第71話「勝利の女神の巻」の感想です。
ネタバレ含むのでご注意!
大東京新聞スポーツ部でも都立校同士の決勝戦が話題になっており、デスクも
「目の肥えた野球ファンだったらもっと次元の高い決勝戦を見たかったかもしれない」
としながらも、新聞の見出し的にはバリューがあり、もし進学校のお花茶屋が甲子園行きのキップを掴んだ日には……なんて話すが、
「実は……その可能性もあるんじゃないかと思ってまして……」
と答える記者に対して、墨谷はもはや”都立の雄”であり、お花茶屋は”新参”も甚だしく、結果がひっくり返るわけがないと断言する。
その”新参”のお花茶屋のグラウンドには大勢の地元の人達が、ナインの練習風景を見学しながら応援していた。
その中には予備校に通うOB2人の姿も。
「こんなとこで油を売ってていいのか?」
そんな2人に松下が声をかける。
松下は城東のノッカーを卒業させられて今日から普通の受験生に逆戻りだという。
OB2人も講師から
「お花茶屋が勝っても甲子園まで応援には行くな」
と釘を刺される成績のようで、3人共がこれから帰って勉強しなければいけない状態のようだ。
「だが谷口だけはチームから離れることができない。最高責任者だからな」
そう話す松下にOB2人は、谷口が講師の間ではバケモノと呼ばれており、学部によっては早慶も合格圏内に入りつつあるらしいと松下に話す。
小学館予備校期待の星だが、それだけに墨谷が甲子園に行くか行かないかが予備校ではちょっとした問題になっているという。
谷口は学費の点から私学は対象外にしているという松下に、OB2人もそこら辺の事情は知らないとしながら、
「受験の方でも谷口に負けたらおれ達は立つ顔がねぇからな……」
と零す。
(ここまでくると…谷口はスーパーマンかよ!?)
ただただ驚愕の松下だった。
そして墨谷野球部は河川敷に寝転がって休憩中。
(谷口さんはスーパーマンなんかじゃねぇ。恐ろしい程までの努力家なんだ)
丸井がそんな事を考えていると、谷口が恒例のザリガニ採りをやろうと提案。
皆でザリガニ採りをする間、丸井は考えていた。
(谷口さんとこうしていっしょに居られるのは……今日明日の二日間だけか……?)
(あるいはあと一か月居られるか…? 「時間よ止まれ」ってカンジだな)
(しかし……谷口さんには谷口さんの人生がある)
そこへ自転車に乗った相木と今野が通りかかる。
「あしたが決勝だってのにずいぶん呑気なもんだな」
と声をかける今野に谷口と近藤が反応する。
「ひょっとして気持ちを抜いてるわけじゃないだろうな?」
相木の言葉に谷口は抜いてますと答えた。
大会期間中は試合以外の場面では気を抜くことにしているのだと。
相木と今野はそっちの方が科学的かもなと納得。
「――ま、谷口がやることだ。ぬかりはないだろ。あしたはスタンドから応援してるよ」
と言って、相木たちはその場を後にする。
今野はあまりの下馬評の偏りで墨谷の慢心を心配したようだが、今の彼らの姿を見て安心したらしい。
だが、相木は自分達スポーツマンにしかわからん感覚も知っているよなと返す。
それは
「どんなに実力差がハッキリしていても勝利の女神が必ずしも味方してくれるとは限らない」
ということだった。
頂点を決める日は特にあの女(ひと)は気まぐれに働く。
たとえ慢心やぬかりが無くとも、実力差があっても、負ける時の不思議な感覚。
お花茶屋と明善のラスト。
三振振り逃げからの大逆転勝利はまさに勝利の女神が働いた。
明日の決勝戦でも同じような事が起こると話す相木。
今野もその感覚はなんとなくわかった。
相木はさらに続ける。
自分達墨高出身者だからこそ校長の狼狽ぶりも想像がつくが、それも杞憂に終わる。
明後日には普通の日常が戻ってくる。
そして谷口も受験生に戻ると。
だが、今野は
「バーロー相木…」
「色々と考えすぎなんだよおめぇは」
と反論。
そういうものを全て乗り越えて最終的には墨谷が勝つ。
街は大騒ぎになる。
学校関係者もてんやわんや。
残念だが谷口の受験は足を引っ張られる。
そーゆーことに落ちつくのだと。
そして翌日。
いよいよ始まった墨谷とお花茶屋の決勝戦。
先発メンバーは以下のとおり。
先攻・墨谷高校
1番セカンド 丸井
2番レフト 半田
3番キャッチャー 井口
4番ピッチャー イガラシ
5番サード 松川
6番ファースト 加藤
7番センター 島田
8番ライト 久保
9番ショート 那須
後攻・お花茶屋高校
1番サード 沙羅
2番ライト 緩崎
3番ショート 猫田
4番レフト 委川
5番センター 出旗
6番キャッチャー 台保
7番セカンド 粕目
8番ファースト 目方
9番ピッチャー 大路
お花茶屋の先発は背番号10のサウスポー大路。
エース蕪木ベンチにいる。
大路は今大会初登板だけに、谷口監督や井口は蕪木にアクシデントがあったのか。
それとも何かの作戦なのかと考える。
(さらにウチの勝つ確率が上がった…)
そう思いながら1番丸井が打席に入る。
プレイボールがかかると谷口監督はベンチの最後列へと下がる。
「え? 監督……」
驚くナインに谷口は
「今日はおれここから采配する。ここがおれの高校生活の原点なんだ」
と話す。
そこは高校1年生初めての試合だった京成戦で、控えだった谷口が立っていた場所だった。
初球は見逃してストライク。
(なんだよこの草野球みてぇなピッチャーは)
2球目も遅い球。
(キャ…キャッチボール投法かよッ!?)
