第92話「第4試合で良かったの巻」の感想です。
ネタバレ含むのでご注意!
大山高校戦。
1回裏墨谷の攻撃は、1番丸井がライト前で飛ばすも、打球が速かった事もあってライト長内がファーストへ送球しアウト。
その守備のうまさに
「さすがに守備はバカみたいにうまいですね~」
「うむ……これが全国大会のレベルだな」
と漏らす半田と谷口。
打たれたマウンド上の成田は小柄なのに”振り”が強かった丸井に対し、
「さすが東東京大会でホームランを1本打ってるだけのことはある」
と、こちらも警戒心を強めた様子。
打席には2番片瀬。
神宮よりもスケールアップしているという応援に、
(おれなんか予選の時は控えだったから…気圧されちゃうなァ)
と緊張の面持ちで初球は見送ってボール。
「片瀬! 行けるよ! 君なら行ける!」
ベンチから半田が叫ぶ。
(僕は半田さんの代わりにならないと……)
(レベルスイング)
(いつも通り振る)
そう意識しながらの2球目は空振り。
(補欠のおれに打てるだろうか?)
と不安に思う片瀬だが谷口は、
「片瀬はセンスのある男だ。試合慣れしていなくても対応してくれる」
と信頼を口にする。
そして成田から見た片瀬は、地方予選で出番が少なかった事もあり、今日の墨谷のメンバーでほとんどデータがない選手だという。
3球目。
シュートを当ててファール。
控え選手にしては冷静だと考えるキャッチャー奥田だが、
(追い込まれたら控え選手は弱い。外の変化球で三振だ)
と外角を要求。
4球目。
外へのカーブを片瀬が流し打ちでライト前ヒットとなる。
1アウト1塁で打席には3番井口。
墨谷打者の振りの強さを感じる大山バッテリー。
1球目。
引っ張った打球はライトへの大きな当たり。
ヒットになるかと思われたが、ライト長内が飛びついてアウト。
しかし1塁片瀬がタッチアップで2塁へと進塁し、2アウト2塁となった。
「片瀬。2塁からサインは送らなくていいからな」
谷口の言葉に片瀬も
(わかってます)
と、倉部監督との約束はしっかり守る。
打席には4番イガラシ。
普通なら2塁ランナーからのサインが出るが今日はナシ。
片瀬もサインは送らない。
イガラシは打つというデータのもと、キャッチャー奥田まずは慎重に外角を要求。
(あ…いい。こりゃスッキリするわ)
イガラシが思う。
初球。
思いっ切り引っ張った打球は大きい当たりながらもファール。
しかし、
(で…でかい。中段まで行った)
(外角をあんなに引っ張られた)
奥田と成田それぞれがその打球に驚く。
そんな墨谷のバッティングに大山ベンチの倉部監督は、自軍の叩きつけるバッティングは”第4試合の戦い方”であり、墨谷もそれを多少マネしてくると思っていたが、ここまで墨谷の打撃にゴロはひとつもなく、レベルスイングで強く振っており、初めての甲子園にしてはマイペースにやっていると分析。
打席のイガラシは、
(甲子園も神宮も関係ない。力いっぱい振って行けばボールは飛んで行ってくれる)
と考え、ベンチの谷口も、
「荒れてるグラウンドに転がしていくのも野球だが…それだと”大きいの”は絶対望めない」
と考える。
2球目。
内角への変化球を要求する奥田。
(余分な情報を入れずに…ただ来たタマを打つ!)
(野球はそっちの方がいいですよ!)
