだ!」

緊張の墨谷ベンチ。
「ここは押し出しの可能性が高まりましたね~~~」
と話す解説者。
そして、
(はやくあと1球ボール球を投げてくれや)
と、早く縞馬をマウンドから降ろしたい浪国監督。
だが、5球目はストライクとなって2ストライク3ボール。
「シマ、あと1球!」
声をかけるカドバン。
「フルカウントになりました。これでランナーは自動的にスタートします」
と話す実況者と、
「ワンヒットでセカンドランナーまで還ってくる可能性が高まったことになります」
と話す解説者。
しかし浪国監督は、
「ワンヒットは出ないよ。見逃されて押し出しだからな」
と、あくまで押し出しになると考えている。
マウンド上の縞馬も
(フォアにしたら今度こそマウンドを降ろされる)
と、プレッシャーを感じながらセットポジションに入る。
対する丸井は、
(やはりここまで全部ストレート。次も100%ストレート)
(そしてボールの威力も落ちてる! ヒットを打てる可能性はある!)
(問題はコース! 際どいコースを振るか? 振らないか?)

と、打てる自信と同時に迷いもあった。

6球目。
ランナーがスタートを切る。
際どいコース。
(ストライクかボールかわからねぇ!)
(でもこれは手を出さなきゃダメだ!)
(高校3年間の! 集大成!)

丸井のバットがボールを捉える。
が、
(とんでもない振り遅れ!)
打球はファーストへのハーフライナー。
「これはファーストへのハーフライナー! 今度こそ万事休す!」
叫ぶ実況者。
だが、
「いや! 打球がオジギしとる!」
と、打球は勢いなくファーストの前方で失速。
(ダメだ。全然押された!)
走る丸井。
「ファーストもっと突っ込め!」
声が飛ぶ中、ファースト端川が懸命に前進。
「ワンバンにしたらベースに当たる!」
「絶対ダイレクトで捕れ!」

縞馬とカドバンが叫ぶが、端川のグラブの前で打球は1塁ベースに当たって大きく跳ねた。
「あ!」
「あ!」
「え!」

声をあげる縞馬とカドバン。
そして浪国監督。
打球は外野ファウルゾーンへと転がっていき、勢いをなくして壁際で止まった。
ライト戸井が慌てて捕球へと向かう。
その間に3塁ランナー加藤が還って4対3。
戸井が捕球すると同時に2塁ランナー島田も還ってついに4対4の同点。
「え? 1塁ランナーの近藤クンも3塁を回る!?」
実況者もびっくり。
近藤も3塁を回った。
「な、なんやと?」
同じく驚くカドバン。
戸井からボールが返って来る。
(全国制覇……全国制覇……全国制覇……)
(おれ達は優勝が義務づけられている)

戸井からのワンバンの返球をキャッチし、
「こんなとこで負けられるかーーー!」
と、叫びながら近藤に乱暴にタッチ。
その勢いで近藤の体が飛ばされる。
「角クンの強烈なブロック! 近藤クンのホームインは許しませんでしたー!」
その迫力を語る実況席。
しかし、
「いや! 走塁妨害!」
そう宣告する球審。
「え!」
驚くカドバン。
球審によるホームインのコール。

ここで第119話が終わります。

感想

コメントで予想されていた方もいらっしゃった通り、縞馬は交代しないまま続投。
何を言っても結果論になりますが、浪国側の判断が全て悪い方向へ出た9回だった気がします。

次回は、
丸井が。近藤が。谷口が。翌日から大騒ぎ!
『日本中…』の巻

プロ注目の縞馬やカドバン率いる浪国に勝利した事で墨谷の注目度が一気に上昇する感じでしょうか。
次回は慌ただしい回になりそうです。

関連リンク

・第115話「ズドーンの巻」
・第116話「センバツで帰ってこいの巻」
・第117話「どんどん前に飛ぶの巻」
・第118話「作戦なんて出来るわけないの巻」
・第119話「今度こその集大成!の巻」
・「キャプテン2/プレイボール2」感想ページ
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8 Thoughts on “「キャプテン2」第119話感想

  1. 墨谷らしい粘り勝ち
    このまま優勝へと進むか?

    • 見事に勝利してくれました!
      ここまで来ると優勝して欲しいけど、ここからがまた厳しい戦いになりそう……。

  2. おでん on 2025年10月1日 at 9:33 AM said:

    次回予告的には、走塁妨害が覆る事はないのかな……?
    こうなると、特に注目を浴びて、チームの中核を為すのは近藤でしょうか。
    イガラシは野手中心で、というのは谷口の理想かもしれませんけど、
    このままイガラシが沈むのは心境複雑……

    • 次回予告見るとその心配はなさそうですよね~。
      このまま勝利して周囲の熱狂に戸惑う日常回になりそうかなぁ。

      イガラシはここ2試合を受けてどう思うかですよねぇ……。

  3. にしなさとる on 2025年10月1日 at 8:30 AM said:

    カドバン、最後の最後で大ポカ。
    タイミングは明らかにアウトで、普通にタッチすればチェンジで延長戦だったのに。

    これで、翌日の新聞の見出しは決まったようなものですね。『浪国、9回裏に自滅』と。
    1イニングに3つも守備のミスが出たのでは、そう言われても返す言葉がありません。

    もっともそのミスはすべて、墨谷側の粘りが呼び込んだもの、と言って良いのですが。
    『墨谷のしぶとさに屈す』と付け加えられるかも。

    それにしても今回は、意外な展開の連続でしたね。
    縞馬が交代させられなかったことも、丸井の打席の結果も、幕切れのいきさつも。

    • タイミング完全にアウトだっただけにあのミスは大きすぎましたね~。
      監督の存在もただ選手達に余計なプレッシャー与えただけな気もするし……。

      新聞の見出しはおっしゃってた通り浪国の自滅で決まりそうですねぇ。
      9回裏はずっと浪国がバタバタしてた印象が強いですし。

      ほんと今回は色々なパターン予想していたけど、最初から最後まで全部はずしましたw

  4. やはり縞馬が交代を渋りましたか。それにしても決着がつくなら延長、もしくは9回でヒットを打つも2塁走者アウトで負けかと思ってました。まさか今回で決着がついちゃうとは考えもしなかったです。ともかくこれで甲子園ベスト8とはいやはや大したものです。

    • もう縞馬と監督の意地のぶつかり合いみたいになっちゃいましたねぇ。
      でも正直浪国には負けもあるかなぁと思っていただけにこの勝利は嬉しい!

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