第76話「積んできた経験の巻」の感想です。
ネタバレ含むのでご注意!


お花茶屋との決勝戦は、お花茶屋1点リードで9回表墨谷の攻撃。
「よし! 最後の守りだ! 元気出して行け!」
お花茶屋杉本監督の掛け声で元気に守備につくお花茶屋ナイン。
墨谷の応援スタンドでは今野が8回裏の1点を重く感じながら様子を見つめている。
「ああ~頭脳の野球。アタマで負けるのはイヤだぞ」
そんな今野の言葉に相木が
「そ、そうだな……。今のは所詮アタマで1点取ったに過ぎんのだ…」
「明善戦の時のような神がかった事が起こったわけじゃないんだ」
「まだ勝利の女神がアッチ側に行ったわけじゃない」

と言い、1点くらい谷口がなんとかしてくれる! と断言。

9回表墨谷の攻撃は5番松川から。
谷口監督は松川に
「スローボールに対して普通の打ち方をするのはもうやめよう」
とし、スタンスを極端に狭くしてみろと指示。
言われた通りのスタンスでバッターボックスに立つ松川に、お花茶屋キャッチャー台保も気付く。
(スタンスを狭めると腰を入れた力強いスイングができなくなる)
そう思いながら初球を打ち返した松川。
打球はレフト方向へファールライン外側へ逸れる飛球となりレフト委川が飛びついて捕ったかに見えたが、グラブからボールが零れてアウトは免れる。
ここで谷口監督がタイムをとって松川を呼び、今のでいいカンジではあったがまだ広いとし、トスバッティングのつもりでいいと伝える。
そこまで狭くして、そしてもっと軽く打てと。
打席に戻った松川はさらにスタンスを狭めるが、
(こんなんじゃ必然的に力なんて入れられない。上半身だけで軽くヒュッと振ることしかできない)
(そして速いタマを投げられた時どうか? これで対応できるか)

心配する松川に2球目はまさにその速球が投げ込まれるが、
(でもそうは言っても遅い! 対応できる!)
と打ち返した打球は三塁線への強烈なゴロ。
サード沙羅が横っ飛びで捕球してファーストへ送球。
松川もヘッドスライディングし判定はセーフ。
ノーアウトでランナーが出た。

打席には6番加藤。
「ノーアウト! ここは送ってくるよ!」
キャッチャー台保の掛け声通り、谷口監督のサインは送りバント。
初球の速球を三塁線へ転がすも、サード沙羅の思い切りのいいスタートでセカンドアウトとなり送りバント失敗。
悪くないバントだったにも関わらずセカンドで刺された。
「この最後の最後に来てのギリギリのプレー! よく練習してきただけじゃできない!」
9回表この場面でのお花茶屋の守備に驚きと戸惑いを見せる谷口監督。
「これだ! このための場数なんだよ!」
「このために関東地方の猛者共と練習試合をやりまくってきた!」

そして自分達がやって来た成果に自信を見せる杉本監督。

1アウト1塁となり、谷口監督はもう一回送りバントという選択肢も考えたものの、今のお花茶屋の守備を見せられて悩む。
かと言ってヒッティングで最悪ゲッツーで試合終了もありうる。
次の打者7番島田の元へ行き「打て」の指示を与える。
そして谷口の指示通りに松川と同様の極端に狭いスタンスでバッターボックスに立つ島田。
一方のお花茶屋バッテリーに緊張の要素はなく、
「打ってもきても送ってきても関係ない」
「ああ。一個一個アウトに取って行くだけだ」

と落ち着いた様子。
初球。
ストレートを打ち返すと打球はサード右を抜けそうなゴロになるが、これもサード沙羅がキャッチ。
「ああ~ダブられる!」
谷口監督の絶叫。
だが、2塁はアウトになったものの1塁はなんとかセーフ。

しかし2アウトとなり、お花茶屋スタンドだけではなく記者席や実況席まで、誰もがお花茶屋の実力を認め、そしてもはやお花茶屋勝利という空気に球場内が包まれる。
「ま、まだまだァ! ランナーは1塁に残ってるんだ! 本格的な攻撃はここからなんだよー!」
「おめえらも声出さねえか!」

