第28話「ボールが手につかないの巻」の感想です。
ネタバレ含むのでご注意!


城東との練習試合は5対6と墨谷1点リードで、7回表から近藤が登板。
先頭打者を2ストライクに追い込み、ファールを一つ挟んでの4球目。
外角低めに構える井口だが、またしてもド真ん中へきたストレートを打者が打ち返す。
ボテボテのゴロとなったが、ショートイガラシが素早く捕球して1塁で刺す。
1アウトとなったが、井口は4球続けてド真ん中を投げた近藤におかんむりだったが、
(はッ! そうだ! 逆転の発想だッ!)
と、何かに気付く。
(隅なんか要求するからまん中に来るんだ)
次の打者への初球。
井口が真ん中にミットを構える。
思惑通り内角へ大きく逸れるボール球。
2球目もド真ん中を要求する井口に今度は外角へ逸れるボール球。
3球目、4球目も同じく、大きく外れた位置へのボール球となって四球となり、1アウト1塁。

だが、井口はわかった。
(3年の松川さんと同じつもりで受けてても違うんだ!)
(いくらポテンシャルが高いと言っても……いくら実績があると言っても!)
(高校初登板は高校初登板なんだ!)

タイムをとって、こういう時に本職のキャッチャーならどうするかを考えながらマウンドへ。
「いや~~。硬球がちょっと手につかなくて…」
怒られると思ったのか、近藤が苦笑いを浮かべて話す。
(考えれば無理もないことか……)
そう考えた井口は次からはノーサインで投げていいと伝える。
自分を見捨てるのかと言う近藤に見捨てるわけねーだろと怒鳴り、投げ易い方法が一番いいんだと説明。
「カ、カーブは?」
と心配する近藤だが、
「おめぇのションベンカーブくらいノーサインで捕ってやるわ!」
と言って戻る。
その様子を見ていた小倉監督は、近藤がまだ硬球に慣れていないと察知し、打者にバントでピッチャーに捕らせろとのサインを出す。

打席には3番打者。
近藤はまだノーサインの指示に戸惑いつつも初球を投げる。
バントの構えを見せた打者だがボールが外角へ外れたことでバットを引いて1ボール。
これで5球連続ボールとなったが、それよりも井口は、
「バッターがバントの構えをしたら前に来い!」
と前進を忘れていた近藤に怒りの返球。
2球目。
今度はバントを決められるが打球は近藤の正面。
「近藤! セカン行ける!」
指示を出す井口だったが、捕球したボールがグラブからもれてしまいお手玉。
もはやセカンドどころかファーストもセーフになろうかというタイミング。
ようやくボールを掴んだ近藤に、
「わ~~ッ! もうファーストもいい! 投げるな!」
と叫ぶ井口だったが、近藤は態勢を崩しながらもファーストへ投げてアウトにする。
指示に従わなかった近藤を睨む井口だが、
(握っちまえばコッチのもんだが…その前にやはり硬球が手についていない)
と、近藤の硬球不慣れと実戦不足をあらためて痛感。

2アウト2塁となり、打席には4番打者。
(ヒットを打たれたら……1点入る…)
(打たれたくない!)

そんな気持ちを込めての初球は内角に入るストライク。
初めていいところにボールが来たと感じた井口。
2球目。
外角高めギリギリに入るストレートを打者が空振りして2ストライク。
「OK! ナイスボール!」
井口の声に少し安堵した様子の近藤は3球目にカーブを選択。
(井口はんは捕れると言っとるし…信頼して投げれば……)
打者が空振りして三振となるも、井口がボールを逸らしてしまい打者が振り逃げ。
「近藤! ホームカバーだ!」
松川からの声に、2塁ランナーが3塁を回ったのを確認。
(近藤のヤツ…! カバーが全然遅いじゃねーかよッ!)
ボールを捕った井口がホームカバーに走る近藤へ送球。
ヘッドスライディングするランナーよりも早くに捕球する。
「よし! 両手でタッチしろよ!」
井口が指示を出すが近藤はグラブだけでタッチしにいってしまい、滑り込んだ打者の衝撃でグラブからボールが弾かれてしまいセーフ。
(あんなクロスプレーで負けるとは……)
転がるボールを慌てて捕りに行く井口だったが、打者走者もすでに3塁へと到達。
墨谷は6対6の同点へと追いつかれ、さらに2アウト3塁というピンチ。

あからさまに肩を落とす近藤と井口を見ていたイガラシがタイムをかけて谷口の元へと駆け寄る。
「監督。あんな急造捕手とルーキーピッチャーコンビじゃ試合のカッコがつきません。おれが投げます」
自ら登板を申し出るイガラシ。

ここで第28話が終了となります。

感想

練習では見えなかった問題が高校野球初登板で見えてきた近藤とキャッチャー初実戦で把握した井口。
状況は違えど、倉橋から意識が低いと怒られていた頃の井口があのまま実戦に登板したらこんな感じだったのでしょうか。
しかし、井口もキャッチャー初実戦ということで初めて気付く点も多いようですし、近藤と共にあとは実戦経験積むしかないのかなという感じです。

