第102話「勝負は下駄を履くまでは…の巻」の感想です。
ネタバレ含むのでご注意!


信州学園戦。
6対0と墨谷が大きくリードしての8回裏。
ノーアウト1塁からサードゴロをサード鈴木が弾いてエラーとなりノーアウト1・2塁とされる。
このプレーに半田は
「今のはあせる必要なかった。待って捕ってれば普通にゲッツーだった」
と呟く。
そして
(打球に気迫が乗っていたからサードがはじいた)
と思う信州学園監督。
(今の打球……。途中からスピードが乗ってきた?)
そして鈴木。

打席には9番安楽。
ここもバントはないと考える谷口と、当然ヒッティングだと考える信州学園監督。
初球。
かなり低めの球を安楽が見逃してストライクの判定。
2球目。
今度はキャッチャー井口が中腰になるほどの高めなのにこれもストライク判定。
(これはピッチャー有利だ)
(信州学園はもう打てないよ)

と、それぞれ思う松川と井口。
3球目。
(信州学園は心の野球)
(信州学園は…精神の……野球!)

安楽がはじき返した打球はファースト加藤の横を抜けるライト線へのヒットとなった。
2塁ランナー宮下は3塁を蹴ってホームへ。
ライト久保からファースト加藤を中継してバックホーム。
宮下がヘッドスライディング。
判定はアウト。
「OK。ナイスキャッチ。ナイスブロックだ」
井口に声をかける松川。
「ワンナウト」
ボールを渡す井口。
だが、互いに
(しかし……これだけバッター不利の中で…)
(よく打ったな)

と感じていた。

1アウト2・3塁となり、打席には1番寺田。
墨谷ベンチでは
「しかしさすが古豪信州学園。最後の最期に来て食い下がってきたね」
そう話す部長に、
「そうですね。甲子園ってTVで見てると最後に来ても試合が動きますからね」
と、返す半田。
しかしこの試合はもう動かんだろと言う部長に、どんな時でも最後まで気は抜けないと返す半田だが、
「でも……さすがにこの試合はここまで来たら負けられませんよね」
と、口にする。
そんな二人の会話を隣で聞きながら谷口はじっと戦況を見守っていた。

寺田は初球を打ち返してセンターフライとなり、3塁ランナー伊藤がタッチアップするもセンター島田から直接のバックホームでこれもアウトとなり3アウト。
このピンチを無失点で切り抜けた。
喜ぶ松川だが
(しかしここも一応外野まで飛ばされた)
と、内心ヒヤリとした様子。
ベンチに戻って来た松川を労う谷口。
9回はイガラシに行ってもらうという。
「さぁイガラシ。甲子園初マウンドだ」
「そして3回戦はオマエが先発で行くからな」

と、告げる。
(谷口さんは2回戦で一応イガラシに甲子園のマウンドを踏ませて……そして3回戦にのぞませる――と)
(さあ真打ち登場だぞ)

それを聞いていた半田と部長。

9回表の墨谷の攻撃は0点に終わり9回裏。
ショートのイガラシがピッチャー。
ショートには那須が入る。
「イガラシか…」
「コイツは中学の軟式で日本一になっている」

イガラシの投球練習を見つめる信州学園の選手たち。
「だからと言って甲子園で通用するとは限らんさ」
「相手にとって不足はない」

そんな選手たちを鼓舞するかのように言う監督。

打席には2番森下。
(逆転への道。まずはおれが出なくちゃ)
気合い十分な森下。
(おれの甲子園初マウンドはナイターか……)
(――ま、それもオツなもんだね)

こちらも負けていないイガラシ。
初球ストライクを見送った森下。
(中学軟式日本一か…。確かにそんなボールだ)
その実力をあらためて評価。
受ける井口も初マウンドの緊張感がないいいボールだと感じていた。
2球目。
バントの構えを見せる森下。
イガラシとサード鈴木が突っ込む。
打球は鈴木の前に転がる。
素早く捕球した鈴木だったが、
「え! 速い!」
と、驚くスピードの森下。
ファーストへ送球するもセーフとなり、ノーアウト1塁。
(なんかバッターの足が途中から異常にスピードアップした?)
と、イガラシは感じた。
「信州学園の最後の方に来ての気迫…。6対0の試合とは思えない」
そう口にするベンチの松川。

