スーパーマリオ、ドラゴンクエスト、ファイナルファンタジー、ポケットモンスター、モンスターハンター。言わずと知れたゲームソフトの大人気シリーズである。今、シリーズに求めるものは安心か? それとも変化か?


2008年。
スクウェア・エニックスのDSソフト「ドラゴンクエスト9 星空の守り人」が発表され、同時にプレイ映像も公開された。
エンカウントによる戦闘突入ではなくフィールド上でそのまま戦闘に入る様子に、多くのシリーズファンから批判の声があがった。
「こんなのドラクエじゃない」
ほとんどの声はこうだっただろう。
開発側の言い分はあくまであれは試作だったらしいが、もし評判が良かったのであればあのままいったかもしれない。
あの「これまでとは違うドラクエ」を遊びたいと思ったユーザーも数多くいただろう。

任天堂の看板ソフトでもある「スーパーマリオブラザーズ」。
NINTENDO64で発売された「スーパーマリオ64」以降、マリオも2Dから3Dへと進化。
しかし、そのせいで難易度が上がったという声が続出。
以降、「スーパーマリオサンシャイン」「スーパーマリオギャラクシー」と、2Dマリオを上回る販売本数は記録できなかった。
単純にマリオの人気が落ちたのでは? なんて思う人もいるかもしれないが、「スーパーマリオギャラクシー」と同時期に同じハードで発売された、2Dの「NewスーパーマリオブラザーズWii」は400万本以上のセールスを記録。人気が落ちたなんて言えない数字である。結局、3Dマリオよりも2Dマリオの方が、より多くのユーザーに望まれているという事だ。

シリーズモノを続けて購入するユーザーは、そのシリーズに安心を求めている。
「ドラゴンクエスト」というゲームに求められるものは奇抜なアイディアではなく、いつもと変わらないシステムのドラクエだ。
だから、9作目発表の際にあれだけ批判の声が出て、今回オンラインゲームである10作目にも批判的な意見が多く聞かれる。
一方でいつまでも変化のない内容だと飽きられることも十分に考えられる。
「いつも通りを求める」ファンと「変化を求める」ファンを両方満足させる事は大変難しい。
シリーズモノと一括りで言っても、それぞれのシリーズに求めるものが違うファンだっている。
例えばここで偉そうに能書き垂れている私。
「ドラクエ」に求めるものは変化である。だから9作目最初期のあのゲーム性は遊んでみたかったし、オンラインゲームである10作目にも期待している。「マリオ」に求めるのは3Dではなく2Dである。昔から暇な時や疲れている時にぼ~っとしながら遊んだのがスーパーマリオブラザーズだった。画面左から右へBダッシュして走り抜けて行くだけでストレス発散になった。ところが3Dマリオではそれと同じ爽快感が味わえなくなってしまったのだ。しかし、3Dマリオが嫌いなんて思わない。むしろ箱庭の世界をマリオで駆け回る楽しさは2Dマリオにはなかった面白さだ。

極論で言えば安心か変化か、どちらかの我が侭を聞いてあげる事しかメーカーにはできない。
安心を与えるいい例が「テイルズオブ」シリーズだ。
勘違いしてもらっては困るがこれは当然悪い事ではない。
変化ではなく、シリーズとしての安心を求めるユーザーに向いているのだから。
変化は下手をすればシリーズを壊しかねない。
それでもやはりメーカーには「全員に受け入れてもらえるシリーズ最新作」に挑戦していってもらいたい。
無謀な話である。
いちユーザーの勝手な要望である。
しかしこの挑戦があるからこそ、シリーズが育っていく大きな一歩となることも事実ではないか。

何を当たり前の事を言ってるんだなんて思われただろう。
ただ、シリーズモノの進化を停滞させてしまっている要因の一つに、あまりに厳しいシリーズファンの声があるのではと感じるようになった。
わかりやすいのがまさに先日発表されたオンラインゲームとなった「ドラクエ」だ。
厳しいファンの声も間違いなく必要だが、変化を全面否定するのではなくまずは受け入れてみる事も大切なのではないだろうか。
その変化も含めてあなたが好きなシリーズ最新作なのだから。
もっとも、ネット上での批判の全てがファンのものとも限らないあたり判断が難しくもあるわけだが……。

この問題と似た課題でリメイク問題もある。そちらはまた次回にお話をさせていただきたい。

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