それを打ちに出た丸井だがサード正面のゴロとなって1アウト。
「墨谷はここまで速いピッチャーとしか対戦してきてない」
「遅いピッチャーをぶつけられた時墨谷打線がどうなるか?」
「意外と盲点なんじゃないのか?」
それこそがお花茶屋監督の作戦だった。
そして谷口監督は思う。
「おとといの準決勝を丸々観戦してエース蕪木のイメージと対策はできていた」
「この控え投手は初見で…データが何もない」
と。
ここで第71話が終了となります。
ついに始まりました決勝戦。
今回もそれぞれの思いや周囲の盛り上がり、または甲子園を賭けた一戦だけに久しぶりに偵察や対策なんかも描かれるのかなと思いましたが、案外あっさり決勝戦始まりましたね。
そしてお花茶屋先発はエース蕪木ではなく谷口曰く
「データが何もない」
という大路。
今の墨谷が投手の球の速い遅いだけでどうこうなるような打線ではないとなんとなく思うのですがどうなりますか。
・第67話「ホームを死守するの巻」
・第68話「墨谷なんて忘れちめえの巻」
・第69話「お花茶屋のスコアの巻」
・第70話「バケモノの巻」
・第71話「勝利の女神の巻」
・「キャプテン2/プレイボール2」感想ページ
・「キャプテン」連載開始50周年記念特集ページ
おはようございます。遂にお花茶屋の苗字が判明!原作のあるコマに下の名前は複数出ていましたが、対象が判別出来なかったため、苗字はずっと気になっていました。特にダボ→台保とは凄いと思いました。
お花茶屋は、もう一人出ていない選手(原作では修理屋)が居るため、彼の存在も墨谷にとって不気味な所です。キャラ的に代走か守備固め、ピンチバンター辺りと思いますが、果たして….
お花茶屋選手の苗字どうなるのか気になっていたけど、それぞれ校舎うらのイレブンにあやかった苗字になりましたね~。
言われてみれば修理屋の姿がないのは不気味です……。
墨谷には大路のデータもないようだしどんな試合になるのか気になります!
速球でばかり練習してきた相手にスローボール投手をぶつけて振り切れなくする戦法はかつての墨谷もやっていましたね。ということは以前やられた軽く合わせて打球を伸ばすミート打法で返していくのでしょうか。しかし攻略よりもみんなの気持ちが勝つ方にあまり向いていないことが心配ですね。
キャプテン丸井も勝って当たり前って余裕と、前日の様子見ているとまだ負けるかどうか悩んでいるのかなっていう感じですねぇ……。
なんとなく気持ちが見えてこない部分は不気味だなと思います。
お花茶屋監督の言う通り、墨谷はここまで、軟投型の投手とは当たっていません。そこをついた奇策。
もっとも、お花茶屋高校にとっては、この試合で負けても失うものは何も無いから、こんな思い切った手を打てたわけですが。
しかし、この程度で墨谷打線を抑えられるとは、お花茶屋の監督も思っていないでしょう。つまり、まだ他に、何か有る可能性が高い。
やはりこれだけでは今の墨谷打線抑えるのは無理ですよねぇ。
おっしゃる通りお花茶屋監督の頭には他にも作戦があるんだろうなぁ。
楽しみにしていた墨谷との対戦ですからね~。