第30話「ベースランニングのうまさの巻」の感想です。
ネタバレ含むのでご注意!


城東との練習試合は6対6の同点で9回裏墨谷の攻撃。
先頭打者のイガラシが打席へと入る。
9回裏の先頭打者。
しかも登板して以降、いいように抑えられたイガラシ相手とあって警戒心を強める城東バッテリー。
(言いたくないが……イヤな予感)
城東ベンチの松下は何かを感じ取る。
初球スライダーをファールするイガラシ。
「OK。ナイススライダー」
との声が城東守備陣から飛ぶが、イガラシはこの2~3回はピッチャーが外角に逃げていくボールばかり投げている事から、1人で9回投げて疲れている事をわかっていた。
内角をズバッと突く芸当はできない。
外のヘロヘロしたボールだけをイメージして待てばいい。
(よ~~し。あそこら辺を狙うか…)
第2球。
予想通りの外角ヘロヘロボールを打ち返すと、打球は右中間へと大きく伸びる。
グラウンドルールで外野を抜けるとエンタイトルツーベースとなる。
(抜けるなよ!)
1塁を蹴ったイガラシが強く願う。
打球はライトの頭上を越えるがセンターが回り込んで捕球。
これによってグラウンドルールは適用されずエンタイトルツーベースにはならない。
イガラシは2塁も蹴って3塁へ。
サードコーチャーの久保がストップをかけるが、
「「ボールサード」になってるでしょ。まわるよ」
イガラシは3塁も蹴ってホームへ。
ホームでのクロスプレイ。
アウトのタイミングだったが、上手く回り込んだおかげで追いタッチとなってセーフ。
墨谷のサヨナラ勝ちとなる。
「あ、足も速いんだ……」
呆然とする小倉監督。
「てゆーか”ベースランニングのうまさ”ですね」
「今の一周はウチの選手にも見習わせた方がいい…」

そして松下はあらためてイガラシのうまさを讃えた。

帰り道。
学校まで走って戻ってる最中、井口がイガラシに声をかける。
「イガラシ。おめぇ”エンタイトル”にならねぇ程度のとこに狙って大きいのを打ったろ」
「ん。どうかな……」

そんな2人のやり取りに後ろを走る近藤は
「投げるのも打つのも走るのも……一番うまいのんはイガラシさんなんやな」
と言い、牧野も
「さすが墨二の伝説キャプテン」
と口にした。

一方、山梨県立甲和高校との練習試合に臨んでいたお花茶屋高校は、8回裏まで終わって3対2と1点リードされた状態で9回表を迎えていた。
1アウト1・2塁と同点のチャンス。
だが、続くバッターのセンター前に抜けそうなライナーをセカンドがダイビングキャッチ。
運悪くその真下がセカンドベースだったため、飛び出していた2塁ランナーもアウトとなってダブルプレイとなって敗北してしまう。
(最後の最後で追い上げたがここが限界か……)
杉本監督は甲子園にもたまに出る山梨の強豪・甲和高校の2軍相手のこの結果に何を思っただろうか。

帰りのマイクロバスの中で甲和のピッチャーについて選手たちに感想をたずねる。
2軍でもレベル高いとしながらも、直前にマシンを使って140キロの球で練習していたのでスピードはあまり感じなかったという。
杉本監督はマシンの140と人間が投げる140は違うと説明。
甲和のピッチャーはマシンよりも10キロ以上遅いと分析し、それでもなぜ打てなかったかというと、生身の人間が投げるボールとマシンのボールでは回転が違うのだという。
そういうことがわかるようになればマシンを打つ価値はあるのだと。
やがて次の練習試合の相手である長野県立諏訪高校の合宿所へと到着。
今夜はここで泊まって、明日の朝一で試合をするらしい。
用意された食事と風呂を済ませて、風呂あがりに素振り500回をこなす。

