第106話「ザッピングの巻」の感想です。
ネタバレ含むのでご注意!
三回戦に向けて浪国の練習を見に来た墨谷。
カドバンのバッティング練習を見た感想は、
「これはプロの強打者のフリーバッティングだよ」
「カドバンはTVで見るよりはるかにうまくてていねいに打っている」
というものだった。
(おれが思っていた”穴”って本当にあるのか?)
そう考えるイガラシ。
丸井は、今大会のカドバンがセンバツの時ほど打率が高くなく、今大会では4番もショートの本山に譲っていると話すが、
(そこら辺の細かい打順は関係ないな。カドバンがイチバンだし、それ並みの強打者がゴロゴロいるということ)
だとカドバンへの警戒心は緩めない。
「エースの縞馬はどこにいる?」
谷口の問いかけに双眼鏡で見ていた丸井がブルペンで投げていると答える。
奥のブルペンからでも聞こえる音を轟かせながらピッチング練習をしている。
半田の調べだと縞馬はストレートとカーブ、そしてフォークを投げ、センバツ5試合と今大会2試合の甲子園防御率は2.57。
1試合投げて3点取られない投手だといい、
「浪国の本当の強さはこの縞馬です」
と言い切る。
やがてキャッチャーがカドバンに変わると、
「カドバンに代わったら……ミットの音が乾いたいい音になった」
と、カドバンのキャッチングのうまさと、縞馬のボールの威力を確認。
「来年の今頃はプロでやってるふたりだ…。遠目にもそのすごさがビシバシ伝わってくる。そしてそれだけじゃない。センバツ準優勝の猛者揃い。今大会優勝候補の筆頭…」
谷口がそう評する浪国に、選手たちも実際に見た浪国のレベルの違いに圧倒されていた。
一方、浪国はベンチ前に選手達が集まり監督が話し始めた。
「去年、墨谷高校とは練習試合で……オマエ達の先輩がやった」
「スコアブックを見てみるとなんと7対7で引き分けていた。やっと思い出したわ」
「あのチームは確かに何かを持っていたのかもな…」
「聞けば甲子園初出場だという。やはりただ者ではなかった。そして大山高校、信州学園という2校を破ってしまった」
「ちょっとあなどれないぞというレベルじゃない。一流だよ」
「ふ…ちょっとしたアクシデントからあの試合が組まれたのにな。今考えるとちょっと感慨や。だが当然ながらこんなとこでつまづけん」
「おれ達の目標はてっぺんや! 優勝のみ!」
続いてカドバンが前に出て話し始める。
「え~あのですね……監督はそうおっしゃいましたが…僕は常に次の試合だが最後――という気持ちで臨んでいます」
「マスコミもみんなウチを持ち上げてくれよります」
「これは大きな落とし穴やと思います。僕達を油断させようゆう――」
「次が高校最後です! そう思って3年生は死ぬ気でやりましょう」
帰り道。
(次の試合が最後…)
(谷口さんといっしょのグラウンドでやれる最後の試合)
そう思う丸井に松川たち3年生が声をかけると、
「おれ達3年生は幸せだな」
「甲子園に出れて……2回も勝てて……浪国のカドバンや縞馬と戦れる」
と、丸井は話す。
(これ以上望むことはない!)
(監督をやってくれた谷口さんには最高の感謝だ!)
と。
宿に戻ってからもずっと浪国のことを考え続けるイガラシ。
浪国はプロ野球の2軍みたいなものであり、アレ相手に勝てるとか甘い考えは持っていないが、今大会カドバンの打率がイマイチ上がっていないのは事実であり、せめてカドバンと対戦して勝つ事はできないかと考える。
(いやできる! 所詮バッターはあの細いバットであんな小さなボールを打つんだ)
(打ち損じる確率の方が高いんだ)
(あの人と……全力で勝負してみたい)
そう思っていると、ふすまが空いたままの部屋の外で、谷口が近藤に浪国戦の先発を告げる。
緊張する近藤に谷口は、
「心配するな。行けるとこまででいいんだ。ピンチになったら先輩達が助けてくれる」
と、伝えてイガラシにも
「な! イガラシ」
と、同意を求める。
そして練習に行こうという谷口にイガラシは練習を休みたいと伝える。
具合でも悪いのかと心配する谷口だが、イガラシはTVを見ていたいのだと答えた。
その様子から何かを察したらしい谷口は
「わかった。好きにしてろ」
と許可。
イガラシはすぐにTVをつける。
特に関西のTVに出ずっ張りだというカドバンを見るためチャンネルを回す。
すぐにカドバンは出てきた。
カドバン本人へのインタビューや地元民らしき人へのインタビュー。
そしてカドバンを分析する番組。
「カドバン君のこのトップの作り方なんですね。この弓を引いた状態が長い。そしてステップした前足です。その時これがキレイに一直線になる。そこからバチーンですよ。これはインパクトまでの距離もできてイチバン力が入る」
カドバン関連の情報はちょっとチャンネルをひねればいくらでも出てきた。
その情報量や扱いにイガラシは
「選手としての注目度が高い――というよりも……国民的な人気が出つつある……?」
と感じる。
やがて練習を終えたみんなが帰って来るが、イガラシはみんなに呼ばれても気付かないほどTVに集中していた。
谷口に二度呼ばれてようやく気付く。
「近藤の先発はヤメにする。やっぱ浪国戦はオマエが先発しろ」
谷口からのまさかの宣告に驚くイガラシ。
そして浪国戦。
マウンドに立つイガラシ。
(甲子園が怖い! 甲子園が怖い! 甲子園が怖い! 甲子園が怖い! 甲子園が怖い! いや! 野球が怖い!)