続く3番春日井も初球を打ち返し1塁線を抜けるかと思われた打球だったが、これはファースト加藤が飛びついて捕球しアウト。
1塁ランナー森下が飛び出していたことで、すぐそばの1塁ベースにタッチしてダブルプレー。
2アウトとなった。
が、
「いやいやいいバッティングだった! まだまだあ!」
と、叫ぶ信州学園監督。
「しかし……さすがの古豪……。ここに来て不思議な気迫を感じさせられる」
と、やや気圧された様子の谷口。
「こりゃさすがのイガラシも気が抜けない」
そう感じた松川は、
「イガラシわかってるな! ここからなんだからな!」
と、声をかける。

打席には4番牧。
(勝負はゲタを履くまではわからない)
(「9回ツーアウト」でもおれは絶対気を抜かない)

そう思いながらの初球。
打ち返した牧の打球はセンター前に落ちるヒットとなり2アウト1塁。
(いやいや。この人達の気迫は素晴らしい)
(おれ達も見習うべき所はある!)

続く5番山脇への初球。
打ち返した打球がレフトへ伸びていく。
レフト片瀬が懸命に追いかけフェンス前でジャンプするが、打球はそのグラブの上を抜け、フェンスを越えた。

ここで第102話が終了となります。

感想

打たれながらも8回無失点に抑えた松川。
そして甲子園初マウンドとなるイガラシの登板でしたが、ここは信州学園の気迫が勝っているという感じでしょうか。
土壇場での信州学園のこの執念は一時期の墨谷を彷彿させるものがあります。
相手に回すと不気味さ感じさせられますね。

次回、
おれ達は負ける……
『甲子園のアレ』の巻

あとアウト1つ。
どうなるのか?

関連リンク

・第98話「客観的に考えればの巻」
・第99話「県民の想いの巻」
・第100話「TVを消した県民の巻」
・第101話「精神の野球! 心の野球! の巻」
・第102話「勝負は下駄を履くまでは…の巻」
・「キャプテン2/プレイボール2」感想ページ
・「キャプテン」連載開始50周年記念特集ページ

関連商品

・キャプテン2(13)
・キャプテン(1)
・プレイボール2(1)
・プレイボール(1)

16 Thoughts on “「キャプテン2」第102話感想

  1. 匿名 on 2025年1月29日 at 6:38 PM said:

    とうとうヤバい雰囲気になってきましたね
    今までは審判のおかげで何とかなっていたようなものですが
    このままだと判官びいきでまた審判の判定がおかしくなる危険性があります
    審判の判定でおかしくなった試合の有名な例として佐賀北の満塁ホームランがあります
    あのストライクゾーンから通常のストライクゾーンに変えられてしまった場合四点差あったとしても安全とは言い切れない状況です

    そもそもあんなにひどいストライクゾーンはないと思うので
    実際にやったら当時はいえ審判に対して松井選手の五敬遠と同じぐらいの暴動に発展するでしょう

    イガラシもここは閉めて
    内野ゴロで打ち取って欲しいですね

    でもファンとしての本心としては審判関係なしに選手と選手の戦いを見たいと思うのは贅沢でしょうかね?

    • 守る側優位な判定なのでこのまま終わるかなと思っていたんですけどね~。
      信州学園の気迫がそれすら押し返そうとしているような不気味さを感じさせられました。
      これで試合が長引いて、ご心配されるようにまた判定などに影響出て台無しにされなければいいのですが……。

      私もやっぱり純粋な実力のぶつかり合いを見たいと思います。
      大山は結局終盤何もできずじまいだったし、信州学園は最後の勢いだけ見ればひっくり返される怖さすら感じるので、そこを墨谷がどう応戦するのか見てみたいです!

  2. 清貧一郎 on 2025年1月24日 at 7:22 PM said:

    こんにちは
    ダブルプレーのところで、次の打者でゲームセットと思ってましたが、流れが変わってきましたね
    正に「野球はツーアウトから」の言葉通りの流れになってきました
    次回の予告「おれ達は負ける……」から、悪い予感を感じます
    どうなるのでしょうか?

    • 清貧一郎、こんにちは!
      やっぱり9回ノーアウトからのダブルプレーで決まったかなと思いますよね~。
      イガラシが感心するほどの信州学園の気迫が不気味すぎます。
      ここから粘られると恐いなぁ……。

  3. しん on 2025年1月24日 at 1:14 PM said:

    こんにちは。いつもありがとうございます。
    雲行きが怪しくなって来ましたね。
    しかしここで負けるのは話的にちょっとないかなと思ってます。
    次回の俺たちは負ける。。。
    それは信州学園側からみての予告とみました。
    いや、そうであって欲しいとの希望も込みでw

    • しんさん、こちらこそいつもコメントありがとうございます!

