第58話「運命の道筋の巻」の感想です。
ネタバレ含むのでご注意!


2対1で東実に勝利した墨谷。
両チーム整列しての挨拶が終わると佐野が
「おれ達に勝ったんだ。絶対甲子園に行けよ」
と丸井に告げる。
だが、丸井は不思議と先の事は考えてないといい、目の前の試合をただただ練習のようにするだけだと話す。
その答えに一瞬戸惑いの表情を見せた佐野だったが、
「ふふ。丸井。おめぇは練習が大好きだったからな…」
「試合が練習になったのならサイコーじゃねぇか」

と返す。
また東実監督も全てにおいて墨谷が一枚上だったことを認め、よくチームをここまで仕立て上げたと心の中で谷口を讃えていた。

着替えを済ませて球場の外。
待っていた田所からまだ陽も高いし帰って練習するのかと聞かれるが、試合はものすごく緊張するからある意味練習より疲れるとし、
「今日はもう何もしない。ウチに帰ってひたすら怠けてろ!――です」
と話して帰って行く谷口と墨谷の選手たち。
拍子抜けした様子の田所が次の準決勝の相手を倉橋に尋ねる。
相手は専修館と城東の勝者らしい。
専修館はお馴染みの強豪校との評価だが、城東は練習試合で墨谷が勝っていることもあり、城東が出てくれば墨谷有利。
でも順当にいけば専修館の勝ちだなと話す田所と倉橋。

一方、河川敷グラウンドでは専修館戦を明日に控えた城東ナインを前に小倉監督が、ここまで来れたのは松下コーチの貢献が大きかったと話していた。
ナインもそれを感じているようで、小倉監督の隣りにいる松下の名を呼ぶ。
松下は予備校生として毎日参考書とにらめっこし、受験という魔物と闘っていたが、自分の主戦場はやはりグラウンドにあると思い知らされたという。
それを教えてくれたのは墨谷の谷口監督とは同級生だが、谷口からは負けない心や勝利に向かって努力する大切さ、そして最後の最後まで決してあきらめない気持ちなど、自分が教わってばかりだったと話し、自分も城東のコーチとしてそれだけを説いて、日々ノックし続けてきたという。
「笑っちゃうよな。これが浪人生の手だぜ」
ボロボロになった両手を見せるが、でも不思議とこの手でえんぴつを持つとスラスラ参考書の内容が頭に入ってくるのだと話す松下。
「さあ野郎共! あしたは完全燃焼で行くぜ!」
気合いを入れる城東ナインだった。

翌日の明治神宮野球場。
専修館のスタンドにはエースだった百瀬の姿があった。
今は立教に行ったらしく、この日は現専修館のエースの弟を見に来たらしい。
弟の百瀬友基は兄そっくりのサウスポーらしく、違うのはメガネをかけているとこだけらしい。
「え」
だがスコアボードを見た百瀬兄が声を漏らす。
2回終了時点でのスコアは2対1で城東がリードしていたからだ。
「負けてるじゃん。友基打たれたの?」
同じく後輩の応援に来ていたOBたちに尋ねる百瀬兄。
だが、スクイズと外野フライによる得点と聞き、打ち込まれたわけではないと知るが、ネチネチとやられてしまったらしい。
前キャプテンだった原田は1点差なら専修館の打線ならあってないようなものだと言い、百瀬兄も今日勝って明日の墨谷相手に弟に自分達の代の雪辱を晴らして欲しいと漏らす。

攻撃は3回表。
専修館の攻撃。
初球打ち頃の球をショートへと弾き返す。
城東ショートがその打球の速さに一瞬臆して前にこぼすが、
「落ち着け! すぐ拾って投げれば間に合う!」
というピッチャーの声に落ち着いてファーストへ送球し無事にアウトをとる。
専修館OBによると、城東は特別うまいわけじゃないが、ちゃんとひとつひとつ確実にアウトを取ってくるのだという。
続く打者は三塁線を抜けそうな打球を放つが、サードが横っ飛びしてアウト。
「いやいやどーして。城東はそうとう鍛えられてるよ」
と話す百瀬兄。
これらの城東の守備には、
・際どい打球はあきらめたら抜けていくからあきらめずに飛びつく
・たとえキャッチできなくてもグラブの先っちょに当てる
・同じヘタクソでも打球に対する執念がある奴はアウトにできる確率が上がってくる