(だがおれは男だ……。それよりも……あの人と戦ってみたい!)
浪国ベンチを見つめるイガラシ。
(あの人は今日も3番に入っている)
浪国の1番椎木が打席に入る。
(野球の恐ろしさを知っても……それでも…おれは”勝負”に生きたい!)
初球。
(うをッ。速い!)
椎木にそう感じさせたストレートで空振りをとる。
ここで第106話が終了となります。
カドバンと縞馬、そして現在の浪国というチーム自体に圧倒された感じの墨谷ですが、イガラシがカドバン相手に投げたいという気持ちになったのは大きな収穫でしょうか。
個人的にはそのカドバンに代わって今大会4番を打つという本山もなんとなく不気味な気がします。
そして去年練習試合では選手より印象に残った浪国監督。
強豪校のプライドを傷つけられた墨谷相手に燃えているかと思ったけど、さすがに強豪校率いる監督だけあって思っていたより冷静でした。
しかもしっかり墨谷を一流だと認めている。
この監督の油断や負けん気から来る采配ミスが浪国の穴かなと思っていたので、今のところ穴が見えないチームって感じです。
次回は、
いよいよカドバンと初対決!
『今日で最後』の巻
イガラシのピッチングに期待したいですね。
・第102話「勝負は下駄を履くまでは…の巻」
・第103話「甲子園のアレの巻」
・第104話「サヨナラ投手の巻」
・第105話「自信をなくした男の巻」
・第106話「ザッピングの巻」
・「キャプテン2/プレイボール2」感想ページ
・「キャプテン」連載開始50周年記念特集ページ
・キャプテン2(15)
・キャプテン(1)
・プレイボール2(1)
・プレイボール(1)
カドバンは感心したけど、牛島→縞馬はムリヤリ過ぎて死ぬwww
この後の試合展開:
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事前の予想に反して点の取り合い、浪国1点リードで最終回墨谷の攻撃、2死2,3塁で打順は本日ホームラン含む3安打、サイクルヒットのかかるイガラシ。
浪国ベンチから監督伝令で敬遠指示された縞馬、史上最大のゴン太顔で
「投げとんのオレや、黙って見とけ!」
と伝令を追い返す。
——–
折角ならここまでやって欲しいよねw
縞馬は私も思わず笑ってしまいました!
浪国戦はどのような試合になるのか想像できませんが、監督指示からの縞馬とのリアル再現はなんだか本当にありそうな予感ですね~。
もうここまで寄せて来たならやらないとダメなんだろうなと……w
こんにちは。いつもありがとうございます。
浪国に勝つにしても負けるにしても内容には興味深く見守りたいですね。自分は勝つ可能性もありそうな気もしていますが。
やっぱり注目するのはイガラシでしょうね。
私事ですが自分は当時浪商のあった市内に住んでおりまして、直接牛島、香川を見かけたわけではないですが、牛島が通っていた鍼灸整骨院の先生は、彼は凄くしなやかな良い筋肉をしていたと言っていたのを覚えてます。
さらに親になると母親は浪商時代の張本w
を駅でよく見かけてたとかw
どうなるかわかりませんがこの甲子園をもってキャプテン2も終わりを迎えるのでしょうが、寂しくなりますね。
しんさん、こちらこそコメントありがとうございます!
浪商コンビと直接ではないけどそんな意外なエピソードが!
そういうお話を聞けるってのも近場に住んでいる人間ならではって感じで面白いですねw
浪国戦はたぶんキャプテン2で最大の試合になる気配だし、どのような展開と描かれ方をするのか注目しています。
勝敗は知るのが怖いとすら考えちゃいますが……。
お疲れ様です!
モデルのこの時の浪商は3人プロに行ってます。
カドバン以外では
縞馬→牛島(笑)
本山→山本
有名な逸話で、
牛島投手が敬遠の指示にきた伝令に、
“投げるのは俺や、黙って見とけと言え!”
といった事。
浪国の監督も言われるのかな(笑)
SAWAさん、こちらこそコメントありがとうございます~!
