第110話「魔法の国の世界の巻」の感想です。
ネタバレ含むのでご注意!


浪国戦。
3対0と浪国に3点先制されてからの1回裏墨谷の攻撃。
打席には1番丸井。
浪国先発の縞馬は丸井に対してカーブを2球投げて2ボール。
(的が小さすぎるから入らんのじゃい)
若干イラついた様子の縞馬。
対する丸井は、
(2球ともカーブなのか? ちょっと信じられない変化量だぞ)
と、その変化の大きさにただただ驚いている。
3球目。
カドバンのサイン通りストレートを投げる縞馬。
(これはさっきのタマより速い?)
(でも低い)
(ワンパンする!)

そう判断した丸井だったが、
(ん?)
(いや、しない?)

ワンパンしそうな低めのボールが浮き上がって高めにはずれるボールとなった事に丸井は呆然。
だが、これで3ボール。
解説席ではここまでの3球を見て、
「ひっかかっているのか」
「スッポ抜けているのか」

わからないと話す。
カーブもストレートも入らない縞馬はここで自らフォークのサインを出す。
4球目。
高めに外れるストレートと見た丸井。
ボールはどんどん浮いてくる。
が、
(え?)
目の前でボールがピタッと止まったかと思うと、そこからストンと落ちた。
結果、フォアボールとなってノーアウト1塁となったものの、
(浮き上がってきて一瞬止まった。確かに止まったんだ)
(そこからボールゾーンへ落ちて行った)
(おれは今何を見せられたというのだ!? この人は魔術師!?)
(これがプロってこと? この人は来年からプロに行く)
(おれ達一般人がどーやって打つってーの?)

と、その変化球の凄さに喜びはまるでナシ。

打席には2番片瀬。
谷口からのサインは送りバント。
最初からバントの構えで待つ片瀬。
(このバッターもそんなに大きくないが…さっきの1番よりはマシ)
そう感じながら縞馬が1球目を投げる。
(高い! 外れる)
だが、ボールは大きく曲がる。
(入ってる! やらなくちゃ)
慌てる片瀬だったがバント空振りして1ストライク。
(お! これは入るぞ)
と感じる縞馬。
(恥ずかしい! けど今のボールは一体何?)
恥じる片瀬だが、2球目の浮き上がってくるストレートもバント空振りして2ストライクに追い込まれる。
ベンチの谷口達も縞馬のボールの凄さに驚きを隠せない。
片瀬になってようやくストライクが入るようになってきたと手応えを感じる縞馬。
谷口はこのままスリーバントに言っても失敗すると判断してヒッティングのサインに切り替える。
それを見た丸井が、
(ヒッティングか…仕方ないな…)
(そうなるとゲッツーの可能性が……)
(しかしその前に片瀬のバットに当たるか…?)

と、リードしつつ考えていると、突然こちらを向いた縞馬からの牽制球に慌てて1塁へと戻るが間に合わずアウト。
(いつプレートを外したんだ!? 全く見えなかった!)
審判を見る丸井だが誰もボークとは言ってない。
ベンチに戻ってみんなに謝る。
解説席では縞馬の牽制がプロ並みだったと評価するが、丸井にとっては恥ずかしいと感じるミスだった。
そう思っている間に片瀬は空振り三振となって2アウト。
戻る片瀬は次打者井口に、
「ストレートも変化球も全てが物理法則を無視してる」
と伝える。
丸井も
「全ての事が大人と子供……ケタ違いの世界…」
だと口にする。

3番井口が打席に入る。
(お! 次は井口か)
縞馬も井口の名前は覚えたらしい。
井口は、
(丸井さんや片瀬のリアクションを見ていると実物は相当すごいんだ)
と、警戒心を強めるが、
(でも…このヤンチャ者には負けたくない!)
(おれだって元ヤンチャ者!)

だと気持ちを奮い立たせると、バットを構えて縞馬を睨みつける。
その目に縞馬は、
(ん。なんや? こいつ)
(その目……)
(ケンカ売っとんのか!?)

と、睨み返す。
だが井口も負けていない。
すると縞馬は、
(ほほう。じゃあええわ)
と、なんとグラブからフォークボールの握りを井口に見せた。
(ちくしょう。惑わそうってのか!?)
驚く井口。
第1球。
投げる瞬間の握りからフォークボールだと確信する井口だったが、ボールは高めへのクソボール。
と思いきや、目の前でボールが止まりストンと落ちてストライク。
(なにいーー?)
あまりに変化に口を開いたまま言葉も出せない井口。
(くくく。笑っちまうぜ。その正直なリアクション)
(オマエは球種がわかっていても振れなかったんだよ)
(どうした? もう一回睨んでみろや)

そんな井口の様子がおかしくてたまらない縞馬は、次もまたフォークの握りを井口に見せる。
(またフォークが来る!?)
的も大きくなって活き活きした様子の縞馬の2球目。
(怖い! またあんなものがくる!)
恐れる井口だが、今度はワンパンしそうな低めのストレート。
かと思いきや、
(はあ? ここから浮き上がる?)
ボールが浮き上がって来てこれもストライクとなり、2ストライクと追い込まれた。
(全てが魔法の国の世界…魔術ばかりだ…)
三度、縞馬がフォークの握りを見せる。
そして3球目。
高めからまたストンと落ちるフォークボール。
(ストライクゾーンに落ちてくる! 振らなくちゃ!)
懸命にバットを出してなんとか当てたものの、ボテボテのピッチャーゴロとなった。