丸井がナインに喝を入れる。
次の打者は8番久保。
「久保! おめえは墨谷二中出身なんだ! 墨二魂見せてみろ!」
そう叫ぶ丸井に冷静に行こうと諭す谷口監督。
そして久保にスタンスを狭めるスイングは間違っておらず、たまたま向こうにいいプレーが出ただけだと話し、あくまでも極端に狭いスタンスで自然にバットを振るよう指示を与える。
初球は緩い球を見送ってボール。
(このボールはいくらでも打てそうな気がするんだが…果たしてこの守備の中でどこに打てばヒットになるのか?)
(墨二魂か……)

と苦笑いを浮かべつつも、谷口監督の言うとおりここは冷静に。
そしてどこを狙って打つとか考えずに自然にバットを振る事に専念して2球目を待つ。
その2球目。
またもスローボール。
(遅い! こりゃまたさらに遅いのが来た!)
その球に対してあくまでも自然に軽くミートしただけの打球は高々と左中間方向へと上がる。
懸命に追いかけるセンター出旗だったがやがてフェンスの前で見送ると、打球はスタンドへと飛び込んだ。
打った久保。
打たれたお花茶屋の杉本監督。
見守る谷口監督と丸井。
皆が唖然とする。

ここで第76話が終了となります。

感想

9回2アウトからの逆転ホームラン。
しかも打ったのが久保ってのがなんだかまた嬉しかったです。

年内決着つけてくるかなとも思っていたので、今回読んでいて正直途中まで
「これ墨谷負ける展開あるかも?」
と思ってしまいました。

勝負の行方は?
2024年1月4日を楽しみに待ちましょう。

関連リンク

・第72話「イガラシ対策の巻」
・第73話「気の弱すぎる人の巻」
・第74話「ほんのちょっとだけの変化の巻」
・第75話「おとりの巻」
・第76話「積んできた経験の巻」
・「キャプテン2/プレイボール2」感想ページ
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4 Thoughts on “「キャプテン2」第76話感想

  1. ズン坊 on 2023年12月31日 at 9:46 PM said:

    イガラシの変化球打てないんだから、相手打者全員に変化球投げれば良いだけなんだけど、話の都合上で墨谷全員がアホの子にされてるから、なぜかそうしない(泣)

    イガラシが疲れても松川近藤井口も良い変化球もってるから順繰りに変えていけば点が取られる事は無いでしょう?

    逆にバッティングに関しては、今回の力を抜いた打ち方は従来の谷口やイガラシなら序盤の方で試しはじめるのに、土壇場の9回から始めるってアホの子にされすぎ(泣)

    • まぁそれは確かに……(笑)
      特に打つ方はここまで何も指示与えたりしなかったのかなと気になりました。

      この試合はお花茶屋が今までの墨谷の立場で、墨谷が今までの対戦校みたいな描かれ方に見えますねぇ。

  2. ごんた on 2023年12月21日 at 8:14 PM said:

     こりゃ東実戦と同じ展開だね。ただ相手投手のレベルが違う。好投手相手にうちあぐねて投手戦てならば見ごたえあるけど、強いのか弱いのかよくわからんチーム相手にこの展開、なんだかぱっとしないね。まだ9回裏残ってますからね。最後の抑えは目先をかえて剛速球の近藤か井口でどうかね。お花茶屋がこの両者の速球を打てるか見どころだよ。
     まあエース出てないみたいだから延長かね。9回裏また奇跡のエラーなんて形で同点になり、去年みたいに延長16回くらいまでなんてこともあるかな?

    • このまま蕪木の出番なしで終わりってのも考えにくいですしやっぱり延長戦入るんですかねぇ。
      でもイガラシのストレート対策のみで変化球まで手が回らなかったお花茶屋打線に、近藤や井口の速球は打てそうにないですし、逆に蕪木の球なら墨谷は打ちそうだからもう勝負見えてるのかなぁ。

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