第114話「甲子園は終わったの巻」の感想です。
ネタバレ含むのでご注意!


浪国戦。
3対0で浪国リードの6回表2アウトから迎えた打者はカドバン。
ベンチの指示を拒否して勝負にいったイガラシだったが、墨谷バッテリーの配球に翻弄されながらも体勢を崩して放ったカドバンの打球はレフトスタンドへと飛び込んだ。
「あの手この手でカドバン君を翻弄しているかに見えたイガラシくんのピッチング!」
「最後完全にタイミングを外したチェンジアップを左手一本で持っていきました~~~~~~!」

実況がそう伝えるように、カドバンは体勢を崩した挙句、最後はバッターボックスで転んだ状態からのホームランだった、
「お、泳がせたら100%弱いと思っていたのに…。腰も完全に崩したのに……」
レフトスタンドを見つめたまま愕然とするイガラシ。
スタンドの子供達からはホームランが見れたと、カドバン人気を思い知らされる大歓声が沸き上がる。
これで4対0。
(パ、パワーが桁違い。プロだ……本当のプロだ)
(こ、こりゃかなわない…)

圧倒される井口と丸井。
(監督の指示を嫌がって勝負に行ったのに…こんな打たれ方をするなんて…)
イガラシのショックの受けようを見た谷口は、
「これ以上投げたら本当にゲームを壊しちまう」
とし、キャッチボールをしていた近藤に交代を指示。
イガラシにはショートへ回るよう伝え、丸井に審判へ伝えるよう指示する。
これによって
ピッチャーがイガラシから近藤。
ショートの那須が下がって代わりにイガラシが入る事となった。

大山高校戦以来2度目の甲子園のマウンドとなる近藤。
「近藤! ツーアウトランナー無いんだ! 落ち着いて投げれば大丈夫!」
谷口が檄を飛ばす。
そんな近藤の投球練習を見た浪国ナインが
「いいボールだぞ…」
と反応。
浪国監督も
「近藤投手は1年生ながら1回戦で先発を任された。そして5回2失点。まずまずのピッチングをしてる」
と評価。
そしてショートに入ったイガラシは、
(おれの「ピッチャーとしての甲子園」は終わった…)
(縞馬に一本。カドバンに一本……。完全なる負けだ!)
(だがまだおれはこうしてショートを守っている。最後まで任されたポジションを全うせねば)

と、ショックはあるものの気力は失っていない。

打席には4番本山。
(カドバンを差し置いて4番に据わる人。こりゃすごい人からやで)
警戒する近藤と、
(こりゃ体のデカさがイガラシとは対照的…)
(迫力はある)

と見る本山。
初球。
(うわッ。ボールの迫力もすげぇ!)
(でもドまん中やん!)
(こりゃ打たな損!)
(もらった!)

ど真ん中へのストレートと見た本山は打ちに行くが空振り。
「バッチ高いよ高い!」
浪国ベンチから声が飛ぶ。
(高かったか…)
(よし! 次はボールを振らない)

そう警戒しての2球目。
次もど真ん中と見た本山は打ちに出るが、これもバットの上をボールが通過して空振り。
「へ」
思わず声が出る本山。
「高い高いって!」
再びベンチからの声。
だが、ど真ん中に見えた本山は、
(あれぇ……まさか……異常に浮き上がってきてる?)
と考えて、次は勇気を出して見逃す事にする。
3球目。
三度ど真ん中を見たがここは決めたとおりに我慢して見逃す。
判定はボールハイ。
(ホ、ホンマに高いんや!)
だが次を迷う本山。
そして受ける井口は
(なんか今日の近藤のタマ…異常に走ってるんですけど…)
(初戦より明らかにいい…)

と感じていた。
4球目。
井口が
(いや高校に入ってから今日が一番いい?)
とすら感じるほどのストレート。
明らかに低いと見る本山だが、ボールが浮き上がってくる。
(今度こそストライクだ!)
「振らなくちゃ!」

だが、ボールはバットのさらに上を行く。
(空振りだーー!)
と思った本山だが、それでもなんとかチップさせると打球は高々と内野へと上がる。
「ショートだ!」
丸井が指示を出す。
上空に風は吹いていないが、ボールはそのまま落ちて来るのではなく流されていく。
「ここか?」
位置に迷うショートのイガラシ。
「違う! もっとベース寄り!」
横から丸井が追いながら指示する。
しかしさらにボールは流れていき、飛びつくイガラシのグラブで弾いてしまった。
が、弾いた先に丁度丸井が来ていたため捕球して無事アウト。
3アウトチェンジとなった。
それを見ていた縞馬が
「ん。なんなんやこのボール」
と呟く。
(今のフライ……。ものすごく速いボールとものすごく速いスイングがぶつかり合ったものだ…)
と井口は感じていた。

ベンチに戻ったイガラシは目測を誤った事と、谷口の指示に背いて打たれた事を謝罪する。
「イガラシ。おれはあそこまで勝負に生きたオマエの感覚がわからない」
という谷口に
「すいません」
と謝るイガラシ。
だが谷口は
「いや違うんだ。うらやましいんだ」
と話す。
「おれはいつも試合には勝ちたいと思ってやっていたが、「勝負に生きる」という感覚は弱かった」
「小市民なんだな。オマエみたいなサムライにはなれなかった。でもせっかく甲子園に来たんだ! 侍として生きて侍として散る」
「そんな生き方ができたオマエは一生の得をした」

という谷口は、
「だが試合はまだ終わってない。ここからはまだまだ喰らいついて行くぞ!」
と円陣を組んでナインを励ます。

6回裏墨谷の攻撃は0点に終わり7回表。
打席には5番縞馬。
6回の近藤のボールが良かったと感じた谷口からは勝負のサイン。
初球。
(このボールは…)
(このボールは…)
(一体なんなんや?)