でも、この状況にイガラシが谷口へ厳しい一言。
墨二時代は我慢強く近藤を使っていたイガラシだけに何か考えがあるのかなとも思いますが……。
はたして谷口の答えは。

関連リンク

・第24話「引き抜かれた予備校生の巻」
・第25話「練習と実戦は違うの巻」
・第26話「レベルアップした城東の巻」
・第27話「またまたやっとったなの巻」
・第28話「ボールが手につかないの巻」
・「キャプテン2/プレイボール2」感想ページ

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10 Thoughts on “「キャプテン2」第28話感想

  1. 近藤、
    ドカベンの岩鬼みたいですねw

    谷口は一年時には投げても打っても普通に実力発揮していたのになぁ。

    イガラシの当番志願の真意はどうなんでしょうか?
    高校入学から我が強くなっているし…

    旧作からのファンとしては作者にヤキモキさせらますね。

    • やっぱり岩鬼思い浮かんじゃいますよねw

      確かに谷口は1年生の頃から実力発揮していましたね~。
      もしかすると描かれていないところで硬球慣れするために特訓していたのかなぁなんて考えたり……。

      イガラシは近藤と井口の様子をじっと見ていたので何かしら意図があっての発言だとは思うのですがどうでしょう。
      ああいう言い方すれば近藤と井口の性格なら奮起すると思ってとか?

      • 連続投稿すみません。

        イガラシは墨ニ時代は自分と近藤しかいないので、
        近藤を育ててましたが、
        今は近藤入れて投手が4人いるので、
        自分のアピールしたいのではないかと思ったり。

        この作品でのイガラシは松川、井口、近藤に体格的劣るのを実は1番気にしてそうです。

        • 同期の井口との差に焦る様子も見せていましたからその可能性もありますねぇ……。
          どうしても墨二キャプテン時代の姿が印象強いんですが、墨高入ってからはピッチングでも丸井との会話でもより自分を出すようにもなっていますし。

          う~ん。
          次回どういった流れになるのか気になります。

  2. ゅんゅん on 2021年12月15日 at 10:34 PM said:

     イガラシの言葉に関しては恐らく激励だと思います。
     丸井キャプテン時代に、イガラシは練習試合に関しては選手の経験の場と割り切り、ピンチの場面でも近藤の続投を意見しました。なのでイガラシの本音としてはあの二人でこの場面を乗り切るべきだと考えていると思います。
     近藤や井口がイガラシの言葉で奮起するのではないかと予想します。

    • そうなんですよね~。
      中学時代にあれだけ辛抱強く近藤を使う事を丸井に進言して、また自分がキャプテンの時も使い続けてきたイガラシだけに、そんな簡単に引っ込めろなんて言うわけないですもんね。

      ガックシする2人の姿を見たイガラシからのしっかりしろというメッセージなのかな。

  3. ベレーナ on 2021年12月15日 at 5:26 PM said:

    谷口は、あえて下げないと言う選択をしそうですね

    理由は推測ですが

    1自分達の足りないところを徹底的に理解させ、今後に繋げさせる

    2 勝つだけでなく、負けを通じて連帯感を高めさせる

    3 井口が「見捨てるわけないだろ!お前の小便カーブくらいノーサインで捕ってやる!!」からバッテリーの信頼を確信した

    だと思っています

    イガラシもここでつまづいていては公式戦で勝てないという焦りもあったのではないですかね?

    最後に、今年も素晴らしい感想をありがとうございました。来年もよろしくお願いします!

    • ベレーナさん
      こちらこそ今年も最後までありがとうございました!
      来年も引き続きよろしくお願いします^^

      おっしゃるようにカーブのくだり見ると、近藤と井口は特訓を通じてお互いの信頼が生まれていますよね~。
      このバッテリーが経験積めば相手チームには脅威になるだろうし、私も谷口はこのまま近藤と井口に任せるんじゃないかな~と思います。
      ずっとショートからバッテリーを見ていて、またこの2人をよく理解しているイガラシだからこそ、何かしら思うとこがあって谷口に進言したのかなと。

  4. やはり近藤の未熟さが目立つ展開になりましたね。でも井口はかなり大人になったと思います。客観的に状況を見極めていますから。

    最初の当時時のトラブルメーカーでは考えられないぐらいに成長しましたね。

    多分谷口は元々近藤が実戦を経験が少ないのを見越してマウンドに上げているからまだ近藤を変えないのでは?イガラシも近藤の奮起に期待しつワザと俺がピッチャー変わりますって進言していると思います。中学時代から1番近藤を知っているのはイガラシですから。

    • 井口は怒りながらもちゃんと近藤が初実戦である点やそれに対応しようと考えられているんですよね。
      この練習試合は近藤と井口両者にとってのいい経験になるんじゃないかな~と思います。

      やっぱり谷口はそのあたり考えての近藤投入で、イガラシもわかっていそうですよね。
      墨二時代から近藤のことで一番我慢して起用していたのはイガラシですし、井口ともそれ以前からの付き合いだから性格わかっているでしょうからね~。

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