しかし、捕球した縞馬は、
(当てた?)
と、驚いた様子を見せる。

ここで第110話が終了となります。

感想

縞馬、態度だけじゃなく投げる球も凄いですね。
丸井、片瀬とまるで相手じゃない投球を見せつけられましたが、井口が最後にバットにかすらせた事が今回は救いだったでしょうか。
でも握りを見せてようやくって感じなので、縞馬攻略はまだまだ苦労しそうな気配です。

次回は
おれのボールに当てた奴は許さん!
『小さな目標』の巻

縞馬のプライドに傷がついたかな?
でもこの人ってちょっとやそっとじゃ自滅はしなさそうだしどうなりますか……。

関連リンク

・第106話「ザッピングの巻」
・第107話「今日で最後の巻」
・第108話「ツッパリがやってきたの巻」
・第109話「見たことのないボールの巻」
・第110話「魔法の国の世界の巻」
・「キャプテン2/プレイボール2」感想ページ
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12 Thoughts on “「キャプテン2」第110話感想

  1.  hiroさん、いつも分かりやすいレビューありがとうございます。

     浪国ナインそれぞれのキャラ設定といい、縞馬の投じる一球一球の描写といい、作者のこの試合への気合がうかがえて、嬉しく思います。熱戦の予感、そしてやはり「この試合が最後かもしれない」という一抹の寂しさと……いずれにせよ、今後も目の離せない展開が続きそうですね!

     話は逸れますが、私の方も細々とながら小説「続・プレイボール」の執筆を続けています。先ほど最新話(91話)をアップしました。甲子園編も準々決勝の終盤を迎え、こちらもそろそろ”物語の終わり”を意識する頃になってきました。
     執筆というものは、何より続けることが大変ですよね。hiroさんが「プレイボール2」第1話から欠かさずレビューされてきたこと、私は尊敬します。
     今後とも、お互い無理せず、楽しく執筆活動を続けていきたいものですね!

    • 記憶さん、こちらこそコメントありがとうございます!

      今回の浪国戦は過去の試合と比べて1つ1つが細かく描かれている感じですよね~。
      それだけに確かに集大成って感じで予感させられるものはあります……。

      「続・プレイボール」91話ちょうど今日公開されたんですね!
      いつも楽しく読ませてもらっています。
      私は描かれたマンガをそのまま伝えて好きに感想述べているだけですが、記憶さんは自ら描く物語の執筆をずっと続けていらっしゃるという点で、私なんかよりよっぽど凄いし尊敬します。

      お互いキャプテン、プレイボールのファンとして、共に頑張っていきましょう!

  2. しん on 2025年5月24日 at 2:51 PM said:

    こんにちは。いつもありがとうございます。
    イガラシが調子良さそうだっただけにまさか点が入るとは思ってもみなかった展開です。
    縞馬攻略は何かのヒントから谷口監督のキレキレ采配!なんてのを期待します。
    あと今の作者は片瀬がお気に入りなんですかねw
    何気に出番が多いような。

    • しんさん、こちらこそありがとうございます!
      勝負としてはイガラシが圧倒していたので、縞馬にあそこで打たれたのはビックリといいますか、カドバンばかり意識していたのでやられたって感じでした。
      さらにその縞馬が投手としてもここまで厄介とは……。

      片瀬が出て来るシーン多くなりましたねw
      彼には頑張って欲しいので嬉しい!

  3. 中ラマ on 2025年5月23日 at 12:30 PM said:

    こんにちは。久しぶりの投稿ですが毎回楽しみに読ませてもらっています。

    対浪国、普通に考えればとても太刀打ちできないレベルのピッチャーと思います。
    ですが、どうも小兵が苦手なような。墨谷には小兵が丸井にイガラシ(半ちゃんがいないのは残念)がいます。この二人がピッチャーを掻き回してくれないかなあとか思っています。
    思い起せば、谷口が2年生キャプテンの時に、歯が立たないだろうと思われた専修館や明善だったかに勝ちました。ピッチャーの少しの弱みを見つけてそこを攻めたように覚えています。
    浪国に対してもその手でやっつけてほしいです。墨谷はここで負けてほしくないです。

    • 中ラマさん、こんにちは!

      実力的には圧倒されているけど、的が小さいと苛立つ様子や最後井口にバットに当てられて驚いた様子など、つけ入る隙が全くないって感じでもないですよねぇ。
      大変な相手には違いないけど、それを墨谷がどのように攻略していくかが楽しみです!

  4. 清貧一郎 on 2025年5月22日 at 1:54 PM said:

    こんにちは
    すごい球ですね
    魔球といってもいいです
    攻略方法は何とかバットに当ててファールで粘るとかしかなさそうです
    この球を受けるキャッチャーもすごいなと思いました
    並みのキャッチャーでは捕れないでしょう

    • 清貧一郎さん、こんにちは!

      今まで見てきた投手とはまるで違うので、序盤は当てるのも苦労しそうな感じですかねぇ。
      墨谷がどのような対策を立てるのかも気になります。

      確かにあのボール捕れるカドバンはさすがですね~。

  5. にしなさとる on 2025年5月21日 at 11:12 AM said:

    これまで戦ったどんな投手とも、はっきり格が違う相手。
    そんな投手をどう攻略するか?
    糸口として考えられるのは、球の威力は確かにプロ並みだが、コントロールは良いとは言えないこと。
    もう一つは、相手の驕りを利用すること。それくらいでしょうか。
    とにかく、まともに打とうと思ったら、目が慣れるのを待つしか無いのが……。

    • ここまで打席に立った3人ともが「魔術」という言葉を使うほどですからねぇ……。
      確かに相手打者次第でストライクがああも入らなくなる不安定さや、井口に対しての態度見ていると絶対的な自信あるせいで挑発には乗せやすいのかなぁと思いますね。
      丸井と同じく背が高くないイガラシとの対戦もどうなるか楽しみです!

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