といった松下の教えがあるらしい。

試合を見ていた百瀬兄は前列に谷口の姿を見つけて歩み寄る。
声をかけられて立ち上がって挨拶する谷口と倉橋。
倉橋の話だと百瀬兄は一浪して立教に入り1年生ながら春のリーグ戦で投げたそうだが、百瀬兄に言わせるとたった1人に投げただけだと言い、大学の野球部は厳しいと話す。
百瀬兄は谷口が浪人しながら監督をやっている事も新聞で知っていたらしく、準決勝で当たれば弟は負けないぞと話す。
谷口も百瀬友基は素晴らしいピッチャーだと感じているらしい。

兄が果たせなかった夢を叶えるために投げる専修館の百瀬友基。
谷口から教わった執念の教えを松下からみっちり受けた城東選手たち。

両チーム点が取れないまま、ついに2対1で城東が専修館を下して準決勝を決めた。

ここで第58話が終了となります。

感想

順当に勝ち上がってきた専修館と松下の貢献が大きかったという城東の試合は城東勝利。
谷口から教わった野球への姿勢を松下によって叩き込まれた今の城東は、以前の墨谷と同じような相手チームにとってのいやらしさがあるような気がします。
ただ、それだけにここまでの疲れも相当溜まっているかなという感じもしますがどうなりますか……。

それにしても兄そっくりだという百瀬弟ももっと見てみたかったなぁと思いますね。
実際打ち込まれたわけではないしいいピッチャーなんだろうなぁ。

関連リンク

・第54話「負けない心の巻」
・第55話「仕組まれた挟殺プレーの巻」
・第56話「練習のようにバットを振るの巻」
・第57話「男の心意気の巻」
・第58話「運命の道筋の巻」
・「キャプテン2/プレイボール2」感想ページ
・「キャプテン」連載開始50周年記念特集ページ

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13 Thoughts on “「キャプテン2」第58話感想

  1. キャプテン世代 on 2023年4月4日 at 8:58 PM said:

    決勝は聖稜が来そうですかね?だけど聖稜は昨年レギュラーが3年主体なチームでしたっけね?それだと厳しそうですね?明善は昨年のレギュラーが2年主体ですと、昨年のメンバーわからないし、今年もかなり強いかも知れませんね。。

    • 決勝の相手が予想つかないんですよね~。
      昨年までの実力で見るなら明善や聖陵あたりかと思うのですが……。
      個人的には一度負けたきりでその後も強さはわかってもそれ以上の情報が見えない明善がすごく不気味なんですけどねぇ。

  2. トモパパ on 2023年3月29日 at 7:46 AM said:

    他の方もおっしゃっているように、いきなりの準決勝。
    なんだか話の短縮(まさかの打ちきり?)の匂いがします。
    昭和の設定だから当然とはいえカウント表記も以前のままだし、今の若い人には馴染まないのでしょうか…?
    それでも私のように古い人間にとっては、百瀬はじめ専修館の面々は懐かしく、うまいこと組み込んでくれたと思います。
    さて決勝の相手が明善だとしたら、ですが、この学校は強いというだけで選手も監督もこれまで個性がない点をどう補うのか?
    それを考えると、決勝の相手は準決勝で明善を破って大躍進のお花茶屋!?の気もします。

    • 打ち切りは考えたくないですが、何らかの意図があっての短縮なのでしょうかねぇ……。
      あとで実は準決勝前に~~と試合していたとか。
      それはさすがにないかな?

      明善は確かに去年も一昨年もただ強いという情報だけなんですよね。
      エースがどうだとか四番がどうだみたいな明善の特徴というものが見えないだけに対戦相手としては不気味ではあります。

      お花茶屋は資金調達から練習試合の様子まで描いておいて、このまま何もなく終了っていうのも考えにくいですしね~。
      決勝の相手がいまだに読めないです……。

  3. ごんた on 2023年3月16日 at 4:24 PM said:

     次準決勝ですか?墨谷はシード?じゃないよね?確か東東京大会は五回戦の後準々決勝のはず、つまり1回戦登場のチームは準決勝へたどり着くには6回勝つ必要があるはずだが・・・。一部試合省略?まさか。
     城東が来るとは上等です。以前の練習試合では調子の悪い松川が打たれて苦戦したけど、井口あたりが投げてたら展開が変わっていたかもしれないです。投手の順番からしたら次は井口か近藤の登板ですか?これまでの敵よりはやりやすい気がしますが、東実戦みたいに面倒な戦略を使われると厄介です。

