第40話「ベルトから下の巻」の感想です。
ネタバレ含むのでご注意!
聖陵vs墨谷戦は、3回裏にイガラシのツーランホームランで墨谷が2点先制。
ダイヤモンドを1周して戻って来たイガラシに次打者の谷口が続投を告げる。
3回までと言われていた先発のイガラシは驚きながらも、指示通りに倉橋にその事を報告しようとするが、
「『ヒット・エンド・ラン』なのに引っ張りやがって……」
と、今の打席についてチクリと告げられる。
打席へ入る前に3回表の一件で言い合った2人の間にまたも不穏な空気が流れるかと思いきや、
「な~んて……」
「2点取ったんだからなッ!」
「結果オーライ!」
と、イガラシのホームランを称える倉橋。
素直にお礼を言いつつ、谷口から次の回のマウンドも任されたと告げると、倉橋は打席に入る谷口と視線を合わす。
(今日のイガラシは体のキレがいい……そこに賭けたんだな)
視線で会話する2人。
マウンド上に集まった聖陵内野陣とバッテリーは動揺を隠せない。
金属バットの影響が出たホームランだと話す投手の木戸だが、捕手の刈谷は
「あの体の小ささだけを見ていると……だまされる」
と、イガラシの身体能力の高さを評価。
ベンチへ戻ったイガラシは4回から登板予定だった松川にも続投を報告し、井口にキャッチボールの相手を頼む。
淡々とキャッチボールする2人だが、
(『結果オーライ』のツーランホームランなんでみんな喜んでいるが…)
(”エンドラン”なのに……引っ張ってフライを上げたイガラシ…)
と、井口はイガラシのプレイがチームプレイではない行為だと考えていた。
高校に入って先輩の手前謙虚にしてはいるが、それこそがイガラシの”地”であり、3回表に9者連続三振を狙ってキャッチャーフライを
「捕るな」
と言ったり、説教する倉橋に
「もっと投げさせろ」
と言ったり、その本質は自分と共に野球をしていた小学生の時となんら変わっていないと感じる。
それでも”結果”を出すから『天才少年』なわけだが、ここはレベルの高い高校の硬式野球。
それも一発勝負のトーナメントにおいて、イガラシはあぶなっかしいとも。
(そこにいくとおれは…大人になったんだけど……よ)
と、なんとも複雑な表情。
3回裏の攻撃が終わり4回表。
聖陵は1番からの攻撃。
イガラシの初球を叩いてライトフライ。
2番はセンターフライ。
3番はレフトフライと、ここも簡単に3者凡退に打ち取るイガラシ。
ベンチへ引き上げる中、5回はどうするか心の中で谷口に問いかける倉橋だが、谷口は5回も続投するようイガラシに告げる。
その期待に応えるように5回表も3人で打ち取り、パーフェクトを続けるイガラシ。
「谷口どうする?」
ベンチへ戻る谷口に今度は声を出して訊ねる倉橋だが谷口は、
「パーフェクトじゃ代えられんな」
「イガラシ6回も行け!」
と、イガラシに指示。
(よし! 井口と同じ6回…!)
対抗意識のあった井口と同じ6回のマウンドも決まったイガラシは、
「井口ナイスプレーだ! サンキューな」
と、5回表の最後の打者が放った一塁線を抜けようかという打球を捕った井口に礼を言うが、返事をしつつも井口は
(パーフェクトと言っても……この回は”ヒット性”が2本あった)
(大丈夫なのか?)
と、6回のイガラシを心配。
そして6回表。
東実戦では井口が6回ツーアウトで交代。
(おれはこの回を投げ切るぞ!)
と気合い十分のイガラシ。
聖陵は7番の小谷からだったが、
「小谷待て」
「代打だ。モウちゃんで行く!」
打席に向かおうとする小谷に借りやが交代を告げる。
バットを持ってベンチから出ていくモウちゃん。
その背中を見つめる広瀬はこの代打を予想していた。
さらに8番荒井にも代打広瀬を出すと告げる刈谷。
その様子を見ていた墨谷内野陣。
「例の選手が出てくるみたいだな」
倉橋がそう言うと、谷口がライトから半田を呼び、モウちゃんの情報を聞き出す。
「ご覧の通り『当たったら飛ぶ』ってタイプです」
「ですがここまで『13の1』。確率は悪いわけです」
「ところがこの1本はホームランでした」
半田の情報ではその1本のホームランが満塁ホームランであり、しかも先制打だったという。
つまりこの大内選手(モウちゃん)は『何かを持ってる』と考えた谷口は、イガラシに対して
「このバッターに対してはカウントが悪くなったら無理して勝負するな」
と指示を出すが、
(ここまでおれパーフェクトやってるんですよ…)
と、イガラシは納得がいかない様子。
その気持ちが読めたらしい井口も、
「イガラシ。おれもそう思う」
と指摘。
(今のイガラシは”危ない橋”を渡っちゃいけない)
(だって最初の頃に比べたら明らかに落ちてきている)
井口は今のイガラシのボールではもう三振は取れないし、ヒット性の当たりも打たれるが、パーフェクトをやっている事が谷口の判断を躊躇させていると考えていた。
そしてもう予定通りに継投策に入った方がいいとも。
内野陣が散らばる中、イガラシ自身も寝不足や一晩中体を動かしていた影響で、球威が急速に落ちてきているのはわかっていた。
それでもこの6回というイニングにはこだわりたい。
なんとしても投げ切って井口を越えたいという思いが強かった。
一方、モウちゃんは広瀬からイガラシについてアドバイスを受けていた。
「今日のイガラシ投手はボールが上ずったままだ」
「イニングが浅い頃は球威があったんで抑えられたが今は違う」
「”ベルトから下”は視界から消せ」
と話し、ベルトから下のボールが見えなくなる暗示をモウちゃんにかける。
パチンと指を鳴らして暗示をかける様子に、ベンチの刈谷と、スタンドから見ていたOBの西田がそれぞれ
「ん」
と何かに気付いた様子で一声。
モウちゃんへのイガラシの初球。
(イガラシ低く! 低く来いよ!)
倉橋の指示通り、低めギリギリのストライクを投げ込んだイガラシ。
(え!)
(ボールが見えなかった!)
当然そのボールが見えない暗示をかけられたモウちゃんには全く見えなかったようだが……?
という場面で第40話が終了となります。
5回までパーフェクトピッチングを続けるイガラシですが、明らかに球威が落ちた中でのモウちゃん登場。
「ベルトより下のボールは見えない」
暗示を広瀬にかけられて、低めの直球が全く見えないというのも初球の反応を見ると
「大丈夫なのか?」
と思いましたが、次回予告が
『大飛球のゆくえ』
になっているので、とりあえず大きい当たりを打たれる事は確定のようですね。
それにしても広瀬の暗示って最強すぎるのでは……。
お久しぶりです。これまでの回で他の方がコメントしているように、イガラシってこうだっけと思います。テイストが違うなと。イガラシについては対白新戦の話しも好きで。悪いと言ってるんじゃないですが。
お久しぶりです~。
過去回でも何度かイガラシらしくない部分はありましたけど、聖陵戦でのイガラシの「と、捕らないで!」をはじめとする言動って、勝負に対しての姿勢がキャプテン時代とは違うキャラになっている気はしました。
井口への対抗意識と焦りをより印象強く見せるためかもしれませんが、イガラシはあまりそういう部分を表に出さないタイプだと思っていたので……。