シュートを思いっ切り引っ張った打球はサード横を抜けるかという強い当たりだったが、サード鳥羽がダイビングキャッチしてアウト。
「ええ!? あれを捕る!?」
捕られるとは思っていなかったイガラシ。
実況席ではみんな毎日遅くまで汗と泥にまみれて練習する全国のチームの中で、甲子園に辿り着けるのはたったの49校のみであり、大山高校の日頃の努力は頭ひとつ抜けていると評価。
だが、倉部監督は驚いていた。
(墨谷はこの初回ファールも含めてゴロが1球もなし。ゴロばかりのウチとは対照的…)
だとし、
『甲子園を決めてからずっとバッティングしかしてこなかった』
という墨谷部長の話を思い出しながら、
(実際今の回「ヒット4本」ね…)
と複雑な表情を浮かべていた。
そんな中、倉橋が甲子園へと到着。
外観、そして球場内の迫力に圧倒されながらも田所の元へ向かう。
声をかけられた田所は驚き、
「バーロー! てめぇ大学落ちたらどーすんでえ!」
とゲンコツを食らわせるが、予備校を午前中で抜け出して新幹線で来たという倉橋は、墨谷が甲子園で試合をしている時に、どうしても東京で勉強しているのは無理だったという。
明日早いから帰りの切符ももう買ったという倉橋に、
「じゃあいい!新幹線代はおれが出してやる!」
と財布からお金を取り出す田所だが、倉橋はバイトしているからいいと断る。
第4試合を引いた丸井に感謝を口にする倉橋は、
「今日のこの日、後輩達の雄姿を見逃したらおれは一生後悔する」
と涙ながらに語ると田所も
「バーローこの後輩が! てめぇが来りゃ百人力だ! この試合は貰ったも同然よ!」
と口にする。
そしてスタンドには同じく応援に駆けつけたリカとサチ子の姿もあった。
ここで第92話が終了となります。
強烈な打球をことごとく大山守備に阻まれて初回は得点ならず。
しかし、片瀬は緊張はありながらも冷静な判断を見せ、イガラシも普段よりやりやすさを感じるなど、倉部監督が感じたようにあくまでマイペースにプレーしている気がします。
そんな中で応援に駆けつけた倉橋と、そんな倉橋を心配する田所との会話には和まされました(笑)。
新幹線代出そうとする田所やさしい!
田所キャプテン時代をまた読み直したくなりました。
次回は
東京の予備校生達は何を考える?
『3度めの対決』
墨谷と大山。
先取点をあげるのはどちらでしょうか?
・第88話「第4試合の恐怖の巻」
・第89話「100%の男の巻」
・第90話「神宮とは違うの巻」
・第91話「ランナーセカンの巻」
・第92話「第4試合で良かったの巻」
・「キャプテン2/プレイボール2」感想ページ
・「キャプテン」連載開始50周年記念特集ページ
・キャプテン2(13)
・キャプテン(1)
・プレイボール2(1)
・プレイボール(1)
田所さんが倉橋君を殴るのは珍しいんですね
(今までに倉橋君を殴った事ありません(プレイボール~プレイボール2くらい))
……まさか、リカさんとミチ子さんまで来てしまった……(女二人でどうやって来るかな……)
本気で倉橋の進学心配してるんだろうな~ってのがわかるシーンでしたね~。
かつてはイモ買わせようとした先輩と、それに呆れて去って行った後輩という昔の関係を考えたらなんとも言えないシーンでした。
でも女性陣まで来るのは想像してなかったなぁ……。
田所さん意外と金持ってそう(笑)
いいパイセンですね^_^
それにしてもあの弱小だった墨谷が谷口が入部してからたった4年で甲子園ですもんね。
凄いとしか言いようないですね。
自分はバスで後輩のために新幹線代出そうとするのが泣かせますよね~。
すごく和ませてもらいました(笑)
ほんと谷口が入部した頃の墨高野球部を思い出すと、よくここまでって気持ちになり、また最初から読み返したくなります!
墨谷二中の小室って現在どうしてますか?
小室はその後どうなったのか描かれていないんだったかな?
