第11話「後輩を育てろ!の巻」の感想です。
ネタバレ含むのでご注意!


富戸戦は墨谷が4点リードのまま8回表に突入。
いまだ0点の富戸ナインは
「ここまで近藤から1点も取れねぇとは」
と計算外だった様子。
一方、完封が視野に入った近藤だが、JOYの経験の場も作らないとと、JOYにキャッチボールを命じて次の回から行くことを告げる。
本当にJOYに投げさす気かとたずねる牧野に、4点差できたからJOYに任せたいと話す近藤。
それが聞こえた丸井から
「富戸をナメてんのか!? 春は負けたくせに!」
と怒鳴られるが、近藤はナメているわけではなく、JOYは成長したのだと必死に説明する。

スタンドでは今野、相木、近藤パパ、市川記者と並んで観戦。
市川はここまで観て全体的に墨谷の方が2枚くらい上手だと話す。
「茂一クンが率いたからでしょうな」
と話す市川に、おだてないで下さいと話す近藤パパだが、
「谷口キャプテンから始まった墨谷二中の黄金時代……」
「近藤キャプテンが一番結果を出している。と言ってもいいかもしれない」

と市川は話す。
谷口キャプテンは確かに全国制覇をしたことになっているが、それは青葉のルール違反によって、中学野球連盟委員長からイレギュラーな裁定を下してもらったお陰だった。
次の丸井キャプテンは春の選抜大会で1回戦負けし、夏の大会で東京地区予選は制するものの全国大会は棄権。
イガラシキャプテン時代は夏の時代をまっとうに全国制覇したが、その前に部の在り方に問題ありということで棄権している。
つまりまっとうに2大会出場して、ちゃんと勝ち上がっているのは近藤キャプテンの時代だけだと。
近藤パパは春の選抜大会時は市川から見て、ややあきらめムードに見えたという。
だが、立派な結果を出していると話す。
それに対して近藤パパは
「ウチのバカ息子にしちゃできすぎか?」
「もうここまできたら全国一等賞なんて高望みまでしたらバチが当たる」

と話すものの、しかし春にも言ったように茂一は本当に後輩を育てることができたのかが問題なのだと言う。
ここで相木がキャッチボールを始めたJOYに気付く。
「ほぉ。そうか。とうとう後輩に経験を積ますか……」
近藤パパが言った直後、
「ひー。たすけて」
近藤がベンチから飛び出した。

「あのバカが……」
どうしたことかと尋ねる主審に謝りながら駆け寄る丸井だが、近藤は丸井を恐れて主審の後ろへと隠れてしまう。
そして主審のまわりで追いかけっこを始める2人。
試合進行を妨げないで欲しいと叱られて、ようやく近藤を連れてベンチへ引き上げようとするが、主審が丸井に対して墨二の生徒ではなく高校生なのではと気付く。
一昨年にキャプテンをしていたと話す丸井だが、部外者だとしてしてベンチを去るよう言われた丸井はおとなしくスタンドへと戻る。
以前にも見た光景。
スタンドに戻った丸井は、
(近藤がいいチームを作り上げたことは認める)
(でもちょっと小利口になって…チマチマとした野球をやっている)
(もっとこう…ドーンと爆発力のある野球ができねえもんか……)
(だが近藤は確実性を取ったんだろう。コツコツ主義なんだ…)

と、これも時代なのかと近藤の能力や考え方は認めつつも、そんな近藤にもひとつ足りないものがあると考える。
それは
「勝負に対する泥臭い執念」
であり、近藤は4対0になったことによってスイッチを切り替えた。
『後進にチャンスを与える』
スマートで聞こえはいいが、全国大会の準々決勝ですることではないと。
だが、
「ふ…」
と、顔を落とし、自分達古い世代と今の若者は違うのかと考えるのだった。

