第32話「松川の併走者の巻」の感想です。
ネタバレ含むのでご注意!
職員室の電話を使い、練習試合の相手を探す谷口。
思うように試合が組めない谷口の元へ部長がやって来る。
去年までは部長が練習試合の申し込みの対応をしていたそうだが、今年は秋の大会で1回戦負けした影響もあって、強いチームに練習試合を申し込んでも振り向いてもらえないと谷口は話す。
監督としての試練だなと話す部長、グラウンドで選手達と汗を流している方がよっぽど楽だと話す谷口。
そのグラウンドにネットがないため硬式の試合に適していないらしく、相手校が墨谷にあまり来たがらない原因にもなっているとか。
墨谷から相手校に赴けばいい話だが、もしその日に相手校のグラウンドに予定が入っていると試合はできない。
週2で借りている河川敷グラウンドも土日は契約外だという。
思わず黙り込む2人。
そんな気まずい空気に部長は咳払いをし、
「都会の都立校は皆なんらかの制約の中でやっておる。条件は同じなんじゃないのか?」
「一に練習、二に練習。三・四がなくて五に練習。これしかないのじゃないかね?」
と谷口を諭した。
その後は部室へと移動して学校から振り分けられた予算と選手達の部費を計算してのお金の管理。
ボールや石灰の確認と発注など、連続する事務作業に思わず、
「早くグラウンドに出たい」
と弱音を漏らす。
ようやく作業を終えてグラウンドに出た谷口は選手たちのフリーバッティングを見守る。
墨高野球部フリーバッティングの掟は
「ファールを打つな!」
らしく、これが案外ボールに対する集中力を上げるらしい。
でも本音はやはり週2しか使えない河川敷でしかできない制約のない練習を望んでいた。
そんな谷口の元へフリーバッティングを終えたばかりの松川がやって来る。
城東との練習試合で5点も取られた事を気にしているようで、調子が悪かったのかと聞かれた松川は、
「はい。そうかもしれません」
「でも、いくら調子悪くても城東相手にあんなに打たれたのはショックでした」
と話し、ピッチング練習もバッティング練習も終わったので、これから皇居までロードに出てもいいかとたずねる。
もう一度下半身を鍛え直したいらしい。
皇居までは往復で20キロの距離らしく、練習終了までには帰って来られないぞと心配する谷口だが、もし最後のベースランニングに間に合わなかったら居残りするとまで言う松川に、彼の本気を感じた谷口は行ってこいと送り出す。
すると松川は
「ひとりで走るのもアレなんで、”併走者”をつけたいんですが…」
と言って近藤を指名。
ロードに出発した2人に谷口は、
(近藤。とうとう3年生に目をつけられたな)
(だがいつまでも中学生扱いできないからな…)
と考えるのだった。
近藤と共に走る松川は、近藤はまだまだ中学生の足腰なのだと話す。
練習試合で投げた時のコントロールが、典型的な足腰のなってない人のコントロールだったらしく、入学以来チーム方針でたまたまウェイトトレーニングを多くやっているが、ピッチャーはとにかくもっと走らないとお話にならないという。
「本来はイガラシや井口も走らせたいとこだが…」
「アイツらにゃ取り組まにゃならんことがあるからな」
と話す松川。
その頃、井口はイガラシ相手にキャッチャーの練習をしていた。
球種やコースは言わずに井口にキャッチングさせる練習だが、まだ井口がボールを怖がっているらしく何度もボールを弾いてしまう。
そんな2人の練習を見た萩原と平山が自分達にもやらせろと声をかける。
イガラシはこれを200球井口にやらせるつもりだったらしく、
「めんどくせぇ! 全員200行くぞ!」
「かわりばんこに座れ!」
と話す。
それだとイガラシが600球も投げることになると心配する萩原だが、
「3メートル前から…ワンバン投げてるだけだ!」
「600くれぇなんでもねぇよ!」
と3人相手に練習開始。
萩原や平山の練習を見た井口は、彼らはボールを弾いても本職だけあって前に落とす点に気付く。
その後もキャッチャー3人とイガラシによる猛練習は続いた。
すっかり日も暮れた頃、皇居前で5分の休憩を挟んだ後にロードから戻ってきた松川と近藤。
2時間の予定が3時間かかったようで、すでにみんな帰ったあとのグラウンドで2人きりのベースランニングを開始する。
近藤にとってこの量の走り込みは地獄以外の何物でもない。
(ま、松川さん……! この先輩……鬼や~~!)
心で叫びつつもようやくベースランニングを終えた近藤に松川は、
「近藤。おれはこれを夏の大会まで毎日やる」
「雨が降ろうが槍が降ろうがやるからな。オマエもつきあえ」
と言う。
(え~~そんな~~! 僕まだ1年生ですよ~~!)
と驚愕の近藤。
部室には2人のご飯も残されているが、さすがの近藤でもこれだけの練習後には無理だと言うが、
「ダメだ! のこしたら承知せんぞ!」
と2人並んでメシを食べ始める。
(ひ~! 地獄を通り越して天国に行っちまうよ~~!)