     聖陵のもーちゃんは今回は対戦はないかもですね。前回の対戦相手が既に3回も出ておりこれ以上はいくら漫画とはいえ出来過ぎでしょう。もし出るとすれば、決勝での対戦相手(おそらく明善)と対戦し、その試合を墨谷が研究しに見に行く。そこでもーちゃん達投手陣が打たれてコールド負け。そこで改めて決勝での対戦相手(おそらく明善)の怖さを思い知る。こんな予想です。
     お花茶屋も同じく決勝での対戦相手に早々敗れており、しかし敗れはしたが相手投手の攻略法を見抜きその資料を墨谷に手渡して仇討ちを願う。なんてね。
     お花茶屋の決勝進出は現実ならさすがになさそうです。まあだ一年早いですね。もし決勝行ったら大変失礼ですが、お笑いになっちゃいそうです。

    • 城東は今のところ松下の教えが全てみたいな感じなので、それでどこまで墨谷に食らいつくかって感じでしょうか。
      でも谷口をよく知る相手だけに何か戦略は使ってくるでしょうね~。

      やっぱり現実的に考えたら決勝は明善でしょうか。
      確かにお花茶屋がたった一年でいきなり決勝出られるほど強くなるとか、それはそれで他の学校は何していたのかって気もしますし……。

  4. 匿名 on 2023年3月15日 at 3:16 PM said:

    これで墨谷と専修館の対戦の可能性はゼロになりました。
    それにしても城東がここまで残るなんて、恐ろしいほどの成長ぶりですね。
    谷口に感化された松下の熱血コーチぶりが実を結んだ結果と言えるでしょう。
    私も、えっ!もう準決勝?って思いましたが、ともあれ、その準決勝の相手は城東なんですね。
    そうなると、墨谷が勝ったとして、決勝の相手は、やはり、お花茶屋???
    だとしたら、とんでもないサプライズですが、個人的には明善に来てもらって、
    一昨年の雪辱を期待したいという思いもあります。
    前年度の大会で、いかに墨谷にボロボロにされ、弱体化した谷原が相手だったとはいえ、23点も取れるような破壊力は、やはり尋常ではありませんからね。

    余談ですが、侍ジャパンのほうは明日、イタリアと準々決勝。
    こちらも負けたら終わりなので、頑張っていただきたいです。

    • 城東の急成長は松下の影響大きそうですよね~。
      松下から谷口のあきらめない気持ちと執念を叩きこまれた城東がどんな試合をするのか楽しみです!

      私も決勝は東実じゃなければ明善かなと思っていたのですがどうなるでしょうねぇ……。
      お花茶屋が何も描かれないまま終わる可能性もまだあるのかな?

      侍ジャパンいよいよ明日準々決勝ですね~。
      一発勝負なので楽しみだけど緊張もしています(笑)

  5. にしなさとる on 2023年3月15日 at 8:55 AM said:

    今回、作中で「次は準決勝」と言っていますが、これ、準々決勝の間違いでは?
    それなら、東実戦の前に、準々決勝だと言っていそうなもの。

    それに、東東京大会の参加校数からして、5つ勝っただけで甲子園に行けるわけがない。
    最低6つは勝たなくてはならないはず。

    それだけではない。決着をつけるべきチームが、城東を除いてもあと3つは残っている。
    まずお花茶屋、モウちゃんと広瀬のコンビがいるはずの聖陵、まだ一度も勝てていない明善。

    どれか一校は対戦前に負けるとしても、城東戦を除いて最低2試合必要と思えるのですが。

    • どうなんでしょうね?

      聖陵がモウちゃん広瀬コンビであの一回だけの対戦とも考えにくいですし、私は今回の大会で明善とようやく決着つけるかなと思っていたので、そこにお花茶屋や城東も入ってきて先が読めない感じになってきました……。

  6. 匿名 on 2023年3月15日 at 1:24 AM said:

    専修館に城東が勝つなんて墨谷が谷原に勝つよりサプライズでした。予告からはお花茶屋が出てくるのかと思ったのですが、本当に決勝で当たることになりそうな雰囲気。谷原、川北、東実ときて次が城東と読めない展開で楽しみです。

    • 東実戦までは城東がここまで伸びてくるとは予想できませんでした。
      運命という言葉でお花茶屋か城東かって感じでしたが、先に城東来たということはおっしゃるように決勝で本当にお花茶屋かなぁと思えてきましたね~。

      城東との試合もどんな対戦になるのか気になります!

      • 匿名 on 2023年3月15日 at 5:59 AM said:

        返信ありがとうございます。昨年の感覚から行きますと勝ち上がるごとに対戦相手が弱くなっている感じがします。そこが高校野球の醍醐味なのかもしれませんが。その流れから行きますと城東の次に明善は無いですかね。

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