疑問を抱きながらバットにかすった縞馬の打球は、これまた高く上がる内野フライ。
今度はイガラシがしっかり捕球してアウトとなる。
(勝負に生きて盛大に散ったイガラシ! 4番・5番に対して”力”で勝った近藤!)
そう感じる井口。
そして打った縞馬は動揺した表情を浮かべていた。
(なんなんや? このボール…)

ここで第114話が終了となります。

感想

あらためて読み直すとホームラン打った直後のカドバンの素の表情が、特に驚いた様子もなく不気味にすら感じました。

さすがにここはイガラシ即交代させましたね。
二番手は近藤。
受ける井口が高校入って一番いいと感じるほど球が走っている事もあってか、浪国の4番5番、特に縞馬が翻弄される様子はなかなか痛快でした。
とにかくここから終盤にかけてこれ以上の失点なく、縞馬攻略へと向かえればいいのですが……。

次回は、
甲子園球場が異様な雰囲気になってきた。
『ズドーン!』の巻

カドバン人気で盛り上がる甲子園全体のムードが近藤によって変わるか?

関連リンク

・第110話「魔法の国の世界の巻」
・第111話「小さな目標の巻」
・第112話「ノルマの巻」
・第113話「前のめりになる!の巻」
・第114話「甲子園は終わったの巻」
・「キャプテン2/プレイボール2」感想ページ
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10 Thoughts on “「キャプテン2」第114話感想

  1. 中ラマ on 2025年7月16日 at 3:31 PM said:

    いつも楽しみにしてます!!

    ホームラン打たれてしまいましたね。パワーの差ですか。でもソロなんで1点のみ。

    交替した近藤の豪速球は浪国打線も打てないような。たのもしい。

    「甲子園は終わった」はイガラシの投手としての甲子園口は終わったのではないですかね。

    相手エースには1打者当たり5球以上ずつは投げさせています。
    これから終盤です。その硬貨はどうでてくるのか? 何となく墨谷の逆転劇がはじまるようなワクワク感を期待しています。

    抑えろ近藤‼ 掻き回せ墨谷‼ 次号が楽しみです。

    • 中ラマさん、こちらこそいつもありがとうございます!

      イガラシとカドバンの勝負はあれを打たれたらもうどうしようもないって感じでしたね~。
      けど、その後を近藤が圧巻のピッチングでおさえた事で流れを完全に浪国には渡さずに済んだのは大きかったと思います。
      このまま終盤の逆転へ繋げて欲しいです!

  2. こんにちは。
    あの絶対的な存在のイガラシを後輩の近藤がリリーフするなんて最高の恩返しじゃないですか。そしてイガラシが弾いた球を先輩の丸井が見事にキャッチ。なかなかいいストーリーですね。
    イガラシはまだ守備と打撃で活躍してもらわなきゃならないし、谷口も勝つことを諦めていないからここからですね。
    近藤は昔から調子に乗ったら手がつけられない所があるから、甲子園の大歓声に応えて0に押さえて、最後は9回裏イガラシが逆転サヨナラ満塁ホームランと予想します^_^

    • けんさん、こんにちは!

      イガラシから近藤への継投は読んでいてニンマリしてしまいましたw
      おっしゃるようにこのまま近藤が浪国打線おさえて、最後イガラシのバットで自らの失点ひっくり返す展開になったら盛り上がるんですけどね~。
      近藤のピッチングによって流れを引き寄せて欲しいです!

  3. お初です。
    近藤の顔がキャプテン時代の入部したての頃に寄せてきてて面白かったです。

    • へいさん、はじめまして!
      コメントありがとうございます!

      墨二組の顔って所々で昔の顔に寄せてきますよね~。
      懐かしく感じますw

  4. にしなさとる on 2025年7月16日 at 8:42 AM said:

    カドバンの本塁打直後の、アナウンサーと解説者のセリフが抜けているようです。
    「イガラシがあの手この手でカドバンを翻弄しているように見えた」という。

    その後、近藤の速球が縞馬の球かそれ以上に、手元で浮き上がって来る。
    浪国の打者たちも、こんな球と対戦したことは、おそらく無かったのでしょう。
    だから目測を狂わされて、ボールの下を振ってしまう。

    いま阪神監督の、藤川球児の全盛期の速球、それを打たされたようなものですね。

    • にしなさとるさん、ご指摘ありがとうございます!

      浪国打者ですら見た事ないボールだから、本山も縞馬も上手く対応できずにあんなに驚いていたんですね~。
      確かに藤川監督の現役時代が浮き上がるストレートって言われてましたね。

  5. 匿名 on 2025年7月16日 at 4:44 AM said:

    更新お疲れ様です

    痛恨の一発 お、重い…
    イガラシは残念でしたがカドバンが凄すぎましたねぇ…あんな体勢での打球がスタンドに入るなんて最早岩鬼ですよ笑
    近藤は本当に一年生かってぐらい急成長してますね ここからはもう1点も取られないんじゃないかと思います

    投球数、投手近藤、ノーノー継続中と崩れてもおかしくない要素が増えてきた縞馬 まだまだ試合は続きそうですね

    • こちらこそコメントありがとうございます!

      今回の勝負はカドバンが見事だったというしかありませんねぇ。
      あの体勢でスタンドインとかまさに悪球打ちw
      谷口が勝負させるほどに調子がいい近藤だけに、このあとをピシャリと抑えて墨谷反撃に繋げて欲しいです。

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