そして谷口はまだ職員室で練習試合の相手を探して電話をしていたが、やはり思うように相手が見つからない。
(このままじゃまた南砂と清澄に申し込まにゃならなくなる)
そんな谷口の様子を部長が陰から応援するのだった。
ここで第32話が終了となります。
それぞれが厳しい練習でレベルアップを図ろうとする選手の姿と、監督として慣れない事務作業や練習相手探しに苦悩する谷口の姿が描かれていた今回の話。
秋の大会で1回戦負けした影響があるようですが、今の墨谷はそこまで評価が落ちているという事でしょうか。
だとすると、丸井があそこまで悩んでたのもわかる気はしますが。
川北なら田淵監督が都合つけてくれそうだし、今の川北がどんなチームになっているのか気にもなるので一度練習試合して欲しいなと思います。
そして松川と共にこれから毎日走り込むことになった近藤ですが、中学時代から何よりも走ることが苦手だっただけに本当地獄でしょうねw
今回よく最後までやり切ったなと思います。
近藤に合わせた結果が予定よりも1時間遅れだったのかもしれませんが、これをやり遂げた時に近藤がどれだけ成長するのか楽しみでもあります。
・第28話「ボールが手につかないの巻」
・第29話「監督に意見する2年坊の巻」
・第30話「ベースランニングのうまさの巻」
・第31話「変わりばえのしない勝利の巻」
・第32話「松川の併走者の巻」
・「キャプテン2/プレイボール2」感想ページ
>今年は秋の大会で1回戦負けした影響もあって、強いチームに練習試合を申し込んで>も振り向いてもらえないと谷口は話す。
昨年は第一シード谷原からも申し込まれた程だったね。それが今回は。いかに秋の大会1回戦負けとはいえ、あの頃は新チームになったばかりでしょ。あれから強くなったチームは数知れずで最新の状況がわかるのが春季大会のはず、しかし何故かそれがスルー。これじゃあ墨谷の実際のレベルというか立ち位置がわからないね。
まあ打線においては竹バット使ってるから得点率が低いのは仕方ないでしょう。金属使えばかなりいいのでは。なんてったって去年のメンバー結構残ってるし。
投手力も近藤の球はメンバーの中でも最強みたいですね。スピードだけはね。これに去年活躍の井口、五十嵐、やや劣って松川が揃ってるし。捕手なんとかすれば去年よりかは勝ち抜きそうですね。
練習場所に困ってるようですが、なんとか高いネットで囲むなりして工夫をしてもらいたい。そうすりゃ思い切った打撃ができそうです。あとお花茶屋のような打撃マシーンもね、投手が有利なあの当時においては貴重ですな。予算がないならOBの方々のご協力がほしいところです?田所さん顔が広いみたいだからなんとかなりませんか。
今の墨谷の立ち位置がわからないっていうのは実際ありますよねぇ。
戦力的には捕手が痛いところですけど、それ以外は相変わらずレベル高いですし。
2年前のOBたちのように今度は田所さん主導でネットだけでもなんとかして欲しいな~。
山本や太田たち懐かしい面々にも再登場してもらって新OB会でバックアップしてもらえるといいのですが……。
お久しぶりです
丸井やイガラシ達と異なる方針を模索した時期もありましたがやはり松川も意地はあるでしょうし、中学から倉橋の意図を察して練習に付き合っていましたので、多少シビアな練習はなんでもないって気持ちもあると思います
ただ倉橋は1と10だけ伝えて2から9までは自分で考えさせるタイプなので、そう考えると井口や松川はまだ親身な方なのでしょうか?
それまであまり目立たなかった部長先生も部員たちの数年間の頑張りを見ていたこともあってか、意識が変わって生徒たちに適切な助言をするようになっていますね
ベレーナさんお久しぶりです!
そうなんですよねぇ。
個人的には松川ってなんとなく穏やかな印象があったのですが、野球に対する姿勢は基本的に谷口や倉橋寄りのタイプなんだなと思いました。
でもおっしゃるように松川はちゃんと言葉で細かく伝えるし、井口も怒りながらも伝えるべきことは伝えるタイプなんですねw
部長先生も谷口の苦労を目の当たりにしてなんとかしてやりたいけど……って感じは出てましたね。
今の部長は野球にも相当詳しくなってそう。
久保を使ってほしい
久保もこのままはもったいない気がしますね~。
この1年でどれほど力をつけたのかも見てみたいですし、これからの練習試合で使って見せて欲しいなぁ。
松川も3年生ピッチャーとしての意地があるのでしょうね。ただ近藤は走るのが苦手だから地獄でしょうが・・(普通に考えたら勉強している時間がないですね。笑い)しかしこれに慣れたら近藤の足腰は良くなり第4のピッチャーではなく井口と肩を並べるぐらいに急成長するかもですね。
でもそろそろイガラシ・井口・近藤らメインのスタメンだけでなく、今まであまり活躍がなかった2年生が出てもいいかな?と思います。
今回の松川の決意はまさに意地を感じさせられました。
3年生になって2年生までは見られなかった松川の強さってものを見た気がします。
さすが倉橋が認めていただけの事はあるなぁと思いましたね~。
それに最初からついていけた近藤も凄いけど、ほんと地獄だっただろうなとw
私もこれまで活躍の場がなかった選手たちの実力や練習の様子などを見てみたいと思っています。
今のレギュラー組に食い込むのは大変そうだけど、墨谷は実力さえつければ出してもらえるチームですしね~。