試合は4対0のまま8回裏へ。
墨谷のマウンドにはJOYがあがり、近藤は守備にも残らずベンチに引っ込んだまま。
それを見た丸井はさらに焦る。
JOYの投球練習を見た富戸ナインは
「春の時に比べたら体も大きくなったし、スピードも増してきてるようだ」
と話すが、これは転機になるとも考える。
そしてマウンド上のJOYは、バッティング練習で近藤に打ち込まれたあの日からストレートのキレを磨いてきた。
(見ていて下さい。近藤さん!)
気合いが入った初球。
だが、1・2塁間を抜けるライト前ヒット。
「ここは打ってくるぞ! みんな守ってやってくれ!」
ベンチから叫ぶ近藤。
続く打者にもストレートを打ち返されるが、これをショート曽根が飛び込んでダイレクトキャッチ。
飛び出していた1塁走者を刺そうと送球するがこちらはセーフとなり、1アウト1塁。
「いいんだいいんだJOY! どんどん打たせろ!」
そう叫ぶ曽根と、
「よしよしバック! 1年生を守ってやってくれ!」
と叫ぶ近藤。

それを見ていた近藤パパがスクっと立ち上がり、
「先輩のみんなー。頼むぞ! 君達のがんばりが後輩を育てるんだ!」
と、大声で伝えると、それを後方から見ていた丸井も、
「近藤のオヤジさん……」
「そ、そうだな……こうなっちまった以上、佐々木を盛り立てなきゃな」

と、考えを切り替え、
「佐々木ー。墨谷には伝統という大きな財産がある! 大船に乗ったつもりでどんどん打たせやがれー!」
こちらも大声でエールを送る。
しかし、続く打者にライト前へと打ち返され、1アウト1・2塁。
結局、JOYはこの回に2点を失う。

ここで第11話が終わります。

感想

4点リードした事でキャプテン就任時からの一番の目標だった後進の育成へと切り替えた近藤。
丸井が考えるように全国大会準々決勝で、しかも前回負けた富戸相手にそれをやるというのは確かに怖い気はしますね。
近藤にすればそれだけJOYの成長とナインを信用しているって感じでしょうか。
逆にここまで完封ペースだった近藤からJOYに交代した事を転機と見る富戸に、結果として2点返されはしましたが、ここまで見る限りでは墨谷の勢いは衰えていないかな?

そして色んな部分で成長したなと感じる近藤ですが、イガラシキャプテン時代同様、丸井を恐れて審判に助けを求めに行く様に
「相変わらず丸井は怖いんだなぁ」
なんて思うと同時に、少しほっとしてしまいましたw

関連リンク

・第7話「神学論争をぶっ飛ばせ!の巻」
・第8話「オトナチックの巻」
・第9話「ダブルスチールを決めろ!の巻」
・第10話「まっ向勝負の喜びの巻」
・第11話「後輩を育てろ!の巻」
・「キャプテン2/プレイボール2」感想ページ

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12 Thoughts on “「キャプテン2」第11話感想

  1. なんか丸井と近藤の考え方が逆になっているような。
    慎重セオリー派の丸井に対し、近藤は豪快な野球を目指していたようなイメージがあったんだけど。
    それと近藤成長しすぎなのに正直違和感。
    転びようによってはガンにも宝にもなる近藤の方が魅力があったんだけどなぁ。

    • 確かに近藤は相木との出会いで急成長した気がします。
      丸井やイガラシといった先輩と接しながら、投手としては成長しても人間としてはまだまだ未熟だった近藤のこの変化は違和感覚える部分ありますね~。

      • 匿名 on 2021年3月20日 at 9:22 AM said:

        違和感は次の世代のイガラシ松尾の活躍が無い事です。次の世代は恐らくイガラシでは無くて根性の松尾のはずなのですがその根性が発揮される活躍が松尾に無くて近藤を何とかプレイボールにつなげる為に墨谷高校に入れる為に相木が出て来た感じです。

        • キャプテン2では確かにイガラシや松尾たち2年生の影が薄いですね。
          相木はプレイボール2でも谷口と再会したし、おっしゃる通りの展開になりそうだなぁ。

  2. 匿名 on 2021年1月4日 at 7:09 AM said:

    このタイミングで変わる辺りやはり近藤は何としても後輩に経験を積ませたいのでしょう。よく考えれば墨谷二中には近藤に続くピッチャーがいません。だから近藤はJOYを徹底的に鍛えようとしているのかも知れません。JOYは富戸中を相手に1度投げています。経験を積ませるなら一番最適な相手かも知れません。
    そして近藤と丸井はやっぱりああなっちゃうんですね。分かっていたことですけど2人の考え方はかなり違います。丸井目線だと、どうしても納得できない部分があるんでしょう。そして暴力で従わせようとするのはどうなのかって思っちゃいましたね。近藤と丸井の関係は昔と同じ展開ですけど時代の流れからか昔と同じ気持ちでは読めなくなっているのかも・・・

    • そうですねぇ。
      近藤卒業後に柱となる投手がいないのでは困りますし、もしかすると近藤はこの試合で仮に負けてもJOYに経験を積ませる放が大事だと考えているのかも?

      近藤と丸井は結局ああなっちゃいますねw
      お互いの野球観や方向性で納得できない部分は多々ありそうですが、丸井は一定の理解を示せるようになったのは近藤の成長を認めた点と、そうなれるようになった丸井の成長かもしれません。

    • 匿名 on 2021年9月6日 at 7:25 AM said:

      昔と同じ気持ちで読めないのは、前回の近藤が「サインに従った野球なんて自分の持ち味が活かせない」という明らかに間違った主張に丸井が激怒したのに対し、今回は「今後のためにも目先の勝利だけでなく後輩の育成もしたい」という真っ当な考えに丸井が待ったをかけたという、全然違うシチュエーションだからかも知れませんね.丸井やイガラシはあくまで今使える選手をギチギチに鍛える方針やから後輩が育たないのがネックだった、実際2年までは眠っていて3年から台頭する選手がいないのがそれを語っている部分が気になっていたし.
      にしても丸井、部外者ながらベンチに潜入やあんな揉め事を度々やってて大丈夫なんか?下手したら丸井個人でなく墨谷二中や墨谷高校に非難の目がいくなんてことになりかねんで

      • 丸井・イガラシキャプテン時代はまさにそういう方針でしたね。
        即戦力を育てるのに全力で次の世代の育成まで手が回らなかったという。
        中には3年生で活躍した人もいたけど、駄目なまま終わった選手、描かれていない選手はもっと多いんだろうなと思います。

        丸井のあの行為は色々やばいですねw
        前回も一度注意されて退場させられてるのにまたやるとはw

  3. 8回で4-0の時点で「JOYの出番を作る時が来た」って言ってるので2点を取られたのも近藤の想定内なんですかね?両方の実力を一番知ってのは近藤ですしね。もしそこまで計算してるんだったら天才ですね。文武両道の成果なのかなぁ。

    • なんとなく近藤にとっては想定内なのかなって気はしますよね。
      JOYが打たれても慌てた様子はなかったですし。
      でもそうだとすると
      「あの近藤がそこまで考えて」
      って、失礼だけど成長したなって思っちゃいますw

  4. 近藤は引っ込んじゃったのかぁ。このまま近藤が投げれば勝利は確実だと思うんですけど。近藤はキャプテンとしてどんなチームを残したかに主題を置いてるので、後輩に経験を積ませたいという考えも分からなくはないけど富戸中相手に思い切ったことをしたもんですね。もちろん優勝はしたいはずだから負けるつもりはないと思ってると思うんですけど、近藤は投げててJOYの球は打てないと確信したのかなぁ。墨谷には3番手ピッチャーがいないからちょっと心配ですね。
    やっぱり近藤と丸井、やらかしましたね〜。そんな予感がしてました(笑)。乱闘にならなきゃいいけど^^;

    • 近藤が目指すチーム作りとしてはわかるんだけど、なんと言っても一度負けている相手ですしねぇ。
      今回のラストまでだと墨谷にもまだ勢いは感じるけど、ここにきて完封負け目前だった富戸中が2点返したことで流れがどうなるか……。

      近藤と丸井はやっぱりああなっちゃうんですね~
      言われてみると白熱した両チームがまた乱闘ってのもありそうな気がしてきましたw

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