      楽勝ムードからちょっとイヤな感じでのイガラシ登板。
      それでも流れが信州学園に傾いているのは不気味ですよねぇ……。
      どっちにも考えられる次回予告が余計に不安にさせられますw

  4. けん on 2025年1月23日 at 9:04 PM said:

    え?イガラシがツーラン打たれたんですか?なんか嫌な予感がしますね。イガラシもこういう展開は初めての経験ですよね。
    所々気になっていたのは、この試合は問題なく勝てるみたいな意味合いの言葉。あの言問高校にも決して油断しなかった谷口なのに、らしくないなって思ってました。
    甲子園には魔物が住むって言いますから、もしかしたらもしかする、ってことにならなきゃいいですけどね。
    最後になりましたけど、今年もよろしくお願いします!

    • けんさん、こちらこそ今年もよろしくお願いします!

      谷口の口から三回戦の話が出るあたり、大丈夫なのかな?って思わされました。
      おっしゃるように谷口って油断がどれだけ危険かよくわかっているから、
      頭の中では思っていてもそれを口に出すかなと。
      そう思っていたらイガラシが打たれたからまさか……って思っちゃいますよねぇ。

  5. 実力の差を気迫で補い、最後まであきらめずに戦うその姿はかつての墨谷を彷彿させます。谷口監督の墨谷は挑戦者ではなく立ちはだかる側になりましたね。甲子園のアレとは敵や観客の歓声のことでしょうか。アウェイ寄りの歓声は川北戦で経験しているので押し切れると信じています。
    気が早いですが3回戦が楽しみですね。倉橋が公園や海岸でテントを張っていたらすごいのですが…

    • まさにかつて強敵相手に墨谷が見せてきた姿を信州学園からは感じました。
      敵に回すとこうも不気味で怖い存在なんだなぁと今更ながらに思いますねぇ。
      なんとかイガラシに踏ん張ってもらいたいとこですが……。

      倉橋そこまで!? って思ったけど絶対ないとも言い切れないのが……w

  6. 匿名 on 2025年1月22日 at 6:29 PM said:

    予告の甲子園のアレって

    高校野球はお客さんの声援に引っ張られて実力以上のことが起きることが多々あり、

    2アウトだけど地道にヒットで続き、信州学園行けるぞって甲子園の雰囲気にイガラシものまれて最後にはサヨナラ負けするような機がします。

    • 実際墨谷にとってイヤな流れになっていますよねぇ。
      ベンチが三回戦を考え始めた事が展開的に負けフラグとか。
      このまま逃げ切って欲しいけど、信州学園のこの勢いは怖いです……。

  7. 中ラマ on 2025年1月22日 at 12:46 PM said:

    こんにちは。いつも楽しみにしています。

    松川⇒イガラシの交代の予想が当たってうれしいですが(たまたまですが)、谷口から締めを任されたイガラシが打たれてます。

    打たれた様子がたんたんと描かれていたので調子がいいのか悪いのかわかりません。もっと細かな描写があったら良かったんですが・・・

    あと4点あるので大丈夫のように思います。
    しかし、次回のタイトルから何か怪しげな空気を感じます。
    イガラシ、踏ん張れ!!

    • 中ラマさん、こんにちは!
      こちらこそありがとうございます~。

      イガラシの調子が悪そうでもないんですけどねぇ。
      何かイガラシの中で違和感みたいなものもあるのかなぁとも思ったり……。
      私も負ける事はないかなぁと思っているのですがどうでしょうか。

  8. にしなさとる on 2025年1月22日 at 8:42 AM said:

    なんとも厄介な状況……。イガラシがこれだけいい当たりを連発されるのも珍しい。
    しかし……信州学園監督の言う通り、この状況では精神力の勝負になる可能性が高い。
    つまり、先に気力が尽きた方が負ける。精神力では定評があるはずのイガラシだが、はたして……。

    追伸
     半田が鈴木のエラーについて、「今のはあせる必要は無かった。普通に待って捕ってもダブルプレーだった」とつぶやく場面が抜けていますが。

    • イガラシの調子が悪いわけでもなく緊張した様子もない状況でですからねぇ……。
      松川のいうとおり信州学園の気迫を感じさせられました。

      半田の台詞ありがとうございます!
      追記しました!

匿名 にコメントする コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。

Post Navigation