第36話「公式戦初先発前日の巻」の感想です。
ネタバレ含むのでご注意!


部室で聖陵戦の先発に指名されたイガラシ。
谷口の作戦は
イガラシが3イニングス
そのあと松川が2イニングス
そのあと井口が2イニンングス
そして最後の8回と9回を自分が投げるというもの
猛打の聖陵打線相手に、4人の投手がショートイニングスで全力で行けば抑えられるはずとの計算らしい。

そして解散を告げる谷口だが、半田が何か言いたげに声をかける。
だが、
「い、いえ。やっぱなんでもありません」
と、何も言わずに去ろうとする半田に、見た事は全部言ってくれと頼む谷口。
すると半田は例の2年生コンビ大内と広瀬の2人が、練習の最後の方でブルペンが空くとピッチング練習をしていたという。
「デカい方(大内)がピッチャーで小さい方(広瀬)がキャッチャー」
だったと。
ただ、広瀬はプロテクターを付けるわけじゃなく、大内のフォームも本格的ではなくてキャッチボールの延長のような感じだったそうで、とても本職のピッチャーとキャッチャーがやる練習には見えず、またタマ数も30~40球程度だったと。
谷口に言おうか躊躇した理由は
「そりゃ確かにそいつがピッチャーで出てくるとは思えんな」
と谷口が話すように、この情報は谷口を惑わすだけだと感じたからだという。
それでも谷口は一応頭の片隅に入れておくと話す。

一方、帰り道のイガラシは聖陵戦での先発指名に燃えていた。
(よ~~~し。おれの先発だ!)
(井口は東実戦6回途中まで「0」で行った。おれだって……)
そして自宅の中華そば屋いがらし亭へと帰宅。
客で繁盛している店の中を通って部屋へと戻ると、机で勉強していた弟の慎二に聖陵戦での先発が決まったことを報告。
「あの天下の聖陵高校相手に……!」
「す、すごいね。にいちゃん」
驚きと喜びの声をあげる慎二に
「よせやい。これくらいのことで」
「井口だって東実戦に先発したんだぜ」
ちょっと照れた笑みで返すイガラシ。
だが、
「いやでも…井口のあんちゃんは体がでかいから…」
という慎二の言葉に思わずむっとするイガラシ。
「おれ正直言ってにいちゃんの体のサイズで高校の硬式ピッチャーはキツイと思ってたから……」
「1年の夏の大会で先発を任されるなんてすごいよ」
気にしている事をずけずけと口にする弟にさすがのイガラシも一言返すのが精いっぱいだった。
「ふん。ホメられてんだかけなされてんだか……」

その夜。
「どいつもコイツも井口とおれを比較しやがる」
眠れないイガラシは家の前でシャドウピッチングを始める。
息を切らせながらもまだ眠れそうにないと、今度は付近のランニングを始めるのだった。

そして試合当日。
聖陵高校対墨谷高校の試合が始まった。
マウンドに立つイガラシ。
太陽の日差しをまぶしく思いながらピッチング練習を終え、一旦集まった内野陣がそれぞれの守備位置へと散らばる。
(……?)
(イガラシ…いつもとちょっと違うなァ…)
そんな中で谷口はイガラシのいつもと違う様子にちょっと不安げ。

谷口の不安通り、人一倍「寝ること」には自信があったというイガラシだが昨夜は一睡もできていなかったようで、聖陵の1番打者玉木への初球は投げた瞬間に、
(マズイ……!)
とわかる甘い球だったものの、玉木が見逃してくれたおかげで1ストライク。
2球目は外角に逃げていくカーブで空振りをとって2ストライク。
3球目。
倉橋からのサインはシュート。
球種がいっぱいあるとこを見せてやれという事らしい。
早速谷口から教わったシュートを試そうと、教わったとおりに投げた球は打者の玉木にはド真ん中のストレートに見えたが、直前で変化して空振りの三振。
「スピードもあってあんなに曲がるなんて…」
聖陵キャプテンの刈谷は2番打者の一ツ木に大振りしないよう指示。
だが、公式戦初先発の最初の打者を3球三振に切ってとったイガラシは幸先の良さを感じていた。

一ツ木への1球目は外角低めのストレート。
ボールだと見た一ツ木は見送るが、一瞬躊躇した審判のコールはストライク。
(え! 入ってんの?)
その様子を聖陵側スタンドから見つめる去年の聖陵キャプテンだった西田は、イガラシのボールが低めだったが伸びているのだと分析。
2球目は内角ストレートだと見た一ツ木だが実際にはシュートで、これも見送ってしまい2ストライク。
(え? これも入ったの?)
(どれもボールの制度が高い……)
動揺する一ツ木。
結局イガラシは一ツ木と、続く3番打者も三振に切り、1回を3者連続三振で終える。
(あ、案ずるより産むが易し)

そして
「ストレートもカーブもシュートもどれも一級品!」
「さすが去年の中学日本一投手!」
と驚いて動けない聖陵ナインと、言葉が出ないスタンドの西田。
そんな中、チェンジのコールと共に大内と広瀬が静かに立ち上がった。

ここで第36話は終了となります。

感想

まずはこれ以上ない立ち上がりを見せたイガラシ。
球種の多さ、特に谷口から教わったばかりの球も試しての3者三振ですから最高の結果ですが、一睡もできていない影響がどこで出てくるか。
すでにその影響が出始めているかな?
中学時代の猛練習と日本一までの苦しい試合を戦い抜いたイガラシにしては余裕なさすぎな気がしますが、それだけ井口の活躍とそんな彼との比較は大きなプレッシャーになっているのかな。

そして『プレイボール』シリーズでは初登場となるイガラシの弟・慎二!
『キャプテン』でも気難しいイガラシを言いくるめて近藤を驚かせたりしていましたが、このあたりの遠慮のない発言は兄弟だからって感じでしょうか。

また、最初のコマでイガラシの後ろに片瀬の姿も確認できます。
彼が投げる姿もいつか見てみたいところです。

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2 Thoughts on “「プレイボール2」第36話感想

  1. モウちゃんについては、催眠術がキーになっていきなり投手で覚醒するのかもしれないですね。半田の報告が伏線としか思えないです。
    イガラシの先発は少し疑問なところもありますが、面白い展開ではありますね。
    松川でスタート、2番手イガラシが最後まで投げ切るストーリーもアリだったかなと。そこで次に谷口が温存されるとか。
    後は仰られるところの控え選手の登場もあって良いように思いますね。片瀬も投手ですし、松本(と思われます)の守備固め、横井、久保の代打とか。もう一人だけ、眼鏡の選手のみ名前が相変わらずわからないですが。原作では籏野、平山も名があがっていますが、彼らはベンチにはいないようですね。
    改めて、投手不足だった墨谷が投手王国になりつつあるところも面白いです。

    • モウちゃんと広瀬の投球練習はそんな感じですねー。
      最後のコマでの2人の表情からは他の聖陵ナインと違って余裕が感じられました。

      一方の墨谷も谷口と松川で回していた昨年と比べると投手陣の層が厚くなりつつあるので、ここで片瀬も使えれば大きいのになぁと感じます。
      今回の試合ではイガラシの状態が今後どうなるかも心配です……。

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