そして翌日。
相手は諏訪高校の2軍。
初球ストレートを見送ったお花茶屋の打者は、マシンのボールとも甲和ピッチャーのボールとも回転が違うと判断。
その様子を見守る杉本監督は
(お金があれば選手に色々な経験を与えてやることができる!)
と、あらためてお金の力を感じていた。

その頃、谷口は近くの南砂高校との練習試合のため学校へ向かうのだった。

ここで第30話が終了となります。

感想

城東との練習試合は最後はイガラシの一人舞台といった感じだったでしょうか。
ピッチング、バッティング、ランニング全てにおいて余裕を感じさせられました。
一年生の時は焦りや葛藤が見えましたが、今は墨二キャプテン時代のような落ち着きが見えますね。

そして墨谷同様に練習試合で力をつけていこうというお花茶屋高校。
こちらは2軍とは言ってもそれぞれが県を代表する強豪校が相手。
さらに墨谷にはない莫大な資金で得たマシンでの練習など、他校との練習試合で地力をつけていくという目的は同じながらも、その中身は全然違うという面白い展開になっています。
それぞれにどのような成果が出るのか。
その答えは次回にも見えてきそうですね。

関連リンク

・第26話「レベルアップした城東の巻」
・第27話「またまたやっとったなの巻」
・第28話「ボールが手につかないの巻」
・第29話「監督に意見する2年坊の巻」
・第30話「ベースランニングのうまさの巻」
・「キャプテン2/プレイボール2」感想ページ

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6 Thoughts on “「キャプテン2」第30話感想

  1. まもる on 2022年1月21日 at 2:50 PM said:

    お久しぶりです、毎回楽しく読ませて頂いていますm(_ _)m
    1年の時こそ、新しい変化球を教わってたり若さも見せてたイガラシでしたが、2年での描かれ方は、ほぼ完成形という描かれ方ですね。
    このチームが甲子園に行けるかどうか、ステージアップ出来るかの全ては、潜在能力が高く超未完の井口と近藤が投打にわたって主力になれるかどうかが全てですね、それこそ完成形は1番丸井、2番イガラシ、3番近藤、4番井口くらい極端に、まあ今年度は現実的なとこでは3番井口、4番イガラシ、5番近藤くらいかもですが^^;
    勿論自分も、1番好きなイガラシに4番を打って欲しいのが心の本音ではありますが(笑)

    • まもるさん、お久しぶりです!

      それぞれに能力が高い選手が揃っている中で、キャプテンという立場に苦労する丸井や、初実戦に苦しむ井口や近藤と比べて、今はそれぞれに縛られていないイガラシは見ていて安心できる気がしました。
      そういう部分でも私も今4番にするならイガラシかなぁと考えちゃいますね~。

  2. ベレーナ on 2022年1月20日 at 5:08 PM said:

    今日は井口さんの出番がないですね

    キャッチャーとしての練習にスポットが当たるんでしょうか?

    そしてやっと牧野が出ましたね!

    • 城東との練習試合で近藤井口バッテリーの課題も見えてきたので、次回からの練習試合でどういう使い方をするのかも気になります!

      牧野も育ててほしいですね~。
      短気な部分はあるけど近藤の球を受けてきた貴重なキャッチャーですし、バッティングも硬球に慣れてくれば期待できそうですから。

  3. ゅんゅん on 2022年1月19日 at 10:22 PM said:

    旧原作でもイガラシがどの年次の時も決戦で勝利を決めましたね。
    一年の時は、青葉相手に疲労困憊で転倒しながらも逆転のホームインを決め、
    二年の時も青葉相手に疲労困憊ながらも逆転サヨナラホームランを決める
    三年の時は全国大会決勝で、フェイントを使った上手いスライディングで優勝を決めました。
    イガラシは他のキャラよりも大事な場面で勝利を決める場数を誰よりも踏んでいると思います。

    • 言われてみるとそうですね~。
      あらためてここ一番でのイガラシの勝負強さや勝負勘の凄さを感じさせられます。
      城東からするとイガラシ一人にやられたイメージが残った感じかなぁ。

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