牛島=縞馬は私も読んで少しクスっとしてしまいましたw
でも、そんな逸話があるなら浪国監督に対しても縞馬が何かしら反発するシーン入れてきそうですねぇ。
あの監督さんの事だからカっとなりそうだけど、仮に縞馬がそういう性格だったらもう慣れっこかな?
hiroさん、いつもありがとうございます。
まずサブタイトル「ザッピング」の意味がよく分かりませんでした。
調べてみるとリモコンでチャンネルを頻繁に切り替える行為のことらしいのですが、”イガラシが気持ちを切り替える”という意味で使いたかったのか、今いち腑に落ちません(苦笑)。もし分かる方がいたら、教えて欲しいです。
さて、他の方もコメントされているように、やはりこの試合がラストゲームになる雰囲気ですね。私は連載開始当初から文句ばかり言ってきたクチですが(汗)、何だかんだでキャププレファンを盛り上げてくれたことは確かですし、最後まで見守ろうと思っています。
追伸。いつもコメントに丁寧にレスを返されていて、すごいなあと思っています。私みたいな2のアンチを公言していた人間まで相手して下さって(汗)、hiroさんには感謝しています。
記憶さん、コメントありがとうございます!
こちらこそいつもコメントいただき大変感謝しております。
2への感想は違ったとしても、ちばあきお先生のキャプテンとプレイボール好きなのは一緒ですから、色々なご意見を聞けてありがたいです!
ザッピングという言葉がゲームでは聞く言葉なのですが、今回の話でどういう意味に繋がるのか。
私も考えながら読んでいました。
読んだ限りだとやっぱりイガラシの事なんでしょうか?
この試合がラストとなりそうな雰囲気は確かにありますよねぇ。
それなら途中経過も今回は細かく描いて欲しいなと思います。
こんにちは
監督登場しましたね
監督の性格が変わったように感じます
練習試合の時は傲慢な感じでしたが、今回は謙虚な感じですね
選手も謙虚で礼儀正しいと言う印象を受けました
ところで試合始まりましたね
イガラシが立ち直ったみたいなので、これからの試合展開が楽しみです
清貧一郎さん、こんにちは!
浪国の監督登場ですねw
練習試合のイメージあるせいか、次の相手が墨谷とわかって躍起になってるかと思いきや、おっしゃるようにあの時とは別人のように謙虚で冷静でした。
これは手強そうだなぁ……。
イガラシのカドバン攻略も気になります!
初球。
(うをッ。速い!)
がなんだか嬉しいです^_^
やっぱりイガラシは超一流ですね!
近藤、松川、井口と継投していけば勝てるかも!
強打者揃いだと思われる浪国打者にその感想抱かせるイガラシはやっぱりさすがですね~。
私もそこを読んで思わずガッツポーズしましたw
対浪国戦で墨谷が勝つとしたら、はたしてどんな内容か?
強豪がずっと格下のチームに敗れるパターンの一つが、押していながら点が取れず、いらだちがそのうち焦りに変わって……というケースです。
典型的な例として、もう随分昔ですが、1974年4月1日の大分商対広島商戦があげられます。
この試合、広島商はなんと14個もの盗塁を成功させながら、3対2で敗れました。
毎回チャンスを作りながら、焦りからかどうしてもあと1本が出ず、1点差で敗れたのです。
これほど不様でかつ悔しい負け方も、珍しかったことでしょう。
過去にそんな試合が実際にあったんですか……。
コメントでの説明見るだけでもびっくりしました。
今回の浪国がそのパターンにハマってくれれば墨谷にも勝機はありそうですが、今のところどういう展開になるのか読めないな~。
いつも丁寧な感想の投稿、ありがとうございます。
浪国戦が谷口監督のみならず、キャプテン2の終幕となるのかもしれませんね。
イガラシキャプテンの1年間を見たいけど、中学3年時の全国制覇をなぞる筋書きをコージィさんは望まれていないのでは…と邪推してます。
ともあれ、イガラシがチームとしても、個人としても劣勢を自覚して試合に挑むって、彼が中1の時の青葉学院戦以来なように思います。あの試合が谷口キャプテンの中学最後の試合となりましたが、あの試合を奇貨として、墨二の全国制覇への道が開けたようにも思うんですよね。
…やっぱりイガラシキャプテン編、見たいなあ。長文失礼しました。
みさん、こちらこそコメントありがとうございます!
浪国戦、確かにこれまでとは雰囲気違う描かれ方でなんとなくそういう雰囲気漂ってはいますね~。
これ以上の強豪校をどう描くかがちょっと見えない感じも……。
イガラシがここまで劣勢自覚しているのもおっしゃるように墨二時代の青葉幾以来でしょうか。
気持ちとしては最初東実に個人で挑む事にした谷口みたいな心境なのかなぁ。
あの時は練習でみんながついて来てくれたけど、今回は一人じゃない事を試合の中で感じたり……。
まずはカドバンとの初対戦注目ですね!