どこかほかの学校に入学していて対戦の可能性なんかも期待しているのですが……。
今のところ試合は両者攻守で魅せるものの大きな動きはなく
初出場の墨谷はさしてプレッシャーも無く甲子園をしっかり満喫してる感じですね。
今回は倉橋や予備校生女子2人組が甲子園に駆けつけたりと
だんだんと舞台も整いつつあり次号辺りから試合も動きそうで楽しみです。
大山の守りの固さには驚きましたが、墨谷もプレッシャーはないようで伸び伸びと打てていますよね~。
倉橋が駆けつけて田所と倉橋揃ったのがなんとも頼もしく感じましたw
このまま勝ち進めば他のOB達も来そうかなぁ。
どちらが先に点を取るか気になります……。
いつもありがとうございます。 倉橋や田所さんの甲子園登場は良かった。 近藤のパパや、谷口の父ちゃん、母ちゃんがアルプス席で心配しながら祈るように応援している姿も見てみたい気がします。
こちらこそコメントありがとうございます!
緊張感ある展開の中で倉橋と田所の会話には和まされましたw
せっかくの甲子園出場だし、みんなの身内や墨高OBたち、これまで墨谷と絡んだ人たちが応援に駆け付けたら熱いんですけどね~。
1回裏、大山側の唯一のミスが、片瀬に対する配球でしたね。
内角へのシュートの後に外に逃げるカーブないしスライダーなんて、常識的すぎる配球をしてしまった。
打たれたのは、おそらくヤマを張られたのでしょう。
初球ストレートはタイミング合わず、2球目シュートもなんとか当てた感じからの、3球目のカーブはしっかり見て打ち返してましたね~。
控えだと思って簡単に攻めてきた感じでしょうか。
お久しぶりのタカです。
転職して中々時間が取れなかったけど今夏休みで久しぶりにタイムリーに読めました。
甲子園東東京代表の関一が決勝行きましたね!
地元民として墨高とダブらせてます。
倉橋君ついに来てしまいましたねw
最終的には意外とワンサイドになりそうですね。
タカさん、お久しぶりです!
甲子園決勝は関東第一と京都国際ですね~。
倉橋は我慢できずに新幹線使って来ちゃったみたいですねw
田所との会話シーンになんとも和まされました。
この先勝ち進んでいけば他のOBも来るかなぁ。
試合展開はなんとな~くまだ大山が何か手を隠しているのでは……と疑ってるのですが考え過ぎかなぁ。
いつも楽しみにして読んでおります。
墨谷の攻撃始まりましたね。激戦区東東京の名だたる投手を撃ち抜いてきた墨谷打線は強打爆発と言いたいのですが、大山の堅守に阻まれ無得点。しかしこの試合、中盤以降に墨谷のホームラン攻勢でワンサイドゲームになるのではと予想してます。甘いですかね。
加えて倉橋の登場も良かった。
倉橋が墨谷の野球部入部時、あまりにもの不甲斐なさに嫌気がさしてやめたことがありましたね。僕も読んでみたいと思います。
コメントありがとうございます!
一気に傾く可能性はあるのかなぁと思いつつも、まだ大山は何か奥の手みたいなものがあるかも?なんて疑ったりしています。
倉橋やっぱり来ちゃいましたねw
イモ買わせようとした田所と、それに呆れて戻って来なかった倉橋の、今回の会話は見ていてほのぼのしました。
大山高校の守備、「素晴らしい」を通り越して、「化け物じみて」いますね。
1イニングにファインプレー3つなんて、通常ならまず有り得ません。
確かに墨谷は先取点あげていてもおかしくないはずがアウト全部ファインプレーで阻まれましたからね~。
なんとなく大山高校の実力がまだまだ見えない感じが不気味です……。
思い出したのですが、この種のファインプレーは、やられた方もですがやる方も精神力をすり減らされます。
5回や6回ならともかく、10回も15回もできるようなものじゃない。
それが後半になって効いてくる可能性、多分に有りますね。
徐々に気持ちの面で圧される感じでしょうか……。
そうなるとまだまだどう転ぶか読めないかなぁ。